<<Nightmare Night : start>>  
 
ゆっくり、とてもゆっくり、セラの身体がタクヤの上に沈んでいく。  
目を閉じて、全身でタクヤを感じながら、自らの泉の中にタクヤを導いていく。  
んんっ……と、セラが小さく声を上げた。  
目を開け、月明りに弱く照らされたタクヤの顔を、潤んだ瞳で見据える。  
タクヤは、逆行となったセラの顔、セラの銀色の髪を、どこか夢の中のように眺めていた。  
 
「んッ……。動きます、ね」  
セラに優しく微笑み返され、タクヤは僅かに顔を赤らめた。  
ふふ、と小さく笑い、セラは身体を上下に揺すり始める。  
初めのうちは単純な上下運動。それでも膣壁がタクヤに擦り上げられるたびに、  
セラの口からは自然と声が漏れていってしまう。  
「んっ……ひゃ…………あぁん…………」  
声の大きさは気にしない。この部屋は防音保護されているし、それに…………  
……タクヤに私を、もっともっと感じてほしくて。  
「ッ……セ……セラさまッ!!」  
いたずらっぽく、きゅきゅっと力を込めると、組み敷かれたタクヤの口から悲鳴が上がり、ソレも震えた。  
タクヤも感じているんだ…………ガマンしなくても良いのに。  
「タクヤ……。気持ち、良い?」  
 
いつの間にか単純な上下運動は、前後左右、ひねりも含んだ複雑な動きになっていた。  
一度たりとも同じところに当らない、常に新しい刺激をまともに感じる。  
私は……この世界に落ちてきたばかりの“タクヤの初めて”を貰った。  
当然、まだ日の経っていないタクヤの経験は浅い。  
だから、二人きりのときは、私がリードしてあげなくちゃ。  
「って、あ……あはぁん…………っ」  
タクヤの手が私の足を押さえ、腰を使って下からズンズンと突き上げてくる。  
上下に跳ね回る身体。私の意志とは無関係に、私の中にタクヤが出し入れさせられている。  
「ご主人さま……ッ、気持ち良いんですね?」  
下から打ち上げられる快感に腕が耐え切らなくなり、私の上半身がタクヤに崩れ落ちるように倒れこんだ。  
力を失い、タクヤに寄り添うように……それでも、私とタクヤの下半身は、  
淫らに、いやらしく、本能のままに交尾を続けている。  
「んぁ、あん……んッっ、あん、あん、あぁん……」  
攻守が逆転している? ううん、2羽とも相手を攻めている。  
無限に渦を巻く快楽。そして先に達したほうが負けの、ちょっとした勝負は、  
「や、タクヤ……あ、ああああぁぁぁぁあッッッッ!!」  
「ご、ご主人さま、出ま…………ッッ!!」  
両者同着の勝利で、その幕を閉じた。  
 
===  
 
いそいそとパジャマを直し、再びベッドにもぐりこむ。  
「……タクヤ? もう寝ちゃった?」  
今日は色々あったねと小さな声で呟いて、静かに寝息を立てているタクヤの頬をそっと撫で、キスをした。  
「ちゃんとパジャマはかないと、風邪ひいちゃうよ?」  
そのまま、タクヤに覆い被さるように、その身体を抱きしめた。  
寝間着ごしに、すぐそこにあるタクヤの体温を感じる。  
……ついでに、僅かに固くなったタクヤのそれも。  
「ん……おやすみなさい」  
少しだけ笑って、目を閉じた。  
今日も良い夢が見れるかも、とか、そんなことを考えながら…………。  
 
しかし、その考えですら、儚い1つの夢にしか過ぎなかった。  
「(……水飲みすぎたかなぁ。けど、朝までは持つよね…………)」  
悪夢の夜が始まった。  
 
<<Nightmare Night : suspend>>  
 
 
<<interrupt : start>>  
 
「セラ……。お主もなかなか器用じゃのう……」  
目の前で熟睡する義妹を見つめて、フェイはため息を漏らした。  
「せっかくお主に頼まれていた本を探してきたというのに……」  
喜ぶ顔が見たいとばかりに真剣に探していたのだが、  
帰ってきてみればセラはベッドに身体を横たえて、静かな寝息を立てているではないか。  
まあ、フェイにとっては喜ぶ顔も眠った姿も、どちらも愛しきセラであることに変わりないのだが。  
というよりも、今指摘すべきことは  
「それに、ココは“わらわの夢の中”じゃぞ? 夢の中で夢を見てどうする」  
…………。  
しかし、その問いには「く〜く〜」という可愛らしい寝息しか帰ってこなかった。  
フェイは、ため息を1つ、次いでセラに寄り添うように、同じくベッドに寝そべる。  
そして、セラの耳元に向かって、熱っぽい吐息を吹きかけた。  
「………授業中に眠った子には、お仕置きをせねばいかんのう」  
ふっ、と耳の中に息を吹きかけると、セラは「んふ……」と艶かしく唸ったが、目が覚めるまでには至らない。  
完全に眠っていることを確認したフェイは「あ〜……あ〜……」と喉の調子を確かめる。  
そして、  
「……гбИЁΖ……」  
首元に手を添えて、小さな声で呪文を唱えていく。  
声を変化させる魔法。汎用性は少ないが、こういうときには面白いことが出来る。  
「さてと、眠っているセラが見ている夢といえば……間違いなくアレじゃろうな」  
そう言って、フェイはセラの召使い、タクヤの声で呟いた。  
『セラ様。僕の“お○んちん”、セラ様のドコに入れればイイんですか?』  
 
「ん……・・・んンっ!!・・・・・・」  
セラは起きない。  
しかし、フェイは確かな手ごたえを感じた。  
身体をセラに寄り添うように密着させ、服の中に手を差し込み、真っ先に秘孔を探り当てる。  
右手の中指でフチをさすり、左手はセラの足を開かせていく。  
『ほら、セラ様。僕の“お○んちん”、どうしたいんですか?』  
とろりとした粘液を指に感じながら、フェイは捲し立てる。  
セラの寝息は、明らかに熱っぽかった。  
「ん……・・・・・・タクヤ・・・・・・ズコズコ、して・・・・・・」  
寝言で呟くセラに、フェイはたまらなそうな笑みをこぼした。  
右手に黒塗りの張り型を用意する。  
セラもフェイもメスである以上、2羽の情事ではこのようなモノが必需品だった。  
『はい!! 僕の“お○んちん”、セラ様の“お○んこ”で気が狂うまで味わってくださいッ!!』  
パジャマのズボンの中、下着の更に中、既にぐっしょりと濡れた秘窟に、ぬめりと張り型を押し込んでいく。  
セラの最奥に当るまで押し込んだ後は、抜ける寸前まで引き抜いていく。  
張り型を手で持っての抽送は、しかし至極ゆっくりとしたものだった。  
「んん・・・・・・・・・焦らさ・・・、で・・・・・・・」  
ふふ、と再び微笑み、一度張り型を引き抜いた。  
双頭の一方を自分の中に沈め、真ん中に付いたゴムのベルトで足と腰に固定する。  
セラの服も、下半身に当るものは全て取り払ってあり、幼さの残るその部分を隠すものは何もない。  
腕で足を左右に広げ、再びセラを愛していった。  
 
「ん、ん、ん・・・・・・」  
『ああッ!! セラ様の“お○んこ”、絡み付いてきて凄く美味しいですッッ!!』  
腰を掴んで、力任せに出し入れさせる。  
セラの中で張り型が動くたびに、張り型を伝ってその感触がフェイへと叩き込まれていく。  
中で包まれているという感触がないのが残念だ。今度生やしてみる方法でも考えようとフェイは思った。  
しかし、今はセラと繋がっているという快感だけで十分だった。  
「セラ、気持ち良いぞ?」  
「ん・・・・・・んぅ・・・・・・フェイ様・・・私も、気持ち良い・・・・・・」  
 
ゆっくりとセラの目が開いた。  
「んみ・・・・・・フェイ・・・・・・さま?」  
「セラ……。なぜ、タクヤではなく、わらわだと気づいたのじゃ?」  
意地悪くクイッと腰を釣り上げると、セラは「ぁあん」と声を上げた。  
「ん、あ……。タクヤはそんなエッチな言葉使いませんし、それに……  
………………タクヤとは“形”が違ってたし……。あう……恥ずかしい……」  
「ふふふ。そんなに真っ赤になって。陰茎の形で相手を見分けられるとは、よほどタクヤを気に入ったようじゃな」  
なんとなくズコズコと腰を叩き込んでいた。  
「はぅッ!! ああッ!! だ、だめ、感じちゃ……んんッ!!」  
「タクヤに酔いしれるのは別に構わんが、わらわもまたお主のことを想っている事も忘れぬようにな」  
両手でセラの柔らかな肢体を抱きしめる。  
「ん、はい。もちろんです・・・・・・・・・・んっ!!」  
最後に一度だけ大きくストロークさせた後、張り型をセラの中から抜き去る。  
セラのそこは、名残惜しそうにひくひくとうごめいていた。  
 
 
 
「ところで、そろそろ本題に入りたいんじゃが、用意はいいかの?」  
「え……。は、はい」  
2、3度頭を振り、セラは頭のスイッチを切り替える。  
 
「さてと。先ずはお主に頼まれておった本じゃ」  
取り出したのは、百科事典に匹敵する厚さの書物。  
表紙には『使い魔の構成』と書かれていた。  
「母上にも紹介したことがあるんじゃが、この分野の書籍の中では最も詳細に載っておる」  
渡された本を開いた。  
しかし一目見て、セラは首を傾げてしまった。  
「……? 白紙ですよ?」  
全ページとも、何も書かれていない。  
「……当たり前じゃ。そんな量を憶えることなど無理じゃて。憶えてなければ夢にも投影できん。あとで取りに来るが良い」  
「あう……それならば夕食の時にでも私の部屋に来てくだされば良かったんですが」  
「ならば渡せる雰囲気を作っておくことが大事じゃな。情事の真っ最中に渡せるわけがないじゃろうて」  
「の、覗いてたんですか!?」  
フェイは不敵に微笑む。  
「覗いとらんよ。聞いてもおらん。知ってもおらんかった。兎の耳にも初耳じゃ」  
そして耳の先まで真っ赤に染まる自分の愛妹の頭を、フェイは背伸びをしてゆっくりと撫でてやった。  
 
「それから、“落ちモノ”に関しても、ちと夕方に調べてみたんじゃが」  
フェイは、今度は懐から一枚のメモを取り出した。  
「おぬしも知っての通り、この世界には時おり“ヒト”などが“上の世界”から落ちてくる。  
それは、この兎の国でも例外ではない。その一例がタクヤじゃったな?」  
こくりと肯く。  
「うむ。しかし、この国に落ちてくる“落ちモノ”の数は他国に比べ少ない。  
まあ、国土の大部分が生き物を拒む氷の世界、例え落ちてきていたとしても発見されないケースが多いのかも知れんな。  
最も“落ちモノ”が多い猫の国が一番研究に力を入れているのに対し、少ないこの国では殆ど研究されていない」  
「そう……ですか……」  
 
家という制度で繋いできた魔女の一族、アリアンロッドとイナバ。  
兎の二強と呼ばれるこれらの家々でも、現在落ち物について研究している者が居るとは聞いたことがなかったが……。  
「研究されていない。そう思っておったが、アリアンロッドは研究を行っておった。  
“落ちモノ”ではなく“落ち方”についてじゃが、実際には遥か昔に研究は“終了”していたのじゃ」  
驚いたセラに、フェイはメモを渡す。  
そのメモを見て、セラは瞬時に理解した。  
「…………“仮想世界層を媒介とした、虚世界因子と実世界因子の同調”」  
難しい言葉で書いてあるが、つまり2つの世界がつながる原因は“偶然”であるということをこの文は示していた。  
「だ、だめ。これじゃ、タクヤをもとの世界に帰すことなんて……」  
できない。偶然につながる2つの世界を再び意図的に繋げることはできない。  
「残念ながらそうなるのう」  
「そう……ですか…………」  
タクヤをもとの世界に帰す方法を探し始めた矢先に突きつけられた回答。  
おそらく、先人はこの結論に達した時点で、これ以上は無意味と判断し研究を中断したのだろう。  
セラは、がっくりと肩を落とした。  
「……正確には、“アリアンロッド家は帰すことが出来ない”じゃな。おぬしかイナバか、はたまた他の魔法使いか。  
ともかく、他の魔法論理を持つ者ならば、あるいは可能かもしれん。そんなに気を落とすことはあるまいて。  
それに、他国ではまだ研究が続いておるから、もしかしたら」  
帰す手段が見つかるかもしれない。  
もしかしたら。きっと。  
「加えて、偶然とはいえ、物事の因果には必ず“意味”がある。  
まあ、わらわは“山向こうの集落に向かってトンネルを掘る”ようなものじゃと思うんじゃがな」  
「へ? は、はい………??」  
突然不思議な例えをあげられて、セラは戸惑うが、フェイはそれに対しては何も付け加えなかった。  
「“リミット”までには、まだ1ヶ月弱もある。じっくりと考えていけば良い」  
その腕でゆっくりとセラを抱きしめると、セラも抱きしめ返してきた。  
 
「ところで、今日は妙におとなしいのじゃな」  
「? ……ふぁっ!! やん。尻尾を撫でちゃいや……」  
抱きしめたまま、フェイは後ろから、セラの尻尾を撫で上げていく。  
セラは腕を突っ張らせフェイの肩を押しやろうとするが、いまいち力がこもっていない。  
「普段ならば、おぬしはもうちっと淫らに振舞うのじゃが……」  
「んん!? わ、私そんなにエッチじゃないですよう」  
しかし、思案を重ねたフェイは、とんでもないことを言い張った。  
「……もしや夢の外では、タクヤに“入れてもらいながら”寝ているのか?」  
「!!!?」  
セラの身体がビクンと震え上がる。  
「図星か」  
「ち、ちがう!! 私はそんなエ……・・・ひゃうッ!!」  
抱きしめたまま腰を前後させると、今だフェイに付けられたままの張り型がセラの足の間を擦り抜けていく。  
「あっ、ふぁっ、ぅうん・・・・・・」  
「ほほほ。弱いのう」  
途端にセラの全身から力が抜ける。  
ベッドにゆっくりと、仰向けに横たわらせて、  
「と、さっきと同じ体位では飽きるな」  
くるんと引っくり返し、次いで腰を手で持ち上げる。  
うつ伏せのまま膝立ちになり、腰を、お尻を、真っ白な兎のしっぽを天高く持ち上げるような格好。  
特に尻尾は兎にとって陰部の次に恥ずべき場所。  
「や、やん・・・・・・恥ずかしいよ・・・・・・」  
耳を後ろに伏せ、上気した顔をこっちに向けて、そう言った。  
しかし、それは兎の間で肯定の意を表すことは、セラもフェイも身体で憶えている。  
「さ、存分に楽しもうぞ」  
セラの腰を両手でしっかりと掴み、フェイは自らの腰を前に突き込んでいった。  
 
しかし……。  
「や、ぅうん、あぅ、だめ、ちゃんと入れてよぉ・・・・・・」  
フェイの張り型は、ぴったりと閉じたセラの足、その付け根の所を往復するだけだった。  
「ほほほ。おぬしの体には既にタクヤの太いのが入っているのじゃろう? なら入れる必要は無いじゃろうて」  
「あ、あぅあぅ〜」  
「それに、力加減を工夫すれば……」  
「!? ひゃ、あ゛、ぴ、ぴりぴりする……ッ!!」  
張り型の胴に付けられたイボイボが、セラの入り口付近を刺激している。  
とろり、とセラから分泌された愛液が、張り型の前後運動によって撹拌され、  
竿にそって流れ落ちた汁がベッドにシミを作っていく。  
「あ、あ゛、あん、んッッ……あ、あたまのなか、真っ白に・・・・・・」  
「素股でイきそうなのかえ? いいじゃろう。存分に狂うがいい」  
「あ、ん? ふぁ、あ……んんッッ!! そ、そこダメ、おかしくなっちゃ……」  
くい、っと軌道を上向きに修正すると、カリの部分がセラの最も敏感な突起をこすりあげる。  
既に丸々と肥大化した肉豆は、張り型にかえって当たりやすくなっている。  
ぽた、ぽた、という水音は、より強く感ているセラの快感の度合いを素直に表していた。  
「ふぁ、んっく、んンッ、んンッ、ひゃ、ああん、ひゃあぁぁあん!!」  
シーツに顔を埋め、快楽を漏らすことなく受け止める。  
既にセラの腰は、その快感を強めようと前後に揺れ動いていた。  
「ふふ。美しいぞセラ。大好きじゃ・・・・・・」  
トドメとして、フェイは目の前で揺れる真っ白のしっぽを手のひらでこね回した。  
「あ゛、ダメ、だめ、イっちゃ、イっ・・・・・・ああ゛あ゛あああっっっっ!!!!」  
セラの身体が、2、3度ビクビクと軽く痙攣する。  
力が抜けて崩れ落ちようとするセラの身体を、フェイは優しく抱きしめて支えてあげた。  
 
そのとき。  
断続的な“水音”が、辺り一帯に響き渡った。  
 
「ふふふ、“お漏らし”してしまうほど気持ち良かったのかえ?」  
セラの聖水でびっしょりと濡れたベッドを傍目に、今だ余韻で惚けたままのセラに話しかけた。  
そして、ゆっくりと唇を重ね合わせる。  
「さて、おぬしの望みどおり、今度は……」  
そう言ったところで、フェイは何かを勘違いしているような気がした。  
 
……ここは夢の中。  
 
「あ〜……セラ。その、なんだ……。とりあえず目を覚まして……一緒に寝ているタクヤに謝っておけ」  
暫くぼーっとしていたセラだったが、その言葉の真意を理解し顔が真っ青になった。  
 
<<interrupt : end>>  
 

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