「すず那ちゃん。この人たちは、病院内の広報を担当している職員の皆さんです。奉仕特  
待生のすず那ちゃんを取材したいそうなの。協力して頂戴ね?」  
(な、何もこんな時に……こんな人たちを……)  
 呆然とするすず那をお構いなしで、機材が準備されていく。  
「はい、準備オーケーです」  
 スタッフの一人がそう声を上げると、マイクを持った女性がすず那に近寄ってくる。  
「こんにちは、桐生すず那ちゃん。私は報道部の三住累と言います。  
 えーと、すず那ちゃんは、奉仕特待生としてここにいるわけだけれど……今はこれ、何を  
されているところかしら?」  
 にこやかなのに事務的な声が、すず那に『恥ずかしい質問』を向けてくる。  
「あ、あの……」  
 口ごもると、再度同じ質問が繰り返される。進藤医師や佐賀をちらりと見るが助け船を出  
してはもらえそうになく、仕方なし、すず那はつっかえつっかえ、自分の情けない状況を語  
り始める。  
「え……と、……お、浣腸を……して……いただいて……います……」  
「そう。あんなに沢山、こんな小さな身体に入ると思う?」  
「……さっき900ccのお湯が……入ったので……たぶん……」  
「うわぁ、そんなに沢山入ったんだ?この処置の前はどんなことをして、皆さんの勉強の  
お手伝いをしたの?」  
「……お、おく……すり……を……いれていただいて……それで……」  
「薬、どこにどうやって入れたのかしら?」  
「……お、お尻の……」  
「ん?」  
「お尻の穴です……。イチジクのお浣腸をして……頂きました……」  
「そう、それでどうなった?」  
「……たくたくさん……でま……でました……」  
「何が出たの?」  
「……」  
 
「ねえ、すず那ちゃん、奉仕特待生としてご奉仕しているすず那ちゃんはいちじくのお浣腸を  
されてどうなってしまったの?」  
「……う……ち……を」  
「え?」  
「……みな、みなさんの……めの、めのまえで……う、うんちを……してしまいました……」  
 まるで、ふらふらと誘導されるように、すず那は言いたくない単語を言わされていた。  
 言った途端恥ずかしさに耳まで赤くなる。まるでその瞬間を待ちわびていたように、カメラ  
のフラッシュがたかれる。  
「そう、うんち、お漏らししたのね?そうでしょう?だってお浣腸されてしたんですもんね?」  
「……は……い。そう……です」  
「それで?そのあとはどうなったの?」  
「……その……あとは……注射のような……お浣腸で……石鹸の混ざったお水を……い  
れて……いただきました」  
「それは1回だけ?」  
「……いえ……たくさん……」  
「やっぱり、うんちを漏らしたのかしら?」  
「は、い……漏らしてしまい……ました……いえ……あの……」  
「どうしたの?言っても構わないわよ?」  
「……石鹸のお水が入るとすぐ……佐賀先生が……すず那の、お腹を押して……お水と  
……う、うん……ちを……出すのを……手伝ってくださいました。でも……痛くて……とても  
痛くて……お尻もお腹も痛くて……つら、つらかった……です」  
 
「そう。だけど頑張ったのよね?それとも、泣いちゃった?」  
「な、泣きました」  
「どうして泣いちゃったの?」  
「み、皆さんに……見られながら……機械みたいに……扱われるのが……辛くて……恥ず  
かしくて……お尻もお腹も……痛くて……う、うんち……する……ところを何度も見られて…  
…それで……泣いてしまいました」  
 すず那は、顔は相変わらず赤いが、三住の誘導にまんまと載せられ、絶対に言えなかっ  
た言葉を徐々にすらすらと発音している。進藤医師が満足そうな顔をしているのは言うまで  
もない。  
 そういった質問を繰り返しているうちに、いつの間にか瓶の中身は空になり、すず那のお  
腹はぽっこりと膨らんで、見ようによってはアンバランスな妊婦のようになっていた。  
「あらあら、お湯が全部入ったわね。小さいのにすず那ちゃんのお腹はとても欲張りに出来  
てるみたい。進藤先生、最後に写真撮影をして終わりたいので、すず那ちゃんのベッド、起  
きあがらせて貰えませんか?」  
「分かりました」  
 三住の依頼に、進藤はあっさり頷き、すず那の横たわるベッドが少しずつ角度をます。  
それにつれて、腹部への圧迫はまさり、排泄への欲求も高まる。  
「あぁ……いやぁ……だめ……だめです……」  
「はいはい。もうすぐ終わりますからね、頑張ってください。えーと、絵的には……イルリガー  
トルのチューブはそのままで、ええ。導尿のチューブも勿論それで、両方よく見えるようにし  
ていただいて……。佐賀先生と進藤先生、すず那ちゃんの両側に立ってください。他の学生  
さんたちはその後の方に。はい、結構です」  
 
 三住は立ち位置をいろいろ変えつつ、細部を細かくチェックしていく。すず那は気持悪さと  
排泄欲に涙目になりながら、そんな三住を恨めしげに見る。  
 と、すず那の両手の拘束が不意に解かれた。軽くなった腕をさすりつつ、逃げ出すことも  
他の部分の抑制を解くことも出来ないにしても少しだけ、楽になった、と思う。だが、そんな  
すず那に、三住はとんでもない注文をつけてきた。  
「さて……。それじゃあね、すず那ちゃん、両手も自由になったことだし、あのカメラに向かっ  
て微笑んでピースサインして貰えるかしら?」  
(……え……?!)  
 この人は、一体何を言い出すのだろうかとすず那は思う。余りに突飛なことも進藤医師で  
なれてきたつもりだったが……この状況でそんなことをまさか要求されるとは思わなかった。  
「わ……らうんですか……?」  
 確かめるように尋ねると、三住は黙って頷くばかりだ。  
 仕方なし、微笑みらしきものを浮かべてカメラを見る。だがそれでは表情が硬いとか、わざ  
とらしすぎるとか、何度も駄目だしをされてしまい、そうなればなるほど、すず那に笑う余裕な  
ど出てこないわけだけれど、そんなことではいつまでも終われないと脅され、どうにか自然に  
見える笑みを浮かべ、ピースサインを示す。  
 カシャっという音で、記念撮影は終わる。だが三住は更にとんでもないことをテレビカメラに  
向かって喋る。  
「一生懸命、医学の為にご奉仕してくれている桐生すず那ちゃんの浣腸奉仕の模様をお伝え  
しました。それでは、最後はすず那ちゃんのお漏らしで締めたく思います。今後とも、奉仕特  
待生システムに、ご理解とご協力をよろしくお願いいたします」  
 素早い動作で、刺さっていた刺管が、さっとすず那の肛門から抜かれる。  
 
−プシャー!  
 
 まるで、漫画のような音と共にすず那の肛門から透明なぬるま湯が零れていく。散々浣腸され、洗浄されたので、澄んで綺麗になったそれしかカメラに映らなかったのがせめてもの幸いであっただろうか。  
(あぁ……なんでもう……信じられない……)  
 目の前が暗くなりそうなのを必死で堪え、徐々に萎んでいく自分の腹部をすず那はただただ、じっと凝視するばかりだった。  
 
 
 結局、体力が限界であろうということで、宣言されていたお仕置きは翌日に延期された。  
ものを食べる気力も殆どないすず那に、看護師はスプーンを口元に運び、無理に食べさ  
せ、さっさと寝かせてしまう。  
 それでやっとすず那は、安らかな一時を満喫したのだった。  
(眠っている……時が……唯一……暖かい時間……)  
 まどろみながら、そんなことまで思う。  
 
 翌日、午後になると又、放送でナースステーションに呼び出される。今度はすぐさま行動し  
て、前日のように嫌な思いをせずにすんだ……筈であった。  
 だが、どう考えても手ぐすね引いているとしか思えない進藤医師のあの笑みを見たすず那  
は、『お仕置き』のことを思いだして、身震いする。  
 当然佐賀もその場にはいて、その手に何か紙を持っていた。確認するように何度も目を通  
し、それからその紙をすず那に差し出した。  
 
「声に出して読みなさい。つっかえたらそこに付け加えるよ。さぁ、はじめて」  
 なんのことか分からないまま、すず那は紙面を読み始める。  
 
「ひとつ 呼ばれてもすぐに行きませんでした」  
「ひとつ 遅刻したことで叱られたのに言い訳をしました」  
「ひとつ お浣腸して頂いた時に、う……うんちを我慢できませんでした」  
 はっとした時には遅く、佐賀はすず那の紙を受け取り何かさらに追加で書き加えている。  
「最初からもう一度」  
 促され、つっかえたところも恥ずかしさに心の中で身もだえしつつ、なんとか読むことがで  
き、すず那はさらにリストを読み上げていく。  
「ひとつ 質問されたことに何度も答えることができず迷惑をかけてしまいました」  
「ひとつ 処置のたびに大騒ぎをして先生たちに迷惑をかけました」  
「ひとつ 広報の三住累さんに口答えをしてしまいました」  
「ひとつ 広報の三住累さんの指示に従えず、写真撮影で何度も迷惑をかけてしまいました」  
「ひとつ リストを読み上げるときに心構えが足りず、つっかえてしまいました」  
「私、桐生すず那は、これらの至らなかった責を自ら負う為、佐賀先生からお仕置きとして  
失態1つごとに5つ。合計40回のお尻たたきをお受けします」  
 
 最後まで読み上げて、すず那は顔面蒼白になる。  
(おし……りを……叩かれる?こないだ……みたいに?)  
 羞恥心で、かぁっと顔が火照る。それはいっそ『自尊心』故の赤面だった。だがここで口答  
えなどしようものなら40回以上の打擲を受けることになる。それは火を見るより明らかだ。  
 
(だけど……ほっぺただって……ぶたれたことない……のに……)  
 長い間、甘やかされ、大事にされて育ってきたすず那だ。父も母も平和主義者で、子供が  
悪さをしても、教え諭して反省を促すという教育方針だった。お尻を叩かれるということすら、  
想像の埒外だ。  
「おしめを自分で外して、お尻をこちらに向けなさい。それからちゃんとはっきり大きな声で  
『お仕置きをお願いします』と言いなさい」  
 まったく譲る気配のない佐賀の声に竦みながら、すず那はいやいや指示に従う。おむつ  
カバーを外し、紙おむつも外す。少しだけおしっこの臭いがするお尻を佐賀の方に向ける。  
「……お、お仕置きを……お願いします」  
 屈辱で今にも座り込みそうだったすず那を、佐賀はひょいと膝の上に横抱きに抱え上げ  
た。黒いスツールの上は不安定で、床がとても高く見える。  
「今日ははじめてだろうから、暴れても回数は増やさないでおいてあげるけれど、次からは  
逆らうたびに5増えるから、覚えておきなさい」  
 佐賀のそんな声は耳に入らない。よくよく考えればここはナースステーションで、看護婦  
達が忙しく行き来している。時には患者たちも現れて、物珍しそうにすず那の様子を眺めて  
いく。  
 そんな中、最初の一打が小さい臀部に振り落とされる。佐賀にしてみれば当然加減してい  
るのだが、すず那にとってそれは全く慰めにならなかった。  
 
「ひっ」  
 ぱしん、ぱしん、ぱしん、場所を少しずつずらしながら、小気味よいリズムで手の平が振り  
下ろされる。そのたびにすず那は  
「あぁ……いた、いや……ご……ごめんなさい……ゆる、許してぇ……」  
 そんな風に泣き声をあげ、そんな自分に羞恥を覚えてまた顔を赤らめ、だがまた痛みで  
悲鳴をあげてを繰り返す。  
 そろそろ20回を過ぎたところで、すず那は思わず失禁してしまった。  
「あらあら、せっかくのサンプルが勿体ないわねぇ……佐賀くん、次の時でいいからこれも  
リストにいれておいて頂戴」  
「分かりました」  
 淡々とやりとりを続けながら、佐賀はすず那を打つ手を止めない。お尻も太股も手形どこ  
ろかすっかり薔薇色に染まっている。青あざにならないよう気をつけてはいるが、それでも  
これは相当痛いだろうな、と無表情を装う仮面の奥で佐賀は小さくひとりごちた。  
 すず那の方はそれどころではない。自分がお漏らししたことにも気付いていなければ、進  
藤と佐賀のやりとりすら耳に入っていない。ただもう子供のように泣きじゃくり「ごめんなさい  
」とそればかりを繰り返し続ける。  
「やぁ……ごめ、ごめんなさい……すず……すず那……いい、いい子になります……奉仕  
……特待生……と……して……の……お手伝い……頑張りますから……もう……もうぶ  
たないでくださいぃ……」  
 すっと佐賀の手が止まる。そうして泣きじゃくるすず那に語り掛ける。  
「本当に、頑張る気持はあるのかな?」  
「あり、あります……がん……がんばります……」  
 
「……なら、あと10回で終わりだから、それも頑張りなさい」  
 その宣言にすず那は絶望して大声で泣きわめいた。  
「うわああああん!えぐっえぅ……あーん……やだぁ……!」   
 じたばたと、佐賀の戒めをふりほどこうとするが、まったくびくともしない。(これもリストに  
追加か)苦笑まじりにそう思い、残り10回の躾を少し力を増やして打ち降ろす。  
「あーん、いやああ……もういやぁ……許してぇ……ごめん、ごめんなさいー……痛い、痛  
いよー、ママー、パパー……!」  
 この身体のどこにそんな力があるんだと、思わず佐賀が呟きたくなる程の抵抗振りだ。い  
い子のふり……をしていた仮面がすっかり剥がれ落ちている。  
「36、37、38、39、40!」  
 最後の1回、佐賀ですら予想外の力が入る。パシーンと乾いた音がナースステーションに  
響き渡った。  
「ひぃ……!……うあ……うあ……うあぁぁぁん……」  
 開放されたすず那は、床に座り込み子供のような鳴き声を上げ続ける。股間から水たまり  
が広がりはじめ、慌てて看護師たちが吸収剤を準備する。  
 そんな喧噪を横目にしながら、佐賀はすず那の頭に手をそっと載せる。  
「痛かったかい?」  
「……えぐ……いた……かった……ぁ……あーん……!」  
「そうか。すず那が、悪い子だったから、お仕置きをされたのは分かったね?」  
「わか、わかり…ましたぁ……えく……っぅく……」  
「そう。なら、これからはいい子になる努力をする?」  
 
「しま、しますぅ……だからもう……ぶたないでくださいぃ……」  
「すず那は奉仕特待生だ。自分に与えられた義務を精一杯果たすよう頑張るって……誓え  
るかな?」  
「ちか……ちかえま……す……ちか……います……」  
「うん。じゃあ、お礼を言いなさい。その誓いがすず那の中にしみ通るための儀式だと思いな  
さい」  
「うぅあぅ……すず……那に……おし、お仕置き……して……くださって……あり、ありがとう  
……えぐ……ございまし……ましたぁ……」  
「よしよし、よく言えたね。悪い子になったら、またお尻をぶつよ。表面的にいいこのふりをし  
てもすぐに分かるんだからね?心からきちんと、奉仕特待生としてのつとめを果たせるように  
ならないと駄目だよ?」  
「……は、ぃ……がん……がんばります……」  
 すず那が、真っ赤な目をしながらもそう頷くと、佐賀はすず那を抱きかかえ、ナースステー  
ションの中にあるベッドに横たえる。おしぼりを出し、濡れてしまった身体を拭いてやる。それ  
から別のおしぼりで涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔も拭いてやる。  
「ほら、綺麗になった」  
「うぅ……あり……がとうございます……」  
「そう、その感謝の気持ちを忘れちゃだめだよ」  
「はぃ……」  
 恥ずかしそうに頷くすず那に、佐賀はひとまず満足げな笑みを浮かべ頭を撫でてやる。  
 
 佐賀とて分かってはいた。「今」はダメージを与えられたが故に素直なすず那になっている  
のであって、これからも嫌なこと辛いことがあるたびにすず那は騒ぐし反抗もするだろうし…  
…こうして泣きわめいて暴れもするだろう。またどんなにすず那自身がいい子であろうと勤め  
たところで、自分や進藤医師ならばいろいろと理由をつけてそれをペナルティに課すことだろ  
う。  
 それでも、今、素直にこちらに従い、身を預けてくるすず那に、ひとときのご褒美は与えて  
も良い。恐らく進藤もそう思っているのだろう。さきほどからこれらのやりとりに口ひとつ挟ま  
ない。いや、あとで叱責されるかもしれないが、構うことはない……自分にはもう、守るべきも  
のなど消えているのだから。  
 とりとめなく……佐賀はそんなことを思いながら、すず那に新しいおむつを当ててやり、カ  
バーをつけ、それにまた礼を言わせる。今のすず那は取り敢えず一つ一つに「心から」の謝  
意を表す気分でいるようだ。  
 念のため、進藤の許可をとってから、佐賀はすず那を横抱きにして自室に連れて行ってや  
ることにする。なんとも破格の待遇だ。今日だけ、この一時だけの甘やかしである。  
 泣き疲れ、痛みに消耗して、すず那は眠りに落ちた。疲弊して寝るというパターンが余りに  
続いている。こうもか細くては度重なる処置に耐えられないかもしれない。念のため、例え長  
期化しても時間をかけて様々な処置を行って貰えるよう、進藤に話すべきだろうと、佐賀は決  
心する。  
 最終的に、来年の春にはインターン期間を終え、正式な医師として、ここに登録される。そう  
したら、すず那の身柄は進藤から佐賀に移ることが初めから決まっていた。  
 まだまだ未知数ではあるが、この少女がどういう成長を遂げるか、見届けたいというのが、  
佐賀の本心であった。  
 

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