彼は女性を見つめるだけでオルガスムスを感じさせることができる。
彼の鋭い眼光から発せられる鈍い光を当てられた女性は、まるで愛撫されるかのように体をくねらせ、頂点に達するのだ。彼はその能力を使って楽しもうと、ターゲットを探して街中を歩いていた。
ふと、彼の目についた女性がいた。長い黒髪の女性だ。腰まであろうかというその髪は太陽の光に反射して美しい光沢を発していた。サラサラとしていて指を通せばさぞ気持ちいいだろうと彼は思った。
ターゲットを彼女に決めた。気付かれないように彼女の後を追う。彼が彼女を見失うことはなかった。スラリとしたスタイル。引き締まった腰。肉付きのいい尻。どれをとっても男性の目を離させないほどの魅力があったのだ。
彼女は交差点で足を止めた。赤信号である。彼は少し離れた位置で、彼女の後姿に視線を送った。
彼女はその視線に反応したように、キョロキョロとあたりを見回した。彼女の顔は想像通り美しかった。均整の取れた目鼻立ち。どこか幼さの残る目。彼は彼女に惹かれていた。
彼女は突然ビクッと、体を強張らせた。彼女は陰部を触られた気がしたのだ。痴漢かと直感的に思った。しかし、人は多くいるが彼女の陰部を触れるほど近くにいる者はいなかった。首をかしげた。
その時、乳首を愛撫されたように感じた。彼女は体をくねらせた。続けざまに、陰部に硬いものを突っ込まれた感触があった。思わず、
「アッ……」
と甘い声を出した。思ったより大きな声だったので、周りの人間が一斉に彼女のほうを向いた。視線を一斉に感じ、顔が紅くなった。
幸運にもそれとほぼ同時に信号が変わったので、彼女は足早に交差点を渡った。
彼はそんな彼女を見てにやりと口元を綻ばせた。
「この程度では済まさんぞ」
彼女は、体の具合が悪いのだと思い、近くの喫茶店へ入った。
注文したオレンジジュースが卓上に置かれると、一口飲んで、ふっと、溜息をついた。
彼女は同じ店の中に彼が座っているのは知らなかった。
彼は彼女の横顔めがけて視線を当てた。
彼女は一瞬ビクッと体を強張らせたが、堅く手を握り我慢していた。
「いつまで我慢できるかな」
一層強く念力を発した。
彼女の顔が見る見る紅くなっていき体が内側から熱くなっていく。さきほどの愛撫される感覚とはまた違う、体が火照ってどうしようもなくなる感覚だ。
彼女は恐る恐る手をスカートの中に入れた。パンツは秘部の形にそってぐっしょりと濡れている。その上から手でなぞる。上下へ優しく手を動かす。息が荒くなっていく。
「あぁ……」
パンツの脇から手を入れる。蜜が手に絡みつき淫乱な音を立たせた。陰部は何か堅いものを待つかのように口を開けていた。彼女の指がその口へと入った。中の肉が彼女の指を締め付ける。もう片方の手ではクリトリスを優しく転がしていた。
「はぁ……。はぁ……。もうダメ……」
彼女の手の動きが速くなっていく。クチュクチュと大きく音を立てる。
「お下げしてもよろしいでしょうか?」
彼女は突然の声に驚き慌てて手を引っ込めた。ウエイトレスが来たのだ。
「は、はい」
震える声で何とか返事をした。ウエイトレスが去ってから、あたりを見回した。数組の客が、店内にいた。そのなかの何組かはこちらを見て下卑た笑いを浮かべていた。
「なにやってるんだろ」
彼女は溜息をついた。彼女の片方の手は蜜でぐっしょりと濡れていた。拭かないと、と彼女が思った時、体がまたも熱くなってきた。
「まただ……」
彼女は必死で我慢しようとしていた。だが彼女の陰部に堅い男根が入り込んだように思えた。
「ああ!」
彼女は人目を憚らないで大きな声をあげた。店中が彼女を見る。だがそんなことも彼女は気にせず、悶えはじめた。
男根は彼女の中に入り込んでいる。クチュクチュと激しく音を立てている。巨大で堅い。膣が裂けんばかりの大きさだ。だが彼女は痛みを感じるどころか、今まで味わったことのない快感に酔いしれていた。
「アン! アン!」
男根が子宮にあたるたびに声をあげた。彼女の手は自分の胸を触っていた。乳首を転がしたりしていた。
片方の手ではクリトリスを愛撫していた。愛撫というよりかは、傷つけんばかりに引っ掻いていたというほうが正しかった。
彼女は狂い始めていた。
「もっと! ン……」
彼女の口にもう一つ男根が入ったきがした。実際には見えないのだが彼女にはその感覚が手に取るように分かる。彼女はその男根を手のひらで包み込むと、先を舌で優しくなめた。子供がアイスを食べるような、優しい舌使いだった。
下の方では激しい動きが間断なく続いている。
「あぁ、もっと! もっとちょうだい!」
彼女は思わず手に持っていた男根を荒々しく銜えた。男の味がした。男根はのどの奥のほうにまで当たる。しかし、苦痛には思わなかった。彼女は男根に征服されたがっていたのだ。
「アッ……。ンン……」
陰部の快感が激しいため、口腔性交がおろそかになっていく。その時、舐めていた男根が、精液を発射した。
白濁液が彼女の顔にかかる。彼女は慌てて男根をくわえ込んだ。生暖かい精液が口の中に広がる。普段は気持ち悪いとしか思わないこの液も今は極上のご馳走だった。彼女は男根から一滴も残さず搾り取った。口の中に広がる精液を味わうように口の中で動かし、飲み込んだ。
「ん、おいしい……」
彼女は恍惚の表情で全てを飲み干した。顔についた精液は指で掬い取り、舌で舐め取った。
膣の中の男根も狂ったように動いている。彼女もつられて腰を動かす。男根が子宮にあたるたび、男根が肉壁を擦るたび、淫乱に声をあげた。
「もっと! 激しく!」
男根は動きを止めたかと思うと、一瞬ブルリと振るえ暖かい液が膣内に発射された。ドクドクと感触が伝わる。大量に発射された精液は、膣内を踊り狂っている。
やがて放出しきった男根は膣から出て行った。
彼女は膣から流れ落ちる精液を手のひらで受け取り、口へと運んだ。
「アァ……最高」
彼女はしばらく放心状態であった。彼女は思った。一体なんであったのだろうかと。男根は精液を放出して、消え去った。今は、男根など影も形もない。妄想だったのだろうか、と。そう思った時、目の前に男性が何人も立っていた。
「なぁあんた、そんなにやりたいんだったら、俺らが相手してやるぜ」
妄想でもなんでもない本物の男根が目の前に広がっていた。
彼はすでに店を辞していた。彼女が果てたのを見て座を立った。彼はまた街中を歩く。ターゲットを探すために――。