<<interude in>>
夜明け前の外の微かな明るさに、ふと目が覚めた僕は、ベッドから抜け出た。
まだ闇に埋もれた室内は、凍るような寒さに包まれていて、僕は寝間着を着ていたことに安堵する。
寒いから、と忠告してくれたセラ様は、さっきまで僕がいたベッドで、一緒に目を閉じていた。
水気に曇った窓ガラスを手で拭うと、窓の外は一面の雪景色だった。
「ん……タクヤ?」
セラ様?
ベッドを振り返り見ると、ご主人様が布団の中からこちらを見ている。
「タクヤ………そんな所に居ると、凍えちゃうよ」
甘えた声。
「ん……僕なら、平気です」
窓から入る雪の光に、月の光を失い元に戻った茶色の髪が、鈍く映る。
ご主人様から、僕はどう見えているのか。
「ううん………凍えちゃうのは、私のほう………」
布団に包まり、寒さを耐えているようにも見える、まだ幼さの残る体。
「一人で寝るのは…………寒いんだよ」
精一杯甘えるような声で、もう一度だけ、僕を呼んだ。
もう一度、ベッドに潜り込む。
温かく作られたそれは、彼女の体温を包み込んで離さない。
その温かさが、仰向けに寝る僕の、直ぐ左に移動した。
「幸せ…………かな?」
彼女の身体が、僕の身体に密着している。
一度だけ、嬉しそうに微笑んだ彼女は、再び可愛らしい寝息を立て始めた。
それを見てから、僕ももう一度だけ、眠りに落ちていく。
二人分の温かさは、きっと幸せなこと。
<<interude out>>