ある冬の日曜日。居間でコタツに入る兄妹が一組。
「ねぇ、にいさん」
「んー?」
「お嫁に貰って下さい」
「だめー」
「………即答ですか。そして、驚かないのですか」
「んー…お前、顔に出るし?」
「人様からはポーカーフェイスと言われるのですが」
「兄ゆえに」
「成程、愛ですね」
「うん」
「なら、抱いて下さい」
「だめー」
「………また即答。何が不満なんですか」
「何も」
「なら」
「だめー」
「………ひどい。そんなに私が嫌いですか」
「好きだよ」
「………やはり、にいさんはズルいです」
「正直なだけなんだけどなー」
「その正直さが残酷なんです」
「んー…じゃあ嫌いって言った方が、いい?」
「ダメです」
「わ。即答されたー」
「にいさんと同じく、正直なだけです。にいさんの妹ですし」
「そっかー」
「そうです」
「じゃあ仕方ないなー」
「仕方ないのです」
そんな昼下がり。
「なので相性は折紙つきです。契りを交わしましよう」
「だめー」