休日の夜。
夕食を終えてリビングでくつろぐ時間。
お付のメイドが入れてくれた水割りにウィスキーを注ぎ足して呑む。
明日から年末に向けての仕事が始まる。
我が家の数人のメイド達のスケジュールの調整もしなければならないし
やっぱり新しい執事を雇ったほうがいいのかなぁ。
「まあ、旦那様ったら。私が差し上げた水割りはお口に合いませんでしたか?
年末でお酒を呑まれる機会も多いのですから、お休みの日くらいは控えた方がいいのに……」
一番付き合いの長いメイドには、時々叱られる。
他家と違い小さな所帯の家だから、使用人といえど家族のような付き合いをしているからだ。
お互いの体の隅々まで判り合っている気安さもあり、言いたいこと、言わなくてはならないことには遠慮が無い。
まあ、もちろん。 他の使用人や来客がいるときに私の立場を失くすようなことはしない。
「まあ、いいじゃないか。 それより、年末の休暇予定が出されていないけれど? どうするんだい?
他の娘達と調整しなきゃならないしさ……」
ふと、2杯目の水割りを作る手を止めて黙り込んでしまう。 私に対して言葉を選ぶ いつもの癖だ。
「だって……それとなく聞いてみたら、みんな実家に帰省したりイイヒトと旅行に行ったりするそうじゃないですか。
この家に使用人が誰もいなくなったりしたら、誰が旦那様のお世話をするのですか?」
顔を赤くしてマドラーを全力で回しながら言う言葉じゃないなと思ったが、それを突っ込むのは野暮と言うものだ。
「そうか……そうだな。 なあ、こっちに来てくれないか」
寄り添ってきた彼女を膝に乗せ抱きしめる。 この高さだと彼女の豊かな胸に顔を埋めることが出来るので、
彼女と関係を持って以来の私のお気に入りの体勢だ。
「君がいなくなると困る」
素直な気持ちを伝えると彼女の顔は更に赤くなる。 赤くなった顔を覗き込もうとすると
恥ずかしいのか、私の頭を抱きかかえて胸に押し付ける。 決して、顔を見せようとはしない。
私としては 豊かな胸の谷間に顔を挟まれるのだから、言うことは無い。
「んもう……旦那様は いつもそうやって私をからかうのですから。 しようのない人……」
髪を撫でる彼女の手は 彼女の気持ちを雄弁に語る。
「今夜も、来てくれるかい?」
「みなが寝静まった頃に伺いますわ。 クリスマスのパーティが終われば他の娘はいなくなります。
可愛がってくださいね……」
胸まで赤くしながら彼女は呟いた。