「また、やられた!」  
扉に、『剥珍小五郎(むけちん・こごろう)探偵事務所』と書かれた  
マンションの一室で、冴えない中年男が新聞を見て、憤っている。  
「どうしたんですか?先生」  
その中年男が陣取るデスクへ、セーラー服姿も見目麗しい少女が  
お茶を持ちつつ、近づいた。ポニーテールをゆらゆらと揺らす姿が  
愛らしい美少女である。  
「ああ、克子ちゃんか。見たまえ、これを」  
先生と呼ばれた中年男──名を、剥珍小五郎といい、全裸探偵と  
いう何とも不謹慎な異名を持った四十半ばのやもめ男は、少女に  
向かって、新聞を広げて見せる。  
「また、出たんですか?珍盗モスキーちゃんが」  
克子と呼ばれた少女が新聞を覗き込むと、一面には  
『珍盗モスキーちゃん、再び現る』  
という見出しが躍っていた。そして、モスキーちゃんとやらが、さる  
大富豪の家屋敷へ忍び込み、盗みを働いたという記事も。  
「まったく、当局は何をやっているんだ。不甲斐ない」  
小五郎はそう言って、窓の外を見遣った。  
 
「なになに・・・モスキーちゃん、都内の大富豪、腹黒賄賂衛門氏宅へ  
忍び込み、うまい棒七百本と、よっちゃんイカ十トンを強奪。その上、  
手洗いにて派手な置き土産を放つと共に、排出した汚物の上に旗まで  
立てるという暴挙。当局はこれを許すまいと・・・」  
克子がよどみなく新聞の記事を読んでいた。ようするに、風変わりな  
泥棒が駄菓子を盗んで、トイレを拝借した・・・という事らしい。  
「恐ろしい奴だよ、モスキーちゃんという奴は」  
克子に背を向け、小五郎が呟いた。が、何故か小五郎は服を着ていない。  
全裸──厳密に言うと、全裸姿に長いネクタイを締めているので、辛うじて  
急所は隠されている。だが、その格好はギリギリセーフといった様相で、  
おおよそ、市井にまぎれる事が許されないスタイルであった。しかし、危険  
な姿の中年男を前にしても、少女はなんら怯む事無く、普通に振舞っている。  
そして、  
(ふふ、ごめんね、先生)  
ぺろりと舌を出し、にっこりと微笑んだのであった。  
 
世に名高い珍盗モスキーちゃん。その正体は、何を隠そうこの克子である。  
いきなりのネタバレに恐縮ではあるが、世上はおろか、もちろん小五郎とて  
それは知り得ていない。  
 
「先生、あたし、学校行ってくるね」  
「ああ、車に気をつけて」  
克子が学生カバンを持ち、小五郎へ登校の旨を告げ、マンションを出た。  
世は快晴、人いきれも普段と変わりない。それを見た時、克子は自分が  
ただの女子高生である事を実感する。そして、両親が事故で急逝し、天涯  
孤独となった自分を引き取ってくれた、小五郎の事を思うのだ。  
(先生の探偵魂を、もっと揺さぶってあげなきゃね)  
 
数年前、不慮の事故で両親を失った克子を支えたのは、全裸探偵剥珍  
小五郎、その人であった。克子の父と親交を持っていた小五郎が、彼女  
の後見人を名乗り出て、養育をすると宣言したのである。  
 
『克子ちゃん。よかったら、私と暮らさないかい?』  
両親と死に別れ、涙に暮れるばかりの克子へ、小五郎はそう言った。まだ  
幼かった克子にとって、その言葉にどれだけ心が励まされたか分からない。  
『うん』  
返事をしながら、差し出された小五郎の手を取った時の温もり。それを、少女  
は決して忘れない。  
「先生」  
見慣れた学校までの通い道。そこで、克子はそっと胸に手を当て、小五郎を  
思う。お願い、外へ出るときだけは、服を着てね──と。  
 
 
その晩、都内は大混乱に陥っていた。幹線道路を行き交う車は道を  
塞がれ、停滞を余儀なくされている。  
『検問中』  
辻々でそんな看板が立ち、警察官が大勢配置されていた。無線から  
は、モスキーちゃん現るの報が続々と寄せられている。  
「小五郎君を呼べ」  
検問を指揮する捜査課の只野春昌警部補が、全裸探偵の出番を乞う  
と、待ってましたのごとく、小五郎が颯爽と現れた。  
「私の出番のようですな」  
例によって、全裸にネクタイ姿という出で立ちで、居並ぶ警察官の間を  
掻き分けて来る小五郎。この時、警察官全員が、逮捕すべきはこの男  
ではないか──などと思う。  
「モスキーちゃんは、君を終生のライバルと思っているらしいな、ほら」  
只野警部補が、何やら紙切れを小五郎へ差し出した。そこには、こう  
書いてある。  
 
『全裸探偵剥珍小五郎さんに、挑戦します。見事、あたしを捕まえられ  
たら、悪さはもうやめます。モスキーちゃんより』  
 
「ふざけた話だ」  
珍盗から寄せられた挑戦状を握り潰し、小五郎が眉間に皺を寄せた。  
だが、この時も警察官たちは、ふざけてるのはお前だろう!と心の中で  
ツッコミを入れた。が、それはさて置く。  
 
(先生、格好いい!)  
検問所を見下ろせるビルの屋上から、モスキーちゃんこと克子が、  
小五郎の雄姿を見て、ひとり悦に入っていた。実はこの少女、全裸  
探偵に対して、生臭い恋心を持っている。  
(あたしのファーストキスとバージンは、先生の物よ、うふふ・・・)  
しかし、克子がいくらそう思っていても、小五郎は全裸という以外には、  
まこと尋常な精神しか持ちえず、引き取った少女を欲望の対象として  
見た事が一度もない。それ故に、克子は自分が大切にされている事  
を感謝し、また、恋焦がれるのだ。  
「さて、いきますか」  
闇にまぎれる黒装束。克子はそのスタイルを以って、珍盗モスキー  
ちゃんとなる。もっとも、下半身は全裸の小五郎になぞらえようと、超が  
つくほど短いフレアスカートに、Tバックを穿いている事を追記しておく。  
 
「あそこだ!モスキーちゃん発見!」  
ビルの合間を舞う人影を見た小五郎が、モスキーちゃんを見つけると  
同時に走り出す。途端、ネクタイがずれ、急所が丸出しとなったが、警察  
官たちは見て見ぬふり。いわゆる、超法規的措置というやつである。  
「ふふふ。こっちよ!」  
せめぎあうように建てられたビル郡を飛び移り、モスキーちゃんは  
宙を泳ぐ。この時、スカートの裾がひらりとめくれ、追跡する当局の  
方々の瞳を奪った。  
 
「ああ、Tバックだ!」  
「半ケツ萌え!」  
日頃、逮捕術などに明け暮れている為か、市井を守る当局の方々は、  
露呈されたモスキーちゃんの下半身を見て、前のめる。のめったはいい  
が、先頭を行っていた人間が、足元を取られてしまった。  
「わあ!」  
「こ、転ぶなよ!」  
まるで、絵に描いたように当局の皆さんは転び、追跡を諦めざる得なく  
なった。しかし、全裸探偵は少しも気を取られていない。  
「逃がさんぞ、モスキーちゃん!」  
まさに一閃──ひらつくネクタイを物ともせず、急所を丸出しにしたまま、  
転んだ人たちの頭上を飛ぶ小五郎。  
「ぐはあ!タマキンもろ見え!」  
「萎え萎えだ!」  
歓喜から絶望へ。当局の皆さんは、麗しき少女の下半身を見た後に、  
しわがれた中年男の裏玉を視界に捉える羽目となった。先の喜びが  
大きかったために、後の悲劇のダメージが大きい。そのせいあって、  
当局の皆さんはすべからく悶絶。そうして、モスキーちゃんを追うのは、  
全裸探偵剥珍小五郎、ただ一人となった。  
 
「はあ、はあ・・・どこだ、モスキーちゃん」  
ビル街を抜け、人気のない公園まで来た時、小五郎は珍盗の姿を  
見失う。だが、かすかに人の気配がある事に気がついた。  
(身を潜めている──)  
それと知り、小五郎が身構える。何せ、相手は世間を騒がせている  
珍盗。隙を見て、襲って来ないとも限らない。全裸ではあるが、この  
小五郎、武芸の心得もある。  
 
(先生、格好いい!しびれる〜)  
公園にある芝生に伏せながら、モスキーちゃんこと克子が、小五郎  
を見てにやついていた。時折、風がネクタイを掬って股間をちらつか  
せる所が、少女にとってはツボのよう。  
(先生のアレって、カワイイ!)  
しわがれた中年男の一物を見て、狂喜するのは日本広しと言えども、  
この少女一人であろう。克子は、小五郎の股間をまじまじと見つめ、  
心ゆくまで視姦しようと目論んでいた。しかし──  
「出て来い、モスキーちゃん。そして、盗んだ物を返し、自首しろ!」  
小五郎が叫んだ。顔が克子の方へ向いている。武芸の心得がある  
為か、おおよそながら潜んでいる場所を探り当てているようだ。  
 
「もっと見ていたいけど、ここらが潮時か」  
克子がゆっくりと芝生を這い出す。今宵の珍盗モスキーちゃんは、ここで  
姿を消すべきだ。そう思っている。今日、克子は資産家の家から、プレミア  
がついた美少女フィギュアを一体と、同じくプレミアのついた同人誌を五十冊  
ほど盗み、まんまと逃走を果たしていた。目的を遂げれば、長居は無用の身  
である筈なのに、何故か珍盗モスキーちゃんは逃げようとはしない。  
「さあて」  
克子が小五郎の背後に回った。音も無く、まるで地を滑る如く。  
 
(・・・背後に回ったか)  
珍盗が背後にいる。それを知った小五郎は、背中に神経を集中させた。賊は  
逃げようとはしていない。そうなれば、真っ向勝負に出てくると考えていい。  
(後の先を取る。全ては、それで決まる)  
小五郎が敵の足音を聞いた。来る!そう思った瞬間、全裸探偵は歩法を以って、  
一息の間に振り向いた。が、しかし──  
「先生、何やってるの?」  
そう言って芝生の影から現れたのは、小五郎も知る克子の姿。珍盗モスキー  
ちゃんから、当たり前の女子高生に変貌した、克子であった。  
「あれ?克子ちゃん?」  
小五郎から緊張が解けていく。すわ、賊め!と勇んだ先には、何と自分と同居  
している少女がいたのである。  
 
「怪しい奴を見なかったか?」  
小五郎が問うと、  
「先生以外は」  
克子はにこやかに答えた。なるほど、この場において一番怪しいのは、  
誰を差し置いてもこの全裸姿の中年男以外には見当たらない。  
「逃がしたか」  
小五郎が天を仰ぐ。してやられたと、敗北を認めたのだ。すると、克子が  
何やら指を差し、  
「先生、あれ・・・何かしら?」  
芝生の隅に、わざとらしく置いてある美少女フィギュアと、五十冊の同人  
誌を発見した。言うまでもなく、彼女が置いた盗品である。  
「これは・・・」  
小五郎が盗まれた物を手に取った。そこへ、当局の皆さんが駆けつけて  
くる。  
「小五郎君、モスキーちゃんは?おお、それは、被害にあった品々では!  
取り返してくれたのかね、さすがだ!」  
只野警部補が全裸探偵をうやうやしく見た。彼は、小五郎が珍盗から盗品を  
取り返したと思っているらしい。そこへ、  
「さすがね、先生」  
ぽん、と克子が小五郎の肩を叩いた。こうして、珍盗は取り逃がしたものの、  
盗品を持ち主の元へ返す事が出来た全裸探偵剥珍小五郎は、面目を立た  
せ、その名を世へ知らしめる運びとなったのである・・・・・  
 
 
その日の遅く、剥珍小五郎は事務所兼住居の自室で、泥のように  
眠っていた。珍盗との対決でよほど疲労したのか、高いびきをかい  
ている。  
「先生・・・起きてます?」  
小五郎の自室へ、こっそりと克子が入って来た。彼女は、安眠を  
邪魔しないようにと慮ってか、静かに小五郎の傍へ寄り添う。そして、  
「ご苦労様、先生」  
まだ誰にも捧げていないバージンリップを、この冴えない中年男の  
頬へ寄せていった。しかも、克子は全裸姿である。  
「みんな、先生にすごく感謝してたね。只野警部補も恐縮しきりって  
感じで・・・格好よかった・・・先生」  
穢れを知らない少女は、爆睡している小五郎の股間へ手を伸ばした。  
おあつらえむきと言っていいのか、そこには剥き出しの男根がある。  
「先生のおちんちんだぁ・・・ふふっ、カワイイ」  
そう言って、目を細めた克子は男根を手に取った。取り、異臭を放っ  
ていそうな、中年男のしわがれた雁首へ、そっと舌を這わせてみる。  
「うわあ、しょっぱい!先生、お風呂入らなかったんだ。もう、普段から  
あれほどお風呂には毎日入ってね・・・って言ってるのに・・・」  
小五郎の鈴口が、あまりにも塩が効いているので克子は眉をしかめる。  
だが、意外にも嫌そうな顔は見せていない。  
 
「ふうッ・・・ふうッ・・」  
更に夜が深まった頃、克子は息を荒げ、小五郎の尻の割れ目へ唇を  
這わせ、見るも汚らしい菊門を吸っていた。風采の上がらない、中年男  
の尻穴を──である。  
「はあッ・・・ああ、先生」  
右手で男根を掲げ、左手で玉袋を持ち、尻穴を吸う。克子は無垢ながら、  
捧げられる全てをこの中年男に奪って貰いたいと願っていた。しかし、  
男は全裸である以外は、愚直なまでに誠実──  
「先生にだったら、何されてもいいのに」  
眠る小五郎の玉袋へ食らいつき、甘く噛む。それに飽きれば、今度は男根  
を根元まで頬張る・・・克子はこうやって、自分の情欲のほむらを鎮める事  
を、日常の中に組み込ませていた。人一倍寝つきの良い小五郎の隙に  
乗じ、口唇愛撫に耽る。それは、世話になっている恩を少しでも返せれば  
という、克子なりの礼でもあった。  
「先生のおちんちんで・・・バックからハメられたいな・・はあ・・・」  
処女なのに──否、処女ゆえに、妄想に歯止めが効かない。克子は、小五  
郎との淫らな振る舞いを思い、自らの女を慰める。中年男の男根をねぶり、  
荒々しく犯される自分の姿を脳内に巡らせ、妖しい指使いに酔うのだ。  
 
「先生のこれで・・・あたしを奪って・・」  
自分で剥いたクリトリスに小五郎の男根をあてがうと、もう克子はたまら  
ない。鈴口で敏感な肉真珠を擦ると、天にも昇るような気分になるのだ。  
「アウッ!あ、ああん・・・」  
しわがれた男根も少女の手遊びに感応し、今やがっしりと力を漲らせて  
いる。弾力に富み、勢いを持つ男根──それに、克子は何度またがろうと  
したか覚えていない。何故ならば、男根を見る度に、これを自分の女へ  
迎え入れたいという衝動に駆られるからだ。  
(入れたい!先生の、おちんちんを!)  
今までにも、幾度か女穴の入り口まで男根を導き、腰を落としてしまおうかと  
考えた事はある。だが、克美は何とか思いとどまってきた。純潔を奪っては  
貰いたいが、それはあくまでも小五郎の意思により、果たしたい。  
「ぐおーッ・・・ぐう、ぐう・・・」  
今、そうやって寝息を立てている小五郎の男根を迎えても、意味は無い。  
たとえ、男根を拝借しても、意思が無ければそれは只の張型と化す。克子は、  
バイブレーターに処女を捧げたい訳ではないのだ。  
 
「おっぱいでしごいてあげるね、先生・・・」  
克子は、自ら両の乳房を寄せ、男であれば誰もが敬う谷間を作った。  
そこへ、小五郎の男根を迎え、楽しませて差し上げるつもりなのだ。  
「ああ、おちんちんって・・・臭い・・・でも、大好き・・」  
乳房の間に出来た谷間へ男根をいざなった後、克子は男根を咥え込  
み、唇をすぼめる。そして、頭を上下させ、捧げられるだけの愛を口唇  
愛撫によって、紡いでいった。  
(先生・・・愛してる)  
中年男の男根からしたたる男液。それと、鼻を抜けていく性臭──その  
全てが、克子には愛しい。だから、生臭い粘液を舌でこそぎ取り、呑む  
事が嬉しくて仕方がなかった。まるで、甘露を味わう獣の如く、この少女  
は男根へ仕える。いや、仕えずにはいられなかった。  
(大きくなってきた!凄い!)  
男根の雁首が膨らみ、絶頂の兆しを見せる。すると、克子は待ってました  
とばかりに上下させている頭の動きを止め、舌だけの愛撫に切り替えた。  
(早く、早く出して、先生!)  
手で男根の根元を絞り、克子は小五郎の絶頂を待っている。精液を飲む、  
そんな意思が見て取られるような淫靡な顔つきで、克子は懸命に男根を  
しごいていった。  
 
(んむッ!き、きた!)  
男液の第一波を、舌で受け止める克子。苦味をいち早く感じ、放精が  
無事果たされた事に狂気する。  
(うわあ・・・ねばっこい・・・先生、オナニーとかしないのかな・・・?)  
口にした精液は、中年男の物にしては粘りがあり、また量も多い──  
克子はそんな事を思いながらも、おごそかに小五郎の男根から放たれる  
苦い液を、粛々と飲んでいった。  
 
「後始末、後始末・・・と」  
放精を終え、しなだれかかった男根を克美は舐めていた。小五郎は相変わ  
らず高いびきだったが、どこか満ち足りたような顔をしている。いい夢を見て  
いるようだ。  
「ごちそうさまでした。先生、美味しかったよ。ありがとう」  
名残汁まですべて舌でこそぎ取り、克子はぺこっと頭を下げた。ご丁寧に、  
精液をご馳走してくださってありがとうございましたと、礼まで述べている。  
「いい夢見てね・・・先生」  
チュッと小五郎の寝顔におやすみの口付けを捧げた後、克子は名残惜しげ  
に部屋を出た。窓を見れば、暁が空を染めており、夜明けが近い事を知らせ  
ている。それを見て、克子は小さく呟いた。  
「これからも、内助の功・・・頑張らなくっちゃ!」  
 
 
翌朝の新聞は、克子が真っ先に取った。無論、お目当ては一面に乗って  
いるであろう、小五郎の活躍。  
「あった!全裸探偵、剥珍小五郎、賊より盗品を取り戻す!うわあ、先生、  
格好いい!」  
克子の予想通り、一面は小五郎の御姿が紙面を飾っていた。取り戻した  
盗品を持ち主に返し、感謝されている場面である。が、しかし、全裸ゆえ、  
股間の辺りにはモザイク処理が施されていた。  
「スクラップしなくっちゃ!」  
へへっと頬を緩め、新聞をいそいそと丸める克子に、昨晩の珍盗モスキー  
ちゃんの姿は感じられない。あれは、すべて小五郎に活躍して貰いたいが  
ための行為なのだ。別段、盗みが楽しい訳ではない──と、克子はここまで  
考えた後、ちょっとだけ反駁してみる。それは、自問自答という感じで。  
(盗みが楽しい訳じゃないけど、盗まなければならない物が、一つだけある)  
えへへ・・・と、克美がまた頬を緩める。そして、  
「先生のハートを盗まなきゃ・・・ね!」  
そう言って、今だ眠っている小五郎の元へ、元気いっぱいに駆け出して  
行った。  
 
おしまい  
 

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