昔むかしあるところに、王様とお妃様がありました。  
お二人には、男の子ばかり、十一人のお子様がいました。  
このありさまに王様がご懐妊中のお妃様におおせになられました。  
「お前の産む十二人目の子が、もしも女の子だったら、今居る男の子十一人を死なせて、その女の子にこの国を継がせよう」  
王様は口だけではなく、本当に十一個の棺をこしらえさせ、それ錠の下りる部屋へしまいました。  
そしてその鍵をお妃様にわたし、このことは誰にも話してはならないとかたく申し付けました。  
ところが、お妃様のほうは、こういうことになってから、一日中座りどおしで悲しんでいらしたので、ずっとお妃様にくっ付いている、聖書から名前をつけたベンジャミンという末っ子が、  
「お母様、なにがそんなに悲しいの?」とたずねました。  
しかし王様にかたく口止めさえているお妃様は返事をなさいませんでした。  
けれどもしつこくたずねるので、ついにお妃様は、例のお部屋の錠を外し、十一の棺をベンジャミンに見せました。  
「わたくしに大事な坊や。よくって! この棺はね、お父様が、あなたと、それから十人のお兄様がたのためにこしらえさせたのよ。  
そのわけはね、わたくしが女の子を産むとね、あなた方はみんな殺されて、この中へ入れられて、お弔いをされることになっているからなのよ」  
と、こう話しながら泣いているのを見て、ベンジャミンは、  
「泣かないでね、お母様、ぼく達、自分で、きっととかして、どこかへ行ってしまいますからね」と、なぐさめました。  
それからお妃様は十一人の兄弟に森に行き、かわりばんこに一番高い木に登り、お城のやぐらを見張るように言いました。  
もし男の子が産まれたら白い旗を揚げるので帰ってきても大丈夫。  
もし女の子が産まれたら赤い旗を揚げるので直ぐに逃げなさい、と言いました。  
お妃様がお子様たちに、神の恵みがあるように、とお祈りをしてからみんなお城を出て森へと入りました。  
そして順繰りに一番高い柏の木に登り、お城のやぐらを見張っていました。  
兄弟が森の入って十日目、ベンジャミンの順番になったとき、旗が揚がるのが見えました。けれどもそれは、白ではなく血のように真っ赤な旗でした。  
これはいよいよみんなが死ぬことが決まったまえぶれです。  
兄たちはこれを聞くと腹を立て、  
「ぼく達は女の子ひとりのために死ななきゃならないんだな!   
こっちだって意趣返しをしてやる!  
女の子を見つけしだい、そいつの赤い血を流してやるんだ!」  
と天に誓いました。  
それから直ぐ十一人兄弟は森の奥へと入っていきました。  
すると、森の真ん中の、一番暗いところに、魔法のかかった小さな家が空き家になっているのを見つけました。  
十一人兄弟はその家を占拠して、十人の兄たちが狩りを、末のベンジャミンが料理その他家事を担当する事になりました。  
それから十一人兄弟は特に退屈する事も無く、十二年の月日が経ちました。  
 
十一人兄弟の母親のお妃様が産んだお姫様は、お妃様に良く似て気立てが良く、とても美しく育ちました。  
あるとき城の大掃除が行われました。  
そのときお姫様は男物のじゅばんが十一着あるのを見つけ、誰のだろうと母親のお妃様にたずねました。  
お妃様は気の滅入るおもいで、十一の棺を見せ、お前には十一人の兄が居た事。  
お前が産まれたらこの棺に入れられてしまうので森へ逃がした事。  
今はみんな何処に居るのかは神様だけがご存知である事を答え、当時の悲しみを思い出し、泣きました。  
そんなお母様の悲しむ様子に胸を痛めたお姫様は、十一着のじゅばんを持って、お兄様を探す旅に出ました。  
お姫様は神様に導かれるように、まっすぐ例の大きな森へと入り、一日歩き通して魔法のかかった小さな家へとたどり着きました。  
お姫様が中に入ると、男の子が一人居ました。  
男の子は十一人兄弟の末のベンジャミンでした。  
ベンジャミンは、  
「君は誰? どこから来たの? どこへ行くの?」  
入ってきた女の子へたずね、その子の服と、懐かしの母親に良く似た顔立ちにを見てビックリしました。  
お姫様は、  
「わたくしは王女です。この青い空の下、どこかにいる十一人のお兄様を探しています」  
と十一着のじゅばんを見せました。  
ベンジャミンはこの女の子が自分の妹だと知って、  
「ぼくがベンジャミンだよ。君の一番小さいお兄さんだよ」  
と言いました。  
二人はうれしさのあまり抱き合いましたが、  
「だけどまだ喜ぶにはまだはやいよ、ぼく達はどの子でも、女の子を見つけしだい殺してやると天に誓っているんだ」  
と言うと、お姫様は、  
「でも、それで兄様たち十一人がが救えるのなら、わたくしはそれでもかまいません」  
と答えました。  
「死んでもいいなんて口にするのもいけないよ。ぼくがキットお兄様たちに話をつけてあげるからね」  
とそれまで樽の中へ隠れているように言いました。  
しばらくしてから十人の兄が狩りを終えて戻り、ベンジャミンのしたくした夕飯を食べながら、  
「何か変わったことはあったかい?」  
とベンジャミンに聞きました。  
ベンジャミンは、  
「とても凄い事がありました、もしお兄様たちが、一番最初に見つけた女の子は殺さないと約束してくださるのなら、そのことをお話しますよ」  
と言い、十人のお兄様がハッキリとその約束をうけあうことを確認すると、  
「ぼくたちの妹がきました」  
と樽の中に隠れたお姫様は、世にも美しく上品な王女の装いをこらしてあらわれました。  
 
十人の兄は、その美しく可憐なお姫様の姿にしばらく見ほれたあと、兄弟でお互いの顔をみあわせ、いっせいにお姫様に襲い掛かりました。  
ベンジャミンは驚きました。  
「お兄様何をするんだ!? 最初にあった女の子は殺さないって約束したじゃないか!」  
十人の兄は寄ってたかってお姫様の服を剥ぎ取りながら答えました。  
「殺したりはしない、だが、赤い血を流してやると天に誓った事は反故にはできない」  
輝くような白い裸体を剥き出されたお姫様は、おろおろする末のお兄様にむかってほほえみ、  
「良いのよベンジャミンお兄様。わたくしのせいでお兄様たちがお城から出る事になったのだから、お兄様たちに何をされてもかまわないわ」  
と優しい声で言いました。  
十人の兄は、お姫様を十対の唇でキスをしました。百本の指でなで回しました。  
兄たちが触ってない場所がどこにもなくなったころ、お姫様は全身赤く火照らせ、息を荒くしてグッタリとなっていました。  
お兄様達は自分たちも服を脱ぎました。  
その足の付け根のモノは、ベンジャミンが普段、水浴びなどで見慣れているモノとはまるで違う形へと姿を変えていました。  
兄は末の弟にも服を脱ぐように命じました。  
ベンジャミンは十人の兄たちの血走った目の色に恐れ、言われた通りにするしかありませんでした。  
すると、自分のモノも、兄たちと同じ様に形を変えているのに気が付きました。  
一番上の兄が、お姫様を後から抱え、足を広げさせました。  
そこは自分や兄たちとはまるで違う形であることにベンジャミンは驚きました。  
何故かその不思議な形に目が離れず、見れば見るほど、自分のモノが痛いほど脈打ちます。  
長男は後から回した手で、広げた脚の中心の蕾を広げ、そこに咲いた赤い花を弟たちに良く見えるようにしました。  
お姫様の全身は十人の兄に撫で回され、甘い香りのする汗で濡れていましたが、その花は奥から染み出る蜜で特に濡れていました。  
長男はお姫様の柔らかい髪を優しく撫でながらベンジャミンに、ソレでこの花をつらぬくように命じました。  
指名されたベンジャミンは驚き、  
「ぼ、ぼくが?」  
と聞くベンジャミンに、  
「お前のソレが一番小さいからな」  
と答えました。  
長男も妹のお姫様が可愛くてしかた無いので、一番体への負担がかからないであろうベンジャミンを最初にさせることにしたのでした。  
「でも、そんなの、可哀想だよ」  
及び腰になるベンジャミンに、当のお姫様が迎え入れるように両手を広げ、  
「いいのよベンジャミンお兄様。お兄様たちの言う通りにして。わたくしはそれがうれしいの」  
と呼びかけました。  
その健気なしぐさにベンジャミンも覚悟を決めました。  
広げだれたお姫様の足の間に体を入れ、ほとんど体と平行になるほど反り返ったモノを手で押さえ、お姫様の花に先端をあわせ、一気に腰を突き入れました。  
「!」  
初めて異物を受け入れたお姫様は、花びら破られた痛みにのけぞりましたが、更に奥へと受け入れようと両腕と両足で末の兄を抱きしめしめました。  
ベンジャミンは根元まで納めると、今まで覚えた事のない感覚に襲われ、妹の中で激しく震えました。  
ベンジャミンは自分のモノが破裂してしまったのかと驚き、お姫様の中から引き抜き、ちゃんとあることを確認しホッとしましたが、それはお姫様の血が付いていました。  
お姫様の花を見ると、中から自分の放ったモノと、お姫様の赤い血が混じったものが溢れて出てきました。  
これで十一人兄弟は天に誓った事をやりとげ、これで最後にすることを天に赦しをこいました。  
その後、十人目の弟から順に、同じ様にお姫様花をつらぬき、中で放ちました。  
それからは、お姫様はベンジャミンといっしょにお留守番となりました。  
十人の兄は毎日狩りに出かけ、その獲物をベンジャミンがお料理をして十二人の食欲を満たしました。  
お姫様は小さい家を毎日きちんと片付け、寝台へは、つねに真っ白い清潔な布をかけ、十一人の愛欲を受け止めました。  
ですから、お兄様方はいつも欲求に何の不満もなく、妹と仲良く暮らしていました。  
 
あるとき、お姫様はこの魔法の家の庭に百合のような美しい花が十一本咲いているのを見つけました。  
お姫様は食事の後、めいめいに一本ずつあげるつもりで、その花を十一本とも折りました。  
ところが、お姫様がその花を折り取ったとたんに、十一人の兄は十一羽の鴉に変わって、森をとびこえどこかへ行ってしまい、その家も、庭ぐるみで消えうせてしまいました。  
かわいそうにお姫様は、独りぼっちで天然の森の中にいることになりました。  
そこへ、この魔法の家の本当の持ち主である、魔女のおばあさんが現れ、その花こそが兄たちそのものであった事。  
元に戻すためには七年の間、口も利かず、笑いもしてはいけない事を教えました。  
お姫様は十一人のお兄様を助ける事を心に決め、高い木の枝に腰をかけ、口も利かず、笑いもせず糸を紡いでいました。  
そんなある日、どこかの王様がこの森へ狩りへやってきました。  
王様が連れた猟犬が、高い木の元へ一目散にかけていくと、上を向いてしきりに吠えました。  
王様が来てみると、そこで美しい娘が目にとまりました。  
王様はその美しさにうっとりとして、娘に自分の連れ合いにならないかと問いました。  
娘はなんとも言葉を返しませんでしたが、つむりで少しうなずきました。  
それで王様は自分の手足で木に登って娘をおろし、自分の馬に乗せて連れて帰りました。  
御婚礼の式は、それはそれはきらびやかに、およろこびの内にとり行われました。  
けれども花嫁様は、口も利かず、笑いもしません。  
王様とお妃様は何年かのあいだ楽しく暮らしましたが、王様のお母様と言うのは腹黒い女で、これが、若いお妃様のある事ない事の悪口を言いはじめ、王様にむかって、  
「たとえ口が利けないとしても、笑うことくらいは出来るはずです。それすら出来ないのは心のやましい人ですよ」とまで言いました。  
王様は始めはそんなことは相手にしましせんでしたが、だんだんお妃様が笑いも、声を出す事もしないことに疑問を持ち始めました。  
王様は何とかして、せめて声だけでも出させてやろうと、毎夜、寝台でお妃様を激しく攻め立てました。  
お妃様が登りつめる前に花から引き抜いたり、お妃様が自分を慰められないようにいましめ、その輝く白い肌を撫で回したりしました。  
そのたびにお妃様は、切なげに顔をとろけさせ、瞳をうるませ、息をあらげ、双房を腫らせ、腰をうごめかせ、芝を逆立たせ、花びらをひくつかせ、蜜を溢れさせましたが、  
王様に続きをねだる言葉はおろか、あえぎ声一つ上げません。  
そしていつも我慢が出来なくなるのは王様の方でした。  
そんな不満と恥ずかしさと悔しさを膨らませた王様は、とうとうお母様に言い負かされ、お妃様に死刑の宣告をくだしました。  
いよいよ、広庭に火が燃やされました。  
この火の中でお妃様は焼き殺されるのです。  
王様は窓際に立ってご覧でしたが、今でもお妃様をかわいく思っているので、泣き顔をしていました。  
ところが、お妃様が柱にしっかり縛り付けられて、火が赤い舌をのばしてお妃様を舐めだした時、丁度その時間、七年の歳月の一番おしまいの時間が過ぎました。  
空にばさばさと言う羽音を立てて十一羽の鴉が降りてきました。  
そして、その足が地面に触った時には、鴉はお妃様の十一人のお兄様に戻っていました。  
お妃様はお兄様方を魔法から救い出したのです。  
お兄様方はお妃様を炎から救い出しました。  
お妃様もこれで口利いてもいい事になりましたので、今まで語らず笑わなかったわけを王様にお話しました。  
王様はお妃様に何の罪もなかったことを聞いて大いに喜び、悪人の母親をお妃様が処されるはずだった火あぶりにしました。  
そしてそれからは、お妃様と十二人穴兄弟、みんな一緒になって死ぬまで仲良く暮らしました。  
 
おしまい  
 

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