<<a silver moon in>>  
 
その夜、僕はセラ、つまりご主人様と同じベッドに入っていた。  
もちろん僕は反対したけど、結局ご主人様に押し切られる形となった。  
今ご主人様は僕の隣に腕枕してもらっている形で、気持ちのよさそうに眠っている。  
静かな息遣いと僅かに伝わってくる体温に、僕は耐え切れないかと最初は思っていたが、  
やっぱり疲れているのか、直ぐに目蓋が閉じてしまった。残念。zzz。  
 
 
どこかで聴いたオルゴールの音が聞こえた。  
 
『もう……寝てしまいましたか?』  
夢の中で、いつか見た白兎が、僕にそう話しかけた。  
夢の中でも、僕のまぶたは重く、とても開くことなんか出来ない。  
だけど、その兎が直ぐ傍にいて、とても暖かなものだという事は良く分かった。  
そばにいるだけで安心するような、そんな存在感。  
『ごめんなさい……』  
何で謝るの?と声を出そうとしても、やっぱり口は動かない。  
その少し後に、ふと半身が外気に晒されたことに気づいた。  
借り物のパジャマと、僕が履いている下着が、誰かによって脱がされたのだと、  
ほんとに何となくだけど、何となく良く分かった。  
 
『…………おっきい…』  
うっとりとした甘い声と同時に、暖かい手が僕のそれを優しく包み込む感覚。  
一度、ふっ、と冷たい息を吹きかけられ、僕は恥ずかしくも反応してしまった。  
そのまま、その竿を、手のひらで根元から先端へと擦るように撫でられていく。  
最初は愛でる様に、段々と強く、僕が知らない何かが迫ってくる。  
「ひゃっ!!」  
まだ目は開かせてもらえない。けど口は開いた気がする。  
感覚に乏しい。だけど「そこ」の感覚だけとても鮮明で。  
ねっとりとした暖かく湿っぽい何かが、手のひらの変わりにそれを撫でていく。  
何度か往復された後、竿全体が口の中に含められ、出し入れを繰り返しながら舌と歯で微妙な刺激を与えられていく。  
いつの間にか、竿全体がねっとりと濡れていた。  
辺り一面に、今まで聴いたことの無い水音が響いている。  
熱い口の中で、それよりも熱い舌に先端を突付かれた時、僕はもう我慢できなかった。  
『んッッ!』  
何かを汚していくような、不思議な放出感。  
それを、彼女は一滴も残さず飲み干していく。  
出し終わった後、竿が再び外気に触れる。  
『すごい……こんなに出た…………』  
彼女は、のそのそとベッドの上を這ってくる。  
まだ硬度を失っていない僕のものを、自分の入り口へとあてがう。  
『……ごめんなさい……タクヤ……』  
そしてもう一度だけ、彼女は僕に向かって謝ると、目を閉じ、一気に腰を落としてきた。  
 
「っはぅぅんんっっっっ!!」  
 
その声に、僕はようやく、目を開けることが出来た。  
でも僕は、目前の光景を、夢なのか現実なのか判断することが出来なかった。  
なぜなら、目を開けて最初に飛び込んできたのは、夢に出てきた一匹の白兎だったから。  
そしてそれは、昼間のような黒眼茶髪のご主人様ではなく、  
 
月夜に輝く白銀色の髪を振り乱し、夜空に浮かぶ2つの満月の下を駆けていく、  
いつか見たことのある、あのセラの姿だったから。  
 
 
「やっ、やぁん、、、すごッ、、すごいよぉっ!!」  
ペース配分など全く考慮せずに、最初からご主人様は全力で腰を打ち付けていく。  
僕のものが彼女の中へ、いやらしい水音だけを立てて繰り返し出入りしている。  
「ご、、ご主人さまッ!!」  
彼女の膣内が、僕の竿を根元から締め付ける感覚に我慢できず、僕は思わずそう叫んだ。  
「あっ、、タクヤぁ、、、ごめん、、やっぱり起きちゃうよね、、、」  
彼女の兎耳が、身体の振動で上下しながらも、恥ずかしさからか伏せられてしまう。  
「ごめん、なさい、、、すぐに、ッ、、すぐに終わらせるからッ、、、、」  
単純な上下運動に、前後左右、回転、さらに締め付けと、無茶苦茶な力が加わった。  
無理な力が加わるその度に、僕の身体は悲鳴をあげる。  
二人の汗が周囲に飛び散る。  
「くッ、ご主人様ッ、ご主人さまッッ!!」  
「もう、、もうちょっとだから、、、タクヤ、一緒にいこッ、、、」  
僕は、そんな彼女に必死に付いて行こうと、彼女の背中に手を回した。  
 
「ひゃぅ、タクヤッ、、そこ駄目ッ、、しっぽ弱いのぉッ!!」  
ちょうど腰の下あたりに回した手が、違和感を捉えた。  
そこだけふさふさとした、兎の尻尾。  
優しく撫で上げるだけで、愛液を撒き散らしながら彼女の身体がびくんびくんと跳ねていく。  
「ひゃぅ、はぅ、だめ、ダメッ!」  
いつの間にか、彼女は僕の胸に顔を寝かせ、そして僕は無意識のうちに彼女に腰を打ち付けていた。  
右手で尻尾を撫で、そして左手で眼前の耳を撫でてみる。  
「ダメぇッ、、ミミも駄目ッ!!、、、、」  
ベッドも彼女と僕の体液でぐちょぐちょになっていた。  
とろとろになりながら、彼女は再び上半身を起こす。  
小さいが形の良い胸が、振動とともに揺れるのが見て取れた。  
僕の顔の横に両手をつき、必至に喘ぎ声を抑えながら、恍惚とした赤い目で僕を見てくる。  
「タクヤッ、、一緒に、いっしょに、、、、、、」  
そして僕の顔を両手で掴み、貪る様に僕らは口付けを交わした。  
 
― 月の光を魔法の光に、迷子の兎に光の導を ―  
― 3秒前、2秒前、1秒前 ―  
― 天地玉兎、融合、転写、そして解放 ―  
 
「ん、、、やっ、やあぁぁぁあぁぁぁぁぁん、、、、ッッ!!!」  
思わず唇を離した彼女の背が、弓形にしなる。  
きゅっと締まった膣の中の居心地のよさに耐え切れなくなってしまい、少し遅れて絶頂を迎える。  
僕は彼女の中に熱い物を放出し、彼女はそれを捉えて離さない。  
そして彼女も、僕にある魔法を差し出してくれた。  
 
力の抜けた彼女が、僕の胸に倒れてくる。  
お互いに息を整えるまで、僕らは暫くの時間を必要とした。  
 
 
「ごめんなさいご主人様。僕のものがご主人様の中に……」  
一番最初に謝る。  
「ん、大丈夫。ヒトとウサギの間に子供は出来ないから。  
 だからヒトは性奴隷として使われるんだけど……ごめんなさい。  
 タクヤをそう扱っちゃいけないと思ったんだけど、身体が我慢できなくて……」  
また顔が真っ赤になるご主人様は、恥ずかしさからか僕の目線から逃れるように、向こうを向いてしまった。  
 
「……さっき魔法で、この国で生活するのに必要な知識は大体送ったんだけど……どうかな?」  
少しだけ落ち着いたご主人様が、僕にそんなことを言ってきた。  
「う〜ん……ちょっと良く分からない」  
「まあ、遅効性の魔法だから。それでも1から憶えるよりも楽だと思う」  
それよりも。  
「それよりも、その髪のことを教えて欲しい」  
僕の位置からはご主人様の表情は窺い知ることは出来ない。  
それでも、ご主人様の耳が反応したのだけは、目で捉えることが出来た。  
 
「“月夜の白銀色”って言うの。神兎様の使いのしるし。  
 月の光に当たると、髪の毛と目の色が変わるの。  
 王族でもなんでもない私が、こうやってお姫様でいられるのは、この変な体質のおかげなんだよ」  
何となく、怒っているような、悲しんでいるような口調。  
「でも、ものすごく綺麗だった」  
正直な話。  
「うん、私も気に入っているの」  
彼女の耳が恥ずかしそうに垂れた。  
 
「明日から忙しいです。早く寝ないと起きられないかも」  
「そっか。じゃあおやすみなさい、ご主人様」  
「おやすみなさい、タクヤ。また明日…………」  
 
天窓から差し込む2つの満月の光が、暫くの間二人を照らし続けていた。  
 
<<a silver moon out>>  
 

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