オリジナル  

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珍しく早朝に目が覚めたのだがいつもと部屋の雰囲気が違う・・・なんというか動かないのだ、布団が・・・  
結構重い布団は子供一人分か漬物石1つ分の重さで、押しのけようとすれば押しのける事もできるので実行してみる事にした  
「おいしょ!」  
『わわっ!!』  
「・・・へっ?」  
何か声がした気がしたので辺りを見渡すと、其処には有ってはいけない光景があった  
思わず目を疑う俺の前に居るのは和服の子供、髪は肩まであるので女の子と推測できる  
「・・・誰だ・・お前・・・」  

『無礼な!名前を聞くなら自分から、が基本であろうが!』  
きつい性格のようなので抵抗はしないようにした  
「・・・筑波雅人だ、名乗ったぞ、お前は?」  
『・・・なんか生意気だな・・・私は白澤と呼ばれておる』  
「はくたく?・・・どっかで聞いたことあるな・・・」  
俺は一応東洋、西洋関係なく妖獣・幻獣については割りと詳しいので<白澤>と聞くと思い出すのは一匹の幻獣だった  
「・・・黄帝って知ってるか?」  
『お爺さんの友達だった人だ』  
「・・・。」  
<白澤>  
東方の行幸へ出た黄帝が森羅万象に通じる神獣と褒め称えた幻獣のこと  
姿は大変醜く、牛のような身体を持つ。胴体には目玉がいくつも備わっているとも謂れ、図によっては百眼であったり、第三の眼が描かれていたりする  
頭脳明晰で、天地開闢(かいびゃく)からその時代に至るまでのあらゆることについての知識がある  

 

(・・・嘘じゃん・・・)  
目の前に居る少女は美の付く少女で、正直学があるとは思えないので白澤など知っているはずが無かった  
「・・・ほんとに?」  
『・・・うたがっとるのか?』  
「神獣さまがなんで俺なんかの所に来るんだよ、おかしいだろ?」  
『説明すると時間が掛かるからなぁ・・・』  

 

ダイジェストで伝えると  
 雅人の先祖に中国のさる有名な陰陽師がおり、その陰陽師が立てた妖魔封印の石碑を立てたのだが「500年位したら出ても良い」などと適当な事を言ったものだから  
 あれから約500年たった今、怪の王が子孫である雅人を狙ったというわけである  
「へぇ〜、そうなんだ」  
『信じてないな?』「うん」  
『まぁ、無理も無い』  
「根本的な説明になってないから納得がいかない、何でお前がここに居る?」  
『お爺さんに仰せつかったのだ、お前を守ってやれと』  
「・・・そうなんだ」  
『マジでしんじとらんじゃろ!』  
「そんな喋り方する神獣が居てたまるか!だいたい白澤は不細工と相場が決まってるんだ!」  
『綺麗?』「はっ?誰が?」  
『・・・もう良い・・』  
そう言うと少女は消えた  
「・・・」  

起こった事を夢として新聞を取りに行くと信じられない事が起こった  
扉を開けるとそこには首があったのだ  
首だけがふわふわと飛び回っている  
「今は朝だぜ・・・なんで・・・」  
首はおそらく飛頭蛮(ひとうばん)という中国の妖怪だろう  
ろくろ首に近い妖怪だが日本のろくろ首は、首が長く伸びるが、飛頭蛮は首が身体から離れて、自由に飛びまわる  
中国晋代の妖奇小説集「捜神記」では、頭が飛びまわるのは夜の間だけで、その間身体は眠っている  
この胴体に毛布をかけておくと、戻ってきた首は身体と合体することができず、落ちてしまう  
飛びまわるのは虫を食べるためで、耳が翼の代わりをするという・・・  
首がいきなり扉を突き破り俺の首筋に噛み付いてきた  
「ぐっ!!」  
『ほぉ〜ら、言わんこっちゃ無い』  
さっきの少女が居る  
「ぐっ・・・助け・・・」  
『はいはい』  
少女は飛頭蛮の両耳をつまむと引きちぎった  
「・・・おぇぇぇぇぇ!」  
『汚っ!』  
俺はそのまま気を失ったがなんともいやな夢を見た  

 

饕餮と呼ばれる妖怪でかなり凶悪である  
饕餮は、「炎帝」の子孫の「縉雲氏(しんうんし)」の子孫の、ある種の怪人である  
多毛で、頭上に豕(ぶた)を戴き、大変欲張りで財貨をためこみ、消費せず、老弱な者から財産を奪い、  
大勢のものは避けて、単独で味方のない者を襲うといわれているが、(その性格ゆえに「彊奪(きょうだつ)=無理矢理奪うという意味」  
「凌弱(りょうじゃく)=弱いものを虐げるという意味」といった別名も持つ。)『山海経』に加えた郭璞は、人間の頭は持っているが、身体は羊、もしくは牛で、羊の角を生やし、  
目がわきの下に付いていて、虎の歯を生やし、人の爪を生やし、赤子のような声で鳴き、人をとって喰らうと『山海経』に記された妖怪の、  
「抱きょう(ほうきょう)」が饕餮と同じ存在であるという  
『今すぐ日本を離れて我が国へ来い』「理由は?」  
『つべこべ言うと頭から食いちぎろうと思うが?』「・・・」  
その後、饕餮は目を覚ましたらすぐに押入れを漁れと言い残して消え去ったので目がさめて意識が有ったらそうしようと思った  
押入れを漁ると中から先祖の陰陽師が500年後の子孫に当てた手紙が入っていた  

<これを読むものが我の500年後の子孫であることを祈りつづる…この血筋には私の代から狐の血が混入しているものと思う、お前に読み、理  
解できるかは分からぬが同封の本を読みなさい、私の書物の中から抜き取られた方が偽者のため同封した本が本物である・追伸:お前用の式  
神が三体あるはず、うまく使え>  
「…三体…抜き取られた偽者…?」  
白澤一人のはずであるが…まだ増えるのだろうか…  
『何を読んでる?』  
「ご先祖様の遺言…同封された本っていうのはこれかな?」  
読める範囲内であれば占事略決…これは…確か…  
「なぁ?これって安部晴明様が残したっつう本だよな?古さから言って本物みたいだけど、どうなんだ?」  
白澤の少女に聞くと慌てた顔になってまくし立てた  
『これがどういう物か分かっているのか、貴様は!?』  
「占事略決、平安中期の陰陽師で、土御門家の祖である安倍晴明の著書で内容は六壬占に関して中国から伝来した陰陽道の教科書である『五行大義』『黄帝金匱玉衡経』『大橈経』『集霊金匱経』『神枢霊轄経』等を参照しながらその占術の要点を記したものとなっているはずだ。  
んで占事略決は陰陽道の書籍の中で日本で著作されたものとしては現存する最古の文献…だろ?」  
『教科書を丸覚えにしたような…まぁ、そういうことだ!分かっているならその小汚い手で触るな!!』  
「小汚い・・・小汚い・・・」  
ちょっとしたショックを受けた俺は自分の手のひらを見る…いまだ生活はよくならず…プチ黒雲沙地獄  
俺は突っ伏して  
『ったく…何でこんな味○っ○すみたいな学しか持ち合わせぬ粗暴な男が…』  
「○噌か○す…」  
『…お前いつまでそうしてるつもりだ?ほら、行くぞ』  
「・・・何処に?」  
『中国だ』  

 
 

海外に行く事になったのは良いが、パスポートが無いことに気が付いた  
「パスポートが無いけど?」  
『こんなものを貰ったが?』  
そう言って手渡されたのは二つのビザと一枚の在留特別許可だった  
誰が発行したか知らないがありがたく受け取り、中国行きの飛行機に飛び乗った  
飛行機の中で白澤は急に女の子になった  
『雅人、あれ見ろ、人が小さいぞ!』  
「ああ、そうだね」  
一人やけにテンションの低い俺はしばらくその子供っぽい白澤を見てのほほんとしていたが急に白澤のテンションが一変した  
『…』  
「?…どうした」  
『…気分が悪い…』  
「酔ったのか?」  
『…多分…』  

白澤は客室乗務員に連れられトイレへと向かい、帰ってきたときは真っ青になっていた  
「おい…」  
ここに来てこいつをなんと呼ぶか迷った  
「おい、しろ」  
単純な話だった、はくたくと書いて白澤、しろ、万事解決である  
『……』  
「お前だよ、おい」  
『…………スモモ漬け…』  
「?…すもも漬け?」  
『………』  
三十分後、あれっきり喋らなかったしろが急に立ち上がった  
『血の匂いだ!』  
「?」  
客は皆寝ている、ここでの殺人は不可能というものだろう  
しかし、念のため俺も立ち上がり辺りを見渡す、先ほどから痛烈なまでに血生臭い  
「…何でこんなに臭いのに誰も起きない、客室乗務員も来ないんだ?」  
『死んでるんじゃないのか?』  
「…否定はしないさ」  
操縦席へ向かう、誰も止めようとしない途中通るはずの客室乗務員の居るはずの部屋も誰も居ない  
「…」  
操縦席には誰も居ない  
「…嘘だろ…」  
『雅人、避けろ!』  
「?」  
振り返ると糸が飛んできていた  

思わずしゃがんで避けたので辛うじて命中は避ける事ができた  
撃ってきた主は美しい女性だった  
「……」  
『……私だってあと10年もすれば…』  
「阿呆か、水を通してよくと見ろ」  
しろは言ったとおりに<日光の水>を通してみてから驚いてこっちを見ないで言った  
『なにあれ?』  
「多分、牛鬼だ」  
牛の身体に、鬼の頭を持つ妖怪である、足音を立てず、ゴムのような柔らかな身体をしており普段は水の中に潜み、人間が近づくと飛び出して影を食らう  
影を食われた人間は、死んでしまう  
女の声をしており、美女に化けることもあるが、水に映るのは牛鬼の姿であるので見破ることができる  
『よく分かるもんだな』  
「まぁな」  
相手が人型だとどうもやる気が起きないのが実情である  
『お前がさっきまで読んでたのは占事略決?』  
「ああ、回避術ぐらいならできるぞ」  
『なら良い、どうせ落ちるんだからなこの飛行機』  
そういうとしろは腕まくりをして走り出した  
目の前で和服の女性と少女が舞うように戦う、映画の【英雄】でも見ているようだった  
戻ってきたのはしろだったが随分と服がぼろぼろになっていた、体のあちらこちらから薄らと血が出ている  
『服、新しいの買って』  
「…生きてここを出て財布と相談してからな」  
『ケチだな、雅人は』  
何となく親しくなった気がした俺は嬉しくなりつつもそんなこと感じてる場合ではない事に気が付く  
『どうする落ちても私は死なないが?』  
「冷たい女だな、お前も」  

『まぁな』  
笑って椅子に腰掛けた  
『う〜む…この高さはなぁ…』  
「高いしな」  
言いながら救命胴衣を着て微笑した  
すると、窓を叩く音が聞こえた  
「…誰だよ」  
『おぬしのもう一人の使い魔だ』  
そう言うと牛鬼の死骸を踏み潰して通り過ぎ、ドアを蹴破った  
『行くぞ、雅人』  
必死に椅子にしがみついて答えた  
「ああ、もうどうにでもなれだ!」  
二人して飛び降りるとナイスキャッチしたのはさっきの少女ではなく、金色に輝く一角の馬だった  
「…麒麟…」  

麒麟は玄武、朱雀、青龍、白虎の中に、黄龍を追い出し入り込んだ瑞獣で麒麟を含めた五匹の聖獣を「五霊」とも呼ぶ  
麒麟は、全ての毛属(毛を持つ動物)の長に位置する  
麒麟は龍と牛の混血の子と言われ、その姿は龍の鱗と頭を持つ四足の獣として描かれ、先端に丸みを帯びた角を一本持ち、四足には牛の蹄を持つ、炎のような翼が生えた姿で描かれる事もある  
彼は鳳凰と同様に極めて徳の高い幻獣で、生きた虫も殺さなければ、生きた草も踏まない  
ある文献によれば麒麟の鳴き声は音楽の音階に一致し、歩いた跡は正確に円となり、曲がる時にも定規で測ったように直角に曲がると言う  
「…何かかなり無礼な事してないか?」  
『いえ、そんな』  
「性格も誰かと違いとてもおとなしい…」  
『あの…』  
「えっと」  
あたりを触ってみる、聖獣に触れるなど滅多にできないだろう  
『あっ!あっ!』  
「?」  
『あぅ…』  
『こら、変態雅人』  
「なんだ、餓鬼」  
弄り続ける  
『あぁ!』  
「?」  
ようやく麒麟の変化に気が付く  
「どうした?」  
『其処は…御尻です…』  
「…」  
『変態、変態』  
「…」  
そのまま中国は新疆ウイグル自治区地図に着地したのであるが…  

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