「ンぐ…んぐ…」
甘い粥のような流動食の入ったボウルを両手で掴み、口から直接飲むように貪る被検体。
添えられたスプーンなど目に入っていない。
口の端から飲みきれない流動食がだらしなく流れるのも気にせず、
器の底を舌でべろべろと舐めまわしている。
モノを考えるのが難しい。理性が段々と麻痺し始めている。
博士はその様子を監視カメラで見てほくそえんだ。
最初、被検体が目を覚ましたとき、
自分が何も無い部屋に全裸で閉じ込められているのに気付いた際は
半狂乱になって逃げ出そうとしたものだが、
観念して、人の通れそうに無い小さな戸口から差し入れられる食物に手を付けて数日、
薬の効き目がかなり出て来ている。
最初はストレスからか、皿の上に食料をほとんど残していたのに、
今ではボウル一杯食べても治まらないほどの食欲を見せている。
それに呼応するかのように、その体は急速に肥大していた。
元々の体重に比べると、20キロ近く太ったのではないだろうか?
…そして、増進したのは、食欲だけではなかった。
「ん…あ…あぅ…」
からん、とボウルが落ちる。
被検体は頬を上気させ、荒い息をついていた。
下半身に目をやると、ペニスがはちきれんばかりに膨張している。
「…発情、か。順調に進行してるようだな」
その様子を見て呟く博士。
戸惑いながら顔を真っ赤にする被検体。隠そうと、両手をあて…
「…ふぁっ!?」
びくっ、とその腰が跳ねる。
気持ちいい、触れただけなのに、今まで感じたことが無いくらいの快感。
「や…っ…やだ…ぁ…ふぁ、ふあぁああん!」
ガマンできない。止められない。触れた手がペニスを扱き始めるまで時間はかからなかった。
せめて誰にも見えないようにうずくまってペニスを隠す。
だが、被検体はどれだけの数の隠しカメラが何処に設置されているかなど知らなかった。
床や低い視点に設置されたカメラから、博士は悠々と被検体の自慰行為を観察する。
コレ以上無いほど勃起した被検体のペニス。
…だが、それが監禁初日から少しづつ小さくなっている事に被検体自身は気付いていない。
肥大化した尻と、乳房のように膨らんだ胸が揺れる。
腹部の左右、胸の下あたりに、虫刺されのような赤みを帯びた発疹が3つずつ、
縦に列をなしているのを見つけ、博士はニヤリと笑う。
「あっ、あっ、あぁっ……」
前例の無い快楽に、半開きの口から嬌声とともにヨダレを溢れさせる被検体。
激しく息を通すその鼻が上向き、大きく広がり始めていた…
3日後、被検体の体はますます肥大していた。最低でも200キロはあるだろう。
ぶくぶくと全身を覆った脂肪。だが柔らかくありながらあまり垂れることなく、
むしろ肌は内側からの体積で張り詰め、丸く膨らんでいるようだ。
「んぐっ、んぐっ、ふごっ、んごっ……」
食欲にあわせ、流動食はもはやバケツで与えられるようになっていた。
被検体は、そのバケツに手も添えず、四つん這いになってバケツに顔を突っ込み、
獣のように流動食を貪っていた。
そして最後にはいつものようにバケツの底をべろべろと舐める。
その舌は異様に長く大きく広がっていた。
「ぶふぅ…おいしかった…ぶひぃ」
流動食でべたべたの顔を上げる。長い舌でべろりと口の周りと…"鼻先"に付いた流動食を舐めまわす。
大きく、平べったく膨張した鼻は、既に上唇と一つになっていた。
呼吸するたびに、ぶごぶごと鼻が鳴る。
「…ん、ぶぅう…」
…と、食事に混ざった「薬」の効果で、再び被検体の体は発情を始める。
「ンぶぅ…ぶひぃん…気持ちぶひっ、きもちいいのぉ…ぶごぉっ!」
もはや恥も外聞も無く自慰にふける被検体。指が硬く、動かなくなってきている事にも、
ペニスが既に小指ほどの大きさになってしまっている事にも気付かない。
「ぶひ、ぃいっ、いいのっ、ぶひ、ぶ……ぶひぃいいいん!」
どくっ、どくっ…
白濁液が床を汚す。
「ふごっ、んごぉおっ…」
ペニスから精が放たれるたびに鼻を鳴らす被検体。
しかしその精液は、ペニスの縮小に伴うように、薄く、量も少なかった。
「…ふご…ぶご………ふぐっ?」
その匂いを嗅いで、被検体の鼻がひくひくと震えた。
途端、下腹部の、ペニスとは別の部分が熱くなる。
「ぶふ…な、なに、これぇ……」
肛門とペニスの間の厚い脂肪に、窪みが出来ている。今や睾丸はその窪みの中に納まっていた。
その窪みのあたりから、じわりと、汗とは違う液体が湧き出す。
「んぶっ…なんか…ぶひ、ぃ、いいにおい…ぶひ…」
ふごふごと鼻を鳴らしながら、床に出来た白い水溜りの匂いを嗅ぐと、
体の興奮の度合いが高まって行く。
「ぶ……ぶひっ!」
気が付くと、べろりと精液を舌ですくいあげていた。
とたん、頭を痺れさせるような蠱惑的な感覚が背筋を走る。
「んぶぅっ! お、おいしい、おいしいぶひぃっ!」
実際にその味覚が美味かどうかはわからないが、今や被検体の体は雄を求めていた。
べろべろと舌を床に這わせ精液をすする姿は、もはや人間とは呼べない。
揺れる胸は明らかに乳房を形作っている。
だが、既に大きなサイズを持ちながら、その乳房はまだまだ膨張しようと…
いや、乳房だけではない、被検体の体は、未だ異形への変化を終えてはいなかった……。
「ぶひぃいいい…いいの、ぃい…ぶひっ、ぶひぃいん!」
被検体は、指が溶け合い固まりヒヅメと化した手で、股間を擦るように撫でさすっていた。
睾丸を飲みこんだ窪みは更に広がり、巨大なクレバスへと……膣へとその姿を変えていた。
縮みつづけた睾丸は跡形も無く消え去り、もはや精を放つ事の無くなったペニスは、
クリトリスとして、そのわずかな突起を残すだけである。
「ぶ、ぶひッ…ぶご…ぃ、いく、いぐ、いぐぶぅう、いっちゃ、いっちゃぶふぅううう!」
鼻も口も、喉も変化しつつある被検体は、段々と、言葉を喋る能力を失いつつある。
「ぶっ、ぷぎっ、ぶひ…ぶひゃぁぁああああん!」
嬌声は既にほとんど人間の言葉をなさない。
愛液が水のように溢れ床を濡らす。
左右の胸の下に並ぶ3対の発疹はさらに腫れて、小さなボタンのようだ。
「……そろそろ、仕上げかな……」
博士はその様子を見て、満足げに笑った。
…その日の流動食――いや、もうはっきり言おう、コレは"エサ"だ。家畜のエサなのだ――
そのエサは、いつもとわずかに味が違っていた。
しかしそんな細かい事など、被検体はもはや思考していなかった。
既に被検体の理性は消えかけ……
(……え?)
ぞくっ、と全身に寒気が走る。全身を覆い、脳を浮かしていた熱が、急激に冷めていく。
(……えぇっ!?)
思考がハッキリしてくる。頭の中にかかった霧が晴れていく。理性が戻ってくる。
(……えぇぇえええっ!!?)
そして、被検体は、自分の姿を知ろうとした。
目に写るのは、厚い脂肪に覆われた自分の体。手を持ち上げれば、その先にあるのは硬く黒いヒヅメ。
立ち上がろうとするとカツンカツンと、コチラもヒヅメと化した足先が床を打ち鳴らす。
本来なら自分の視界には入らないはずの、不自然に突き出た桃色の鼻面……
ヒヅメと化した手で触れると、濡れた鼻の先端に硬く冷たい感触と獣じみた匂い。
紛れも無く自分の鼻だった。紛れも無く……豚の鼻だった。
(いやぁああああああああああああ!!!)
恐怖と混乱に、叫びを上げようとする。
「ぶぎゃぁあああああああああああ!!!」
凍り付く被検体。
(いや…)
「ぶぎぃ…」
(いやぁっ!)
「ぶぎひぃっ!」
人の言葉を話そうと思っても、出てくるのは豚の鳴き声のみ。
パニックの中、この数日間を思い出す。
自分を狂わせた性的な衝動。それが、自分をこんな姿に…肥大した雌豚に変え果てたことを悟る。
何故?どうして?
「助手君、ようやく目が覚めたのかね?」
びくっ
振り向く被検体。監禁されはじめてから今まで開く事の無かった扉が開いていた。
そこに立っていたのは……博士。
(博士…!)
「ぶぎぶひっ…!」
何が何だかわからない世界で、知人に会えた安堵感から駆け寄ろうとし…凍り付く。
博士の顔に浮かぶのは……残酷な笑み。
(……まさか……)
恐怖に後ずさる被検体。博士は懐から何かのリモコンを取り出し、スイッチを入れた。
がしゃがしゃがしゃっ、と、壁が切れ目ごとに一枚づつ反転する、壁の裏は…鏡。
被検体は、初めて自分の全身を目の当たりにした。
二本足の豚。獣にも人にもなりきれない、桃色の異形な生物。
「ぶひゃあああああああ!」
上げた悲鳴も豚の鳴き声にしかならないのを聴いて、被検体の目から涙が溢れる。
「どうだ?気に入ってくれたかな?」
(やっぱり…博士が…どうして…)
「ふご…ぶぎぴぎぃ…ぶひぃ…」
問い掛けも言葉にならないが、博士はまだわずかに人間の面影の残る表情を読みとった。
「どうしてか、って聞きたそうだね。それはねぇ…」
ぐちゅっ
「ぶひぃいっ!?」
「……ワシは、オマエをペットにしたかったんだよ」
「ぶぎ…ひ…ッ」
博士の指が被検体の股間に突き立っている。
投薬後でもないのに、息の止まるような快楽が全身を駆け巡る。
「どうだ…?『豚のような激しい発情期』が『人間みたいに毎日』続くのは?
気持ち良かっただろう?」
(そ、そん…なぁっ!)
「ぶひ…ぶひぃいん…」
理性を残したままここ数日の痴態を思い出し、羞恥心とともに、下腹部が熱く濡れてくる。
下半身に力が入らずふらつきはじめる被検体の体を、鏡の壁へと押しやる博士。
被検体は鏡に手をつき荒い息を吐く。
鏡に映る、快楽に悶える豚の姿に耐え難い羞恥と嫌悪を感じつつも、
発情した体はその感情すらも快楽に変えていく。
「いやらしいメスブタだねぇ……ほら、ここもこんなに固くして…」
きゅっ、と腹に並んだ発疹の一つをつまむ
「ぶひゃぁぁあん!?」
電撃のような快感。白い液体がつままれた発疹からにじみ出る。
信じられなかった。コレは…発疹じゃなくて、乳首だったのだ。
「さて…そろそろ…」
ず…っ
「ぶひぃああああああああん!」
被検体の秘所に己のペニスを沈める博士。
ヒヅメになったせいで激しい発情の時でも指を入れる事もできなかった被検体は、
はじめて貫かれた快感に、破瓜の痛みすら感じる事は無かった。
「…さて、助手君、面白い話をしてあげよう…」
「ぶ…ぶひぃん…んぶぅ…ぶひ?」
快楽に支配されないよう、必死で歯を食いしばる被検体に博士は囁きかける。
「キミにあげた薬はまだ不安定でねぇ…豚になっても、飲まずに一ヶ月くらい過ごせば、
簡単に人間に戻っちゃうんだ」
「ぶひっ!?」
示された希望に、目の前が明るくなるような気がした…が
「……でもね、一人エッチならともかく、一度でも交尾してイっちゃうと……」
ニヤリ、と博士は笑う
「……もう一生、元には戻れない」
「ぶ、ぶひっ!? ぶ、ぶぎひぃ!ぶひぃっ!」
目の前が再び真っ暗になる。必死で逃れようとするが、
博士のペニスは被検体の中に深く食いこんでいて…
むしろ逃れる動きそのものが、自分から腰を振るような状態になってしまい、
更なる快楽を呼んでしまう。
「ぶひぃ…ふご、んぶふぅ…ぶぅう!」
拒絶の鳴き声に、段々と甘いものが混じっていく。
交尾の快楽とともに全身に流れ出すホルモンに影響されたのか、
被検体の体は更に変化していく。
結合部を中心に、胸、腋などから、桃色の体毛が生え広がっていく。
ビロードのように柔らかい獣毛が全身の皮膚を貫くむずがゆい感覚も、快楽へと変わっていく。
「んぶぅ…ぶひぃ…」
快感とともに耳が大きくびらびらと広がっていく
「ぶひぃン…ぶぎゃぁぁん…」
尾てい骨から尻尾が生える。その尻尾を握り締められると凄まじい快楽が背骨を走った。
「ぶひゃああああああああん!!!」
生まれたばかりの敏感な神経で、耐性も経験も無い感覚。
その尻尾を…博士は、被検体の肛門に挿し入れた。
「んぶひゃああああああ!!?」
発情で性感帯と化していた肛門は突然の侵入に快楽とともにきつく締まり…
締めつけられた尻尾は更なる快楽を生む。
「ぶっ、ぶひゃ、ぶひぃあああん!」
快楽に尻尾とお尻の筋肉が勝手に踊り、直腸の中で尻尾が暴れまわる。
さらに博士は、右手で腹の小さな3つの乳首を指と指の間にはさみ、
左手では胸の大きな乳房を掴んで、ミルクを搾り始めた。
「んぶひゃ、ぶひ、ぶぎひぃいいいいいん!!!」
びゅっ、びゅっ、と、たくさんの乳首からミルクがほとばしる。
人間の体を獣へと変え果てる薬である。
子も居ないのに母乳が出るという異様も、この異形ではおかしくは無かった。
(もう…駄目ぇ…何も……何も考えられない…!)
目の前の鏡に映る豚は、快感にだらしなく口を開け舌を出しよだれを垂らし、
犯される事に歓喜していた。
その姿を見せつけられ、被検体の中で何かが切れた。
―――豚で、イイ。豚になっても、イイ。―――
「ぶひ、んぶひぃい…ッ、ぶ、ぶひぃいいいいいいいいーーーーッ!!!!」
絶頂に達した。
「おやおや…イっちゃったか…コレでキミは正真正銘のメスブタってわけだ」
「んぶひぃいーーーッ!!」
びらびら広がった耳に囁きかけられる羞恥を煽る言葉も快楽を増幅させる。
雌豚と成り果てたことを証明するかのように、ガクガク震える全身に桃色の体毛が生え揃う。
「…っく、さぁ、こっちもいくぞ…ッ!」
どくっ、どくっ、どくっ…
「ぶひゃあああああああああ!!!」
熱い液体が胎内を叩く。
「…っふぅ……ふふ、そうそう、豚の絶頂って数十分も続くんだそうだ。
せいぜい楽しむと良いよ。メ・ス・ブ・タ・君」
「ぶひぃいーっ! ぷぎぃいーっ! ンぶひいぃいいーーーーッ!」
既に麻痺した頭では、それが幸せか不幸かなど、考える事は出来なかった…
〜終〜