はるかをやり過ごした後、はるかの部屋の明かりが消えてたっぷり一時間経ってから、  
巧ははるかの部屋の前に立って軽くノックした。一応はるかが起きていたときのために  
用事も考えてある。  
 次に、玄関のドアの足元に釣り糸を張って、その先に大きな音の出そうなものを手当  
りしだいにぶら下げた。父だろうがいのししだろうが、これでわかる。これは半分冗談  
だ。父の帰宅は大抵騒々しいので、念のため。  
 最後に家中の電気を消して回り、もう一度はるかの部屋をノックする。そして姉の部  
屋に鍵がかかっているのを確認して、自分の部屋に戻った。  
 巧の勉強机の椅子に、姉は座っている。  
「あの子にいい加減なことしないでね……」  
 都は唯一の心残りを消そうと、巧に念を押してきた。  
「大丈夫、あれで十分だろ? 全部聞いてたんなら」  
 巧は、窓の鍵を確認してカーテンをしっかり閉じ、入り口のドアにも障害物を設置す  
ると、  
「これでもう、邪魔は入らないよ」  
 と姉を覗き込みながら言った。  
 
 椅子の上で肩を竦ませ、膝の上に両手を固く握って、姉は震えていた。そんな様子を  
見ていると、巧も緊張してくる。姉に自分で立ち上がる力はないとみて、巧は都のそば  
に膝をつき、背中と膝裏に両手を入れて、ゆっくりと抱き上げた。  
 小さく声を上げる姉に目で大丈夫と言って、強張った姉の身体を抱く力を強くする。  
 決して身体の大きい方ではない巧には、結構な重労働だったから、すぐにベッドに姉  
を下ろし、力の入った姉の両手、両足、身体のそこかしこをほぐすように感触を確かめ  
ていく。厚手のシャツの上にさらに機械編みのベストを身につけた姉はそれでもとても  
柔らかく、かえってその触り心地のよさを強く印象づけていた。  
 徐々に強張りが抜けていく姉の身体を自分の横に放し、巧は用意してあった最後の理  
性を使う。  
「これは賭けみたいなもんだから。見つからなかったら、これからもうまくいく。もし  
親父に見つかったら、それでお終い。だから、絶対見つからないように気をつけたい。  
俺はやっぱり、見つかりたくない、ずっと姉ちゃんともこうしていたい」  
 理性とは言えないかもしれない。  
 例えばはるかに見つかったら、はるかを巻き込むのだ。  
 都が両手を巧の首に回した。  
「私も見つかりたくない」  
 気持ちのままに強く引き付けられ、目の前で告白された。  
「ずっと、巧と……これ、したかったの」  
 
 これ、の中身をはっきりと言わせてやりたいところだったが、今は今だけの二人の関  
係を満喫していた巧は、姉の言葉に素直に同意し、髪をまさぐって「俺も」と頬に唇を  
滑らせる。それに都がうっとり応えながら、  
「あんな、違うとこじゃない、普通のやつがしたかったの」  
 それは巧も同感だったが、姉の口からそういうことを次々に聞かされて、巧は興奮しっ  
ぱなしだった。  
 姉は本当のことを話した。  
 巧の初体験話を聞かされたときのくやしさ、(私のもののはずだったのに)と思って  
しまった罪深さ、それを受け入れてすべてを捨ててでも弟を手にい入れようとしていた  
浅はかさ、さらに環にそのあとを取られたショック。  
 その後のことは、巧も知っている。二人で、ずっと向かい合っていたのだから。  
 巧は、久しぶりに初めての時の少女のことを思い出した。  
 あの子はいまなにをしているだろう、と未だ鮮明に覚えている、手慣れた感じの年下  
の女の子の今を思い描く。  
 姉達とのことがなくて、あの後もう一度でも出会っていたら、今頃はあの子とこうし  
ていたかも知れない。そういう予感があの春の日にはあった。  
 まだそれから半年しか経っていないのに、巧はもう何年も戦って生き抜いてきたかの  
ような錯覚に陥り、そして現時点を悟った。  
 自分の居場所はここでいいのだ。そうして今に立ち戻り、姉が確かに自分の腕の中に  
いることを喜びを持って噛み締める。  
 
 明かりを落とし、神経が暗順応するまでの間、しばらく手さぐりで姉の身につけたも  
のをはずしていった。姉の白い身体が露出していくのに合わせるように目が慣れていっ  
て、巧は目の前にある肌の起伏のあまりの悩ましさに見ていられなくなった。  
 こらえきれず、姉の裸の胸元にすがりついた。  
 熱く柔らかく、そして求めていた匂いがする。姉の肌だ。呼吸を整えながら、最後の  
一枚まで取り除こうと再び姉の身体に手をかける。  
 完全に慣れてしまうと、外は月明かりで意外に明るかった。  
 首や袖を抜くたびに曲線は様々に形を変え、それが一瞬で移り変わっていく光景に目  
を奪われた。  
 そして、その暗がりの中で今、真っ白な太腿が大きく広げられていく。  
 姉の股間の草むらの奥はとても自然に濡れて震えていた。  
   
 巧は自分も手早く裸になって姉の足の間に入ったが、身体を重ね合わせるとすぐに唇  
を貪った。下半身が擦れあって性感に神経が悲鳴を上げるけれど、とにかく気の済むま  
で舌を絡めあい、きつく抱きしめあって、感情的な確認をする。  
 姉に対する想いがまがい物ではないことを感じた。ただの性欲ではないし、この先姉  
に後ろめたいことはなにもない。  
 姉は濡れていた。  
 だから巧はすぐにでも始めたかったが、これから痛みしか感じられない姉のために少  
しだけ意地悪をする。  
 
「絶対声出さないで」  
 姉の広げた足の間にいた巧は、身体を起こして姉を裏返しにした。  
「初めては後ろからの方が痛くないんだって」  
 本当かどうかは問題ではない。姉の手足をちょうどいい角度に細かく変えていく。姉  
は逆らわずに、受け入れる姿勢をとっていく。これが、自分の運命を無理矢理変えてし  
まった女の身体なのだと、いろんな思いをかき混ぜるように、姉の股間ににちゃりと音  
を立てている粘液を巧がすくうと、姉の息が激しく乱れ、肩を落として震えた。  
 巧はそれをそのままにして、姉の背中に覆い被さって、背筋の弱いところを責めた。  
 姉が懸命に声を押し殺して上体を激しく捻る。  
 その口元を枕に押し付けさせた。その動きで、一息に狙いをつけ、押し入った。  
   
 くぐもった悲鳴と身体の激しい強張りが、巧の胸を詰まらせた。  
 迷ってはいけない。根元までぐいぐいと押し進め、突き当たると、力を緩めてそのま  
まの姿勢で姉の背中に頬と唇を這わせた。  
 姉の身体が激しい痛みから逃れようとしているのか、狂おしさに乱れているのか、巧  
にはわからない。巧の身体の下で、姉が上体をどのようにくねらせても、腕でなにを掴  
んでも、そのたび巧の肉棒を食い締めて放さない都の熱く狭くうごめく膣肉は、巧の欲  
望を遥かに越えたとてつもない快感を、巧の下半身に生み出していた。  
 みちみちと乱れた息に呼応して収縮する肉の感触は、もう、たまらなかった。浴室で  
唇に吸い上げられたときのことも吹き飛んでしまって、巧は姉の状態を忘れた。  
 
 肉欲に満たされて、巧は前後に腰を動かしはじめる。  
 姉のくぐもった声がかすかに、とめどなく漏れ聞こえ、巧はそれにも刺激されて激し  
く姉を突き上げた。理性もなにもない動きだった。  
 環の力強く押し包んでくる感触と違い、ひたすら狭い姉の肉の穴を彫るようにえぐっ  
ていった。  
 姉の背中は、巧の動きに引っ張られてぐにゃぐにゃとのたうっていた。  
 その艶かしい肌を犯したい。そこに浴びせてやりたいと思った時には、すでに身体を  
沸騰させるようなものが肉棒の先を走り抜けていた。  
 声にならない声でうめいて巧が腰を強く押し付けると、その力のままに二人の膝は滑っ  
て、そのまま押しつぶすように巧は腰を叩き付けた。  
 生まれて初めて、巧は、なんの障壁もなく姉の身体の奥底に欲望をまきちらした。強  
烈な快感が止まらなかった。二度、三度と腰を打ち付け、そのたびドクドクと絞り出す  
ように吐き出していくのを自ら感じ取り、魂を震わせる。  
 どうやっても同じセックスなのに、なのにこれは命の喜びとか、そういう別次元の体  
験なんじゃないかと思った。酔った。  
(こんなの、言葉じゃ絶対伝わんねーよ)  
 巧は胸を詰まらせて、押しつぶし、刺し貫いたままの姉をかき抱き、首筋に頬を擦り  
付けた。それに反応するように都が首をめぐらせてくる。  
 すぐに唇で応えた。  
 目的を遂げて萎んだものが姉から抜け出る感触を味わいながら、舌で激しく姉を貪っ  
た。  
 
 §  
   
 あわよくば二回戦を、と目論んでいた巧は、後始末をしようと明かりをつけた瞬間  
ギョッとして、  
「ね、姉ちゃん大丈夫?!」  
 とベッドでうつぶせのままの姉に駆け寄った。  
「?」  
 姉が熱い息のままで薄く微笑んで上体を起こし、巧はそのしなやかに反った背中にも  
う一度頬ずりでもしたいところだったが、  
「シ、シーツ……」  
 と姉をそこから起こし、大出血で真っ赤に染まった姉の股間とシーツを、死ぬほど引  
き抜いたティッシュで押さえ、  
「ごめん、俺、なんも考えてなくて……」  
「その、痛かったけど、こういうものじゃないの?」  
 姉のかわいいセリフを味わう余裕もない。  
 悪くてもせいぜいちょっと染みになるぐらいだと思っていた巧は、まったく備えをし  
ていなかった。これは洗ってもとうてい落ちないだろう。干したりなんかしたら、なん  
の染みかまるわかりだ。近所中に知れ渡るに違いない。  
(す、捨てるしか……)  
 
 シーツを剥がした下のマットにも染みができていた。  
 恥ずかしそうな姉を晒しておけなくて、手早く後始末をつけると、念のためナプキン  
をそこにあてる姉から慌てて目を逸らし、明かりを消して二人、服を身につけた。  
 丸めたシーツを厳重にくるむと、ゴミ袋に押し込んだ。マットはウェットティッシュ  
でひたすらつまんだらなんとか綺麗になった。  
 巧はくらくらしていた。  
 予想外のことに、かえって欲望を刺激されて、今一度、姉を押し倒したくてしかたが  
ない。これ一度っきりにしたほうがいいのではないかという気持ちがまだどこかにあっ  
て、ならば思う存分貪ってしまいたいという思いが、神経を高ぶらせている。  
 そんなことはできるはずがない。だから、せめてその身体をいたわりつつ、まさぐっ  
て自分の肌を慰めた。  
 都はそんな巧を知ってか知らずか優しい目で見つめ、静かに手を巧の背中に添わせて  
いる。  
   
 お詫びと称して巧が服の上から触れてくるのを、都は陶然となって受け止めた。  
 巧はそれを見ながら、この姉から離れたくない自分を、もう完全に受け入れていた。  
嬉しかったのは、やり終わったあとの高揚感がまるで環のときと同じだったことかもし  
れない。自分で見極めた自分の気持ちは、間違いではなかった。  
 環には「生でやりました」とか「思いっきり中出ししました」とか報告しないといけ  
ないだろう。姉に確かめる。  
 
「姉ちゃん、本当に二番でいいと思ってる?」  
「そんな、だって……」  
 都は、なにをいまさら、と言いたげに膨れた。  
 それは確かに自ら日陰者になることを選択したのだから、巧をもそうしてしまわない  
ように、ということなのだろうが、巧に都合が良すぎる。  
「姉ちゃん、どのぐらい痛かった?」  
 巧が下腹を押さえるように聞くので、都は身体をよじってその手をはずし、  
「その、痛いのはそれほどじゃなかったの……、すごく汚しちゃったけど、あの、ごめ  
んね」  
「姉ちゃんがあやまることじゃないでしょ」  
 むしろ原因は自分だろうと巧は申し訳なく思い、  
(やっぱり、早く気持ちよくさせてあげたいなあ)  
 と自分と姉のどっちが嬉しいのかわからないことを考える。  
 当面触りたいから触る。姉は喜んでくれる。それでいいじゃないかと思う。  
 膝の上に姉を抱え、後ろから胸を揉んでいると、もういつまでも飽きない。そうする  
うちにまたできあがってしまった顔の都に、  
「ずるい……」  
 と言われ、巧はズボンを下ろされてしまった。  
「いや、汚れてるから」  
 
 と姉を制し、やっぱりもう一度シャワーを浴びてくると言うと、さらにいっしょに入  
りたいと乞われた。渋っていると、  
「意地悪」  
 その表情がかわいすぎる。  
 こういうところは環には絶対真似できない。これだけでも姉を捕まえておく価値があ  
るのかもしれない。  
 逆に、たったこれだけのことで姉が幸せになるのなら、それを頑として拒んできた自  
分のプライドなど紙屑のようなものだと思う。  
   
 最後の冒険をしようと、都の部屋はそのままに二人でこっそり降り、急いでシャワー  
を浴びた。  
「ほんとはもう一回したかったんだけど」  
 と口を滑らせ、姉が口を使ってくれようとするのを見て、慌ててそれを止めた。さす  
がに下はまだ痛いのだろう、巧はそのかわり、と付け加え、  
「予定通り、明日もしようよ」  
 と姉を誘った。  
「だから今日はもう、そんなことしないで」  
「うん……」  
 とても恥ずかしそうな、でも嬉しそうな姉を見て、切なくなって巧はそのままシャワー  
のお湯の下で姉を抱きしめた。あててあったものを外した姉の股間からは、血とそれに  
混じった白いものが腿をつたって流れていく。  
 
 見なかったことにしてそのまま唇を吸い、そこで別れることにした。  
 姉は先に出て、部屋に戻る。  
 巧は、しばらくお湯を張り直したバスタブに浸かり、姉の身体を反芻し、それからは  
るかのことを思った。  
 巧が何を考えていようと、周りはそんなことにおかまいなしだった。なるようにしか  
ならなかった。  
(いーや、なるようになる、だな)  
 だから明日も楽しくやりたいことをやって、見逃してもらえればいいなあ、と思って  
いる。ゆっくりしてから部屋に戻ると、姉からのプレゼントのようなものが机にたたん  
で置いてあった。  
(穿いてた下着……)  
 とりあえず置き忘れだと思うことにする。  
(寐てる間に頭に被せてやろうか──なんてな)  
 後日、悪戯として実行した後でただの置き忘れだったことがわかり、久しぶりに殴ら  
れることになるのだが、その前に巧には明日も素晴らしいお楽しみがあるのだった。  
 
 

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