「こんにちは。今日はどんなお花がお勧めですか?」  
しなやかな長い黒髪。白いワンピースの良く似合う、清楚な二十歳くらいの女性。うちの花屋に良く来る常連さんだ。  
「いらっしゃいませ。今日はユリの花なんかキレイですよ。」  
オレはユリを一輪手に取って差し出す。  
「綺麗ですね。私ユリの花が大好きなんです、私の名前も『百合』なんですよ。」  
にこりと微笑むその笑顔は、正に可憐な花の様だった。  
「キレイな名前ですね。あなたのイメージにぴったりの素敵な名前だ。」  
我ながら歯の浮く様な恥ずかしいセリフだと思った。でもそれは営業用のサービストークではなく、素直な印象だった。  
職業上、花を美しいと言うことに抵抗は無い。だから『ユリ』という名前を褒めることは恥ずかしいことではなかったし、以前からその女性に好意を持っていたから、その言葉はごく自然に出たものだった。  
「ありがとうございます。ではユリの花と、一緒に生ける花を選んでもらえますか?」  
はにかんだ笑顔がかわいらしい。  
 
彼女の名前は久川百合。オレ、松田祐二と同じ22歳の大学4年生だ。  
同じといっても、オレは二流の福嶋大学だが、彼女が通っているのは名門の清憐女子大。しかも父親は東証一部上場の有名企業の社長という、本物のお嬢様だった。  
 
オレは長野の花屋のせがれで、花の事なら自慢できるくらの知識があったので、こっちでも花屋のバイトを選んだ。  
だから花を生けるのが趣味という彼女とは話が良く合い、すぐに打ち解けて、今では家族のことや大学のことなども気軽に話し掛けてくれる様になった。  
花屋のせがれというのは、店長からも信頼されていて、オレがバイトの時は大抵事務処理やら配達やらで店空けてしまうことが多い。だから彼女が客の少ない時間帯に来てくれれば、二人きりで話すことができる。オレにとって至福の時間だった。  
 
「こんにちは松田さん。」  
鈴を転がした様な美しい声。その声の主である久川百合は、今日もかわいく可憐で美しい。  
「久川さん、いらっしゃい。」  
今は他の客は来ていない。店長も例によって裏方の仕事をしているから、今日はゆっくりと話せそうだ。  
「あの、御聞きしたい事が有るのですが。」  
いつも季節の花とか長持ちさせるコツとか、何でも気軽に質問に答えているのだが、改まって質問してくるとはどんな質問だろうか。  
 
 
 
「フェラチオって何ですか?」  
 
 
 
「はい?」  
オレは自分の耳を疑った。まさかあの清楚で可憐、汚れを知らぬ乙女、久川百合さんの口から、まさかそんな言葉が出て来るとはとても思えなかった。  
 
「フェラチオです。  
フェ ラ チ オ。  
 
ご存知ありませんか?」  
 
はっきりとフェラチオと言っている。これは一体どういうことなのだろうか?  
 
「大学のお友達が話していたんです。初めて聞く言葉なので、どんな物なのか尋ねたのですが、みんな教えてくれないんですよ。  
男の人はみんな大好きだ、って話していたので、きっと松田さんならご存知だと思いまして。」  
 
にっこにこ無邪気な笑顔でこっちを見てる。しかも無茶苦茶期待した目でオレを見てる。  
 
困った、こんな純真無垢で純粋なお嬢様に、『チンポをしゃぶること』などとは口が裂けても言えない。  
 
「ご存知ありませんか?  
松田さんなら色々な事にお詳しいので、きっと御存知だと思ったのですが。」  
残念そうに肩を落とす。  
「フェラチオって何なんでしょうね? いくら聞いても、みんな意地悪して、私には教えてくれないんですよ。」  
オレは何と言っていいのか分からず、ただひきつった笑いを浮かべていることしか出来なかった。  
 
「お仕事中に関係無い質問してしまい、失礼しました。明日、他の人に聞いてみますね。」  
「ダメ! それはダメ絶対にダメ!!」  
思わず大きい声を出してしまった。  
「はあ、駄目・・・ ですか?」  
急に声を上げたオレに驚いて、キョトンとした顔でオレを見ている。  
さてどうしたものか。このお嬢様に本当の事を教えるのは躊躇われるのだが、放って置けば「フェラチオって何ですか?」と知り合いに聞いて廻るつもりだ。かといってこんな純粋な人に嘘を教えるというのも、あまり気が進まない。  
オレは脳細胞をフル動員して最良の解決策を模索した。  
 
 
「ええーと、あのですね久川さん。フェラチオというのは・・・」  
 
 
 
耳元で小さい声で囁く。  
 
「セックスのテクニックの一つです。」  
・  
・  
・  
「え? あっ! ああ!?」見る見る彼女の顔は真っ赤になっていく。  
「そういう事でしたか。済みません、変な事を訊いてしまいました。ごめんなさい、済みませんでした、失礼します。」  
彼女は逃げる様に店から出ていってしまった。  
 
なるべく彼女を驚かせないように配慮したつもりだったのだが、恥ずかしい想いをさせてしまった様だ。だが彼女の名誉を守る為ならば致し方有るまい、あれが最良の選択だったと思うが・・・。  
彼女はもう店に来てくれないかもしれないな。オレの最大の楽しみも亡くなっってしまった訳だ。  
 
 
翌日、店の掃除をしていると、通りから店の中を覗いている久川さんの姿が見えた。  
「いらっしゃい。」  
また来てくれたことが本当に嬉しくて、満面の笑みで彼女を出迎えた。  
彼女は深々と頭を下げ、深刻なな面持ちで話しかけてくる。  
「昨日は本当に申し訳ありませんでした。知らぬ事とはいえ失礼な質問をしてしまい、御気分を害し御迷惑御掛けした事を御詫びに参りました。」  
再び深々と頭を下げる。  
「そんな、迷惑だなんて思ってませんよ。こっちこそ久川さんに恥ずかしい想いをさせてしまって申し訳ないです。」  
彼女の謝罪はあまりに丁寧過ぎるので、オレはすっかり動揺してしまった。  
「いえ、松田さんが本当の事を教えてくれなければ、私は恥を掻いてしまうところでした。松田さんには感謝しています、ありがとうございました。」  
「オレは礼を言われる様なことしてませんて。  
でも良かった。もう久川さんうちの店に来てくれないんじないかと心配したんですよ。また来てくれて嬉しいです。」  
それを聞いて、彼女はほっと安堵の表情を浮かべる。  
 
「良かった。私、とても失礼な事を訊いてしまい、もう許してもらえないんじゃないかと心配していました。」  
安心したのはオレの方だ。これからも彼女に会えることが、本当に嬉しかった。  
 
「私、駄目なんです。大学附属の幼稚舎から、初等部、中等部、高等部、そして大学もずっと女子校で。お父様と親戚の叔父さん、あとは学校の先生くらいしか男の人とお話した事が無いんです。  
だから男の人と御付き合いした事も無くて、恋愛とか、その、セックスの話とか、本当に全然分からなくて。」  
うつ向き加減に彼女は話す。  
「そういう環境じゃしょうがないですよ。あまり気にする必要無いんじゃないですか。」  
「そんな事有りません、同じ女子大のお友達でも、みんなちゃんと恋人がいます。それに、みんな初恋は小学生の頃だと話しています。私だけです。22歳にもなって、初恋すらして無いなんて。」  
それは確かに天然記念物級の貴重な存在かもしれない。  
 
「でも、そういうのは早ければ良いという訳でもないし。人それぞれじゃないですか。」  
「そうでしょうか?」  
そう問い掛ける彼女の瞳は、そんな気休めなどでは納得でき無いと訴えている。  
 
「松田さん、私にもっと詳しくフェラチオの事を教えてください。」  
またこのお嬢様は、分けも分からずに飛んでも無いことを口走る。  
「もっとフェラチオの事が知りたいんです。お願いします、こんな事を頼めるのは松田さんだけなんです。」  
 
 
熱意に負けたというか、断わり切れなかったというか、彼女にフェラチオを詳しく説明することになってしまった。  
さすがにバイト中に店の中で出来る話ではないと思い、日と場所を改めてということにした。  
 
場所は近くの公園を選んだ。いきなり一人暮らしの男のアパートに呼んでは、如何に世間知らずのお嬢様でも警戒するだろうし、かといって喫茶店では他の客や店員もいるので落ち着いて話せないだろう。  
考えた末に選んだのがこの公園。平日の午前中ならば人はまず居ないので話を聞かれる心配は無いし、広くて明るいここなら彼女も安心できると考えたからだ。  
 
二人並んでベンチに腰掛ける。彼女はメモ用紙とシャープペンを手に、真剣な顔でこちらを見ている。  
「ええ、フェラチオというのは、日本語にすると口唇愛撫で、口を使って愛撫するという意味です。」  
「こうしんあいぶ、ですか?」  
オレの説明をメモに取ろうとして止まり、オオム返しに聞き返す。  
「『こうしん』は、口と唇。『あいぶ』は愛情の愛に撫でるって漢字。」  
彼女はすかさずメモ用紙にペンを走らせる。  
「愛撫というのは、愛情を持って撫でて、相手を気持ち良くしてやることなんだ。」  
素早くメモを取ると、実に嬉しそうに澄んだ瞳でオレの目を見詰める。  
「なるほど、分かりました。愛情を持って、唇で相手を気持ち良くしてあげる。つまりフェラチオというのはキスの事だったんですね。」  
ああ、何て微笑ましい発想なのだろう。本当にこの女性は、無菌室で純正培養された生粋のお嬢様なのだと痛烈に感じる。  
「キスとは違うんだ。キスは唇と唇でするものだけどフェラチオは・・・。」  
本当にこんな純粋な人に、フェラチオなんて教えても良いのだろうか? やはり躊躇してしまう。  
 
「フェラチオというのは。  
・  
・  
・  
女の人が男のおチンチンをしゃぶることなんです。」  
 
言ってしまった。  
 
「おちんちんをですか!?」  
さすがに相当驚いている様だ。無理もない、男のオレでも初めて知った時は、大人はこんなことするのか! と驚いた。  
「なるほど、もっと詳しくお願いします。」  
「えっ!?」  
それはオレにとって完全に予想外の反応だった。  
オレはここまで説明して終わりにするつもりでいた。ここまででも、彼女には刺激が強過ぎて失神してしまうのではないかと心配していたくらいなので、彼女の方からこれ以上の説明を要求してくるとは、夢にも思っていなかった。  
「もっと詳しくお願いします。」  
真剣な眼差しで、彼女はオレを見詰める。オレは正直焦った。  
「舌でペロペロ舐めたり、亀頭をくわえたり、裏筋に沿って舐め上げたり・・・。」  
これ以上詳しく説明しろと言われても、童貞のオレには分からない。実際にフェラチオされた経験などないのだから、オレにも良く分からないのだ。  
「あとは竿を横にくわえてハーモニカみたいにしゃぶったり、袋を舐めたり玉を口に含んだり・・・」  
しどろもどろしながら、AVで見たプレイを片っ端から挙げて行ったが、はっきり言って自分でも何を言っているのか良く分かっていない。  
 
彼女を見ると、案の定『さっぱり分かりません』と顔に書いてあった。  
「こんな説明じゃ分からないよね。」  
「済みません。私、本当にこういう知識が全然無いのです。ですから松田さんがせっかく説明してくださっているのに、私には『キトオ』とか『タマ』とか知らない言葉が多過ぎて、全然分からないんです。ごめんなさい。」  
彼女は申し訳なさそうに、深々と頭を下げる。  
「いや、オレの説明が悪かったんです。あんな説明じゃ誰だって分からないから。」  
落ち込む彼女を必死でフォローする。  
しかし困った。彼女は亀頭はおろか、玉すら分からないという。そんな娘にどうやって、フェラチオを詳しく説明すれば良いのだろうか。  
「あの、松田さん。出来れば、その、もっと具体的な方法で、教えてもらえないでしょうか。」  
 
具体的にか。そうだな、まずもっと具体的なチンポの説明が必要だな。  
「分かりました。では具体的に、おチンチンの構造と各部の名称から説明しましょう。」  
「あの、私、男の人のおちんちんは、幼少の頃にお父様のを見ただけなので、はっきりとは覚えていないんです。ですから言葉だけでは良く分からないので、その、もっと具体的な方法で教えて欲しいのですが。」  
言葉でなくて、もっと具体的な方法???  
「なら図に描いて説明を。」  
「違います。そうじゃなくて、その、もっと具体的な方法で・・・。  
実際に、松田さんのおちんちんで、私にフェラチオを教えてください。」  
 
オレは軽く失神しそうになった。いくら世間知らずなお嬢様とはいえ、キスもしたこと無い相手に、いきなりフェラチオさせてくれだなんて、あまりにも無茶苦茶過ぎる。そんな頼みは絶対に聞く訳にはいかない。  
「あのね久川さん。フェラチオっていうのは、別名オーラルセックスともいって、口でするセックスなの。例え恋人や夫婦でも、普通はやらない特殊なプレイなの。フェラチオさせてくれだなんて、簡単に他人に頼んじゃダメ。」  
今まで彼女を傷付けないように、優しい言葉を選んで使ってきたが、彼女が明らかに間違ったことをしているのなら、厳しい態度をとらなければいけない。オレは敢えて強い口調で彼女をたしなめた。  
しかし彼女も、凛とした態度で一歩も引かない。  
「簡単になんて言ってません。私にだって、おちんちんを舐めたりするのは、恋人同士でもなければ出来ない事だということは分かります。でもだから、私は松田さんにフェラチオを教えてもらいたいんです。」  
 
「私、松田さんの事が好きです。あなたとお話するのが、とても楽しくて。あなたに会える日がとても楽しみなんです。  
あなたに逢うまでは、そんな事無かった。男の人にときめいたりする事は、それまで無かったから、私にはそれが普通でした。  
だから恋人がいない事なんて、何とも思わなかったのに、あなたと親しくなるにつれて、恋人がいるお友達を羨ましいと思う様になってしまったのです。  
私は松田さんが好きなんです、私の初恋なんです。だから私、今よりももっと松田さんと親密な関係になりたくて、だから私にフェラチオを教えて欲しいんです。初めて好きになったあなただから、私にフェラチオを教えて欲しいのです。」  
 
不器用な告白だった。それ故にまっすぐで純朴な、打算や駆け引きなど一斎無い、ただ好きだという気持ちを伝えるだけの告白だった。  
男と女のことなどまるで分かっていない、世間知らずのお嬢様の告白。順番も段取りも分からずに、いきなりフェラチオから教えて欲しいというデタラメな告白だった。  
でもその言葉は、純真で一途な偽りの無い言葉だった。  
オレは男として、その一途な気持ちに応えなければならないと、そう思った。  
 
 
「あんまり掃除してないから散らかってるけど、上がって。」  
オレは自分のアパートに彼女を招き入れる。  
「失礼します、お邪魔します。」  
ペコペコと必要以上に頭を下げながら、彼女は着いて来る。緊張してガチガチになっているのが、手に取る様に分かる。  
「あまり緊張しないで楽にしてよ。」  
「はい、では御言葉に甘えて。でも松田さんの部屋に居ると思うとドキドキしてしまって。私、男の人の部屋に入るのは初めてなので、なんだか落ち着かなくて。」  
「オレも、女の人を部屋に上げるのは初めてだから、ドキドキしてるよ。」  
まあ、この状況でリラックスしろというのも無理な話か。とりあえずお茶でも御出しして、少し落ち着くのを待った方が良さそうだが。生憎インスタントコーヒーとティーパックの紅茶しかない。果たしてお嬢様の口に合うかどうか。  
「コーヒーと紅茶、どっちが・・・。」  
振り向くと、彼女は深々頭を下げている。  
「宜しくお願いします。」  
 
やっぱりこの娘は、段取りとか関係無しで、いきなり直球勝負なのか・・・。  
 
オレは上着を脱ぎすて、上半身裸になる。男に免疫のないお嬢様の顔が、見る見る真っ赤になっていくのが良く分かる。  
たがファスナー下ろしていきなりチンポ出すよりは、上半身から脱いで行く方が刺激は少ないと考えたからだ。  
ベルトを外し、ズボンも脱ぎ捨てる。トランクスは見事にテントを張ってしまっていた。  
彼女イナイ歴22年。女の子と仲良くは成れるのだが、いい人以上には進めず、未だ童貞どころかキスもしたことのないこのオレが、これからフェラチオしてもらおうというのだ。こうなってしまうのは仕方ない。  
本来なら、通常モードを見せてから、徐々に完全勃起へ移行するのが理想なのだが、彼女と二人きりで同じ部屋にいたのでは、いくら待っても期待した息子ずっと立ちっぱなしで、いつまでたっても鎮まることはないだろう。  
オレは一気にパンツを下ろした。  
彼女は驚愕の余り言葉を失って、ただじっと完全勃起したチンポに見入っている。  
「驚いた?」  
「は、はい。 私もっと小さいのが下向きに付いていると勘違いしていたので、こんなに大きいのが上向きに付いているとは知りませんでした。」  
 
「普段はもっと縮んでて、下向きに付いているんだけど、エッチする時には大きくなって上向きに勃起するんだよ。」  
「大きくなったり、縮んだりするんですか!? 凄いですねぇ。男の人の身体がそのように出来ているとは、全然知りませんでした。驚きました。」  
初めて勃起したチンポを見る女の子なら、誰だってきっと驚くだろう。増して性知識皆無のお嬢様なら半端な驚きでは無かった筈だ。  
やはりキスもしたことも無いのに、いきなりフェラチオから始めるのには無理がある。やはりちゃんと手順を踏んで、キスから始めた方が良かったのかもしれない。  
そんなことを考えていると、彼女の方から近づいて来て、オレの前で膝まづき、チンポのすぐ目の前まで顔を寄せる。  
「近くで見ると、本当に不思議な形をしていますね。  
それでは松田さん、始めますね。」  
チュッ と、チンポの先にキスをする。  
ビクンッ と敏感なそれは激しく反応する。  
 
花のように美しい、百合さんの端正な顔。その可憐な花びらの様な唇が、オレのチンポに口づけをした。この上ない喜びが込み上げてくる。  
チンポは更に肥大し、亀頭は張り裂けて血が吹き出してしまうのではないかと思うほど、パンパンに張り詰めている。  
 
「あの、この後はどうすれば良いのでしょうか?」  
そうだ、百合さんが理解しているのはここまでだった。  
彼女は、キスは唇と唇でするが、フェラチオは口でチンポにするとしか理解していない。具体的なしゃぶり方は、オレがこれから教えなくてはならない。  
彼女の唇を自由に出来ると思うと、嫌が上にも興奮してしまう。  
 
「まずは、アイスキャンディーを舐めるみたいに舐めてみて。」  
「あいすきゃんでぃー、ですか?」  
言ってから失敗に気付いた。お嬢様はアイスキャンディーなどという、庶民の菓子は食べたことが無いのだろう。  
キャンディーを舐める様に、では違うし。フランクフルトでもかなり違う。ソフトクリームなら・・・。  
などと、脳の神経回路をフル稼働させて、最善の説明を考える。  
「百合さん、ちょっと手を貸して。こんな風に指を立ててみて。」  
オレは床に膝を付き、彼女と同じ様にしゃがみ、右手の人差し指を立ててみせる。  
同じ様に指を立てた彼女の右手をそっと握り、人差し指の先にチュッ、とキスする。  
次に第二関節の辺りに舌を当て、2回3回4回と指先に向けて舐め上げていく。そして指先を軽くくわえ、頭を前後に振って唇で指先を舐め回す。  
 
「こんな感じ。」  
オレが手を放すと、百合はさっとその手を後ろに隠す。  
「ありがとうございます、大変勉強になりました。」元々赤面していたが、今は耳まで真っ赤に染まっている。  
「じゃあ、やってみて。」再び立ち上がり、百合の目の前にチンポを突き付ける。期待で思わず息が荒くなってしまう。  
百合はそのままチンポに顔を寄せ、チュッ 、とキスをする。オレのチンポはまたまた、ビクンッ と反応してしまう。  
だが今回は更に続きが有る。百合は裏筋に舌の先を当て、先っぽに向けて、2回3回4回と舐め上げる。カリの裏の辺りに快感が走る。  
更に続けて先っぽを唇でくわえ、頭を前後に動かして亀頭全体を唇で優しく舐める。最も敏感な亀頭を這う、柔らかな唇の感触は、これまで以上の快感を生み出す。  
「気持ちいいよ百合さん、とっても気持ちいい。」  
「本当ですか、良かった。」  
百合は顔を上げ、はにかんだ笑顔で話し出した。  
「私、男の人に指を舐めてもらうのなんて、初めてだったんです。だから凄く恥ずかしかったのですけれど、とっても気持ち良かったです。  
あれが愛撫なんですね。  
私もうまく愛撫する事ができたみたいで、本当に良かった。」  
 
きらめく様な純粋な笑顔。  
オレは自分のしたことをそんな風には考えていなかった。ただ単に舐め方を教えただけ、技術的な指導をしただけのつもりでいたが。彼女はそれを愛撫として理解していた。  
「もう一度しますね。」  
百合は再び、さっきと同じ動作を繰り返す。  
先端にキスをして、カリの裏を舐め、亀頭に唇を這わせる。その動作の一つ一つに愛情を込めて。しっかりと、優しく、丁寧に、オレのチンポを百合の舌と唇が愛撫する。  
百合のフェラチオはまさに愛撫そのものだった。男について何も知らない百合にとって、フェラチオは恐らく唯一の愛情表現なのだろう。想いを込めて一生懸命に、百合はオレのチンポをしゃぶっている。その一舐め一舐めから、彼女の一途な想いが伝わってくる。  
心が、幸せで満たされてゆく。このひとを堪らなく愛おしいと感じずにはいられない。  
 
「次はどの様にすれば宜しいでしょうか?」  
百合はチンポから唇を離し、オレが次の指示を与えるのを待っている。しかし、オレにはもう彼女に教えるべきことなど一つも無かった。  
「そのままでいいよ、そのまま続けて。」  
「でも、まだ他にもいろいろ有るのですよね? キトウとかタマとか、どんな風にすればいいのかを教えて欲しいのですが。」  
「いいんだ、技なんてもうどうでも良くなってきた。舐め方なんかより、百合さんがしゃぶってくれるのがが嬉しいんだ。だから百合さんの想う様に自由にしゃぶってみて。」  
百合はドキッとした様な表情を見せると、わずかに微笑んで、静かに頷いた。  
「祐二さんが、そうおっしゃるのなら。」  
 
舌を出して小刻みに、チロチロ亀頭を舐める。それから円を描く様に舌を回し亀頭をぐるぐる舐め回す。カリに沿って舌を這わせ、一周して裏側に戻って、裏筋をチロチロと舐め回す。  
そのまま細かく舌を動かしながら、裏筋を根元の方へと下がって行き、今度はチュッチュッと裏筋にキスをしながら、先っぽの方へと上がっていく。  
彼女が考えつく様々な技を一つ一つ試しながら、百合は愛撫を続ける。  
 
亀頭全体を口に含み、唇と舌とでチンポを包み込むように密着させ、頭を前後に振り亀頭を舐める。  
先程は唇だけで亀頭を舐めていたが、今回は舌と唇の両方を密着させている分広い面接を刺激して、より多くの快感を得られる。  
「百合さんそれ気持ちいい。」  
応える様により深くくわえ込んで、舌を強く密着させてくる。  
口をすぼめて口の中の空気を吸い込み、舌と唇を吸い付けるて密着させる。  
AVでもこういう、口を吸い付けるフェラは良く見掛けるが。百合はわずか数分でこの方法に辿り着いてしまった。  
強く吸い付け、舌で亀頭を上顎に押し当てて、舌・上顎・唇でチンポを包み込み。ゆっくりとしたストロークで頭を前後に振って、エレガントにチンポをしゃぶる。  
AVの様な下品な音は決して立てず、しっとりと上品に優しく口に含み。優雅に頭を振りながら、丹念に心を込めてしゃぶる、彼女らしい繊細なフェラチオだ。  
 
より深くくわえ込む。  
長いストロークで、竿の方でまでくわえ込むと。亀頭を刺激されるのとは違った、挿入する感覚が味わえる。  
 
「百合さん、それも気持ちいい。」  
リクエストに応えて、更に深くチンポを飲み込んでいく。  
「んっ 、んっ 、」  
わずかに百合の喉の奥の方から声が漏れる。  
深くくわえ込み過ぎて、苦しいのだろうか?  
「んっ 、んっ 、  
うんっ  、んっ 、」  
甘く切ない声。  
苦しそうでは無く、寧ろ感じている様に聞こえる。  
女もフェラチオで感じると話に聞くが本当なのだろうか? 百合もフェラチオで感じているのなら嬉しいのだが。二人で気持ち良く成れるのが理想だ。  
 
百合の髪をそっと撫でる。  
「気持ちいいよ、百合。」  
きれいな黒髪。しなやかで張りの有るサラサラのロングヘアー。  
一生懸命オレのチンポをしゃぶっている百合の髪を撫でていると、とても幸せな気分になれる。  
 
「こうして髪を撫でられるの好きです、とても気持ちいい。  
フェラチオも好きです。祐二さんのおちんちん舐めるの、とても気持ちいいです。  
愛撫って、するのもされるのも気持ちがいいのですね。」  
百合は目を閉じて、うっとりと髪を撫でられている。  
 
やはり百合は感じていたんだ。指を舐めたり、髪を撫でたり、フェラチオするだけで感じてしまう。彼女は男に触れられただけで感じてしまう程敏感なのだ。  
自ら感じているからであろう、百合のフェラチオは、短時間で確実に上達している。  
いろいろ試しているうちに、舐めることに快感を覚え、より密着させて舐める方が気持ち良いことを覚えた。その方がオレも気持ち良く、オレにとって気持いい舐め方は、彼女にとっても気持ちいい舐め方なのだろう。なのだろう。  
何も知らずにいきなりフェラチオだったのも、逆に先入観や嫌悪感が少なかったのかもしれない。百合にとってフェラチオは、キスよりも深い愛情表現という認識だったのだろうから、比較的楽にフェラチオという行為を受け入れられたのかもしれない。  
 
「んっ 、んっ 、」  
と、かわいいあえぎ声を上げながら、自ら積極的にチンポをしゃぶる。  
しっとりとなめらかに、柔らかな唇と舌とで優しくチンポを包み込み。優雅に頭を振りながら、情感たっぷりに心を込めて愛撫する。  
百合のフェラチオは、とても官能的なフェラチオだ。  
 
彼女のフェラチオは更に進化を続ける。  
単純に頭を振る前後の動きに、首を捻る様な横の動きが加わり、より複雑な強い快感が生じる。  
深く、浅く、早く、遅く。単調な繰り返しにならない様に緩急を付けることで、変化に富んだ刺激がオレを悦楽の世界に誘う。  
気持ちいい、気持ち良過ぎる。あまりの気持ち良さに、チンポは喜んではち切れそうな程びんびんに勃起している。  
 
だが、あまりにも気持ち良過ぎて刺激が強過ぎる。込み上げてくる射精感に必死に堪える。  
「ああ、ダメだ。そんなにしたらイッちゃうよ。」  
言ってから失敗に気付いた。『イク』という言葉の意味を、百合は知らない筈だ。百合に分かる様に説明を・・・。 と思うのだが、チンポをしゃぶられていて、気持ち良さで頭がぼーとなっている今のオレでは、うまく説明することなど出来ない。  
 
「百合さん、もっとゆっくり。」  
とりあえずそれしか言えなかった。  
百合は上目使いでアイコンタクトすると、くわえたまま頷いた。  
ペースダウンして、緩やかなストロークに移行する。しかし見えない部分では、ねっとりと舌を絡み付かせ、なまめかしく動かし続けている。  
ダメだ! そのフェラも気持ち良過ぎる。 と思った瞬間、快感は絶頂に達した。  
抑えていた快楽衝動は開放され。ビクンビクンと脈打ちながら、百合の口の中に大量のザーメンを射精してしまう。  
不意打ちで口の中に何かを流し込まれたた百合は、ゴホッゴホッと苦しそうに咳込むが、チンポをくわえているのでうまく吐き出せない。  
「ごめんね、大丈夫?」  
急いでティッシュを摘みとり、口の中の物を吐き出させる。  
百合は、口から白濁したドロッとした物をティッシュに吐き出した。  
「これは!? これは、何ですか???」  
「それが精液だよ。」  
「これが・・・ 精液・・・  
初めて見ました。」  
まあ、チンポも見たこと無い女の子なら、精液を見たこと無いのは当然なんだが・・・。  
 
「でも大丈夫だから。飲んでも毒ではないし、口で妊娠してしまうことはないから安心して。」  
何かこのお嬢様だったら、変な勘違いしそうなので、あらかじめ釘を打っておく。  
「あっ、それは分かります。精子と卵子が受精して着床しないと、妊娠しないんですよね。」  
やっぱりこのお嬢様の性知識は、保健体育のレベルなんだな。  
「精液ってこんなにドロッとしたものなんですね。鮭の産卵の映像では、フワッと広がっていたので、液体なんだと思っていました。」  
ははは・・・ 鮭の産卵と来たか・・・  
こんな娘が、あの濃厚フェラでオレをイカせてくれた女性と同一人物だなんて、とても信じられない。  
 
でもこの時、もう既に、オレの決心は固まっていた。  
 
「百合さん、オレと恋人として交際してください。」もう躊躇う必要は無い。オレはその日の内に、すぐ交際を申し込んだ。  
 
「はい、喜んで。」  
もちろん百合の返事にも躊躇はなかった。  
「嬉しいです、祐二さんと恋人になれるなんて。ところで、これからお暇でしょうか?」  
「別に予定は無いよ。」  
「でしたら是非家にいらしてください。お父様に紹介したいのです。」  
え!? デートより先にいきなりお父様ですか!?  
百合さんのお父様って、有名企業の社長様だったよな。まだ心の準備が・・・。  
 
 
「いやまさか、まだまだ子供だと思っていた百合が恋人を連れて来るとは驚いたよ。正直言って娘を嫁に出すのは寂しいのだが、百合を宜しく頼んだよ。」  
嫁って、オレ達まだキスもしてないのに、いきなり婚約ですか!?  
・  
・  
・  
でも、オレも既に決めていたのだけど。  
この世間知らずのお嬢様を、これからもずっとずっと、守り続けていこうと。  
 
終  
 
 

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