最近調子が悪い、理由は分かっているのだが解決策がないのだ。
若いから大丈夫だろうと高をくくったのが間違いだった、そもそも相手だって若いのだから。
「失礼します」
小気味良い音に返事をすると一人の少女が現れた。
「雪乃か」
「お約束の時間です」
雪乃は目を光らせて俺を見つめている、これからすることが楽しみで仕方ないのだろう。
「やっぱりするの?」
恐る恐る聞いてみると雪乃はいつもの冷静な態度、しかし一瞬殺気出したかと思えば
少し悲しそうな顔をした。
「私では満足できませんか?」
「いや、そういうわけじゃ・・・」
雪乃は素晴らしい、整ったな顔立ちにクールな表情、長い黒髪を後ろで縛り
鋭さを秘めた目にそれを守るかのような眼鏡は個人的にはパーフェクトだ。
「此処んとこ徹夜に近い状態でさ、たまにはゆっくり寝たいかなぁって」
台詞だけ聞けば勉強熱心な青年、と取ってもらえるだろう、しかし
全てを知っている目の前の雪乃には意味を成さない。
「夏希と秋深ですね、あの子達ったら・・・」
「だからさ「ダメです」
被る形での否定、かなり本気だ。
「わ、私も一週間我慢してるんです、これ以上ご主人様と触れ合えなかったら
死んでしまいます!」
珍しく声を荒げ、着ているメイド服を脱ぎ出した。
「ちょ、ちょっと待て!」
「ダメです、優介様直属のメイド長とはいえ譲れません!」
息も荒々しく、髪留めを取ると綺麗な黒髪が宙を舞う。
「本当は春菜にも夏希にも秋深にも天姫にも紅葉ちゃんにも冬美姐さんにも渡したくないんです」
最後にゆっくりと眼鏡をしまうと雪乃はゆっくりと近づいてくる。
「一週間振りですのでよろしくお願いしますね」
少し狂気染みた笑顔を見て今日も徹夜だなと悟った。
―end