小学校最終学年の冬休み、花梨は家族とともに祖母の家に遊びに行くことになった。
今回は、祖母の家のすぐ近くの従兄弟の家で日中を過ごしてから祖母のところへ向かうことになっている。
そこに少なくない彼女の親戚が集合するのだ。
父親の運転する車の中で、母親は車酔い防止に眠っている。
花梨と2つ年下の妹の桜子は、後部座席で5歳の弟の葵を挟んでくすくすと笑っている。
二人とも、花梨より一つ年上の従兄弟と遊ぶのが楽しみなのだけれど、
数ヶ月に一度しか会わない、という状況の下で、最近芽生えてきたちょっとした恥じらいの心から
従兄弟に自分たちから「遊ぼう」と言い出すことができないことが、この1年くらい続いていた。
そこで彼女たちはちょっと策を練り、自分たちの弟が彼にいたずらするように仕向けて、
自分たちが止める形で割って入り、
そのまま遊びになだれ込む、という計画を毎回のように立てては成功させていたのだった。
遊びの内容はたわいのないもので、親戚へのご挨拶のためのよそゆきの服も何のその、
リフォームしたばかりの広い田舎の一軒家の2階と屋根裏を盛大に使ったかくれんぼだったり、
(一階では大人たちがお茶を飲んでいるので立ち入り禁止なのだ)
互いの学校の様子を実演つきでおもしろおかしく紹介したり、
とにかく、団地住まいでちょっと大きな声をたてても怒られるこの姉妹にとって、
この田舎の家での従兄弟と過ごすひとときは、解放感に満ちていた。
姉妹はくすくすと、言葉を出さずに期待に満ちた目だけで会話している。
弟は、花梨に抱えられたまま寝入っている。
そうこうしているうちに、車は畑の中の一軒家にたどりついた。
「やっと着いたね」
花梨は桜子を促し、目をこすっている葵の手を引いて車から外へ出る。
つやつやのボブヘアが光に反射する。
「お母さん、伯母さんへのお土産だけ荷物おろせばいいんだよね?はい、これ」
母親はまだ車に揺られているようにほわん、としながら答える。「あ、ありがとう。」
桜子はお気に入りのピンクのリボンのついたポーチを手にしてぴょんっと車からとび出す。
膝丈の焦げ茶のコーデュロイのフレアースカートの裾を花梨が直してやると、
桜子はお返しに、花梨の深緑のワンピースのサッシュのリボン結びが斜めになってしまったのを戻す。
おめかしの仕上げをした姉妹はふふっと笑い合う。
父親は、呼び鈴を鳴らした。がらがらと引き戸が開く。
クリーム色のエプロン姿の後ろ、廊下のすみっこに、紺色のセーターが見えた。
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「お義姉さん、よくいらしてくださって。
もう、だいぶ集まっているのよ。まあ、どうぞお入りください。」
と叔母が玄関口で言う。確かに中からにぎやかな声がする。
母は「これ、つまらないものだけれど。。」と菓子折りを、
そして父親は、「みんな元気かい?」とこれから酒盛りのために日本酒を差し出す。
「まあまあ、ありがとうございます。まあ、花梨ちゃんも桜子ちゃんも大きくなって」
「僕はー?」と葵が口を挟む。「葵君も背のびたわねー」
「叔母さん、お久しぶりです」
花梨は、微笑んで叔母に会釈しながら、葵の頭も一緒に下げさせる。
桜子は、ちょうど奥から出てきた仲良しの(というより桜子は叔父の大の気に入りなのだ)
叔父につかまえられて「よーしよし、いい子だ。小遣いあげるからなー」と構われている。
招かれて家族は宴会場と化した客間に入る。
「龍樹もこちらにいらっしゃい」
叔母の声に「分かったから」と変声期特有のハスキーボイスが響く。
紺のセーターとジーンズが客間に現れる。
他の叔父叔母も集まって子供たちの品評会となる。
「花梨ちゃんは優秀でいいわねえ。うちの子なんか、サッカーばかりで。」
と龍樹をちらっと見ながら叔母が言えば、
もう一人、別の叔母は「いいじゃない、みんなかわいい盛りで。
うちなんか二人とも成人しちゃったからね。あとで来るかもって言っていたけれど」と返す。
花梨、桜子、葵はジュースをもらい、返事は母親に任せて曖昧な笑みだけで答えながら、
無言の会話を繰り広げる。花梨の視線は特に龍樹に行きがちで、龍樹もそれに気づいてか否か
心なしか花梨を意識しているような気がする。桜子はちゃっかり叔父に小遣いをもらってから
花梨の後ろにくっついており、「遊んでほしい」オーラが龍樹に向かって出ているのも、花梨は感じている。
花梨は、葵を半ば抱いていたが、ふっとその耳にささやく。
「葵。龍樹くん、何かいいものもっているみたいよ。」
彼のポケットに入っている手が何もつかんでいないのは承知の上だ。
葵はちょっとためらったが、桜子が「龍樹君、やさしいから葵が行ったら見せてくれるかも」
と言い、花梨が葵を抱いていた手を離して立たせると、好奇心から彼の方へ向かって行った。
「ね、何持っているの?」
「あ?何も持ってないよ」「嘘だあ。見せてよ」二人のじゃれ合いが始まる。
花梨は、我が意を得たりとばかり、「葵、静かにしていなきゃだめよ」と声をかけるが、
じゃれ合いそのものが楽しくなってしまった葵は聞かない。桜子は素知らぬ顔をしている。
花梨は、困った表情を作って、母親に向き直り、「お母さん、葵と桜子つれて二階に行っているね。
叔母さん、いいですか?すみません。みなさん。ちょっと失礼します」と2人を促して部屋を出る。
叔母は「龍樹、一緒に遊んできなさい。2階は自由に使っていいわ」と大人だけの空間を早々と完成させようとする。
「まあ、本当に花梨ちゃんは大人ねえ」という声を背にやってられない、とばかりに龍樹も席を立った。
「こっち。」思春期特有のぶっきらぼうさで、龍樹は先に廊下に出ていたはずの花梨の前に出て階段を上る。
花梨は自分の前に葵を歩かせて弟が転ばないように気を配りながら階段を上りつつ、
龍樹の後ろ姿を見つめる。桜子がツインテールを揺らして後に続く。
2階は陽当たりがよい。親戚たちの前では、優秀と言われる子の花梨も、愛嬌があると評判の桜子も、
とかく従兄弟たちの中で年齢が近いせいで彼女たちの比較対象にされがちで複雑な感情を抱いている龍樹も、
2階では気兼ねせずに向き合うことができる。もっとも、花梨は最近若干のためらいを覚えているのであるが。
「ね、あそぼ」葵がねだって、はっと花梨は龍樹から視線をそらす。
「そうね。そういえば、中学校って休み時間や放課後は何して遊んでいるの?」花梨は龍樹に尋ねる。
「俺はサッカーばかりだけど。。そっちは?」
「え、私は、外遊びは苦手だから。あ、今、女子の間で怪談が流行っていてね、私得意なの。。」
一度うつむき、黒髪が顔の前に垂れ下がるのを確認してからふっと前を向いてあらぬところを見つめる。
「たとえば、この部屋に。。」
「わー、ストップ。やめてよ、花梨ちゃんがすると、知っている話でも本当に怖いんだからー。
葵、泣くよ?」桜子が止める。
「じゃあ、桜子のクラスでは何してるのよ」。通常モードに戻った花梨が尋ねる。
「え、うち?」桜子がなぜか顔を赤らめる。
「何よ」
「。。あのさ。私、くすぐり弱いじゃん。」
「あー、そうねー。」思い切りうなずく花梨に龍樹もこの夏の記憶を呼び起こす。
たしか、鬼ごっこの罰ゲームはくすぐりで、桜子は、ちょっと背中に触れただけでも
思い切り反応して涙目になったのだった。
「男子たちにもばれちゃってさー、クラスでくすぐりの刑が今ブームなんだよねー。
で、もちろん私がすごい弱いの知られているから遊ばれちゃって。それで悔しくてさあ。。うー」
「対策でも練ったの?」と、続きを言い出さない彼女を花梨が促す。
「うん。。隣のクラスの女子に相談したら、男子相手だったら、こうやって仕返したらいいよって、
男子に罰ゲームする方法を教えてもらったの。そしたらすごい効き目で。」
「どんなの?葵か龍樹君でやってよ」花梨にはその方法の見当もつかないが、龍樹は何か思い当たるようだ。
思わず後ずさっている。
「え、いいの?じゃあ、葵で。」
実はちょっと仕返しのできて楽しかったらしい桜子は、それでも龍樹を相手にするのは気が引けたらしく、
葵を指名した。「龍樹君は、見てて」
桜子はにっこり、と笑って言う。「葵、寝て」
訳のわからない葵は、遊んでもらえると思って「こう?」と横になる。
桜子はいきなりその両足をつかみ、股の間に靴下をはいたままの足を挟む。龍樹の前でさすがに顔は赤らんでいる。
「こうしてね。足で」とちょっと力を入れて揺する。
と。葵が狂ったように笑い出した。「きゃはははは。やー。やめてー!」
桜子は、「もうちょっと。この間、葵私の人形に落書きしたでしょ。罰ゲーム。」とさらに力を加える。
「ごめんなさい、もうしません、許して。きゃー」
。。5分後。みんな元通りに座っていた。
桜子は少し上気し、葵はくったりしている。「ね。これでくすぐりに対抗するの。」
「ふーん。。」花梨は初めて見る「遊び」に多くの言葉はもらさない。
龍樹は、「それは。。。効くだろうな」と少し冷や汗気味だ。
葵が口を挟む。「ひどいよ、桜子ちゃん。僕くすぐっていないじゃん。やり返してやる。」
「あら、あんたに力で私が負ける訳ないでしょ?幼稚園児が生意気言うんじゃないの」
と葵のおでこをピン、とはじく。
う、と詰まった葵は「じゃあ、龍樹君。桜子ちゃんに同じのやってよ。ねえ。」
と味方をつける方向に出た。
「え。。でも、俺がやったらやばくねえ?」
「だって、僕苦しかったんだよ。」「それは分かるけど。。」
「やだ、やってよ。桜子ちゃんにも同じのやってよ」葵はおさまりがつかなさそうだ。
花梨は弟の性格をよく知っている。でも、さすがに龍樹と桜子で同じことをさせるのはためらわれた。
「分かったわ。葵。私が桜子にやるから。」
「え、お姉ちゃんが?」桜子が目に戸惑いの色を浮かべる。
「中学生男子の馬鹿力でやられたら、さすがに痛いでしょ。私なら手加減できる、というか
力そんなにないし。見ててやり方分かったし。
やさしくしてあげるから」
「えー。」と葵が不満の色を浮かべるも「何か文句ある?」という花梨には逆らえない。
「分かったよ。じゃ、見てるから。あ、龍樹君、だっこしてー」と、花梨の膝から
逃げ出そうとしていた龍樹の膝へと移ったため、龍樹はこの場から逃げることができなくなってしまった。
(小学生って、怖い。。)と彼が心の中でつぶやいていることを姉妹は知らない。
「。。そこに、寝て。」
花梨は、怪談話をするときのようなオーラを放ちつつ、桜子を畳に寝かせる。
「スカートだけれど。。龍樹君のところからは中、見えないからいいよね」
「。。うー。お手柔らかにお願いします」これをされる側に回るのは初めての桜子は、
自分は女だし、どうせ痛くないだろう、とたかをくくっている。
「じゃあ、行くわよ」
冷たい手で花梨は桜子の足首をつかむ。足の先を、白いパンツの中央にあてがう。
あまり痛くないようにしてあげようとさわっと触る。ぴくっと桜子が動く。
「お姉ちゃん、くすぐったいよ。」
「あ、そうか。」桜子がくすぐったがりなことを思い出した花梨は、
もう少ししっかり触ったほうがよいのか、と思い至る。
パンツの中央に親指をしっかりと押し付ける。(えっと、触るだけではなくて、動かすんだよね)
ふるふると足を動かしてみる。「痛い?」
桜子はかぶりを振る。「ん、まだ、大丈夫。」
「じゃあ、もう少し、ね」足が触れる面積を大きくしてゆく。やっぱり女の子には効かないのかしら。
そう思うと、少しずつ好奇心がわいてきて、より大きな振動を与えだす。
「このくらいでは?」
「んっ。。。痛くはないんだけれど。何か変な感じ。んっあっ。。。」
「大丈夫?」
「自分がされるなんて、思わなかったから。。くっ。。はあっ。。」
明らかに桜子の頬が上気している。
「変な感じって?」花梨が尋ねる。
「何か、体の真ん中が熱いみたいなかゆいみたいな。ん。。」
ふーん、女の子の場合は、そういう効果なのかしら。
思い切り桜子がくすぐられたときみたいな、葵みたいな反応は見られない。ちょっとつまらないな。
花梨は、振動の具合を変えてみることにした。足の裏全体で股を多い、円を描くようにする。
「あっ!」いきなり桜子が叫んで、花梨はびくっとした。
「ごめん、痛かった?」「違う。何か、何か、すごく、変。」
「こうすると?」同じようにもう一度してみる。
「うん、あ、あっそう。それがすごい変な感じなのっ。なんか。分かんないけどっ。ん。そこっ」
単にくすぐられたときとは異なる反応に、花梨は戸惑う。「ね、もうやめようか」
「えー、桜子ちゃん、まだ全然いやがっていないじゃん、ずるいよー
花梨ちゃん全然力入れていないでしょー。」葵が不満げに言う。
「もうやだって言うくらいまで仕返ししてよー。」
「だって。。」さすがに何かを感じた花梨は顔を赤らめて戸惑う。
「やっぱり花梨ちゃんじゃだめだよ。龍樹君やってよ」
桜子と花梨が同時にびくっと反応する。龍樹は表情にこそ出さないが、勘弁してほしいと思う。
「葵。それはちょっとまずいよ」花梨は止めようとする。
桜子が起き上がる。ツインテールがちょっと乱れている。目が座っている。
「。。葵。私がいやっていうまでやられたら、それでいいのね。」
「うん。だって僕もやられたんだもん。」
「。。。分かった。ただし、一回だけよ。その後は、普通に遊ぶからね。
かくれんぼでいいよね。」「うんっ」葵は満足気に返事をする。
桜子は龍樹を見る。花梨がため息をつく。「ごめん、龍樹君。一回だけ、葵の言う通りにしてやって」
「スカートの中、見えそうなんだけれど」
「いいわよ、別に。どうせクラスでくすぐられている時だって、あばれちゃって男子に見られているもの」
桜子はつんっと横を向いた。はすっぱな少女を気取りながらもやはり恥ずかしいらしい。
「じゃあ、桜子は横になって。龍樹君、お願い」花梨が命じる。「はい」桜子が先ほどと同じ体勢になる。
龍樹は、細いその足首をためらいつつもつかむ。「。。いい?」
「。。早く、してよっ」桜子は顔を手で覆う。
葵をまた龍樹から受け取って二人を見つめる花梨の顔はいささかいつもより白い。
龍樹は、「スカートの中は見ないから」と、桜子の顔だけを見るように注意しながら
足を太ももに沿わせていく。その時点で、桜子はぴくぴくと反応する。
「なんか、くすぐったい。」
「見てないから、場所がちょっと。」龍樹も必死だ。
足先が目指すところへとたどり着く。できるだけ早く、「いやだ」と言わせなければ。
でも、痛がらせないように。龍樹はそれだけ注意していた。足の指をうごめかせてみる。
「んっ。。。」また桜子が反応した。
「痛い?」奇しくも先ほどの花梨と同じ問いを発していた。
「だ、大丈夫。。。あ、あっ」
桜子のほうは、すでに花梨で混乱していたのだが、
花梨との優しさともまた異なる力強い感触に、これまでに感じたことのない感覚を覚えていた。
「んっ。そこ、違う。さっきお姉ちゃんが、触った、とこ、」
。。そんなことを言われても分からない。
葵は、桜子の表情の意味には全く気づかずきらきらと目を輝かせて、
桜子が「まいった」をするのを楽しみにしている。
花梨ははらはらと二人を見守る。
龍樹は、冷静になろうとする。できるだけ早く桜子に「いや」と言わせるための場所を探るため、
微妙に足先の位置を変えながら反応を見ていく。
桜子は、顔を覆ったままだが、息づかいが荒くなってきているのが龍樹にも伝わる。
彼女の隠しきれない顔の輪郭も手のしなやかさも花梨にそっくりで、「顔、隠さないで」と思わず龍樹は声をかける。
その間も足の動きはやむことなく、桜子は逆らう余裕もない。
「んっ。」と言うその表情があらわになる。やはり花梨と似ている。
龍樹は次第に行為に夢中になっていく。丹念に足先で敏感なところを探す。
じれったくなって、足の裏全体を使っていき、ある部分に触れたとき、
「あ、そこっ。さっきの花梨ちゃんのと同じとこっ」桜子が思わず声をあげた。
よし。龍樹は、さらに大きめの振動を与える。「んあっ」。その反応に気をよくする。
もう少し。ふっと花梨に目をやる。彼女は葵を抱えたまま硬直したように二人を見たまま動かない。
。。どうしよう。龍樹にとまどいが生まれる。
「龍樹君、まだよ」思いがけずも、その花梨から言葉が発せられる。
龍樹は桜子を見る。花梨と同じ顔のツインテールの子が、半開きの目と口で力なく喘いでいる。
彼は、ふと思い立ち、足先をパンツの脇から潜り込ませる。花梨からは死角になっているはずだ。
「あっ」ひときわ桜子が高い声をあげ、自分の声に驚いて唇を噛む。
「すぐ終わるから」龍樹は声をかけて、
先ほど最も桜子が反応した「花梨ちゃんが触ったのと同じ場所」を直に探り当てる。
そのまま親指と人差し指でその場所を擦る。
桜子が背中をしならせる。「あ、やあーっ。もういやあ、やめてー!」
けれど、その声に反応した龍樹は止まらない。
さらに大きな振動を与える。
「いやあっ。。あっ。壊れるっ。あっもう、いやあっ。。。。ああっ」
桜子はひときわ大きく体をしならせてぱたっとおとなしくなった。
しばらくぐったりしていた桜子は、はあはあ、と息をして起き上がる。
花梨は無言で、桜子の髪の毛を結び直してやる。
無表情から、微笑を引きずり出して、花梨は龍樹に向き直る。
「龍樹君、ありがとう」「。。いや。」龍樹と花梨はお互いから視線を外さない。
花梨はその視線を断ち切るように葵の方を向く。「。。。葵、これでいい?」花梨が尋ねる。
「うん!だって『いや』って言ったもん。桜子ちゃん。
かくれんぼしよ」
「ええ。桜子、大丈夫?」
「。。うん。待って。龍樹君、ジュース持ってきてくれる?その後、かくれんぼしよう。
私、オレンジね。葵は、リンゴでいい?」うなずく葵に桜子は微笑む。すっかり仲直りしている。
花梨は、その様子を見てはじめて表情を崩す。
「龍樹君、私には、レモンティーをお願い。下にあったよね。ごめんね。」
龍樹は、階下へと降りて行った。