「さあ茉莉花、お医者さんのところに行くぞ」
何の変哲も無い父親の言葉。
だがその言葉は、茉莉花にとっては恐怖以外の何物でもなかった。
はじめてその医院に連れて行かれたのは、ほんの一月前。
「お医者さんに悪いところを治してもらうんだよ」
突如そう言われた。
茉莉花は自分のどこが悪いのかはわからなかったが、特に深く考えず黙ってついて行った。
父がそう言うのだから自分はどこか悪いのだろう。そう信じて。
そして連れて行かれた医院の診察室の、更に奥の間で、あの恐怖の経験をした。
奥の間にいたのは中年の医師だった。
薄笑いを浮かべて自分を見つめるその目がどこか気味悪くて、茉莉花はつい俯く。
背もたれのある椅子に座らされ、茉莉花と医師が向かい合った。
「では先生、よろしくお願いします」
「ええ。それじゃあ茉莉花ちゃん、聴診器を当てるからまず上着を持ち上げてくれるかな」
「は、はい……」
男の人の前で一部とはいえ身体を晒すのは恥かしかったが、診察のためというなら仕方が無い。
指示通り上着を胸の下まで持ち上げると、中年医師は服を掴んで更に上に捲る。
胸部を露わにされて、茉莉花は顔が熱くなるのを自覚した。
心臓の音を聴くためか、左胸に冷やりとした感触が当てられる。
何度か角度を変えて、左胸全体をつつくように聴診器を当てていく。
そして右胸も同じように当てる。
そこまではまだよかった。
「んー、胸にしこりがあるようだね」
と言って突然両胸を鷲掴みにされる。驚いて悲鳴を上げると、
「大人しくしなさい!」
背後から父に一喝され、慌てて両手で口を塞いだ。
「これはいけませんね、しこりを消すためにちゃんと揉んで上げましょう」
医師はしつこく胸を揉んでくる。
手の感触が気色悪くて仕方が無かったが、また父に怒鳴られるのが怖くて、ひたすら耐えた。
餅を捏ねるように動いていた手が一旦離され、ほっとしたのも束の間、今度は乳首を抓まれた。
「おや、今度は乳首が硬くなってしまったね。放っておいては危険だ」
「いっ……やああっ! いたい、痛いよおぉ」
「痛いのはここが悪い証拠だよ茉莉花ちゃん。大丈夫、先生が治療してあげるから」
泣き叫ぶ茉莉花の身体を父親が押さえつけ、抵抗できない状態で乳首をいいように玩ばれる。
医師が指の腹を擦り合わせながら乳首を引っ張り上げる度に、茉莉花の身体が大きく跳ねた。
しばらくの時間乳首を弄られてから、こんなところでいいでしょう、とようやく手を離す。
「次はお腹だね。茉莉花ちゃん、ズボンのボタンを外して、チャックを下ろして」
「え」
「早くしなさい」
父からも重ねて言われ、肩で荒い息をつきながら、ゆっくりとズボンのボタンに手をかける。
が、羞恥心から、それより先の行動には移せなかった。
すると父が苛立ったような口調で
「さっさとしろ、先生が困ってるだろう」
と言うや否や、ボタンとチャックを外し、無理やりズボンを尻の下まで引き下げさせた。
引き摺られるようにパンツまでが尻の半分まで下がり、足の付け根が露出する。
医師はへそより下を重点的に聴診していく。
「うむ、これは大変だ」
聴診器を外すと、パンツの縁に指を引っ掛け、軽く下げた。
そのせいで茉莉花の恥丘が晒される。くっきりとした割れ目をつついて、医師は言う。
「どうやらこのあたりにもしこりがあるようだ」
「それはいけない。先生、是非ともここを治療してやってください」
後ろから父が身を乗り出して、茉莉花の割れ目を両手で開かせた。
「やだ、やめて、やだやだやだお父さんやめてよ!」
引きつった声で懇願するが、父は聞く耳を持ってくれない。
中年医師は開かれた秘部に指を差し入れ、クリトリスを包皮の上からくにゅくにゅと押し始める。
今まで感じたことの無い、言い知れない淡い刺激が茉莉花の身体を駆け上った。
くすぐったいような、痺れるような不思議な感覚だった。
押される度に、確かにそこにこりこりとした硬い感触を覚える。
そのため茉莉花は、医師の言う悪いしこりが本当にあるのだと信じ込んでしまった。
「あっ、あ、ああっ……んん」
抵抗するのをやめ、されるがままになる。
早く終わってほしいような、ずっと続いてほしいような微妙な感情が胸に宿る。
不意に、割れ目から伝わる刺激が強いものへと変わった。
電流が走るかのように茉莉花の身体が震える。
中年医師の指が包皮を捲り上げ、クリトリスを直接揉み始めたのだ。
「ああっ、ああっ! お父さんお父さんお父さん!」
腕を上げ、自分の割れ目を押し開いている父にしがみつく。父は優しい声音で
「大丈夫、落ち着きなさい茉莉花」
そう言うなり、割れ目を押さえていた指を動かし、更に割れ目の内部へと移動させた。
ぴちゃ、と濡れた音が茉莉花の耳に届く。
クリトリスを玩ばれているうちに、身体の奥から透明な液が溢れていたのだ。
「聞こえるかい、君の股の間が濡れ始めただろう。これは悪い物を外へ出しているからなんだよ」
「そうだぞ。だからもっとちゃんと出してやらないとな」
「はっ、は、はあああ……あぁん、つらいよぉ、やだやめてやめないでいやいやいやあああああっ!」
医師は揉んだり抓んだり、時には軽く引っかいたりしてクリトリスを弄っている。
父は陰唇を指で上下に擦って、茉莉花の愛液が溢れるのを更に助長している。
二人の大人に股間を責め続けられ、茉莉花は涙と涎と鼻水で顔面をぐしゃぐしゃに汚していた。
「先生、中の方も治療を頼めますか」
「もちろんです、お任せください。さあ茉莉花ちゃん、お尻を前に突き出して」
股間を苛め抜かれてぐったりしている茉莉花に、医師がそう指示を出す。
疲れているのと、具体的な体勢がよくわからなかったため、茉莉花は動くに動けなかった。
こうするんだ、と父が茉莉花の腰を持ち上げ、椅子に浅く座らせる。
そして太ももを掴むと、茉莉花の身体の方へ思い切り引き上げさせた。
M字開脚とまんぐり返しの中間のような姿勢をさせられ、茉莉花は羞恥心で顔を赤らめる。
あれだけ秘部を玩ばれても、男に股を晒すなどという行為は慣れようはずもない。
はじめは恥らった様子を見せていた茉莉花だが、すぐにその表情は青ざめることとなる。
中年医師がおもむろに腰のベルトを外し、スラックスを下ろしたからだ。
医師の股間では、すっかり屹立し質量を増した赤黒いペニスが存在を主張していた。
「いいか茉莉花、これから先生がお前に注射をするんだ」
「ひっ、えっ、ええ……?」
グロい物体に萎縮していたところへ、父がそう声をかける。
注射をするだけなら、なぜ医師はスラックスを下ろす必要があるのか。
当然の疑問が頭に浮かぶ。
だが、そんなことを考えている余裕などすぐに消し飛んだ。
医師が自身のグロいペニスを、すっかりどろどろになった茉莉花の割れ目へ押し当てた。
その状態で、医師は茉莉花に覆いかぶさるように椅子の座を掴んだ。
「お、お父さん……」
「どうした、注射がそんなに怖いのか?」
「こ、こ、こんなの注射じゃな……」
「僕のは特別製の注射なんだ。それじゃあいくよ」
未知の恐怖に怯え、父に救いを求めるように視線を向けるが、言葉を途中で医師に遮られる。
そして、言い表せないほどの重い衝撃が、茉莉花の身体を貫いた。
「いぎゃああああああああああっ!?」
めりめり、と自分の身体が股間から裂けていくような錯覚を受けた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!」
「ぐっ、きついですね……」
医師が苦しそうな表情を浮かべる。だがもっと苦しいのは茉莉花のほうだ。
口の端から涎を流し、白目を向きかけている。
少しだけペニスを引き抜き、再度体重をかけて押し込む。
医師は茉莉花の都合などお構いなく、腰を前後に動かして少女の体内の感触を貪るように味わう。
「い゛い゛、い゛い゛い゛っ、おどうざんんんんん!」
「いい子にするんだ、これはお前の為なんだから」
「いやあああだあああ゛あ゛っ! ぎやあああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
茉莉花の悲鳴さえもスパイスだとでも言うのか、更に医師は腰のペースを速める。
「いくよっ、いくよ茉莉花ちゃん!」
限界に達し、ひときわ強く茉莉花に腰を押し付ける。
どっどくっどくんっ、と茉莉花の中で弾けるように射精する。
熱い奔流を腹の中に受けて、茉莉花の意識も弾け飛んだ。
その後数回に渡り『注射』され、アナルにも同じように注射を受けた。
椅子の上で失神している茉莉花をよそに、父が医師と話をしている。
「いかがでしたでしょうか、うちの娘は」
「いやー、なかなかいい具合でしたよ。是非ともまたお願いしたいですね。良い画も撮れましたし」
「ありがとうございます。こちらこそ是非ともご贔屓に」
二人は完全防音の診察室の中で笑い合った。
この医院は、表向きはただの内科医院である。
だがその奥では、限られた者しか知らない裏家業も行われていた。
顧客が若くて美しい『商品』を持ち込み、医師に売って価値に見合った金額を受け取る。
医師はよりどりみどりの女の身体を味わえる上、隠し撮りした映像を売り捌いて利益を得られる。
つまりここは、売り手と買い手の相互利益によって成り立つ売春窟なのだ。
「では、受付で支払いをお願いします。薬は隣の調剤薬局で受け取ってください」
一応は診察の名目上、顧客は診察料を支払わねばならない。
しかし調剤薬局で『薬』――つまり売った商品代を受け取るのだから、損はしないシステムだ。
う、と小さく呻いて茉莉花が目を覚ます。
焦点の合わない目で、父と医師の方へ顔を向ける。
医師がにこりと笑って茉莉花に言った。
「通院の必要があるから、また一週間後にいらっしゃい」
言われたことが脳に届くまで時間がかかったが、理解した瞬間に茉莉花の表情が引きつった。
助けを請うように父を見上げる。
「また来週来ような」
父は自分を助けてはくれない。
そう悟って、茉莉花は嗚咽交じりに泣きじゃくった。
それから、毎週のように茉莉花はその医院へ連れて行かれる。
拒否すれば父から手酷い罰を与えられるので、逃げることも適わない。
「さあ茉莉花、お医者さんのところに行くぞ」
そして今日もまた、恐怖の宣告を受けるのだった。