幼いお兄さんが妹の手をとって言いました。
「お母さんが死んじゃって、今のお母さんになってから、ぼくたちには楽しい日はなくなっちゃったね。
誰にも知られないように二人でどこか遠くへ行っちゃおう」
二人は一日中歩き続け、どこやらの大きな森へ入りると、歩き通しでのどがカラカラになったので、どこかで水の音がしないか探しはじめました。
ところが、悪人のまま母と言うのは魔法使いの女で、子供が逃げ出したことをちゃんと知っていて、足音を立てずに二人の後をつけ、森の泉の全てに魔法をかけました。
子供たちはキラキラ光りながらわき出している泉を見つけ、お兄ちゃんはそれを飲もうとしました。
その泉の流れる音は、妹には、
「私を飲む男の子は虎になる。女の子なら狼になる」と聞こえたので、妹は、
「お兄ちゃん駄目よ、お願い飲んじゃ駄目! 飲んだらお兄ちゃんは恐ろしいけだものになって、私を八つ裂きにしてしまうわ」
とわめいたので、お兄ちゃんはのどがひっつきそうでしたが、水を飲むのを我慢しました。
「この次の泉まで待つけど、今度見つけたら飲まずにはいられやしない、のどがからっからなんだもの」
と言いました。
そのうちに次の泉へ来ましたら、水の流れる音が妹には、
「私を飲む男の子は金色の鹿になる」と聞こえたので、妹は、
「お兄ちゃんお願い、飲んじゃ駄目よ、これを飲むとお兄ちゃん、鹿になって逃げちゃううわよ」
と言いました。けれども、もうお兄ちゃんは泉のわきに膝をつくと、体を屈めて、その水を飲んでいて、金色の子鹿になっていました。
幼い妹は呪われたお兄ちゃんの身の上を悲しみ、せめて自分も同じ呪にかかろうと泉の水を飲みました。
金色の子鹿になったお兄ちゃんの耳にその水音は、
「私を飲むのが女の子なら大きくなる」と聞こえていましたが、それを伝えるすべがありませんでした。
幼い妹はその通り、美しい大人の女性へと変わっていました。
お兄ちゃんと同じにすらなれなかった女の子は、しばらく兄の子鹿とならんでションボリとしていましたが、
「泣くのはやめようお兄ちゃん、あたしはいつになってもお兄ちゃんとはなれたりはしないわ」
と、立ち上がり、大人に変わってしまい、体に、特に胸と腰まわりが合わなくなった服と下着を脱ぎました。
しまいには羽織るマントと、股下まで届くか届かないかのスカートしか残りませんでしたが、森の中は温かかったので特に不満はありませんでした。
下穿きのを脱いだとき、ついさっきまでは無かった芝が茂っているのにおどろきましたが、それは今はおいて置くとして、子鹿を連れて森の奥へと入って行きました。
それからいつまでも歩くと、やがて小さな空き家を見つけ、ここに住む事にしました。
女の子がまず行ったのは、落ち葉や苔をあつめ、その上に着れなくなった自分たちの服を被せ、自分たちのやわらかい寝床を作ることでした。
それから食べるものを探しに森へ入りましたが、胡桃や山ブドウなど、自分の食べるものはじゅうぶん見つけられましたが、子鹿が食べられるような草はあまり見つけられませんでした。
お腹を空かせた子鹿の様子に困った女の子は、いつの間にか自分に茂った芝をあたえてみることにしました。
女の子は着ている意味の有るような無いようなスカートをまくり上げ、その芝を子鹿の鼻先につきつけました。
子鹿はしばらく匂いをかいだあと、芝の生えた土手に長くのばした舌をはわせました。
「ひゃ!」
そのぬれた舌がはい回る感触に、妹は始め背筋を震わせましたが、何度も舐められているうちに背骨が溶けるような感覚を覚え、膝から力が抜け崩れへたりこみました。
子鹿はその茂みを追いかけ、がっつくように押しつけた口で、土手中に吸い付きました。
土手になった実に鼻面を押し付けました。
体勢が変わったことで開いた亀裂の中へ舌を挿し込みました。
そのたびの女の子はもだえ、のけぞりますが、決して逃げようとはせず、むしろももで子鹿の頭を挟み、更に奥へとみちびきました。
その亀裂は泉の源でした。
そこから溢れる湧き水を、子鹿はうまそうに飲みました。
女の子の足から力が抜け、頭が解放された子鹿は源泉から舌を抜き、足の間を通り女の子へおおいかぶさり、酵母の効いたパン生地の様に、柔らかく膨らんだ白い乳房へかじりつきました。
「はぁ!? あぁー!!」
突然の強い刺激におどろいた女の子は体を反転させ、子鹿に背中を向けました。
そのまま膝立ちになると、子鹿がその背中にのしかかり、勢いに押されお尻を突き出し這いつくばる形になりました。
そのお尻を、何か熱いものがつつきます。
それは子鹿の金色の体の中心から伸びた、赤銅色の角でした。
耳元に吹きかけられる荒い吐息と、腰を振り、角でお尻をつつく様子に、女の子は子鹿がその角で自分の泉に栓をするつもりであると察しました。
そこは舌が入っただけで立っていられなくなったところです。
女の子は不安になりました。怖くなりました。
女の子は脚を広げ、腰を持ち上げ、下からまわした手で土手の亀裂を広げると、そこから溢れる水が指をぬらします。
子鹿は何度か角で土手をつつき位置を調整し、ついに泉へと突き入れました。
初めての異物の侵入も、大人へと変わった女の子の体は難なく受け入れます。
角が泉の一番奥をつつくと、女の子の手足から力が抜け、腕が崩れて乳房が地面に押しつけられますが、泉に差し込まれた角が杭となって腰が倒れることを許しません。
子鹿と女の子。兄と妹はそのまましばらく体を震わせながらじっとしていましたが、先に動いたのは女の子のほうでした。
息を熱く甘く荒げ、お尻を切なげに揺らします。
乳房を地面にこすり付けます。
子鹿は女の子に応えるように角の生えた腰を動かします。
はじめは揺らすように。徐々にふり幅を大きくしていきました。
それまで小鳥のさえずりか、風が木の葉を揺らす音しかしなかった静寂の森に、女の子のなき声と、女の子と子鹿の腰のぶつかり合う音がひびきました。
大きな妹は、子鹿の放ったたかぶりを受け入れると、くたびれはて、子鹿の背中を枕にして眠りました。
女の子と子鹿は、この新しい遊びに夢中になりました。
体は大人、心は子供の妹と、身も心も獣な兄では歯止めがかからず、毎日毎日、日に何度も遊び続けました。
兄妹がこうやって二人きりでこの森に居たのは、かなり長い間のことでした。
いつものように、寝床に顔をつけ、そこにしみこんだ子鹿の匂い吸い込みながら、高く持ち上げたお尻で子鹿の角を受け入れ、中に放たれるのを楽しんでいると、
遠くから角笛のひびき、犬のなき声、狩人の景気のいい声が木々にひびき渡るのが聞こえてきました。
この国の王様がこの森でおおじかけの狩猟をもよおしているのです。
女の子の中にそそぎ、そのまま覆いかぶさっていた子鹿はこれを聞きつけ、居てもたっても居られなくなり、
女の子の中から柔らかくなった角を引き抜き、外へ飛び出していきました。
王様と王様の狩人はこの美しい獣を見つけて追いかけました。
金色の子鹿が森の奥の家の戸を叩き、開いた戸の中へ入っていくのを見つけ、窓から中をのぞくと、そこには金色の子鹿が半裸の女の泉でのどをうるおしているのが見えました。
王様は狩人に、の陣営に戻り、再び狩猟の合図をするように、金色の子鹿を見つけても決して傷つけるなと命じると、自分は茂みの中へ隠れました。
しばらくして角笛の音が聞こえてくると、案の定金色の子鹿が家から飛び出しました。
王様は頃合を見計らい、家の戸の、子鹿の叩いたあたりを子鹿の叩いたように叩きました。
そうすると、戸があいて、王様は中へ入りました。
入ると、そこに立っていた女の子は、窓からのぞいた時はハッキリとは見えませんでしたが、それがまた美しいのなんの。
王様も、このときまでこんな美しい女の子をごらんになったことがありません。
女の子のほうは子鹿ではなく、黄金の冠をのせた男の人が入ってきたのを見て、肝を潰しました。
王様は、始めは怖がっていた女の子に優しく声をかけ、自分の妃になってくれるよう口説き、ついに、子鹿もいっしょなら、とと受け入れさせました。
もちろん王様に異存があろうはずがありません。
女の子は戻ってきた子鹿をつれて森の家を出ました。
王様はこの美しい女の子に自分のマントをかけ、馬に乗せてお城へおつれになりました。
お城では、御婚礼のお式がそれはそれはきらびやかにとりおこなわれ、女の子は正式に王様のお妃様になりました。
王様は、世にも美しい金色の子鹿とお妃様の交わる、異教の神話のような光景を好み、積極的に夫婦の寝台に上らせました。
四つん這いにしたお妃様の上と下の入り口に、王様と子鹿でいっしょに侵入したり、膝の上に座らせるようにつながり、その接合部を子鹿に舐めさせたりしました。
そんな楽しい毎日を送っているうちに、お妃様は美しい男の子を授かりました。
お話は変わって、例の悪い魔法使いのまま母は、妹は猛獣に引き裂かれ、兄は狩人に射殺されたと思い込んでいましたが、二人とも楽しい日々を送っていることを知ると嫉妬に身を焦がしました。
まま母の本当の娘はとても醜いすがたでしたが「お妃にはあたしがなったはずだ」などとわめきたてるので「時節が来れば必ず何とかしてみせる」となだめました。
数年が経ち、いよいよ時節が訪れました。
王様がお留守のうちに、王子様がお風邪をひきました。
お妃様の寝ずの看病で回復なさいましたが、その看病疲れで今度はお妃様がお倒れになりました。
魔法使いのばあさんと娘はお腰元の姿でお妃様をそそのかし、お妃様を火をつけたままの湯殿に閉じ込め殺してしまいました。
魔法使いのばあさんは娘にお妃様の姿を与え、お妃様の寝台に寝かせました。
その晩、王様がお帰りになりお妃様を見舞おうとしましたが、ばあさんに、今はまだそっとしておくよう言われ、偽のお妃様が寝台に寝ていることに気付かずお戻りになりました。
ところが、真夜中の草木も眠るころ、王子様の寝台の横で、寝ずの番をしていた侍従は、本当のお妃様が入ってくるのを見ました。
お妃様は王子様の頬をなで、夜具をかけなおしました。
お妃様は子鹿の事も忘れず、子鹿の寝床へ行くと、その金色の背中をなでていましたが、それがすむと、始終一言も口を利かず霞むように消えてしまいました。
あくる朝、侍従は王様のところへ行き、昨夜の事をなにから何まで残らずお話しますと、王子様のお部屋で寝ずの番をするlことにしました。。
すると、真夜中にお妃様があらわれ昨晩の様に王子様の夜具をなおし、
「坊やは何をしているの? 子鹿ちゃん何をしているの? わたくしが来るのは今夜だけ、これっきり、もう来ないのよ」
とさびしげな声でつぶやくと、スッとその姿が薄れます。
王様は消えてしまう寸前のお妃様にとびつきひきとめると、お妃様は神のお恵みで元の命をとりもどしました。
お妃様は王様に悪い魔法使いの母娘が自分にしたとんでもない悪事をお話になりました。
王様は、二人を裁きにかけました。
娘は森に連れていかれ、猛獣に引き裂かれました。
魔法使いの母親は火の中に寝かされ、焼き殺されました。
その女が燃えて灰になったとたん、二人から魔法が解け、あの日のままの姿にもどりました。
それからは毎日、お城の庭を年恰好の近い実の兄と妹、母と息子の3人は仲良く遊びまわりました。
おしまい
註
「私を飲むのが女の子なら大きく(美しく)なる」
というのはこちらのオリジナルではなくそういうバージョンもあるそうです。