「ねぇねぇ、ミルク金時ぃ〜! ミルク金時まぁだぁ〜? 」
「イイ歳して、ミルク金時まぁだぁ〜! なんてさ……姉さん今いくつだよ……」
「―――気分壊すと御仕置きよ? 」
子供っぽさと大人っぽさが同居するこの姉には退屈しない。大人の妖艶さを感じさせる事もあれば、童女の純真無垢を
絵に描いたような行動に出ることもある。そう、この今がその時だ。僕が押入れから引っ張り出した、可愛いクマの形をした
手回しカキ氷製造機『キョロちゃん』をキッチンで駆使していた所にやってきて、真正面に座り込んでじっと見ていたのだ。
クマの頭に付いたハンドルを回すたびに、クマの目が左右に動く。それを微笑みながら見ている姉さんの目も合わせて動く。
その様子が可笑しくて少々ハンドルを回しすぎ、僕はカキ氷を零してしまった。だけど、僕はそんな姉さんを笑ったりしない。
僕が笑えば――僕が誰よりも好きな優しい微笑みの――姉さんが春の粉雪のように溶けて居なくなってしまうから。
「ど、どんなお仕置きなのさ?! 」
「ナ・イ・ショ。小豆は準備OK! ミ・ル・ク、きん・と・き! ミ・ル・ク、きん・とぉき!」
「姉さん、もうそろそろ出来るから、練乳、スキムミルク用意しておいて」
「んもう、肉体労働は弟クンの仕事でしょう? 」
そうは言っても口を尖らせつつ冷蔵庫からスキムミルクのチューブを出してくれる姉さんが僕は好きだ。だからチューブの
蓋を開けて搾り出す行動に出ても気にも留めなかった。少々出し口が固くなったスキムミルクの大きなチューブを姉さんが
唸りだすまで力一杯絞っていたなんて知る由も無かった。僕が見た光景は…姉さんの絞り出したスキムミルクが…
「きゃっ! 」
「ね、姉さ……」
「いや〜ん、どろどろ…」
噴き出して姉さんの髪や顔や胸に付いている――それは夢の中の交わりでしか許されない――姿だった。姉さんは僕の
方を見て、唇の辺りに付いたスキムミルクを舐め取った。その姉さんの無意識に劣情を誘う扇情的な行為は、僕の理性を
吹き飛ばすのには充分の破壊力を持っていた。……スキムミルクが掛かっただけならばまだ我慢が出来たのだ、僕は!
「ちょ、ちょっと! あ・・・」
「僕が、僕が、僕がぁ! 」
甘いスキムミルクの香りと、姉さんの体臭に酔い痴れながら、僕は姉さんの胸元に顔を埋めつつスキムミルクを舐め取る。
自分の服が汚れるのも構わず姉さんに武者振りつく。やめなさい、と姉さんにいつもの冷たい声を出されれば僕は止めたに
違いない。だが、姉さんは僕の頭を抱き…自分の体に強く押し付けて来たのだ。まるで、もっと舐めてと言わんばかりに、だ。
僕が顔を上げると、姉さんは僕に今まで見せたことの無い表情を――欲情に頬を染める誘惑者の笑みを――向けていた。
白いブラウスを引き千切り、モカのブラジャーを引き毟(むし)る。ああ、ずっとこうしたかったんだ! この、僕の手でぇっ!
まろび出たふたつの膨らみの天辺を飾るチェリーをねぶり、甘く噛むと、姉さんの喉から熱い吐息が漏れ出す。…やっぱり
胸が弱かったんだ…。学生の頃冗談で揉んだら思いっ切り叩かれたのを思い出す。
「胸だけで…いいのかな? 」
姉さんが腰を浮かせた。ああ、今日はヒップラインがそそるタイトスカートだったんだよなぁ…と頭のどこかで思いつつ、
手はしっかり脱がせる作業に取り掛かるのが怖ろしい。スカートを取り去り、ついに僕は姉さんの…待て。この感触…姉さん?
「びっくりした? …さっき脱いで来たの」
僕はようやく姉さんの仕掛けた罠に引っ掛かった朴念仁と言う事なのか? まさか…あの姉さんが『穿いてない』なんて!
僕は姉さんの脚の間に腰を割り込ませると、急いでそそり立つ僕自身を姉さんの女にキスさせる。すると、姉さんがキスを
求めて来た。そうしながら僕は姉さんの中に深く自身を没入させて行くと、姉さんの様子が段々体全体でなんだか泣いている
ような感じを受けた。ある程度まで行くと、入らなくなったので腰を左右に振って勢いをつけようとすると、姉さんが始めて、呻く。
まさか、あの、姉さん、まさかっ!? 僕が唇を振り解き、姉さんを見ると…チロっと舌を出して…泣き笑いの顔で咎めていた。
「こら、ここでやめたら…お仕置きなんだからね?」
その後僕はどうしたかって? ミルク金時を作る前に僕のミルク浸け姉さんを作ってしまい、一年後には誰も知り合いのいない
遠くの街に引っ越して、お互いにミルク浸けの状態を心行くまで二人で愉しむようになってしまったとしか僕には言えないね。