ある日、私はとある作戦を決行することにした。  
 バイブと呼ばれる代物を自分の膣内に入れたまま外出することを!!  
 
 小さな頃から、性的なことへの興味は、人一倍あった。小学生の頃にはオナニーを覚え、クリトリスの気持ちよさに目覚めた。もちろん、クリトリスの次には、膣に挿入することで快感を得ようとした。しかし、膣内で感じたことはなかった。  
 ちょっとだけ、ムズムズする感覚はあるけど、絶頂までいたらない。どんなに精巧なバイブやディルドを使ってもダメだった。  
 やっぱり、本物じゃないと駄目なのかと思ったけど、男性にはちょっとした恐怖感があり、やはり玩具で我慢するしかなく、そんなときに思いついたのが、この計画だった。  
 自分にMっ気があるのは自覚していた。そんな私はきっとバイブを入れたまま外に出たら、きっと感じ、膣内を開発できると思ったのだ。  
 そして、いよいよ今日、それを実行するのだ。  
 
 朝のラッシュ時の電車に、私はTシャツと黒の膝丈のスカートで乗り込んだ。もちろん、膣内にはバイブが入っている。  
 外などで着用する用のバイブでなく、リモコン操作ができる、ペニスを模したバイブなので、奥まで押し込み、ガムテープで固定し、悩んだ末、パンツは身に着けなかった。  
 混雑している車内で、私はバイブのスイッチを入れる。まずは、一番最小で。  
 ヴィヴィヴィヴィヴィ  
 小さなモーター音が、体の奥から、響いてくる。その音は思った以上に大きく、ハッと周りを見渡す。  
 周りの人たちは、気づいていないみたいで、ほっと安心する。  
「アッ……ウウン」  
 力が抜けた瞬間、快感が体を走り、思わず声が漏れてしまう。  
 今ので誰かに気づかれてしまったかもしれない。  
 そう思うと、先ほど以上の快感がまた体を走る。  
――私、感じてる。外でバイブ入れて、中で感じてる――  
 額や背中からは汗が溢れ、顔が熱くなってくる。それでも、ぞれでもそれは絶頂には程遠いもので、逆に膣内が疼きだす。  
――もっと、もっと強い快感が欲しい――  
 これ以上の振動は周りに気づかれてしまう。  
 理性では分かっていた。それでも、膣内はもっと強い快感を求め、ヒクヒクしている。  
 気が付けば、私はスイッチに手を伸ばし、もう一段階高い振動へと切り替える。  
 ヴィヴィヴィヴィ  
 先ほどよりも大きな振動が響く。  
 
「や………うん、ふぅ」  
 漏れる声を我慢できず、手で口を覆う。先ほどよりも、大きな快感が、体中を走る。  
 その快感が怖くなり、それから逃げ出そうと、腰を揺らしてしまう。もちろん、ガムテープでガッチリと固定されたバイブから逃げられるはずもなく、快感が次々と私の体を襲う。  
――もう、ダメ。ダメなのぉぉ――  
 バイブのスイッチを切ろうとするが、手は口を押さえるのに必死で、スイッチを切れない。今、この手をどけたら、声が漏れてしまう。  
「んんっ……ふぅ……」  
 足がガクガクと振るえ、立っているのがやっとの状態になる。  
――イキたいっっ!!――  
 そう思うが、今日初めて膣内で感じた私の体は、後一歩のところで、絶頂には至れない。いつもなら、イケそうでイケないという拷問のような快感の中、私はどうすることもできなかった。  
「大丈夫ですか?」  
 そんな男性の声が聞こえた。きっと、私を気分の悪くなった人だと勘違いしているのだろう。  
「だい……じょぶデス」  
 喘がないように、何とか声を絞り出す。  
「本当ですか? 本当イキたいんでしょう?」  
 そう言うと、うち太ももに手を当てられ、それがつつぅと上へとのぼってくる。ゾワゾワと、男の触れる部分から、また快感が走る。  
「ダメじゃないですが、こんなもので貼り付けたら。キレイなここに跡がついてしましますよ」  
 その言葉とは裏腹に、男は乱暴にガムテープを取り外す。  
「ああっ」  
 思わず声が漏れ、あわてて口をふさぐ。  
「僕以外の人に気づかれなかったら、その口は塞いでおくことですね」  
 そう言うと、男は私のもう片方の手で私の腰を掴み、片方の手で、バイブを掴む。  
「うぅ……はぁはぁ、ぅん」  
 グチャグチャとヤラシイ水音を立てながら、男はバイブを出し入れする。引き抜かれるたびに、敏感な壁をこすられ、奥へ入れられるたびに、子宮口を刺激される。  
 時には早く、時には焦らすようにゆっくり。自分では予測ができない速度で動かされ、自分では感じたことがない、ものすごい快感が体中を走り回る。  
 膝がガックン、ガックンしている。  
 きっと、男が腰を掴んでいなければ、立っていられないだろう。そう思った矢先、腰を掴む男の力が緩められた。  
 ガクン  
「あぁっっっ!!」  
 膝が折れ、落ちていく体を振動するバイブだけが支え、今まで以上に深くバイブを受け入れる。その瞬間、頭が真っ白になり、つつぅと太ももを何かが伝うのが分かる。  
――ああ、私イッたんだ――  
 そう思った瞬間、またとんでもない快感が体を突き抜ける。イッて敏感になった膣内には、まだ振動のやまないバイブが入っているのだ。  
「スイッチどこ? 切ってあげるから」  
 男の言葉に、コクコクとうなずき、ハンドバックを指差す。男はハンドバックをゴソゴソとあさる。  
「ああ、これだね」  
 そう男が呟いた瞬間、今まで以上に大きな振動音が、体から響く。  
「あぁっ、やぁ……あぁぁぁん」  
 予期せぬ振動に、私はイッてしまい、その場に崩れ落ちる。車内の人々の視線が私にそそがれるのが、わかる。  
 その瞬間、目の前のドアが開く。駅のホームで待っていた人と目が合う。その瞬間、キュッとバイブを締め付ける。皆が呆然とし、動けないままで居る中、男はバイブのスイッチを切ると、私の手を掴み、立ち上がらせると、そのまま電車を出て、ホームを歩いていく。  
 ガムテープという支えを失ったバイブを落とさぬように必死に膣を締め付け、手を引かれるまま、歩く。その度にバイブがこすれ、その場に立ち止まりそうになるのを、強制的に歩かされ、私はどうしようもできない。  
――私、どうなっちゃうんだろう――  
 そんな絶望感を感じながらも、どこかで期待している自分が居た。  
 
 

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