「こんの馬鹿者!!」  
「す、すいません!」  
休日の夕方  
姉は弟に思いっ切り怒鳴られていた  
「いつも夜遅くまで遊び歩いて、  
しかもいつも学校に遅れて!  
それなのに金貸せだぁ?  
ふざけんのも大概にせい!!」  
「孝文ぃ……そこをなんとか」  
「いい加減にせんか!!」  
「だってぇ………」  
「だってじゃない!!」  
孝文は姉の恭子に竹刀を突きつけた  
孝文は中学一年生、恭子は高校二年生で  
年の差は四歳  
普通は逆なのだろうけど、この姉弟は違っていた  
孝文は超弩級が付くほどの真面目人間で、  
頭も良く、幼少から習っている剣道は、全国大会に進むほどの腕前である  
それなのに恭子は、  
顔は美人で評判は良いのだが、  
成績はお世辞にも良くなく、髪も金髪に染められ、  
毎日夜遅くまで遊んでいる日々  
弟とは全く正反対であった  
この日、恭子はお金を孝文にせびりに行き、  
案の定、思いっきり怒鳴られているのであった  
「これで最後にするからぁ」  
「その言葉、今日で何回めよ?」  
「うぅ………」  
何も言い返せない恭子  
それに孝文は畳みかける  
「それにね、あんた明日学校でしょ?  
もう後がないのに、髪染めて毎晩毎晩遊び歩いて  
それでも日本人か!  
こんのゆとり世代がぁぁ!!!!」  
血の繋がった弟に国籍を疑われ、ゆとり世代と馬鹿にされるわ、  
痛い所を突くわ  
しかも注意してるのは四歳年下の弟ってなもんだから  
恭子にとってはもう堪らない  
「もういいよ!覚えてなさい!!」  
耐えかねた恭子は捨て台詞を吐くと、孝文の部屋から出ていってしまった  
「あっ、ねぇちゃ………」  
孝文の言葉はドアが閉まる音で遮られてしまった  
 

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