ある放課後の体育館。そんなベタなシチュレーションで
僕は困っていた。
「…あ、あの…私と付き合ってください!」
「……えと…。」
僕は泉 和希
…女です。
「あの…さ、僕、女なんだけど…」
「知ってます!…私のこと嫌いですか?」
「ぅ……嫌いじゃない…けどさ…違くて…。」
その時、誰も来ないようなこの場所に一人が駆けて来る。
「帰ろうぜ和希……って、取り込み中だった?」
栗色の短髪に学ラン。
僕より10cmくらい背が高い、彼の名前は悠。相川 悠。
「ぁぅ…悠くん…。」
「…和希ちゃん…その人誰?」
悠くんに目を向けた僕に対して、語気を強め聞いてくる。
「えと…悠は幼馴「恋人。」
あ。
僕に後ろから抱きつく悠くんの重みと、…前方からの殺意を感じる…ぁぅ。
「…BL反対ぃぃぃ!!!」
彼女は泣きながらそう言うと、全速力で走りさっていった。
「あははは!」
悠くんは愉快に笑うけど、僕はたまったもんじゃない…。
でも
「…BLってなんだろ?」
「…。」
悠くんが一瞬沈黙した。