4-1  
「私はスーザン・パーカー。ノルウェー国王陛下の空軍中佐。認識番号01256074」  
「お前の所属部隊を答えろと言っているんだ、雌豚!」  
「その質問には答えられない」  
「貴様痴呆か? お前の所属が北部方面航空団であることはどの新聞にも載ってるんだ、  
このド低脳が!」  
尋問官アロンソ大尉は新聞の束で、スーザンの腕から3インチも離れていない机を引っぱたいた。  
並みの神経なら飛び上がりそうな音が部屋中に響いた。  
アロンソは顔をスーザンに突きつけた。  
「お前は莫迦か? 答えろ! お前は莫迦なのか!?」  
「その質問には答えられない」  
 
 当代、ノルウェー空軍において、捕虜経験をもつパイロットは決して珍しくない――  
現在の空軍参謀長たるベルグ准将にしてからが、第3次大戦中には乗機を撃墜され、敵の  
追っ手から逃げ回ったことがある。  
しかしその中でも、彼女の捕虜体験は、国民の多くに知られている。何しろ、今の夫で  
あるクレトフはもともと、彼女をつかまえた張本人だ。  
しかし前回とは、だいぶ勝手が違っていた。  
 
 サヴァイヴァル無線を使っているとき、銃撃された。狙いが悪くて全部外れたが、驚い  
た拍子に根に足を引っ掛けて転倒し、沢を滑り落ちた。無線はどこかにすっとんだ。  
あわてて拳銃を手探りしているとき、まだ熱い銃口が頭に押し当てられた。  
 暴行はその場ではじまった。相手は彼女が女だとは気づかず、殴ったり蹴ったりが執拗  
に続いた。  
意識が遠のいてきたところで、声が強い調子で命令するのが聞こえた。そのとき、ガード  
をかいくぐった強烈な一撃を顎に喰らって、彼女は昏倒した。  
こうして彼女は、再び空から引きずりおろされたのだった。  
 
「いい加減に何か喋れ。ここでジュネーブ協定が通じると思っているわけでもあるまい?」  
アロンソはスーザンの強情にあきれたのか、ややトーンを落とした。  
「その質問には答えられない」  
「俺があんたを痛めつけないで来た理由が分かるか?   
いや、『その質問には答えられない』はいらん。聞き飽きた」  
 
 確かに、アロンソは彼女に直接手を触れてすらいなかった。  
「あんたは我々をさんざん爆撃してきた女だ。我々の兵士と家族をどれだけ殺したか、  
想像もできん。  
それでも、仮に許されるなら、俺はあんたを無事に帰したいと思う。  
なぜか分かるか?  
「俺はソヴィエトGRUで訓練された人間だ。  
そのとき、トゥーラにも何回か行ったことがある」  
スーザンは、疲労で鈍った頭の片隅に、何かの断片が引っかかるを感じた。  
「第106親衛空挺師団の駐屯地、あんたの旦那の元の赴任地だ。  
俺は奴らから多くのことを学んだ。  
だから、その女房を傷つけたくなかったんだ」  
アロンソは言葉を切り、スーザンの目を見据えた。  
 
「それともうひとつ。俺がわざわざやらなくても、そういうのが大好きな奴があとに  
控えているからだ。  
あんたが気づいているかは知らんが、あんたは――ある種の連中にとっては、実に魅力的  
なのだ。俺は同じクリオーリョのほうが好みだがな」  
彼は一片のユーモアも交えずに言った。  
「そういう連中のひとりについて、あんたも聞いたことがあるだろう。  
クリストバル准将閣下その人だ。  
閣下は既にお前が我々の手に落ちたことを聞き、ご自身で尋問することを希望しておら  
れる」  
 
これには、さすがのスーザンもたじろいだ。  
クリストバルと言えば、はっきり言って悪名高さではQ島随一だろう。麻薬取引で得た  
資金を背景にして勢力を伸ばしている軍閥で、子どもを誘拐しては薬漬けにして洗脳し、  
少年兵に仕立てて残虐行為に駆り立てている。  
捕虜の腕を肘のところで切り落とすのをトレードマークとしており、その悪逆非道さは  
今や全世界に知られている。国連軍のお尋ね者リストのトップにゴシック体の大文字で  
大書してある奴だった。  
 
 しかし彼女をうろたえさせたのは、クリストバル個人の嗜好だった。  
以前、CNNの女性記者を捕まえたとき、さんざんレイプしたあげく、首を斬りやがった  
のだ。  
ちなみにこの外道、一緒に捕まえた米兵を処刑するシーンとともに、一部始終をビデオに  
撮ってホワイトハウスに送りつけ、おかげでトマホーク攻撃を2回ぎりぎりで逃れ、今も  
デルタ・フォースに付け狙われている。  
はっきり言って、国連軍に捕まる前にデルタかトマホークに消されるほうに100ドル賭け  
てもいいくらいだった。  
そして、その不運な女性記者とスーザンは、身体的特徴において、極めて似通っている。  
小柄な体躯、黄色がかったブロンド、青みを帯びた目――あとは胸がさびしいところか。  
 
「あんたが何か我々の役に立つことを話してくれれば、俺があんたを守ってやることが  
できる。  
どうだ、この話を聞いて、何かしゃべることを思い出したか?」  
 
 しかし、常に忠実な国王陛下の空軍士官として、彼女の答えは既に決まっていた。  
「その質問には答えられない」  
アロンソは深いため息をついた。  
そして立ち上がり、番兵を呼んだ。  
「我らが106空挺の将校を落とした女が、あんたのようにいい女だったというのは、  
俺個人としてはとても喜ばしいことだ――  
しかし、あんたの美質は、あんた個人にとっては決して良い方向には働かないだろう」  
「もう知ってるわ、そんなことは」  
彼女は最後に、どうにか微笑みらしい形を作って言った。  
アロンソは鼻を鳴らし、そして言った。  
「連れて行け。ただし番兵、覚えておけ。  
准将閣下がこいつにご執心だ。手を出したら金玉を潰されるぞ」  
 
 
 フェリクス・コルテス大佐は、いまの境遇に満足している  
――と言えば、それは掛け値なしの嘘になる。  
 
 彼は、バルゴ港方面のLDF副司令官である。  
またLQ国や国連にしてみれば、国軍最強の戦車旅団を率いて、丸ごとLDFに寝返った、  
最悪の裏切り者でもあった。  
彼はかなり過激な民族主義者ではあったが、ソヴィエトの軍事アカデミーに留学したこと  
もある、熟練の戦車将校でもある。  
バルゴ港のオランダ隊が降伏を余儀なくされたのは、コルテスの率いる戦車隊の威力あってこそのことであった。  
しかし、ソヴィエトに留学していたというだけで、彼はクリストバルの下につかざるをえ  
なくなっていた。  
 
 クリストバルは、こういうご時世によく出てくるような連中の一人で、麻薬取引で得た  
資金と過激な言動により、LDFの有力者にまでのぼりつめていた。  
元来が無法者集団だったLDFでは、こういう粗暴な連中が幅をきかせており、コルテス  
のような正規軍出身者は軽視される傾向があった。  
言うまでもないことだが、陸軍将校たちが、それに満足なはずがない。彼らはLDF上層  
部が考えるような飼い犬ではない。  
クリストバルは確かに冷酷だが、莫迦だ。力を無闇やたらに振りかざすことしか知らない。  
 
 例えば、例のパイロットにしてもそうだ、とコルテスは思った。  
パーカー中佐を捕らえたと聞いたコルテスは、さっそく腹心の情報将校を送ったのだが、  
クリストバルはその尋問に難色を示してきた。  
奴は彼女をじきじきに辱め、晒し者にしたいらしい。  
古くから使われてきた方法だ――武力を手にした男がまず考えるのは、女を力で自由にす  
ることである。  
まあ、魅力的な考えではあるな、と彼は写真を見て思った。  
金玉で物を考える男にとってはなおさらだろう。  
しかし、それは本質的に無益である。  
 
 そして、相手がスーザンであることで、事態はますます厄介になった。  
 
理由1。彼女は女である。  
 
欧米人は基本的にロマンチストだ。そして、少なくともその世論は、フェミニストでも  
ある。彼には理解できない理由により、彼らは、女性が傷つけられることに極端な反応を  
示す。  
 
理由2。彼女は佐官である。  
 
この戦争(と大佐は思っている)がはじまってから捕虜は何人か出たが、考えなしの民兵  
どもがその場で首を刎ねることが多すぎて、生きてLDF指導部にたどり着けるものが  
ほとんどいない。とくに空軍士官はこれまで例外なく殺されていて、生きたまま彼らの手  
に入った空軍士官は、彼女がはじめてなのである。  
 
理由3。彼女はノルウェイ人である。  
 
ノルウェイは中東や南アジアで数々の和平交渉を仲介した実績を持ち、交渉人として定評  
がある。  
実際、コルテス大佐をはじめとするLDFの対外融和派が、仲介役として期待をかける  
のもノルウェイをはじめとする北欧の諸国なのだ。  
そしてパーカー中佐は、ノルウェー国王陛下が自ら勲章を与えた英雄である。  
そんな彼女を、例のCNNの記者と同じ目にでもあわせた日には、彼らの態度が一気に  
硬化することは、考えなくても分かる。  
 
 
 L族過激派は、はっきりいって、所期の目的を達しつつあった。  
5月15日の蜂起は、Q島紛争において、いわば“テト攻勢”の役割を果たしていた。  
蜂起は多くの犠牲を出したが、S族の人々はそれに恐れをなして、続々と家を捨てて、  
逃げ出している。  
たしかに、北西港と首都シリウス市では日英部隊が頑張っているし、北東地域でも、  
フランス隊がほぼ鎮圧に成功していた。  
しかし、それはあくまで表面上の話だ。  
一度染み付いた恐怖は二度と消えない。  
そして、鎮圧に多くの犠牲を出したことで、活動に参加している各国では、この平和創造  
活動への反対が高まっており、その基礎となる「平和のための提言」構想そのものにも  
疑念が呈されつつあった。エジプト人の国連事務総長は、国連安保理の席上で吊るし上げ  
を食った。  
第3次大戦の勝利、冷戦終結後の平和を謳歌する西欧の人々は、これ以上、ヨーロッパ人  
の血を流すことを欲しなかったのだ。  
特に、首都シリウス市の攻防戦では、グルカ部隊を援護していた米軍のヘリが撃墜され、  
乗員の焼死体が暴徒に引き回される、という衝撃的な映像がCNNに流れ、米国民に  
大きなショックを与えていた。  
遠からず、いくつかの国が撤退を発表し、やがて平和創造活動そのものが瓦解するだろう。  
 
 要するに、LDFは勝利しつつあるのだ。  
コルテスは、その後のことが見えないほど愚かではなかった。  
この島をL族だけのものにするというのは崇高な理念だが、結局のところは妄想に過ぎな  
い。どこかで妥協し、国際社会と折り合いをつける必要がある。  
そのときに備え、外国との関係を必要以上に悪化させるべきではない。  
 
 そうなると、邪魔になる奴らがいる。たとえば、彼の上にいる人物などがそうだ。  
もちろん直接に動くわけにはいかない。リスクが大きすぎる。  
しかし、国連軍の連中が奴を消してくれるなら――  
それはまったく別の問題となる。  
 
 
 
「上の連中は何を考えているんだ!? いま突入すれば奪還できるのに!」  
「そしてあえなく全滅か? 少しは頭を使え」  
焦れる彼女を、エステベスがたしなめた。ゴドウィンは、淑女としては褒められたもので  
はないが、海兵隊員としては使わざるをえない四つのアルファベットを並べた。  
もちろん、だれもそれをとがめはしなかった。  
 
 彼らはまだ半日ほど監視しているに過ぎないが、すでに忍耐心は極限まで試されていた。  
捕虜を殺すことに対しては、いかに残虐な民兵でも、一切れ程度の呵責はある。しかし  
レイプとなると、その種の呵責は欲望に圧倒されるであろうことは間違いなかった。  
この部隊はグリーン・ドラゴン大隊のブラッディ・ボーイズ、主力は少年兵で平均年齢は  
16である。日本の男子高校生でも、女と見ると何をしでかすか分からない年頃だ。  
血に餓えた少年兵に覚醒剤と酒が入っていると、その行動はまったく予測不能だった。  
 
 おまけに、いつ行動に踏み切ればいいのか、彼ら自身にも確信はもてなかった。  
彼女が殺されそうになったら突入することになっている。  
ではレイプはどうなのか?  
正直に言えば、浅網は、レイプは許容せざるをえないと考えていた。準備未完のままで  
突入して全滅するよりは、彼女の心が傷を負ったとしても、生きて連れかえるほうが  
優先するはずだ。  
しかし、実際にそういう事態に到ったとき、自制できるかといえば――自信はなかった。  
 
『日本の特殊作戦チームがヴェガ町に向けて移動中だ。到着予定は29日深夜。上級曹長に  
率いられた8名、2名がMINIMI、4名がM-203、残る全員がアーマライト・カービンで武装して  
いる。  
救出作戦は彼らと共同で行え。作戦決行は30日早暁。詳細は現場指揮官たる浅網中尉に  
任せる』  
 
 この通信を受けたとき、みんなは大いに喜んだ。  
いまのところ、チーム・ナイフの火力はかなり貧弱で、重火器はレシュカ伍長が持って  
いた軽機関銃が1丁と、ヘイボア軍曹のライフルについているグリネード・ランチャー  
だけ、あとは3丁のAKと1丁のSVDしかない。  
1個中隊相当のいるキャンプに殴りこむには、少々心もとない火力だ。  
 
 みんなは当然、日本の特殊部隊について浅網に聞いてきた。何しろ、彼らに命を預ける  
かもしれないのだ  
日本の特殊部隊は決して短くない道程を歩んできたが、表に出るようになったのはごく  
最近である。ゴドウィンなど、真顔で  
「それで、手裏剣とカタナはちゃんと持ってるんでしょうね?」  
などと確認してきたほどだ。  
それに対し、浅網は大いに吹聴した。海兵隊員の通弊に漏れず、彼は“陸軍野郎”が  
あまり好きではなかったが、地球の裏側の戦場で友軍に会えるという喜びが先にたった。  
 
 しかし今、浅網は焦燥のあまり、思わず無いものねだりをしていた。  
もし、チーム・ナイフに充分な火力と兵力があれば、今すぐにでも突入するところである。  
陸軍の連中も連中だ。なぜもっと早く移動できないのか!  
もちろんそれは無理な相談だった。オランダ大隊の降伏とともにこの近辺には多数の民兵  
部隊が出没しつつあり、特殊作戦群の連中はそれを迂回しつつ前進しなければならない。  
それは浅網にも分かっていた。  
この問題は、何世代も前から戦場の男たちが経験してきた。  
待つしかない。  
 
 しかし、事態は既にこれ以上ないほど緊迫していた。これまでに二度、酒と薬の勢いを  
借りた連中がパーカー中佐の拘禁されている小屋に押しかけて、番兵に押し戻されている  
光景を目にしていた。その連中の顔に浮かぶ表情は、ドラグノフで狙うエステベス曹長が  
引き金を引きかねないようなものだった。  
 
 
 夕闇があたりに忍び寄っていた。その密やかさは危険な猛獣を思い起こさせた。  
夜は死神が歩く時間である。  
東京のように治安に優れ、照明の整った都市ですら、犯罪の多くが夜に起きる。  
戦場の夜は危険な害毒と同じだ。それは混沌をもたらし、少なからぬ命が短慮や不注意の  
ために失われる。  
 そしてスーザン・パーカーは、その只中に真裸で、無防備なままに放り出されている。  
無防備な雌羊が、狼の群れの只中でつながれているようなものだ。  
抑えは狼の良心と規律のみ、大砲を紙の盾で防ごうとするようなものである。  
 
 しかしその森には犬がいた。鋭い牙に強健な脚、夜の闇より黒い毛皮の猟犬が。  
それはおそらく、猟犬の嗅覚のようなものなのだろう。  
3つの国籍と3つの軍種、5つの人種と2つの性別に属するチーム・ナイフの全員が、死闘を  
予感していた。  
全員が武器に装弾した。爆薬には信管が挿入され、適切に配置された。  
海兵隊員たちは機関拳銃にサイレンサーを装着し、暗視スコープをいつでも使えるように  
準備した。  
オランダ人たちは銃剣を抜き、黒く艶消しした刃に白い線を走らせた。  
 
 日が沈み、隊員たちはまんじりともせずに身構えていた。  
もう、今日は何も起こらないのではないか、という希望を抱きかけたとき、2つの人影が  
パーカー中佐のいる小屋に近づいた。番兵は少し言い争ったが、諦めたように立ち去った。  
そして、悲鳴が響いた。  
血も凍る、生死の危機にある者だけが出せる絶叫だった。  
隣のゴドウィン軍曹が全身を強張らせた。  
争うような物音、男の悪態、そして女の悲鳴。  
悲鳴が長く続き、やがてプツリと途絶えた。  
浅網はそれを理解したとき、全身の血液が瞬時に沸騰したように感じた。  
ゴドウィンがギリギリと歯を食いしばるのが聞こえた。  
エステベス曹長が、簡潔だが完全に、全員の考えを代弁した。  
『糞ったれが!』  
 
自制しろ、と浅網は自分に言い聞かせた。  
衝動にまかせて闇雲に動くのは自殺行為以外の何物でもない。  
騎士道精神でチームの全員を危険にさらすことなど許されない。  
掩護も支援も無いままに、圧倒的多数の敵に攻撃をかけるなんて、気でも違ったのか!?  
…うん、どうもそうらしい。  
 
 浅網はライフルのグリップを固く握り締めた。  
その瞬間、彼はたとえ理屈に外れていても、これを座視することなどできないことを知った。  
この後の人生を、鏡に映る自分の目を避けて過ごすことなどできはしないのだ。  
 
 そしてそれは、彼個人の問題ではなかった。  
日本海兵隊は、第三次大戦直後に創設された、とても若い軍隊である。  
浅網たちの世代には、日本海兵隊の伝統を創るという重責が与えられていた。  
 これは、日本海兵隊が海外で作戦行動をとったことが公表される、初の例になるかも  
しれない。  
海兵隊員は、友軍の女性将校がレイプされるのを手をこまねいて見ている腰抜けだ、など  
と批難されることは――  
彼には、絶対に耐えられなかった。  
 
「シックスより各員に伝達。  
我々は突入する。繰り返す、我々は突入する。全員、確認せよ」  
「メディック了解」  
『ライフル了解』  
『ポイント了解』  
『アシスト了解』  
『グリネード了解』  
そして、誰かが抑えきれずに言った。  
『そいつを待っていたんですよ、LT』  
誰もが、無言のうちに同意を示した。  
熱狂はなかった。それが無謀どころではないということを、誰もが知っていた。  
おそらく、彼らのうちの数人――あるいは全員――が生きて戻れないであろうということも。  
しかし、逡巡もなかった。静かな決意だけがそこにはあった。  
兵士たちは忍びやかに動き出した。見事に抑えられ、しかし火を吹きかねないほど激しい  
殺意を秘めて、猟犬たちは牙を剥いた。  
 
 
 
# >154さんのように“赤嵐作戦”を知っているひとはそういないと思いますので、  
# 原作未読の方のためにひとつ注記。  
# この話の設定年代は90年代中ごろです。通常兵器による第3次世界大戦ののち、  
# 現実世界とは異なる形で、低脅威度紛争の時代に突入した人々の話です。  
# そんなわけですから、各種の地域紛争は、時期が変わっていたり、  
# そのままだったり、あるいは異なる帰趨をたどったりしています。  
 

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