ここは言わずと知れた鬼ヶ島。
そこに一人の青年、っていうか今にも泣きそうな男の子がいました。
その少年の名前は桃太郎。
そう犬、猿、雉をお供に鬼を退治したというあの桃太郎である。
しかし今、彼は一人である。それは何故か?
それを知るには鬼ヶ島に来る直前までさかのぼる。
「桃太郎さん。」
「ん?なんですか、犬さん?」
「鬼ヶ島に行くのは明日にして、今日は休みませんか?」
「そうですね。では明日に備えてあそこの宿に泊まりましょうか。」
「はい。」
その日の深夜
「すやすや」
犬(おい、桃太郎の奴、熟睡してるぞ)
猿(逃げるなら今だな。)
雉(まったく、なんでこんな餓鬼に付き合って、
鬼退治なんて行かなきゃなんないのよ。)
犬(だから逃げるんだよ。きび団子目当てで近寄っただけだからな。)
猿(それならこんなとこさっさと行こうぜ。)
雉(そうね。さよなら、あわれな坊や。)
次の日
「ふぇっ!?犬さん、猿さん、雉さん。どこ行っちゃったんでっすか〜!!(涙」
こうして、桃太郎は一人になってしまいました。
桃太郎は、おじいさんとおばあさんに「鬼を退治するまで帰って来ません」
と言ってしまった手前帰るに帰れず、仕方なしに
鬼ヶ島へと行くことになったのです。
ところ変わって、鬼ヶ島
「ど、どうしよ〜。鬼が出てきたら。」
いや、あんた退治しに来たんでしょうが。
「そ、そんなこと言われても〜。(涙」
いいからとっとと行く!
「は、はいー!」
ったく。あっ、失礼しました。
こうして鬼ヶ島に乗り込んだものの、情けない性格の桃太郎は
びくびくしながら島へと入っていくのだった。
島に入って2時間、桃太郎はというと、
「ここはどこ〜〜〜!!」
迷っていた。
「ココはドコだろう?舟の場所もわからなくなっちゃたし。(涙」
女々しいことを言いながら歩く桃太郎。っとそのとき、
(がさがさ)
「ひぃっ!!」
茂みがゆれた。
「な、何かいるの?」
おっかなびっくり、茂みに声をかける桃太郎。
返事があったらどうするつもりだよ(呆
(トントン)
「ん?」
肩を叩かれた気がした桃太郎は振り返った。
そこには、
「なにしてんの、坊や?」
鬼がいた。
「お、お、お、」
「お?」
「おにぃぃぃぃーーーー!!!(ガクッ)」
気絶した。
「ちょ、ちょっと!大丈夫?!」
なっさけない。退治しに来た鬼に心配してもらってどうする!!
「ん、うーん。ココは?」
「あっ!目がさめたようですよ、お頭。」
「そうか。」
(目がさめた?ココはドコ?ぼくは確か、鬼退治をしに
鬼ヶ島に上陸して、そこで・・・・!!!)
やっとバラバラだったピースがそろったようです。ってか遅い!
「よっ、起きたか坊主。」
「お、お、お、」
「お?」
「おにぃぃぃーーー!!!おっ、お願い!食べないでーーーー!!!」
「誰も食わんよ。」
「ふぇ?ほ、ほんとですか?」
「あぁ。っと、起きたばかりで悪いんだが、」
「なっ、なんでしょう?(ガクガク)」
「そんなにおびえなくても大丈夫だよ。ただちょっとお願いがあってな」
「はぁ、なんでしょうか?」
「男はみんな疫病で死でしまって、今この島には女しかいない」
「はぁ、ご愁傷様です。」
「ほとんどの娘が生娘で、しかも若い。このままでは我等の種が
途絶えてしまう。そこでだが・・・」
「はい?」
「私達を嫁にもらってくれないか?」
「へっ?」
「簡単に言うと、私達みんなにお前の子供を産ませてくれないか?」
「はぁ・・・・・・って、えええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
「よろしく頼むぞ、だ・ん・な・さ・ま(ハート)」
こうして桃太郎は、たくさんの嫁さんを迎えることになった。