「いただきます」
大勢で食べる食事というのは楽しい、しかし俺の場合少しばかり意味が違う。
目の前には七人のメイド、しかしテーブルの前に座り食事をしようとしてるのは俺だけ。
主人とメイドの関係とはいえ少し寂しい。
「今晩の夕食は私が作ったのよ、きちんと噛んで食べなさい」
「はいはい」
「返事は一回」
「はーい」
「こ・・の」
メイドの中で秋深は唯一敬語を話さない、歳は同じなので俺は気にしないが
雪乃はあまり快く思っていない、まぁあくまでメイド長として、だけど。
「それより〜、雪乃さんからご主人さまの臭いがしまうよぉ」
「・・うん、優様の夜の香り」
「いいじゃないの、優介君と二人きりになってすることは一つ、でしょ雪乃ちゃん?」
俺が食事中というのも気にしないのかとんでもない話をしだすメイド達。
「本番はしてません」
それをクールに返す雪乃、つか返答間違ってません?
「ずる〜い、あたしだってご主人さまとしたいのに〜!」
「あらあら、いけませんよ紅葉さん、優介様はお食事中なんですから」
さすが春菜、というかメイドって私語いいのだろうか?まぁ俺が主人だからいいか。
秋深の得意ジャンルは洋食、出てきたのは本格的なデミグラスソースハン
バーグ、後はライスとサラダに特製ドリンク、これがうまい。
「秋深のハンバーグはやっぱうまいなぁ」
「そ、そう?優介がハンバーグ好きっていうから、その・・し・・・い・・」
「ん、なに?」
「な、なんでもないわよ!!それより食べ物を口に入れて喋らないの!」
秋深にはいつもよく分からない理由で怒鳴られる、俺って空気読めないタイプなのだろうか。
「なぁテレビ見ていいか?」
リビング、と呼ぶべきかは知らんがここにも一応テレビはある、しかし
秋深がいる時は見せてもらえない。
「ダメよ、食事中にテレビなんて、食べ終わったら部屋に戻るんだから我慢しなさい」
そういう部分に関しては秋深の発言に分があるのか他のメイドは助けてくれない。
「あら、頬っぺにご飯粒が」
「うぉっ、は、春菜!?」
指で取るかと思ったが(まぁ指でも恥ずかしいけど)口で取られた、これだから
メイド達は全員侮れない。
「おいしい」
「ずる〜い、あたしも〜」
「私も・・優様もご飯粒・・・欲しい」
「ちょっと春菜!はしたないわよ!」
「やめなさい、ご主人様が困ってますよ!」
う〜ん、カオス。
「ごちそうさま」
「はい、お粗末様でした」
夕食も終わり、秋深は食器を片付けるために出ていった、問題はこれからだ。
「さぁ〜て、明日も早いし寝るk「「「「「「(・・・)ダメ(です)(よ)(〜)」」」」」」
六つの却下が降り掛かる、うう、みたいテレビあるのに。
「さっきした雪乃ちゃんは外すとして・・」
「待ってください!私だって口でしただけです」
「一回は一回だよっ!」
「夏希の言う通り雪乃さんだけ特別なんてダメ〜」
俺を無視して誰が俺の相手をするか勝手に話が進む。
「私・・ずっと優様と触れ合ってない」
「私もねぇ、ご・無・沙・汰、よ」
段々と近づいてくるメイド達、なんか怖い、おしっこ行きたい、それに
なんか今日はいつまより求め方が積極的すぎる、何なんだ一体。
「ダメですよ皆さん、優介様が困ってるじゃないですか」
「は、春菜」
「今夜の相手は私達だけで決めて、優介様には先に部屋に戻ってもらいましょう」
春菜の笑顔にみんなも仕方ないといった感じで静まる、すごいぞ春菜。
廊下に出ると部屋から紅葉の声が聞こえる。
「よ〜し、じゃあ恒例のババ抜き大会いくよ〜!」
そんなんで俺の相手決めてたの!?
トイレに寄っていそいそと自分の部屋に戻る。
「は、春菜!?」
「失礼しています、優介様」
せっかく一人になれると思ったが部屋にはなぜか春菜がいた、いや。
「今日の相手って春菜?」
順当に考えればそうなるだろう。
「いえ、私はシーツの代えを」
そう言いながら春菜はテキパキとベッドメイクを済ませていく。
「では」
「あっ、春菜」
「はい?」
なぜか引き留めてしまったのだろうか、自分でもよく分からない。
「み、耳掃除してくれない?」
「喜んで」
適当な理由を付けたが春菜は笑顔で返事をしてくれた。
春菜の膝枕はとても心地よい、春菜独特の母性とでもいうのだろうか。
「はい、終わりましたよ」
「んっ、ありがと」
そのままの体制でテレビを付ける、無言で春菜に「居ろ」と言っているのだ。
「あいつら遅いな」
「はい、ババ抜き大会ですからかなり時間が掛かると思います」
「ふ〜ん」
なぜだろうか、さっきから胸が高鳴って止まらない、春菜がいるからだろうか。
しかし今までこんなことはなかった、何なんだ、あぁ体が熱い。
「んっ、はぁっ・・優介様・・」
あれ、俺は何を・・・?。
次回「恐怖、二つの核弾頭」にご期待ください、イー