<<interude in>>  
 
見渡す限りの真っ白な空間には、二羽の兎だけがいる。  
月光の差す果ての無い空間に居る二羽の髪の色は両方とも、  
まるで背景に溶け込んでしまうかのような白色。  
そして目の色は、一羽は赤、もう一羽は黒。  
二羽は寄り添うように、その白の空間に漂い、そして  
 
「ぅあ……………っく………………ッ」  
 
赤の目の兎から、ついに声が漏れ出した。  
 
『しかし密会には最適の場所じゃな、この夢の中というのは』  
 
黒の目の兎が、相手の耳に優しく語り掛けるかのように、甘く甘く呟く。  
見れば、黒目の兎は赤目の兎を後ろから抱きかかえているだけではなく、  
その四肢を相手の身体に絡め、そして相手を慰めている。  
右手は左胸を、左手は最も敏感な部位を。  
双方共に一糸纏わぬ姿で、黒目の兎は相手の身体を包み込むように、  
身体を密着させ、とても優しく撫で回し、赤目の兎から快感を引き出していく。  
 
「ぁあ……んっ…………ダメっ………………」  
 
後ろから抱きかかえられた赤目の兎は、言葉とは裏腹に抵抗する気配は無い。  
自分の身体を外から操る2本の腕に手を沿え、顔を紅く染めているだけ。  
口から漏れる声は、何も無い空間内に、確かに反響して耳に戻ってくる。  
他の兎より幾分か耳が良い体質上、自分の声ですら羞恥の元と成る。  
 
『ジャマモノも居ない。アリトアラユル障害が無い。カナワヌコトなど何も無い。  
何時までもこうしていたいものじゃな』  
 
それまで縦筋を上下に往復するだけだった左手の中指が、  
っぷッ、と粘質の音を立てて割れ目の中に潜り込んだ。  
 
「……………ん……………はぁッ、、駄目、指入れちゃ……ッ……」  
 
そこで手の動きを止め、相手の息が整うまでしばし待つ。  
 
「ふぅ……………く…………………やッ!あぁん!」  
 
相手の息が収まった後、膣壁を執拗に刺激して、一度指を引き抜いた。  
そのまま、愛液まみれの指を、相手の顔の前まで近づける。  
下の事情を目の当たりにし、赤目の兎は恥ずかしさから真っ赤な顔を逸らした。  
 
『何時までもこうしていたい。おぬしもそう思うじゃろう。  
しかしもうじき朝日が昇る。月夜の夢はそこで終わりじゃ』  
 
そのまま、指を舌で舐め、一度きれいにした後、右手と左手を前で合わせ、  
その十指に向かって言葉を発した。  
 
『ЪГи#жШ…………』  
「っ! それは、だめッ!」  
 
自分が使う新しい魔法体系ではない、魔女特有の古代方式に則った呪文に、  
赤目の兎はここで初めて拒絶の意思を表した。  
しかし黒目の兎は彼女を逃さず、魔法の掛かり淡く光る指を再び元の所に当てる。  
 
「!! っッ! あ、熱っっ!!」  
 
手のひらを相手の肌に押し付けるだけで、指を相手の肌に這わせるだけで、  
相手は面白いように反応する。  
 
『夢は終わる。そろそろ仕舞いじゃ」  
 
そういって、今度は人差し指を相手の中に押し込んだ。  
 
「ひぁ゙ッ!! あぅ゙あ゙あッッッ!!!」  
 
相手の身体が面白いように跳ね、そして意識が宙を舞う。  
人差し指は膣壁を余す所無くなぞり上げ、彼女のGスポットを刺激する。  
同時に親指は淫核を捏ね回し、中指は菊門を浅く突く。  
右手は相手の胸から下腹部にかけて、その指で軽くなぞっていく。  
指が通った後は光の尾が引かれ、それは何時しか幾何学的な魔方式を描き、  
媚薬とほぼ同程度の効果があるその式から発せられる新たな快楽さえ、  
赤目の兎の肌に染み込んでいく。  
 
「あぅッ! あぅッ!! あぅッ!!! ああぅッ!!!!」  
 
びくん、びくんと、赤目の兎の身体が痙攣する。先ほどから登りつめたままなのか。  
夢の中でしか味わえない超体感に、彼女の体は達し、身体が跳ね上がるたびに、  
上の口からは唾液が、下の口からは愛液が撒き散らされ、  
赤目と黒目、あわせて4つの兎の耳が、激しく上下に揺れる。  
 
『奴の様子じゃが、保って……そうじゃな、次の新月までは安心できよう。  
今はきわめて不安定な状態だが、影が光に勝っている間は、何の心配もいらん』  
 
揺れる耳に向かって、至近距離から語りかける。  
赤目の兎がその言葉を聴いているかどうかは分からないが、頭の隅には残るだろう。  
 
『新月以降、光が影を凌駕する刻には……正直、何がおきるか分からぬ。  
おぬしの行いで持ち直したとはいえ、今の状態でもかなり深刻なのじゃ』  
 
そう言いながら、最後の仕上げに、と、全ての魔法を解放した。  
 
「やッ! ゃ……はぁぁぁぁんんんッ!!!!!」  
 
与えられていた刺激の、何倍もの力が、赤目の兎の膣内で弾け飛ぶ。  
その瞬間に、赤目の兎も弾け飛び、そして力を失い崩れ落ちていった。  
赤目の兎は肩で息をする。気づけば自分も、かなり疲労していた。  
そのまま身体を反転させ、今度は前から抱きしめる。  
相手の髪を優しく撫でながら、魔女は最後の忠告を、あくまで優しく語りかけた。  
 
『もし最悪の結果となるのなら……セラ、お主が奴を……“タクヤ”を殺せ』  
 
真っ白な空間がさらに輝き、抱き合ったままの2羽の姿が、次第にホワイトアウトしていく。  
セラと呼ばれた赤目の兎は、焦点の合わない瞳で暫くの間虚空を眺めていたが、  
消えていく直前に、少しだけ頷いたようにも見えた。  
 
朝がやってくる。  
 
<<interude out>>  

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