「何? ワッフルを食べたことが無いとな」  
「ええ、この形は…見たこともありません」  
 テレビのCMを見ていた我が幼馴染がそんなことを言い出すので、恋人の身としては作ってやらざるをえない。  
「…何してるんですか」  
「ふぁふぇふ、はへふぁは」  
「口から出して喋って下さい」  
「むぅ。せっかく口移しで食べさせてやろうというのに」  
 呆れたような顔で見られる。  
「また馬鹿な真似を…」  
「馬鹿とは何だ馬鹿とは」  
「事実です。それ以上でも以下でもありません」  
「くそっ、えーいわかった、口うつしは止めだ。何か別の…」  
 と言うと、何やら捨てられた子猫のような視線を向けられた。  
「…何、勝手に止めてるんですか」  
 すすっと手が伸びて来て、Tシャツの端っこをきゅっとつままれる。  
「馬鹿って言った」  
「…でも、嫌だなんて…一言も…」  
「そうか。なるほどお嬢様は口移しワッフルを御所望と見える」  
「わ、わたくしが望むのではありませんっ! これは、そ、その…」  
「正直に言わないとお預け」  
「…う………いじわる……きらい、です」  
 ということで二人で食べてみた。大変美味しゅうございました。  
 

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