「おい!キンパツがきてんぞ!」  
「うつるからアッチ行けよなー」  
「あはは!」  
 
 
幼い頃、ワタシは虐められていた。  
 
7歳の時に、ワタシの家族はパパの仕事の関係で日本に引っ越してきた。  
パパが日本人で、家の中では日本語を使っていたので話す分には問題無かった。ママも日本がどんな所か  
興味があったみたいで乗り気だったようだ。3月の内にこちらに全て荷物を移し、4月から日本の小学校の  
2年生として登校する事になった。  
 
2年間で1区切りとするこの学校は、クラス替えをする事無く1年生のメンバーそのままになっていた。  
1年間で仲の良いグループが確立されており、クラスの中にワタシの居場所は無かった。  
当時のワタシは大人しく内気で、自分の意見を出せないのにも問題があったのだろう。  
 
集団は異端を嫌う。巨大な組織も30人程度の学級もそれは同じ事だった。ママ譲りの金の髪に、ほんの少し  
色白い肌。見た目が違うという単純明快な理由で、ほどなくワタシはイジメの対象となった。  
1週間しか経っていないが、男子からの嫌がらせと女子からの無視は、弱いワタシを「死にたい」と思わせる  
には十分だった。  
 
 
(…学校、休みたい…)  
 
ママに玄関まで見送られ、仕方なく学校までの道をトボトボ歩く。引っ越して1ヶ月弱のワタシには、この街で  
逃げ込む場所に見当がつかない。結局学校にしか行けないのだ。  
 
(なんでママがイタリア人なの?なんで日本に引っ越したの?なんでパパと結婚したの?なんで…)  
 
嫌な考えが次々と浮かび、ワタシはそれを払うように首を振った。  
 
 
どれだけ遅く歩こうとも、目的地が動かない限り辿り着いてしまう。この廊下を進めば自分のクラスだ。  
 
(やだなぁ…)  
などと考えていると、  
 
「おれはそーゆーのが大っっキライなんだよっ!!!」  
 
遠くからでは分からなかったが、どうも教室の方が騒がしい。廊下に人だかりができており、中を見物していた。  
自分も遠目から覗くと、どうやら男子達がケンカをしているようだった。  
と言っても、片方は4、5人でもう片方は1人だったが。  
多人数に殴られながらも怯む事無く抵抗していた。  
 
(…あっちはいつもワタシにいやがらせする人たち。こっちは…?)  
 
確かクラスメイトの1人だと思うが、名前が出てこない。印象といえば、いつも怒ったように攣り上がっている  
眉毛だろうか。話したことはなかったハズだ。  
 
「いいカッコすんなよなー!」  
「こいつキンパツが好きなんだぜ!」  
「げー」  
 
囃し立てられている間にも、手近にいた男子を殴り飛ばす彼。  
 
よく分からないがワタシが関係しているらしい。  
殴られてヒートアップした彼らは、また攻撃を再開した。が、すぐこの後に先生がやってきて事態は治まった。  
 
1限目を使い、先生はケンカの理由を聞いてきた。  
彼――拓也くんの言うには、今日の体育の時間にワタシの洋服を隠すため、その手伝いをしろと言われて  
断ったからケンカになったのだそうだ。ワタシを虐めていた連中はそれに反論した。「ウソだ!」「拓也が  
先になぐったんだ!」と。  
先生はどちらの言い分も信じなければならない、と体のいい言い訳をし、その場を収束させる。  
 
 
その日からワタシだけでなく、拓也くんもイジメにあうようになった。  
 
 
夕陽が差し込む教室で、鉛筆の音だけが響いている。  
ワタシと拓也くんは向かい合わせに座り、お互いの顔を画用紙に描いていた。  
会話がなく気まずい雰囲気が漂う。  
何故こうなったのか?思い出そうとすると、また涙が出そうになる。  
 
 
今日の図工の時間は友達の顔を描く、というものだった。  
けれどもワタシ達は仲間外れにあい、必然的に2人でペアを組むこととなった。  
と言っても最近は似たような場面が多い。2人の間に会話は無く多少の息苦しさはあるものの、そんなに  
イヤではなかった。  
 
(どうしよう…)  
顔を描こうとすると、どうしても怒り顔になってしまう。今まで彼が笑ったところを見た事がないからだ。  
(イヤだよね、やっぱり…)  
輪郭は出来上がるが、どうしても顔が描けない。次の時間までに下描きを終わらせなければいけないのに…。  
そうこうしている内にチャイムが鳴ってしまった。  
 
 
ワタシ達のいる班は体育館前の掃除当番になっていたが、他の人達はサボって現れなかった。拓也くんは  
「来れないならちゃんと言えよな」と愚痴を溢していたが、素早く掃除を始めた。慌ててワタシも手伝い、  
いつもより早く掃除は終わった。  
 
教室に戻ると、前にいた拓也くんが足を停める。  
「どうしたの…?」  
不安になり尋ねる。視線がやや下の方に向いていたので、後ろから覗き込むようにその先を追った。  
 
そこにあったのはバラバラに破かれた画用紙だった。ワタシと拓也くんの。  
 
「うっ…うう…」  
悲しみで涙が滲み、力が入らず膝が折れる。  
(…もうやだよぉ)  
なんでワタシ達ばかり。いや自分はまだいい。でも拓也くんは…  
「泉さん帰ってから何かある?」  
唐突に振り向いた拓也くんはそんな事を訊いてきた。  
弱々しく首を横に振ると  
「下描きしていこう。これじゃ次の時間にまにあわないよ」  
 
やっぱり顔の部分で止まってしまう。向こうは描けているのだろうか?少し気になったが、この体勢では  
確認のしようがない。  
手が動かないと、次第に頭を厭な考えがもたげてくる。  
 
「…どうしてあの人たち、こんなことするんだろう…」  
とにかく誰かに聞いて貰いたかった。自分の暗い感情を吐き出し、受け止めてほしかった。同じ境遇にいる  
彼なら賛同してくれるだろうと思った。が、  
 
「泉さんはあいつらがしているところを見たの?」  
 
返ってきたのは予想外な答えだった。  
 
「見てないのにきめつけたらダメだよ」  
 
自分勝手な考えだが、味方だと思っていた。その彼に拒絶され、世界が終わったような感覚に襲われる。  
彼の表情と合わさって、まるで怒られているようだ。  
怒られ…?そうだ。怒っているのではないか?彼は巻き込まれたのだ。弱いワタシが引き摺り込んだ。  
彼は全く屈しなかったが、そもそもワタシがいなければこんな目にあっていない。  
 
「………ごめ…ん…なさい」  
「あ!ゴメン、そんなつもりで言ったんじゃなくて」  
慌てて弁解しようとする彼を遮る。  
「ち、違うの…。ううん、それもあるんだけど…。ワタシのせいで拓也くんもイジメにあわせちゃって……」  
本当はもっと早く言わなければいけなかったのに…。後悔や情けなさで胸が痛む。  
「いいよ。それはアイツらの方が悪いんだし」  
強く否定してくれる事にほんの少し安堵する。…最低だワタシ。  
 
でも分からないことがある。何故彼は…  
「……なんであの人たちとケンカしたの?」  
 
楽しい事をしていれば笑っていられる筈だ。けれどもこの1週間、ワタシは彼の笑い顔を見た事が無かった。  
それはやっぱり辛いからじゃないのか。現にワタシは最近笑った記憶が無い。  
イジメに加わらないまでも、無視していれば今よりもずっと楽だったろうに…。  
言い難いことなのか、彼は黙ったままだった。  
 
 
意を決したのだろう、ゆっくりと口を開く。  
 
「義を見てせざるは勇無きなり」  
 
「…ぎをみて…え…?」  
難しい言葉だ。一体何なのだろうか?  
 
「『悪いことしてるのを見すごすのは弱虫のやることだ』ってイミなんだって。父さんにいつも言われてんだ」  
 
そんな…そんな理由なのか?そんな理由で、毎日頬を腫れ上がらせたり引っ掻き傷を負ったりしているのか?  
あんなに大勢とケンカしても平気でいられるのか?  
 
「でっ、でもっ!あの中に友達だっていたんじゃ…!」  
1年間学校に通っていたのだ。いない方が不思議だ。  
「あんなことして笑ってるヤツラなんか、友達じゃないよ」  
口をへの字に曲げ答える彼。  
さらに反論しようとするワタシを制し、こう続けた。  
「それに友達ならいるし」  
 
…やっぱりそうか。学校で他の誰かと話しているところを見た事はない。ならば学校の外か。結局1人なのは  
自分だけ。ジワリと黒い感情が噴出す。  
………なんでこんなことしか考えられないんだろう。自分自身に吐き気がする。  
 
「友達なら泉さんがいるからいいよ」  
 
…………………え?  
言葉を頭が理解出来ない。今なんと言われたのか?ワタシが……どうして?  
 
「や、やっぱりイヤだった?ごめっ、その泣かせるつもりじゃ…!」  
 
指摘されて気付く。頬に冷たい感触。涙が頬を伝っていた。  
 
「うう……!ひっ…えぐっ……!」  
1度認識してしまうと止まらなかった。決壊した涙腺は次々と涙を外へと押しやる。  
 
「お、おれがかってに思ってるだけだからっ…!」  
嗚咽で上手く喋れない。慌てふためく彼に伝える為、ブルブルと首を振る。  
唯々嬉しかった。迷惑ばかりかけていたワタシを友達だと言ってくれた。  
 
「えっと、じゃあ友達になって下さい」  
ちゃんと言わなかったのを無礼だと思ったのだろうか、目の前に手を差し出してくる。比喩ではなく、暗い  
どん底に蹲っているワタシに差し出された、救いの手だと感じた。それに応えるべく、今まで俯いていた  
顔を上げる。  
 
 
握った手の先。彼の顔は――眉がまだ少し上がったままで、照れているのか頬は薄く赤らんで、にこり  
というよりはニカッといった感じだったが――笑っていた。  
 
 
それから色んな事を教えてもらった。  
両親が昔不良で、よく見た目で勘違いされたり濡れ衣を着せられたりしていた為、証拠も無しに人を疑うな  
と言われていた事。  
自分が生まれると分かってから、猛勉強をして警察官になった父を尊敬している事。  
……あまり女の子と話したことが無かったので、顔が強張って怒っているように見えていた事、等々。  
 
出来上がった画は、お世辞にも上手いとはいえない代物。  
それを見た彼が「おれこんなに笑ってるかなぁ…」と呟いたのが、何故かとても可笑しかった。  
 
 
 
強くなると決めた。  
こんなワタシに友達になろうと言ってくれた。  
友達ということは同じ立ち位置、対等の立場ということだ。  
弱い今のワタシでは、強い彼とは到底つり合わない。  
優しい彼は「そんなことない」と言うのだろう。けれどワタシはそうは思えない。  
だから、いつかきっと彼と同じ目線で話が出来るように――――。  
 
 
 
 
はいっ!回想しゅーりょー!  
 
くわっ!と目を開き、足を天井に向けて上げ、下ろす反動を使ってベッドから飛び起きる。  
凹んだ時はいつもこの場面を思い出す。戒めと目標の再確認。それからエネルギーの補給も少々。はあ〜、  
拓也カッコええわぁー。じゅるり。  
…いけない。またトリップしている場合ではない。  
 
あれから拓也と同じ道場に通い、確かに肉体的には強くなった。だんだん自分の意見も出せるようになった  
と思う。ママが言うには「口が悪くなっただけなんじゃない?」だそうだ。はは、超余計なお世話。  
 
だけど。だけど!一番伝えたい思いを、一番伝えたい人に、全く伝えていないという事態!  
昨日の『プロジェクト・ラブレター』は、諸々の事情により失敗に終わった。  
そもそも、渡されたラブレターを目の前で破り捨てているワタシが、誰かにラブレターを渡したとして相手が  
納得するだろうか?  
否!断じて否!つまりこれは、初めから失敗する運命だったのだ!  
…ポジティブシンキングって大事。うん。  
 
やはり直接伝えるのが一番だろう。面と向かって告白するのだ。…す、すすすっ、す…まぁアレだ。  
……ええい!頭のなかでも言えないんか、ワタシはっ!  
 
か、顔が見えるのが駄目なら電話で…!いや、それならメール……待て待て。また後ろ向きに前進してる。  
これは奥の手も用意しておいた方がいいかもしれない。  
寝巻き代わりにしていたタンクトップとホットパンツを脱ぎ、姿見の前に立つ。  
流れるような金砂の髪。鍛錬により程好い肉付きと適度に締まった身体。イタリア人の血が成せる業なのか、  
標準以上に育ちつつ、ツンと上を向く張りのある乳房。自分で言うのもなんだがかなりの良プロポーション  
のハズだ。  
お尻はもう少し小さくなってもらいたいところだが……。むに。  
ライトグリーンの下着を取り出し身に着ける。ちょっぴりレースの入った、地味過ぎず派手過ぎずの一品。  
最終的にはこの身体で色仕掛けを使ってでもっ……!  
 
…ハッ!告白できないヘタレが、色仕掛けなんてできるかっつーの。  
……………………ポジティブシンキーーン!!  
 
 
一人コントに見切りをつけ、さっさと学校へと向かう。  
 
告白するならやっぱり2人きりで。場所は?時間はどうする?昼休み?放課後?  
机に座っても授業内容そっちのけで考えていた。そうこうしている内に昼休みとなり、アッサリと第1の  
チャンスを見逃す。  
 
(悩んでちゃ駄目よね。倒れるにしても前のめりじゃなきゃ)  
玉砕するつもりは毛頭ないが。  
 
「……ずみ、泉!」  
大声で現実に呼び戻される。  
「あ、何?拓也」  
「何って、どうしたんだよ今日は。ボーっとしたままでさ」  
見ると、拓也は既にご飯を食べ終わっており、暇を持て余しているようだった。ワタシのお弁当にはまだ  
半分残っている。  
言わなきゃ。こうなったら放課後だ。場所は?…教室にしよう。「放課後、教室で待っててくれる?」よし。  
この玉子焼きを食べたら…。  
こ、この唐揚げを食べたら……。  
ごっ、ご飯を食べ……………終わっちゃったよ。  
びびるな!いけ!  
「…ほ」  
「今日なんか用事あるか?」  
「別にないけど」  
 
ワタシの馬鹿野郎!!  
パブロフの犬かワタシは!拓也の言う事なら何でもきくのか!きくけど。  
 
「ならさ、掃除が終わったら教室で待っててくれよ」  
「うん。あ、でもなんなの?」  
「あー、ちょっとな。その時に言うから」  
…珍しい。即断即決の拓也が言いよどむとはまたレアな。  
 
好機。結果オーライだ。…結局拓也の手を借りてしまう形になってしまい、心が痛む。  
ならばこそ、この機会を活かすんだ。拓也にワタシの想いを伝える!  
 
教室の掃除も終わり、残っているのはワタシ1人。太陽が西に傾き赤が差し込んでいる。  
今朝の事もあるのか感傷的な気分にさせる。  
(あの時は拓也からだった。だから今度はワタシの方から言うんだ…!)  
 
もうすぐ拓也も来るだろう。掃除は週番制で、今日も音楽室の掃除のハズだ。相方の女子は先に帰って来た。  
拓也は職員室に鍵を戻しにいっているらしい。  
まだ残ってたんだと聞かれ、拓也を待ってると言うと「頑張ってね」と返ってきた。  
………バレバレじゃん。  
 
すー、はー。  
昨日と同じ様に大きく呼吸し、心を落ち着ける。平常心。平常心だ。  
 
タッタッとこちらに近付く足音。それに合わせて、規則正しかった心音も徐々に速くなってゆく。  
ガラッ  
「悪い、待たせちゃったな」  
 
………きた!  
 
「ううん。大して待ってないよ」  
まるでデートの待ち合わせをするカップルみたいな会話。  
デートとかゆって〜〜、てれりこてれりこ。…そんな関係になるかどうかは、この一戦に懸かっている。  
絶対に負けられない。  
っと、拓也の方から話があるんだっけ。何だろ?  
 
「えっと…、その…あ〜、なんだ」  
言い難い事なのか、俯き後頭部を掻きながら言葉を探している彼。  
うーん、もうちょっと見ていたい気もする。が、ワタシに言い難い事とは一体何なのか?  
はっ。まさか報復?……十分あり得る。昨日の事は言うに及ばず、これまでに何度も拓也を殴ってきている。  
照れ隠しの結果なのだが、殴られた拓也はそれで納得できるハズがない。  
お仕置きされるのだろうか。………………トキメク響きだ。  
 
 
バチィッ!!  
 
突然の快音に、桃色の妄想がかき消される。見ると拓也が自分の頬を張っていた。  
よし、と小さな声が聞こえ、真っ直ぐな視線をコチラに向ける。  
射抜かれるとはこういう事か。ワタシは拓也に見つめられ金縛りにあう。体温も上昇しているのか体が熱い。  
8ビートを刻む心臓がうるさい。聴こえないよね?  
 
拓也の口が、ゆっくりと開いていく。  
 
「ずっと好きでした。俺と付き合ってください」  
 
…………………え?  
言葉を頭が理解出来ない。今なんと言われたのか?ワタシが……どうして?  
 
「あっ!や、やっぱイヤか?泣かせるつもりじゃ…!」  
 
指摘されて気付く。頬に冷たい感触。涙が頬を伝っていた。  
 
 
同じだ。あの時と。結局ワタシは強くなってなどいなかった。前に進んだ気になって、力一杯その場で  
足踏みをしていただけ。愚図で弱虫のまま何も変わっちゃいない。  
あの時は嬉しさだったが、今は情けなさで涙が止まらない。  
 
「…ゴメンな」  
「…ちがっ、ひくっ……ちが…ぅの…!」  
すまなそうに謝る拓也に、違うのだということを懸命に告げようとした。  
ぽすっ  
と、拓也に抱きしめられる。そのまま何も言わずに頭を撫でてくれた。  
 
「うわああーーーーー!!!」  
何かにしがみついていないと立っていられない程不安定だったワタシは、拓也の胸を借りて泣き続けた。  
 
 
暫くして、自分の胸のうちを全て吐露した。  
 
友達だと言ってくれて嬉しかった事。  
強くなって、拓也と同じ目線で話せるようになりたかった事。  
……あの日からずっと好きだった事。  
 
ワタシから告白して強くなった証拠が欲しかったのだ、と言ったら、  
 
「よかったよ」  
「…何が?」  
「こういうのは男の方から言いたいじゃんか」  
 
見上げた先には、あの顔で笑う拓也がいた。  
…そーゆーの反則だって。  
 
「あんま無理すんなよ」  
「え?」  
「泉が頑張ってきたのは、ちゃんと知ってるから」  
優しく力を込められ、また少し泣いた。拓也の言葉はすんなりと心に響くから不思議だ。  
 
でもこれだけは言わなくちゃ。絶対に有耶無耶にはできない。  
拓也から1歩分距離をとる。暖かな感触から離れ強烈な喪失感が襲う。残念がるな。応えるのがワタシの  
義務だ。拓也の方へ手を伸ばし言う。  
 
「…こんなワタシでよかったら、喜んで」  
 
―――ちゃんと笑えていただろうか?  
 
 
それから後はありきたりなお話。熱烈で濃厚なちゅ、ちゅーをして。手を繋いで一緒に帰って。別れ道で  
離れたくないと言って。…………その先はトップシークレットだ。聞きたいならワタシを倒してからにしろ。  
 
 

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