猿が桃太郎達と道連れになってから七日ほどが過ぎた頃
山の中で事件は起きました。
発端は猿が捕らえてきた雉です。
雉肉というのは非常に美味であり
また高価で取引できるので狩の獲物としては上等なものでした。
その雉に犬姫が団子を与えて人間にしてしまったのです。
その雉を仕掛けた罠で生きたまま捕らえ鼻高々だった猿は当然怒りました。
「なんてことすんだよ!
せっかく捕まえた雉を・・!」
「だ、だって可哀想だったし・・・」
犬姫は猿の剣幕に怯え桃太郎の後ろに隠れてしまいました。
それがさらに猿の神経を逆撫でします。
「可哀想ってなんだよ!
雉を捕まえんのがどんだけ凄いことかわかんねえのか!」
桃太郎は猿が怒るのも無理は無いと思いました。
桃太郎も山で育ち幼い頃から狩をしてきたので
碌な装備もない旅の空で雉を捕まえることの難しさを知っていたのです。
「隠れるなよ!
出てこい!」
猿は感情に任せて桃太郎の後ろに隠れた犬姫に詰め寄ろうとします。
「ももたろさん・・・」
犬姫は桃太郎の背中に隠れて甘えた声ですがってきます。
桃太郎はどうしていいかわからず悩みました。
犬姫に悪気が無かったのは分かりますし、猿が怒るのも分かります。
「まあ待て、暴力はいけない」
桃太郎は努めて理性的な声で猿を止めました。
猿を一行に加えるきっかけとなった村の長の言葉は桃太郎に深く刻まれていたのです。
しかし、心のままに言葉が伝わるとは限りません。
桃太郎の行動をどう受け取ったのか、猿の目に涙が滲んできます。
「くそっ!どうせ・・・」
そう言い捨てると猿は弾けるように山の奥へと駆け出していくのでした。
「あの・・・わたくしはどうしたら・・・」
人間にされたと思ったら突然喧嘩が始まり呆然としていたキジが声をかけてきました。
年の頃は桃太郎より少し上でしょうか。
腰まで伸びた長い黒髪と豊かな胸が印象的な艶麗な女性の姿をしています。
「あ、ああ、逃げるなり付いて来るなり好きにするといい。
ご覧の通り、今取り込んでいてな」
「はぁ・・・」
キジが困った顔をすると桃太郎も同じような顔をしました
「・・・すまない。
あなたの事を放っておくわけではないが少し待っていてくれないか。
今は連れを連れ戻さないと・・・」
そう言うと背中にしがみついていた犬姫が不満気な声を出します。
「えー、あんな奴連れ戻さなくてもいいよ・・・」
桃太郎が連れて行くというから一緒にいるだけで犬姫は猿のことをいまだ許していませんでした。
理不尽に殴られ桃太郎を侮辱された恨みは晴れていないのです。
「そういうな。猿もあれでいいところもある。
匂いを辿ってくれないか」
「うー・・・」
桃太郎に頭を撫でられると犬姫は唸りながらも渋々猿の匂いを辿ることにしました。
いう事に逆らって嫌われるよりはましだからです。
「あの、ごめんなさい。
待つ事に不満は無いのですがわたくしにも何か着る物を下さいませんかしら?」
キジに請われて桃太郎は荷袋を開けました。
「これでいいか?
村の人から犬姫と猿のために貰ったものだからお主には小さいだろうが・・・」
「うふっ、ありがとうございます」
キジは怪しい色気を振りまきながら着物を受け取り羽織ました。
桃太郎の思ったとおり、キジにはこの着物は小さいようです。
襟元からは豊満な胸がはだけ丈は膝も隠されておらず桃太郎は目のやり場に困りました。
「それじゃあいきます?」
こうしてキジは桃太郎の三人目のお供となりました。
一方、思わず駆け出してしまった猿は木に登って風を嗅いでいました。
こうしていると一人で気ままに暮らしていた頃が思い出せます。
桃太郎についてきてから鬱憤が溜まっていた猿は
あの頃を思い出すと涙が出てきました。
あれから桃太郎は助べえな事をしてきたり襲ってはきませんが
いちいちとあれはしていけないこれはするなうるさく言ってきます。
そしてそれ以上に腹が立つのが犬姫です。
いつもいつも桃太郎とべったりとくっついて離れず
自分には露骨に嫌いだという態度をあらわします。
その犬らしい格付けで自分が最下位にされているのも気に食わないのです。
それだけではありません。
二人は夜になると必ずといっていいほど交わります。
全く遠慮もなく抱き合うので猿は犬姫の喘ぎ声を子守唄に寝なければならないのです。
それは女となった今でも犬姫への劣情を忘れられない猿にとってはつらい事でした。
生まれて初めて好きになった娘が毎晩隣で抱かれているのです。
猿でなくても嫌になるでしょう。
そういった鬱憤が溜まっていた所へ今日の事件です。
どう考えたって犬姫の方が悪いと思うのに桃太郎は犬姫をかばった、
そう思った猿はその事がとても悲しくなりました。
「はぁぁ・・・どうしよう・・・」
猿はひとりごちて大きなため息を吐きました。
結局、元に戻る為にも卑賤な職をせずに生きていくにも
ついてくると決めた時のように桃太郎と一緒にいるしかないのです。
しかし、一緒にいる事もつらく居辛く悲しいのです。
一人で暮らしていた頃よりも孤独な旅に猿は疲れていたのです。
そうして猿は涙の味のする風を嗅ぎながらぼんやりと空を見上げていました。
「猿、降りて来い」
桃太郎の優しい声が聞こえてきて猿は魂消ました。
物思いにふけっていたせいですが、まったく気配に気付かなかったからです。
「桃太郎・・・」
木の上から見下ろせば桃太郎と犬姫と胸のでかい女がこちらを見ています。
猿はそれを見て複雑な気持ちになりました。
迎えにきてくれた、探してくれた事は嬉しいけれど
のこのこと下に降りるのも恥ずかしいのです。
「わたくしに任せてくださる?」
猿がどうしようか迷っていると胸のでかい女が一言二言桃太郎と交わし
ぽんぽんと跳ねるように木を登ってきました。
「ねえ、隣にすわってもいいかな?」
そう言うと女は猿の座っている隣へ腰を降ろしました。
猿が座っていた枝は太いものでしたがさすがに二人も座ると恐ろしく
下から見上げる桃太郎も犬姫も乗っている猿もはらはらしました。
しかし、キジは全く動じた様子はなく戸惑う猿の顔を自らの胸の谷へ押し付けました。
「あなたが猿ちゃんね?
わたし、あなたに捕らえられたキジよ。よろしくね」
キジは艶やかな笑顔を見せ柔らかな胸にのっけた猿の頭を撫で撫でしました。
「ねえ、あなたも言いたい事あるでしょう?
わたしに聞かせてくれないかな?」
「い、いーよ・・・キジに言っても仕方ねーし・・・」
顔を赤らめた猿がそう言う間もキジは猿の頭をなでています。
「あら、キジだからよ。
人間はね、他人に言えないことをどうしても喋りたい時、山で喋るの。
山の中で私たちや虫やもぐら相手に話して紛らわすのよ。
わたしはこの山でいっぱいそんな話を聞いてきた。
悩みを話すにはうってつけだと思わない?」
キジはそう言うとにっこりと微笑みました。
その艶やかな笑顔と柔らかな女の肌にほだされて猿はぽつりぽつりと喋り始めました。
木の上での話はささやき声で行われていて下には全く聞こえてきません。
猿をなだめてくれるだろうかと思いつつ桃太郎は待つしかありませんでした。
「ねえ、ももたろさん」
「ん、どうした?」
いつになく神妙な顔で犬姫が語りかけます。
「あの・・・・ごめんなさい」
桃太郎は目を細めるとそっと犬姫の肩を抱きよせました。
「猿にも言ってあげなさい」
「うん・・・」
そうこうしていると、キジが飛び降り、続いて猿も降りてきました。
果たしてどのような話をしたのか
キジはにこにこと微笑み、猿は神妙な顔をしています。
少しの間、山の音だけが辺りを包むとキジの手が猿の肩に置かれました。
すると猿はその場に膝をついてしまいました。
さらに手まで地面につけて頭を下げます。
「あの時は本当に悪かった。
襲った事も殴った事も謝る」
突然の土下座に驚き戸惑う犬姫の背に桃太郎の手が添えられます。
「猿もこうして謝ってる。
好きになれとは言わんがそう嫌ってやるな。
許してやれ」
桃太郎が言葉を添えると犬姫は猿と桃太郎を見比べ頷きました。
「うん・・・わかった。
まだちょっと怖いけど・・・・。
ボクもごめんなさい」
その言葉を聞くと猿は晴れやかな顔をして立ち上がりました。
「いいよ。
このキジさんもいい人だし人間になってくれて良かったって思うしさ」
猿がそう言うと犬姫の顔にも笑顔が咲きました。
「うふふ、まだお話することはいっぱいあるでしょうけど向こうの方へ行きません?
向こうの方に誰も使ってない小屋があるんです」
キジの先導で一向は山の中を歩いていきます。
「いいわねぇ、犬姫ちゃんも猿ちゃんも可愛くって。
人間の女の子は本当いいわぁ・・・キラキラして可愛くて・・・」
歩きながらキジがうっとりとした口調で言います。
「キジだってもう人間じゃん」
「やぁん、お姉さまって呼んで」
キジはくねくねと身体を揺らし甘えた声を出します。
ほよほよと揺れる豊満な胸に猿はまた真っ赤になりました。
「お姉・・・って・・・。
・・・姉・・・雉姐も今は人間だろ。
何でそんな事言うんだ?」
猿の妥協した呼び方が気に入ったのか雉姐はにっこりと笑いました。
「知ってる?キジはオスの方が綺麗なのよ。
青緑色の羽でキラキラ着飾って綺麗でさぁ・・・
でもメスは灰色の羽しか纏えない。
わたしそれがずっと嫌だったの。
だから、ずうっと人間に憧れてた。
人間の女の子は男の子より可愛くて綺麗な格好できるからね」
そう言うと雉姐は嬉しそうにくるくると回り始めました。
「ああ!でも今はわたしも人間の女の子なんだわ!
可愛くって綺麗な着物を着たりできるのね・・・!」
浮かれきった様子で雉姐は踊るように歩いています。
「ねえ桃太郎さん、わたくしに出来ることがあれば何でも言ってくださいね。
わたくし本当に感謝しているんですの」
子供のようにはしゃいでいた雉姐は桃太郎に抱きついて肩に顔をこすりつけました。
「へっ、そんな風にしてたら犯されるぞ。
そう見えてその人かなり助平だから」
猿が軽口を叩くと雉姐は悩ましげな声を桃太郎に吹きかけました。
「あらぁ、こんな素敵な男の人に抱かれるなんて女の幸せじゃない。
猿ちゃんは抱かれたくないの?」
「おっ、俺は男だぞ!」
雉姐は桃太郎に抱きついたまま、微笑を浮べました。
「元、でしょう?
今は女の子じゃない」
雉姐はからかっている口調でもなくそう言います。
「そ、そりゃ身体は女になっちまったけど気持ちは男なんだよ!」
「男の気持ちは男に戻ってからにすればいいじゃない。
女の時は女として楽しんで男に戻れたら男として楽しむ。
それで良くない?」
「よくねーよ!」
猿は威勢良く言い切りましたが心の中は少し動揺していました。
女を楽しむなんて考えがあるなんて思いもよらなかったからです。
「どうして?
そっちの方が楽しくやってけるわよ、きっと。
戻れるかどうかもわかんないんだから――あっ、あれあれ!
あの小屋よ。
多分今夜は雨が降るからあそこに泊まりましょう」
そう言って雉姐は駆け出しました。
そのせいで反論を封じられた猿は雉姐の言葉を反芻するしか無かったのです。
「ほう、なかなか立派なものだ」
山小屋の中に入ると桃太郎はそう呟きました。
勿論、本当の家とは比べるくもありませんが
確かに人のいない小屋にしてはそれなりに広く屋根も破れていません。
「ではキジの言う通りここで泊まることにしようか」
「ボクお腹減ったー。
ご飯にしよーよ」
そう言って犬姫はここに来る途中集めた山菜と茸を出しました。
犬姫は鼻が利くので山菜集めは得意なのです。
「そうだな、用意してくれ。
私は焚き木になりそうなものを探してくる。
猿、一緒に来い」
そう言って桃太郎はふくれる犬姫と雉姐を置いて小屋を出ました。
猿は自分だけ連れて行こうとする桃太郎を訝しく思いながらも仕方なく後を追います。
「落ちてる小枝を拾おう。
キジの言う事が正しければ雨が降るそうだからなるべく多くな」
少し小屋から離れ木の多く集まっている所に来ると桃太郎はそう言いました。
「あ、ああ」
なんだ本当に焚き木を拾いに来ただけかと思って猿が安心しかけていると
すっと桃太郎が近づいてきました。
「・・・・偉かったな」
桃太郎はそれだけを言い猿の頭をそっと撫で始めました。
桃太郎が近づいてきた事に慌て何の事かわからなかった猿も
桃太郎のぬくもりが伝わると供に気が付きました。
「さっき謝った事・・・?」
「ああ。
お主が怒るのも仕方無いと思っていたのにお主は仲直りする為に過去の事に謝った。
中々出来るもんじゃない」
そう言われると猿は自らを誇らしく思えてきました。
撫でられた頭が温かくて認められた事が嬉しくて猿は少し泣きました。
お腹一杯になった桃太郎達は小屋の中でごろごろしています。
きのこ汁を作った土鍋の中はすっかり空っぽです。
ちなみに鍋もきのこ汁に使った味噌も箸にいたるまで全部他人から奪ったものです。
女二人連れで旅をしていると絡んでくる者が多いのですが
桃太郎はそれを残らず返り討ちにしているので自然と色々な物が手に入るのです。
「ねえ、ももたろさん・・・」
日課である刀の手入れをしていた桃太郎に犬姫が擦り寄ってきました。
大体、犬姫は桃太郎にひっついていますが
こうした甘え声を出すのはあの合図です。
猿が見ていようが雉姐が傍にいようがお構い無しなのです。
「ちょっと待っておれ」
そう言って桃太郎が刀を納め床に置くと犬姫がすかさず飛びついて口を付けます。
「あっ、いいな〜。
わたしも混ぜてもらいたいわぁ」
桃太郎と犬姫が口を食みあってるのを目ざとく発見して雉姐が近づいてきました。
「ねえ、わたくしも・・・」
そういって桃太郎の首に腕をまわすと横から唇を奪います。
「あぁ、もう・・・」
横から桃太郎を攫われてふくれる犬姫をよそに雉姐は桃太郎の口を激しく舐め上げます。
唾液の音をうるさいぐらいにたてて口を吸い桃太郎を驚かせると
雉姐は部屋の隅にいる猿に手招きをしました。
「ねえ、猿ちゃんもこっちに混ざりましょうよ?」
「いっ!?お、俺はいいよ!
おれ男だし・・・」
真っ赤になって断る猿に雉姐は色っぽい視線を投げかけます。
「じゃあ、わたしとしましょう。
わたしと接吻するのいや?」
雉姐のむせ返るような女臭は離れた猿まで届きました。
「き、雉姐とだったら・・・」
二人が盛り上がっている中、隅にいるのにも飽いていた猿は
雉姐の言葉に誘われ立ち上がりました。
雉姐は近づいてきた猿にすかさず接吻しべろんべろんに口を舐めまわします。
猿が苦しそうにもがくまで口を吸うと犬姫の肩をつかみました。
「ね、今度は二人でしてみて。
仲直りのあかし」
そう言って猿と犬姫を向かい合わせます。
「あ・・・」
猿は戸惑い、狼狽えました。
犬姫が嫌がるだろうから自分から退こうとしたのです。
ところが、なんと犬姫は特に嫌がるようなそぶりも見せず目を閉じました。
「ほら」
雉姐が震える背中をそっと押します。
猿は唾を飲み込むと犬姫の桜色の唇に自分の唇を押し当てました。
ぷにっと柔らかい唇が唇に触れ猿は歓喜しました。
ただの接吻ではありません。
許してもらえたという確かな証でもあったからです。
「えへ・・・」
唇を離すと犬姫がはにかんだ笑顔を見せくれました。
それがまた可愛らしく猿は心が浮き立つのを感じていました。
「あん・・」
しかしすぐに犬姫は雉姐に攫われ接吻され始めました。
それを目で追った猿と桃太郎の視線が交わされます。
「ん・・・・」
桃太郎が迫ってくると猿は全くの自然にそのまま接吻を受け入れました。
桃太郎の接吻は雉姐よりも優しく猿は思わず舌で答えてしまいます。
不思議なほど嫌悪も恐怖もなく桃太郎の舌を受け入れていました。
口の中に逞しい舌が入ってきた時には快感すら覚えていたのです。
「ながーい」
ふと気付くと接吻を終えた雉姐と犬姫が二人の接吻を見ていました。
それで恥ずかしくなって口を離すと雉姐がすかさず桃太郎の唇を奪います。
猿は余り者同士もう一度犬姫と接吻をしました。
そうして彼らは小屋の片隅でひしめき合い何度も何度も唾液を交換しあったのでした。
「そろそろ服を脱ぎましょう」
キジ姐がそう言うと一言の異論もなく全員が帯びに手をかけました。
桃太郎も猿も雉姐が色狂いの類だと薄々気付いていましたが
その狂いぶりは不快ではなく
従っていれば何やら気持ちよい事になりそうだと思える雰囲気があるのです。
「うふふ、犬姫ちゃん、もうぬるぬるじゃない」
「ぁふっ・・」
雉姐は嬉しそうに犬姫の秘部を撫でて押し倒します。
「本当に可愛いわぁ・・」
床に押し付けた犬姫にちゅっちゅっと接吻し雉姐は息を荒げています。
「もしかして雉姐って・・・女好き・・・?」
ふと湧いてきた疑問を猿が口にすると
雉姐は犬姫に体を擦り合わせたまま微笑みました。
「そうよ。わたしは可愛い女の子が好きなの。
キジだった頃からずっと好きだった。
捕まっちゃったのもあなたが可愛い女の子だったからなのよ」
犬姫のささやかなおっぱいに豊乳を押し付け雉姐は艶麗な笑みを浮べました。
「で、でもキジだった時は知らないけど人間になった今、
女で女好きでも困るんじゃ・・・」
「うふふ、何にも知らないのね」
そう言うと雉姐は犬姫の上からどき、猿に微笑みかけます。
「猿ちゃんだって犬姫ちゃんが好きなんでしょう?
彼女と交わりたいと思わないの?」
「え、だ、だって俺・・・」
戸惑う猿に雉姐はゆっくりと近づいて寝そべるようにうながしました。
お腹を撫で首筋を甘噛みして猿の行動を操ると今度は犬姫を手招きします。
「犬姫ちゃん、猿ちゃんの上に乗って。
後はいつも通りでいいから・・・。
桃太郎さんは犬姫ちゃんと交わるだけでいいわ。
あとは任せて」
犬姫が戸惑いながらも猿の上に四つん這いになると雉姐はにっこりと笑いました。
浅黒くしなやかな肌の上に透き通るように白い肌が重なりました。
対照的な色のふくらみが互いに形を歪め合い一つになっていきます。
浅黒い肌の中で唯一、仕切ったように白い恥丘の上に
丸く幼い尻が突き出されています。
その扇情的な光景に桃太郎は息を呑みました。
桃色に濡れて誘う犬姫の割れ目から垂れる涎が猿の下腹部へ滴り落ちているのです。
桃太郎は犬姫の腰を掴むとゆっくりと腰を押し当てました。
「あっはぁっ・・!」
重ねていた唇をずらし犬姫が悩ましい声を上げます。
抱きしめた体の急激な変化に猿は戸惑うことしか出来ませんでした。
犬姫の美しい顔が悦びに歪んでいます。
桃太郎が突き入れるたびに犬姫の柔らかな体が押し付けられ
その動きが自分にも伝わってきました。
猿はまるで自分が抱かれているかのような錯覚に陥っていました。
視界には桃太郎の顔しか映っていないおらず
体は桃太郎の動きの合わせて揺らされ耳元では犬姫のあえぎがうるさく聞こえてきます。
なんて気持ちよさそうなんだろう、猿は犬姫が少し羨ましく思えました。
それで猿は嫉妬している自分に気がつきました。
毎晩のように覚えていたものとは違うもっと心の奥から湧いてくるような嫉妬です。
犬姫と交われる桃太郎が羨ましくて嫉妬していたのに
今、猿が抱いたものは犬姫への嫉妬でした。
「んっ・・んっ・・んっ・・」
犬姫の尻がぺしぺしと打ち据えられる音に混じって
二つのあえぎ声が小屋の中に響いています。
一つは犬姫の、もう一つは雉姐のです。
雉姐はつがう二人の姿、特に攻め立てられている犬姫の姿を見ながら
自らの秘所を指で掻き回しています。
「もう駄目!いっちゃうっ!あぁん、わたしもうだめぇ・・・!」
雉姐が一際高く鳴きました。
三人の女の匂いが混ざり合う小屋の中で桃太郎は犬姫の中に子種を注ぎ込むのでした。
「はぁっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・」
膣の中に精液を注がれた犬姫はぐったりと猿の上に倒れこみました。
それを受け止めた猿は複雑な表情で桃太郎を見ていました。
今確かに猿は犬姫を抱いていて、同時に桃太郎に抱かれていました。
だけど、本当には抱かれていないのです。
「ねえ、次はわたくしですわよね?」
粘液で汚れた逸物を掴み雉姐が桃太郎にしなだれかかります。
「わたくしもう我慢できなくて・・・」
言葉を最後まで言い切ることなく雉姐は桃太郎の口を吸います。
その大きな胸に桃太郎の手が伸び揉みしだく様を見て
猿は犬姫をそっと横にずらし床に寝せました。
「ああんっ・・そこぉ・・」
嬌声をあげる雉姐の胸を弄ぶ腕を猿の両手が掴みました。
「・・・俺も・・・俺にも・・・・・・・・・・・・・・・・して・・・」
恥ずかしくて顔も上げられないまま、かすれた声が猿の口から出ます。
「猿・・・」
動きを止めた桃太郎が呟きます。
「・・いいのか?」
桃太郎がこちらに向いた気配を感じ猿はこくんと頷きました。
「あらあら、しょうがないわねぇ・・・」
言葉とは裏腹に何故か嬉しそうな雉姐が猿の肩を抱きました。
「いいわ、譲ったげる。
でも、身体を慣らす準備はしないとね」
「ひゃっ・・!」
雉姐は猿を後ろから抱きしめると床にお尻をつけました。
そして抱え込んだ猿の胸に手を伸ばします。
「あっ・・・」
「桃太郎さんも猿ちゃんの胸を触ってあげて」
言われるまでもなく桃太郎は猿のささやかなふくらみに手を伸ばしました。
くにくにとしたおっぱいは犬姫のよりも少しだけ固く芯があります。
「いっ・・」
「あ、すまん」
思わず強く掴んでしまい猿の顔が歪みます。
桃太郎はもう片方のおっぱいをいじる雉姐の手つきを真似して
優しく優しく猿の胸をなで始めました。
「ぁ・・・」
薄紅色の乳頭を桃太郎のが軽く掻くと猿の身体が小さく揺れました。
それを猿が嫌がっていない事に気付き桃太郎は繰り返し乳頭を苛めます。
「桃太郎さん、あそこの方も触ってあげて」
桃太郎は頷くと猿の合わされた膝を持ちました。
「怖がらなくていい」
桃太郎が優しい声を出すと猿の頑なだった膝がゆっくりと開かれていきます。
「そっとよ、そっと。指を濡らしてね」
雉姐の助言を聞き、桃太郎は指を舐めてからそっと猿の秘貝に触れました。
「あっ・・・!」
びくんと跳ねる猿の身体を雉姐が押さえます。
桃太郎の指は猿の陰核を割れ目の中から見つけ出し撫で始めました。
「うふふ、可愛いわねぇ・・」
猿が歯を食いしばり陰核を撫でられる感覚に耐えていると
雉姐までもが秘所に手を伸ばしてきました。
陰核を桃太郎に撫でられ膣口を雉姐につっつかれ猿の腰が浮いていきます。
にちゃにちゃと自らの出す汁をかき回す音を掻き消すように
猿の口からうめき声が漏れて始めました。
「キジ・・離してくれ。
もういいだろ」
痴態をみるだけでは我慢できなくなった桃太郎は雉姐をどかし猿の腰を掴みました。
出したばかりにも関わらずもう既に張り裂けそうなほど膨張したものを
猿の入り口へとあてがいます。
「いくぞ」
「うん・・・」
猿の弱々しい返事を聞くと桃太郎はゆっくりと侵入させていきました。
「うぅ〜・・・」
桃太郎が入ってくると猿がうめくような声を出します。
「痛いか?」
桃太郎が訊くと猿は顔をふるふると横に動かします。
「だいじょ・・ぶ・・」
その言葉を信じ桃太郎は一気に最奥へと突き入れます。
身体をがくがくと突かれ揺らされ猿は桃太郎にしがみつきました。
「あぁん・・すてき・・・」
雉姐はそんな猿の姿を見てまた自分で慰めています。
「くぅっ・・・」
猿は襲い来る感覚の渦から耐えようと桃太郎の首に腕をまわしました。
下半身から突かれる圧迫感、
押し広げられる痛み、
甘い痺れと優しい温もり。
それらが混ざり合って猿の心に押し寄せてきます。
ふと気が付くと犬姫が起きてきていました。
初めて心を焦がした女が男と交わっている自分を見下ろしています。
その瞳を見た時、猿は自分が何かを失った事を知りました。
惚れた女の前で犯されているのに恥ずかしいとすら思わなかったのです。
しかし、後悔はありませんでした。
堕ちていく感覚が快感として心に染みていきます。
「あっ・・・そこっ・・・」
桃太郎が動く度に猿の頭の中から思考が消えていきます。
桃太郎から放たれるオスの匂いが鼻の奥にねっとりと纏わりついてきます。
身体の中から痺れるような感覚が拡散していき頭の中にまで広がっていきます。
「そこだめっ!・・・ぁ・・・・めぇ・・」
猿がせつない声を上げて痙攣しました。
猿に遅れて桃太郎も絶頂に達し精液を注ぎ込みます。
桃太郎にしがみついた猿がほんの少し微笑みました。
桃源郷から帰ってきた時、桃太郎はまだ抱きしめてくれていました。
猿は戻ってきた五感でその事に気付くと心が暖かくなっていきました。
お腹の中が熱く感じられ、交わった事を再確認すると猿は喜びに包まれました。
猿の心の中にはもうどこにも孤独はありません。
優しく抱いてくれている桃太郎と、羨ましそうに見ている犬姫や雉姐とも
もう他人ではない、もうひとりぼっちじゃないんだなと思うと
嬉しくて誇らしくて頼もしくて猿は知らずの内に顔をほころばせました。
「何わらってんのー?
もう交代してよー」
「ちょっと、次はわたしよ。
ですよね?桃太郎さん」
犬姫と雉姐が詰め寄って来ます。
猿は二人を見て笑いました。
そしてその後にふと自分も二人と同じくらいおかしいと気付きました。
(狂人達の仲間はやっぱり狂人だ。
好きな人が二人いてそれは女と男だなんて・・・)
猿は自嘲するような笑みを浮べると桃太郎の顔を掴んで接吻しました。
「あっ、ずるーい!」
「ちょっとそろそろ離れなさいよ」
しかし、猿はなかなか桃太郎を離さず強い力で抱きしめて離しません。
「まったく・・仕方無い奴だな。
・・・もう一回か?」
桃太郎が訊ねると猿は恥ずかしそうに微笑んで小さく頷きました。
桃太郎が再度腰を動かし始め猿の身体がぬちゃぬちゃと下品な音を立て始めます。
「あー、順番守ってよー!」
「もー!わたし我慢できませんわ!
貝合わせして待ってるから次は絶対にわたしですわよ!
犬姫ちゃん来なさい!」
雉姐はふくれていた犬姫を押し倒し股に股を擦りつけています。
息苦しいほどに卑猥な匂いに包まれてこの日、四人は仲間になったのでした。