「武様の風邪」  
 
夜になりました。  
当屋敷では、ご主人様が朝お屋敷を出られる時と夜お戻りになった時には皆でお迎えするのが慣例となっております。  
執事以下、使用人一同が玄関前に並び、当家のご主人であられる武(たける)様が帰られるのをお迎えするのです。  
いつものように黒塗りの社用車が横付けされ、ドアが開かれました。  
しかし、いつもなら颯爽と降りてこられる武様のお姿がありません。  
代わりに見慣れぬ色の背広が視界に映り、疑問符が頭に浮かびました。  
その背広を着た秘書の方に脇を支えられ、武様はぐったりとしたご様子でようやっと車から降りられました。  
「どうなさったのですか!」  
何があったのかと胸が騒ぎ、声が震えました。  
「風邪を引かれたようです。昨日、外で長時間過ごされたのが悪かったのかも知れません」  
赤い顔で息を荒くしていらっしゃる武様に替わって、秘書の方が答えられました。  
 
 
昨日は、会社関係のお葬式があり、武様は社の代表として参列なさっておいででした。  
この遠野家の会社に勝るとも劣らぬ大会社の社長様のお葬式だったそうで、参列者がたくさんいらっしゃったらしく。  
高齢の方に座席を譲っているうち、社長は暖房の当たらない隅のほうへと移動されてしまったんですと秘書の方から教えられました。  
 
 
武様をすぐにお部屋へ運び、大急ぎでお医者様を呼びました。  
意識はしっかりなさっていますが、苦しそうに息をされているのに胸が痛みます。  
水枕の用意をさせ、じりじりしながらお医者様の到着を待ちました。  
 
 
間もなくいらっしゃったお医者様が診察をなさっている間、私は落ち着かずに立ったり座ったりを繰り返しました。  
今朝、武様のお具合に気付かなかった自分を叱りつけたい気分です。  
診察が終わり、お医者様に武様の病状をお尋ねします。  
風邪をこじらせただけで、数日安静にしていれば治るとのことでした。  
変な病気ではないと分かり、ホッと息をつきます。  
週末はお屋敷で静かに過ごすようにと釘を刺され、お医者様はお帰りになりました。  
 
差し迫った重要なお仕事は無いとのことで、武様はウイークデーの二日と土日の計四日をお屋敷で過ごされることになりました。  
一日に二度、秘書の方が会社から来られ、通常の最低限の業務についてはお部屋でなさるとのことです。  
秘書の方がお帰りになり、武様はお眠りになりました。  
私は心配で、その晩はベッドの脇にずっと付いておりました。  
 
 
一晩お眠りになった武様は、少しすっきりとしたご様子で目覚められました。  
主の一大事ですから、やはりメイド長の私が責任を持ってお世話をしなければなりません。  
コックが作ってくれた消化に良いお粥と、ビタミン補給のためのフルーツを持ってお部屋へと参ります。  
「武様、お粥をお持ちしました」  
「ああ、済まないね」  
横になり、何やら仕事関係の資料をお読みになっていた武様が掠れた声でそう返答されました。  
「冷めないうちにお召し上がり下さいませ」  
「そうだね。頂くよ」  
私はベッド脇のテーブルに行平鍋の乗ったお盆を置き、お粥をお椀に入れて武様に差し出しました。  
ところが、武様は手を下ろされたままで、お椀を受け取って下さいません。  
「武様、お召し上がりにならないのですか?」  
「ん?食べるよ勿論」  
そう仰っただけで、尚も微動だにされません。  
「あの……」  
私はお椀とれんげを持ったまま、変な体勢で途方に暮れてしまいました。  
 
 
「食べさせてくれないのかい?」  
耳に届いた武様のお声に私は驚きました。  
「…はっ?」  
「『あーん』って、食べさせてくれないのかい?」  
大きく口を開け、実演つきで仰る武様を見たまま、私は固まってしまいました。  
「あの、そのようなことは…」  
「前のメイド長はやってくれたよ?」  
「えっ?」  
「リンゴをすり下ろしたものを食べさせてくれたり、身体を拭いて着替えさせてくれたり。絵本を読んでくれたこともあったな」  
「それは、武様がお小さい頃のお話で…はありませんか?」  
「ああ。それがどうかしたかい?」  
思わず突っ込みかけ、慌てて疑問形にした言葉にまた疑問系で返されてしまいます。  
「えっ?」  
「『坊っちゃま、風邪の時は少々のワガママを言っても良うございます。たくさん休んで、早く治しましょうね』と。  
大抵のことは聞いてくれたな」  
昔を思い出すように、少し上を向いてそう仰いました。  
「……」  
「僕は風邪を引いているんだから、今はワガママを言うことにするよ。麻由、食べさせてくれたまえ」  
わざとらしく二度咳をなさってからにっこりと笑われたお顔を見て、私は脱力してしまいました。  
 
早く元気になって頂くためだと思い、気を取り直してお粥を掬ったれんげを武様の口元に近付けました。  
「どうぞ」  
大きく口を開けられるのを待ちますが、一向にその気配がありません。  
「…麻由、いきなり『どうぞ』はないんじゃないかな」  
「えっ?」  
「フーフーして、冷ましてからじゃないと食べられない」  
目を合わせ、きっぱりとそう言い切られる涼しげな武様のお顔をぽかんと見つめてしまいます。  
「いえ、もうさほど熱くはないと思うのですが…」  
「そこを面倒がらずにするのが愛情だろう?」  
「はあ」  
どうやら、今日の武様には何を申し上げても無駄のようでございます。  
「前のメイド長は厳しかったが、愛があった。麻由は、あの人ほど僕のことを愛していないと言うんだね」  
「そ、そんなことはありません!」  
明後日の方向に向かった武様のお言葉に、私は反論いたしました。  
「私が武様のことをお慕い申し上げているのはご存知でしょう?変なことを仰らないで下さいませ」  
「それなら、やってくれるんだね」  
「あっ…」  
見事に引っかかってしまったと気付いたのは、武様が満足気に微笑まれた後でした。  
 
 
単純な自分を呪いましたが、前言撤回はできません。  
お粥を掬い直し、フーフーと冷ましてから武様の口元へと運びました。  
「あーん、して下さいませ」  
「うん」  
武様も今度は素直に口を開け、お粥を食べてくださいました。  
 
 
お粥を三分の二ほど平らげられ、フルーツも少し召し上がられた武様はまた布団を被られました。  
「ご馳走様。僕は少し眠ることにするよ」  
「はい」  
私は食器を片付け、お部屋を去ろうと立ち上がります。  
「僕は病気だからね、もしものことがあってはいけない。  
麻由、僕が治るまでずっとついていてくれるだろう?」  
「…はい」  
「この部屋にいてくれるなら、あとは好きにしていいよ。よろしく頼む」  
そう言って武様が目を閉じられたのを見計らい、厨房に食器を返しに参りました。  
 
直々に仰ったこともあり、私は武様の看病に専念することになりました。  
通常業務を取り仕切るのは、私の次に古株のメイドに短期的に任せることにいたしました。  
しかし看病に専念と申しましても、やることが山積みで大変なわけではありません。  
食事と着替えのお世話以外は、せいぜい話し相手になることくらいなのです。  
お眠りになっている時は暇ですが、抜け出すと武様がへそを曲げられるので(本当の子供のようです)、部屋からは出られません。  
何もしないのも気が滅入りますから、武様の眠りを妨げないような何かを考えねばなりません。  
 
 
考えた末、私は編み物をすることにいたしました。  
小学生の頃、風邪を引いて伏せっていた私の横で、母がストーブに当たりながら編み物をしていたのを思い出したからです。  
うとうとと眠り、目を覚ますたびに母の手元にある編みかけの物が育っていくことが子供心に楽しみでしたから。  
丁度、去年のバレンタインデーのために編みかけていた手袋があります。  
……途中で挫折し、そのままタンスに仕舞ってあったものですが。  
私は小学5年の時に自分用のミトンを編んだ際、父に「鍋つかみか?」とからかわれる程度の腕の持ち主です。  
ただまっすぐ編むだけのマフラーや、父に贈ったシンプルなセーターはその後、何とか完成しましたが…。  
帽子や手袋などの小物は、小さいぶん編み手の技量が問われますので、気を引き締めなければなりません。  
だめならこれを習作にして、次のバレンタインデーに備えようと考えました。  
 
 
材料は揃っていましたので、それを持って武様のお部屋に赴き、椅子をお借りしてベッドの傍に陣取りました。  
編んでいるところを見られるのは気恥ずかしいので、お眠りになっているうちに針を動かしました。  
手首から手のひらの部分は、特に問題もなく編み進めます。  
しかし五本指の部分になると、本を読んでも意味が掴みにくく、ああでもないこうでもないと試行錯誤しました。  
小さな編地を手に百面相をしているのは、我ながら滑稽だと思います。  
「ああ、もうっ!」と投げ出したくなることもあります。  
その時は深呼吸し、出来た手袋を武様がはめて下さるところを思い浮かべ、しばし過程を忘れ現実逃避をしました。  
 
 
「随分熱心にやっているようだね。」  
突然向こうから掠れた声が聞こえ、私はびっくりして編地と針を落としてしまいました。  
いつの間にか武様が目を覚まされ、こちらを見つめておいでだったのです。  
「申し訳ございません、手元ばかり見ておりましたので…」  
慌てて立ち上がり、ご用を伺いました。  
「喉が渇いたんだ。何か冷たい飲み物を持ってきてくれるかい?」  
「かしこまりました」  
落とした物を拾ってから私はお部屋を出て、階下の厨房へと小走りで向かいました。  
 
武様がお小さい頃は、風邪を引くとオレンジジュースが飲みたいとねだられたことを先日お医者様に伺いました。  
それを思い出してオレンジを切って絞り、グラスに入れてお持ちします。  
「武様、お待たせ致しました」  
ドアを開け、ベッドでお待ちの武様の元へとお運びします。  
「あら?」  
しかしベッドは空で、武様は先程まで私が座っていた椅子に腰掛けておいででした。  
振り返られた武様のお手にあの編みかけの手袋があるのを見て、私は声にならない悲鳴を上げました。  
「お返しくださいませ!」  
慌てて私はグラスの載ったお盆を置き、手を伸ばしました。  
ですが、奪い返そうとした時、武様はサッとお手を後ろに回して隠されてしまいました。  
「麻由、これは何だい?」  
「それ、は…その……」  
言おうか言うまいか、しばし悩みました。  
武様のお部屋で編んでいるのですから言うも言わないも無いのですが、不恰好な編み目を見られるのはやはり恥ずかしいのです。  
「手袋…でございます」  
「誰のための?」  
「……」  
「色目からして男物だろう。僕以外の者に贈るのか?」  
「いえ、違います!」  
顔をしかめられた武様に見つめられ、私は慌てて否定いたしました。  
「下手で恥ずかしいのですが…。武様にと思い、編んでおりました」  
「そうか」  
後ろに回っていたお手を前に戻し、武様は編みかけの手袋を返して下さいました。  
「楽しみにしているよ。早く風邪を治して、これをはめて外出するとしよう」  
頬に軽く口づけを下さり、ベッドに戻ってオレンジジュースを飲まれた武様はまたお休みになりました。  
 
 
昼間に眠りますと、やはり夜半に目が冴えてしまってなかなか眠れないものです。  
武様もそれは同じようで、その夜はベッドに横になられたまま目を開け、とりとめもない話をなさいました。  
昔、武様のお父上である先代の旦那様が風邪を引かれ、それを奥様が優しく看病なさるお姿を何度かご覧になったこと。  
いつもは厳しい父上が奥様に頼られるのを見て不思議に思い、尋ねると「病気の時は甘えてもいいんだ」と頭を撫でて仰ったこと。  
「武はまだ子供だから、今はメイド長や母上に甘えることになるが、将来はお前を大事に思ってくれる人に甘えたいだけ甘えなさい」とも言われたこと。  
 
 
このお話を聞き、武様がお風邪を召された後は別の方のように甘えられたのに合点がいきました。  
甘えるべき相手として私を選んでくださったことに誇らしくもなりました。  
「風邪を引いたのは僕の不覚だが、折角だからこのチャンスを生かそうと思うんだ。  
麻由、僕を目一杯甘やかしてくれたまえ」  
ですから、にこにこと笑いながらそう仰る武様の嬉しそうなご様子に、私はノーと言うことはできなかったのです。  
 
以後は、毎食「あーん」をしなければならなくなってしまいました。  
そうしないと武様が食べてくださらないので、致し方ございません。  
編み物の方も、武様に見つめられながらする羽目になりました。  
針を動かすだけで少しずつ手袋の形が出来ていくさまをご覧になり、武様はしみじみと感心して下さいました。  
「小指のほうから編んでいくんだね。親指はどうするんだい?」  
「別に編んで、後で合わせて綴じるのでございます」  
興味を持って色々とご質問なさるのに、私は嬉しくなりました。  
武様の為に編んでいるのですから、関心を払われないよりはずっとやる気が出ますもの。  
 
 
秘書の方が来られる間に私は席を外し、邸内の仕事がちゃんと行われているかをチェックします。  
私の代わりに通常の仕事を取り仕切ってくれるメイドの目が行き届いているようです。  
こうなると他にすることもございませんので、私は一旦部屋に戻り、お風呂に入って着替えを済ませました。  
夜はまた武様のお食事と着替えのお世話をし、あちらで眠りますので自分のことは今のうちにと思ったのでございます。  
 
 
お食事を済ませられ、ベッドのふちに座られた武様の身体を拭き、着替えをお手伝いします。  
パジャマをお脱がせし、固く絞ったタオルでお身体を拭きました。  
「麻由…」  
新しいパジャマに手を掛けたところで、いつもより熱い武様のお手が私を抱き締めました。  
「武様?」  
手元から視線を上に遣りますと、熱っぽい目で私を見つめられている武様と目が合いました。  
背に回ったお手に力が入り、そのまま唇を重ねられます。  
「ん、っ……ふっ…」  
角度を変えて何度も口づけをされ、うっとりとなりました。  
しかし、今はこんなことをしている場合ではないと真面目な自分が目覚め、我に返ります。  
「武様、もうお休みになられませ」  
名残惜しいながらも唇を離し、距離を取ってそう申しました。  
「こんな気分のままで寝ろというのかい?」  
武様は少しムッとした様子でそう仰います。  
「まだお加減が良くありませんのに、これ以上はいけません。お休みくださいませ」  
「…やっぱり麻由は、僕のことを愛してな…」  
「愛しているからこそでございますっ」  
先日は誘導尋問(?)にあっさり引っかかってしまいましたが、今日はもうその轍は踏みません。  
「お元気になられたら…可愛がって下さいませね?」  
がっくりと肩を落としておられる武様を見てさすがに気が咎め、そっと小さい声で付け加えました。  
「覚悟しているがいいさ。君をどうやって可愛がろうか、それを考えながら今日は眠ることにするよ」  
ふてくされたお声でそう仰り、武様はバサリと音を立てて布団に潜り、こちらに背を向けられました。  
 
土曜には手袋の片方が完成し、試しにはめられた武様にお褒めを頂きました。  
もう片方も頑張ろうと、勢い込んで反対側に取り掛かります。  
模様が対になるように編みますので、前回とは微妙に違いますが、やはり一度経験するとスムーズに行くものです。  
五本指のところも順調に進み、このぶんなら数日中には…と頬が緩みました。  
 
 
武様のお加減はもうすっかり良くなり、月曜から出社しても良いとお医者様が太鼓判を押して下さいました。  
邸内も明るい雰囲気になり、私はホッといたしました。  
この日は、お部屋で武様のアルバムを見せて頂き、昔の話をすることができました。  
日曜には武様もベッドからお出になり、体がなまったと仰って昼過ぎにお庭を散策されました。  
その間にシーツを取替え、布団乾燥機をかけてお部屋を掃除しました。  
今日は秘書の方も来られませんので、武様もごゆっくりできるのではないでしょうか。  
 
 
夕食は病人向けではなく久しぶりに普通のものが食べたいと仰り、厨房は活気づいたようです。  
お部屋ではなく食堂で夕食を済ませられ、武様は、伏せっている間済まなかったと使用人たちに労いの言葉を掛けられました。  
こういう場面でも気遣いをお忘れにならない武様は、やはり素晴らしいご主人様だと思いました。  
 
 
お部屋へ戻られた武様は、お風呂に入りたいと仰いました。  
「麻由に毎日身体を拭いてもらったが、やはり今日は風呂に入ってさっぱりしたいから」と。  
明日からまた出社されますし、体調も大丈夫なようですので、私は頷いて部屋付きのお風呂へ湯を張りました。  
着替えを脱衣所にご用意し、待つ間にとまた完成間近の手袋を手に取りました。  
 
 
いくらも編み進まないうち、浴室から武様の私を呼ぶ声がしました。  
お風呂に入っているうちに具合が悪くなられたのかと、慌てて駆け付けます。  
「武様?どうかなさいましたか?」  
浴室のドアをノックし、呼びましたが返事がありません。  
ますます嫌な予感がし、私は一思いにドアを開け、足を踏み出そうとしました。  
 
 
「キャッ!」  
突然何かが顔に降り注ぎ、首を伝って下へと流れて上半身が温かくなりました。  
ケホケホと咳をし、何があったのかと周囲を見渡します。  
「あぁ、済まない。濡れてしまったかい?」  
シャワーのヘッドを手にされた武様が湯気の中に見え、私はお湯を浴びてしまったのだと悟りました。  
 
「随分派手に濡れてしまったね」  
武様は、そう仰ると距離を詰められ、私の真ん前に立たれました。  
「これはもう脱ぐしかないんじゃないか?」  
そう仰りながら、私の服の背ファスナーを一息に下ろされ、グッと引き下げられました。  
「きゃあっ!」  
肌が露になり、私は慌てて服をかき抱いてしゃがみ込みました。  
「濡れた服を着ていると風邪を引くよ。麻由も一緒に風呂に入ろう」  
「えっ?」  
その言葉に顔を上げると、眼前に武様の逞しいものがあり、私は真っ赤になって壁のほうを向きました。  
「その前に、僕を洗ってもらうとしようか」  
濡れて肌に張り付く私の服を脱がせながら、武様はそう囁かれました。  
 
 
結局、私は武様の術中にはまってしまい、一緒に入浴することになってしまいました。  
先日仰っていた「覚悟しているがいいさ」というのは、こういうことなのでしょうか。  
お湯を掛けられる覚悟も何も…と少しふて腐れながら、とにかく武様を洗ってしまおうとスポンジを手に取りました。  
ボディーソープを取って泡立て、椅子に座られている武様のお体の上を滑らせます。  
どうにか全身を洗い終え、シャワーをかけて洗い流しました。  
「ありがとう。じゃ、湯に浸かろうか」  
武様はさっさと立ち上がられ、私を促して湯船へと入られました。  
 
 
後ろから抱き締められるようにして、二人でお湯に浸かりました。  
「麻由と二人で旅行した時のことを思い出すね」  
私の肩に武様が顎を乗せられ、思い出すようにそう仰いました。  
「はい」  
もう五年以上も前になってしまいましたが、よく覚えております。  
「あの時は『また来よう』と約束したのに、守れないままで済まない」  
「そんな、お気になさらないで下さいませ」  
二人で旅行をしたあの頃は、まだ旦那様も奥様もご健在で、武様も学生であられました。  
しかしお二人が相次いで亡くなられ、武様は社長とご当主という責任あるお立場になられたので、旅行をする暇など無かったのです。  
「約束は、いつになるか分からないが必ず叶えるから」  
「ええ。お待ちしています」  
そのお気持ちだけで十分に嬉しく、満たされた思いで私はそうお返事しました。  
 
「あの時はどうだった?こういうことはしたかな?」  
「え?キャッ!」  
いつかまた二人で旅行を…と期待に胸を膨らませていた時、身体に回っていた武様のお手が急に動きました。  
腰の線をなぞり上げ、両の胸を包んで優しく揉まれたのです。  
「どうだったか覚えているかい、麻由」  
「そんなこと…」  
覚えておりますとも。旅館に到着し、部屋付きの露天風呂で強引に愛されましたことを。  
思い出して体が熱くなり、私は身を竦ませました。  
 
 
「あの時は、外だからと声を我慢する麻由が可愛かったな」  
嬉しそうに武様がそう仰り、指の間に胸の頂を挟まれ、キュッと締められました。  
「あんっ!」  
電流が走ったように快感が身体を駆け巡り、膝が震えました。  
声が浴室に響き、いつもと違うさまに恥ずかしさを覚えました。  
「いい声だね」  
武様はそう仰り、尚も刺激を与えられます。  
久しぶりの快感に、このまま流されようかと体の力が抜けました。  
 
 
しかし、病み上がりの武様が湯当りでもなさっては大変です。  
「武様…いけませんっ」  
「そうかい?」  
「ええ。お身体がまだ…。ですから、おやめ下さいませ」  
「麻由にそう言われるのならしょうがない。控えるとしようか」  
強引に事に及ばれるかと思いましたが、武様は素直に手を止めて下さいました。  
「じゃあ、今度は僕が麻由を洗おう」  
立ち上がらされ、湯船から出て洗い場の椅子に座らされました。  
 
 
先程の私と同じように、武様がスポンジにボディーソープを泡立て、身体を洗って下さいました。  
「気持ちいいかい?」  
「ええ」  
武様は爪先まで丁寧に洗ってくださり、微笑まれました。  
ですが、私はされるがままになりながら、違うことに気を取られておりました。  
先程、中途半端に触れられたままの身体が不満を訴えはじめていたのです。  
 
意図を持って触れられる武様をお止めしたのは自分なのに、いざ途中で手を止められると、物足りないと思ってしまったのです。  
何と浅ましい人間なのかと、自分で自分に呆れました。  
しかし今更、触って欲しいなどとは言えません。  
「流すよ?」  
武様の声がし、シャワーのお湯が身体に当たりました。  
泡が流れていくのをぼんやりと見つめ、今夜も一人で眠るのかと少し残念な気分になりました。  
 
 
「んっ!」  
胸の頂にシャワーのお湯が突然降り注ぎ、その刺激に息を飲みました。  
「浮かない顔をしているね、どうしたんだい?」  
「あ、っ……んんっ」  
お湯に当って胸の頂が熱く疼き、肩が震えました。  
「んっ……武様っ」  
縋るような目で武様を見上げると、微笑んでおいででした。  
「さっき麻由に止められたからね、僕は触れられないんだ」  
「そんな……」  
その言葉に呆然として、次いで唇を噛みしめました。  
 
 
下を向いてしまった私の背後に回り、武様はシャワーを持ったまま私の脚を割り開かれました。  
「えっ?」  
何をなさるのかと思った時、脚の間に温かいお湯が降り注ぎます。  
武様は反対の手で私のそこをグッと開かれ、敏感な部分にお湯が当てられました。  
「キャッ!」  
武様に触れられるのとはまた違う快感と温かさが、じわじわと全身に広がっていきました。  
「あぁっ…あ……」  
お湯が襞や突起に当り、流れ落ちる感覚が私の頭の中に満ちました。  
「気持ちよさそうだね、麻由」  
「んっ!」  
シャワーをさらに近付けられ、お湯が秘所に当る勢いが増し、さらに強い快感を生みました。  
特に、敏感な突起にお湯が当る感覚が堪らないのです。  
 
 
お湯がジュクッ、ジュクッと音を立てて秘所を洗い上げ、そして流れ落ちました。  
水流が何とも奇妙な浮遊感を生み、私を高めてゆきました。  
唇を噛み、身を震わせて堪えようとしますが、抵抗もそこまで。  
「いい声を聞かせておくれ」  
武様の指が私の唇を割り、口の中に入りました。  
口を閉じていられなくなった私は、もう声を抑えることができませんでした。  
「ああぁ…んっ……いやぁ…っ…はぁん!」  
ベッドで武様の愛撫を受ける時と変わらないほど、私は乱れてゆきました。  
 
先程までは「武様のお体が…」と殊勝なことを言っておりましたのに。  
ここを愛撫されるとすぐその意思が折れてしまうなんてと、自分が情けなくなりました。  
「あ……やぁ…んっ!」  
私のそこを抑えられている武様の腕に掴まり、ギュッと目をつぶりました。  
腰が何度も跳ね、限界を訴えています。  
「っ…武様…もう……ああっ!」  
下から無理矢理身体を押し上げるような快感にガクガクと身体を震わせ、私はあっけなく達してしまいました。  
 
 
身を屈め、形の無いお湯などにイかされてしまった虚しさを感じておりました。  
キュッと音を立ててシャワーのコックが締められ、元の場所に固定される音を耳がぼんやりと捉えます。  
水が落ちる音が止み、急に静寂に包まれた浴室の中で私はじっと動きませんでした。  
「麻由」  
武様が、後ろから抱き締めて下さり、ふと我に帰りました。  
そっと振り返ると、熱を帯びた目で私をご覧になっている武様と目が合いました。  
「君が昇り詰めるところをじっくり見させてもらったよ」  
耳元に口を当て、そう囁かれました。  
シャワーなどでイってしまった浅ましい自分の身体が嫌で、私は手で顔を覆って首を振りました。  
「いや…仰らないで下さいませ」  
「僕以外のものでイくなんて、けしからんことだよ?」  
「だって…」  
シャワーをそんな場所に当てられたのは武様なのに。  
私が悪いことをしたように言われてしまい、悲しくなりました。  
 
 
「僕のものが待っているのに、麻由は全然そんなことに構わずに一人でイったんだからね」  
武様のお手が私の手を取り、ご自身の下腹部へと導かれました。  
「あっ…」  
熱く脈打っているそこに触れ、思わずビクッと手を引きました。  
しかし武様のお手は、離れた私の手を再び導き、それを握り込まされました。  
そのまま前後に動かされ、私の手がまるで煽るかのように武様のものを撫でます。  
手の平と指全体で感じる武様のものに、私は、身体の内部がまた熱くなってくるのを感じました。  
これを、私の中に入れて頂きたい。  
一つになって、もっともっと武様を感じたいと欲望が湧いてくるのを抑えられませんでした。  
 
「これを、麻由が鎮めてくれるだろう?」  
耳元に口づけられ、武様は甘えるようにそう仰いました。  
私は小さく頷き、手を自分からおそるおそる動かしました。  
それは段々と固さを増し、手の中でますます存在感を主張しはじめました。  
 
 
もう、我慢できそうにありません。  
私は立ち上がり、武様に椅子をお譲りしました。  
お座りになった武様の膝を跨ぎ、至近距離で見つめ合って口を開きます。  
「頂いても、ようございますか?」  
「ああ」  
頷かれたのに安堵し、私は腰を落としました。  
 
 
武様のものが中を満たし、私達は一つになりました。  
「あ…あぁ…」  
目を閉じて大きく息を吐き、いつもより深い挿入感をじっくりと味わいました。  
「いい顔をしているね」  
「あっ…」  
武様のお手が腰のくびれを撫で、何度も往復しました。  
「いつもは恥ずかしがってばかりなのに、今日の麻由は積極的なんだね」  
嬉しそうにそう仰るのが憎らしく、私は身を屈めて武様の頬に手を当て、何も仰れないようにと口づけました。  
唇の温かさを感じながら、いつも武様がなさるように何度も角度を変えて。  
先程とは違う水音が浴室内に反響し、余韻を残して次々に消えてゆきます。  
「んっ……ん」  
武様の舌が差し込まれ、私の舌と絡みました。  
その動きに翻弄され、私はされるがままになりながら、武様の肩をギュッと掴みました。  
 
 
舌と唇が開放され、大きく息をつきました。  
武様のお手が今度は私の頬を包み、そっと撫でました。  
「可愛いね、麻由」  
仰るその声に胸がきゅんとします。  
可愛いだなんて、そう思っていただけることが嬉しいのです。  
武様と目を合わせ、照れて微笑みました。  
 
 
「そろそろ、僕のことも気持ちよくしておくれ」  
武様が仰って、私の頬にあったお手を下ろされました。  
「え…」  
そのままお待ちになっているのに、私は困ってしまいました。  
低いお風呂の椅子に腰掛けられた武様の上に座っておりますため、足で身体を支えにくいのです。  
武様が望まれるように、自分から動きにくいことに今更ながら気付きました。  
 
期待に満ちた目で私を見ておられる武様から視線を外し、どうしようかと考えていたその時。  
「キャッ!」  
突然、背中に冷たい刺激が走りました。  
「っ…どうしたんだい?」  
「水滴が…」  
天井から落ちた水滴が背中に当り、その冷たさに身体が大きく跳ねたのです。  
「急に声を上げるから、びっくりしたよ」  
武様は水滴の感触を消すように背中をさすって下さいました。  
お手の温かさに、背に走った不快感が消えてゆき、私はホッとして目を閉じました。  
 
 
「あっ…」  
胸に別の刺激を感じ、私は目を開けました。  
武様が私の胸の頂に吸い付き、舌で愛撫され始めたのです。  
「んっ…ん…」  
快感が走るたび、私の秘所はキュッと収縮しました。  
武様のものを締め付けているのをいやでも感じてしまい、恥ずかしくなりました。  
 
 
「水滴が落ちた時より、胸に触れた時の方が下の反応がいいね」  
武様は胸から少しだけ口を離し、頂に唇が触れる距離でそう仰いました。  
その微かな刺激にさえ感じてしまい、切ない吐息が漏れてしまいます。  
「麻由の胸にただ触れるのもいいが、繋がっている時に触れるのも堪らない」  
そう仰ると、武様はまた私の胸に吸い付き、舌で弄ばれはじめました。  
気持ちよい刺激が走るたび、今しがた武様に言われたことを意識してしまいます。  
「あっ…んんっ!」  
胸の頂に歯を立てられ、身体が大きく震えました。  
「っ…凄いね、麻由」  
眉根を寄せられた武様に言われ、私は顔を逸らしました。  
「僕のものに絡んで、吸い付いてくるようだ」  
「いや…っ…」  
羞恥に耐えられず、私は身体を離して胸を手で押さえました。  
「隠しちゃ駄目だろう?」  
武様のお手が私の手にかかり、引っ張られました。  
「だって…」  
変に意識するようなことばかり言われ、恥ずかしくて死にそうになるのです。  
腕全体に力を入れ、胸元から私の腕をどけようとなさる武様に抵抗いたしました。  
 
「僕を気持ちよくしてくれないのかい?」  
「えっ?」  
拗ねたようにそう仰り、武様は私を上目遣いに見つめられました。  
「繋がったまま麻由を愛撫すると、ここが締まって僕にも快感なんだ。  
麻由と二人で気持ちよくなりたいのに、君はそれを邪魔するっていうのかい?」  
武様は、いつの間にか私の腕から離されていた手を下に持っていかれていました。  
二人の密着した部分に指が差し込まれ、襞をなぞって敏感な突起に触れます。  
「あっ!」  
それに反応した身体がビクリと震え、私は背を反らして声を上げてしまいました。  
「ほら、今だってそうだ。君が気持ちいいと僕も気持ちいいんだから」  
「武様…」  
「だから、拒否しないでおくれ。今日はもう変なことは言わないから」  
真剣な面持ちでそう言われては、従わざるを得ません。  
私は頷いて胸元の手から力を抜き、武様の肩に乗せました。  
 
 
「あんっ…ん……はっ…」  
武様が再び胸元に顔を寄せられ、舌で触れてこられました。  
指も使って触られ、私は快感に耐えられなくなり武様の頭を抱き締めます。  
気持ちよさを押し殺しているのか、愛撫をせがんでいるのか、もう自分でもどちらなのか分かりませんでした。  
 
 
二の腕の辺りを叩かれ、我に返りました。  
力を入れすぎていたことに気付き、慌てて腕を緩めて武様の身体を開放します。  
「っは……麻由」  
「はい」  
「君の胸で窒息するのも悪くは無いが、それはまた今度にしてくれないか?」  
冗談めかしてそう仰る武様のお顔を、きまり悪く見つめてしまいました。  
「済まない。変なことは言わないんだったね」  
申し訳なさそうにそう言われ、武様は私の身体に手を回されました。  
 
そのまま、力強く腰を打ち付けられました。  
「ひゃっ…あ……あっ…」  
逞しいその動きに私は翻弄され、高い声が出てしまいます。  
「もっと…もっと乱れるといい」  
「んっ!あぁ…」  
武様に貫かれ、揺さぶられる快感に私はもうなす術もありませんでした。  
「あぁ…武、様っ……」  
武様にしがみ付き、自らも腰を揺らして快感を求めました。  
「麻由…っ…」  
切ない声で名前を呼ばれ、唇を重ねられます。  
激しくなる口づけに、ますます深く武様と繋がっているように思えて気分が高まりました。  
「っ……んっ…ふ…」  
動きにつれて唇が離れるのがもどかしく思えました。  
このままずっと重なったままでいられれば、どんなに幸せかと思いますのに。  
少しでも長く…と願うのですが、武様は緩急をつけて中を突かれ、私をどんどんと追い上げられていきました。  
「…あっ!あ…やっ…」  
感じる所を大きく突かれ、私は堪らず唇を離して喘ぎました。  
「…麻由は、やっぱりここが弱いね…」  
「そんな、っ…」  
否定しようにも、息が上がって言葉になりません。  
「隠しても無駄だ。ほら、こうすると反応が違うから…」  
「あぁっ…あ……んんっ!」  
そこを集中的に責められ、私はもう抗うことはできませんでした。  
「っ、は…武様……ぁ…」  
「気持ちいいかい?」  
「はい…っ…気持ちいい…です…あんっ!」  
武様の肩にしがみ付き、途切れ途切れに返事を返しました。  
「あ…ん…武様、は?」  
「ん?」  
自分ばかりが感じているようで悔しくなり、問いかけました。  
武様ご自身の口から、言葉を引き出したかったのです。  
「武様も…気持ち、いい…ですか?」  
「ああ…とても気持ちいいよ。…そろそろいいかい?」  
よかった。武様も私と同じように感じてくださっている。  
それが嬉しくて、私は大きく頷きました。  
「んっ…んっ…あぁ!やっ!あんっ!」  
開放に向け、武様の動きが一段と激しくなっていきます。  
「あぁ!武様っ…駄目…んんっ!」  
「っ…!麻由…くっ……」  
武様のものが私の中で大きく脈打ち、弾けました。  
その迸りを感じながら、私も少し遅れて達しました。  
 
 
しばらくは何も考えず、武様に身を預けておりました。  
「麻由…大丈夫かい?」  
髪を撫でられ、ふと我に返ります。  
「…はい」  
返事をし、武様のお体に回していた手を名残惜しく離して目を合わせました。  
「済まない。君を気遣う余裕がなかったようだ」  
いつもは繋がりあう前に、武様はきちんと準備をして下さいます。  
しかし、今日はお風呂場で…ということもあり、生身のまま武様は私の中に入られました。  
「僕が後は全部やるから。麻由は何もしなくていい」  
武様はそう仰り、ご自身と私の身体を後処理を含め、もう一度綺麗に流されました。  
脱衣所に運ばれ、バスタオルで優しく拭いて頂き、武様にとご用意した替えのパジャマも着せて下さいます。  
 
「武様…」  
お世話をするのには慣れておりますが、お世話をして頂くのには慣れません。  
何となくきまりが悪いのですが、武様が申し出てくださったのだからと全てお任せしました。  
腰にタオルを巻かれた武様は、パジャマ姿の私を支えながらベッドまで連れて行って下さいました。  
私を座らせ、ご自分でクローゼットからパジャマを出されて着替えられます。  
「さあ、もう寝ることにしよう」  
「はい…」  
ベッドに横たえられ、布団まで掛けて頂きました。  
武様もお入りになり、ギュッと抱き締められてお胸に顔を埋める格好になります。  
「お休み、麻由」  
「お休みなさいませ」  
 
 
翌日の朝、私は足音を忍ばせて自分の部屋へ戻りました。  
貸していただいたパジャマを脱ぎ、いつもの仕事着に着替えます。  
昨日武様に濡らされてしまった仕事着は洗濯し、手早く干し上げました。  
 
 
そして、朝食を終えられた武様は無事に出勤なさいました。  
私も通常業務に戻り、いつものように日中を過ごしました。  
邸内もすっかり元通りの雰囲気で、皆がそれぞれの業務についております。  
主の健康一つが屋敷の皆の心持ちをも左右することが、今回のことでよく分かりました。  
 
 
手袋は、あれから二日後に完成いたしました。  
武様は手袋をはめた手で私の手を握られ、お褒めの言葉を下さいました。  
もったいないな…と時々呟かれながらも、毎日使って下さっています。  
とんでもありません。武様にお使い頂く為に編んだのですから、どんどんお使いになっても構いませんのに。  
「駄目になっても、また編みますから」と申し上げると、武様はニッコリと微笑まれました。  
「手袋は仕事中に使えないから、今度はベストか腹巻でも編んでくれないか?」  
そう仰って、次を催促されてしまいました。  
それだと日にちがかかりますから、春までには完成しないかも知れません。  
しかし今度のお休みには手芸店に毛糸を見に行こうかと考える当り、私も本当は乗り気なのだと思います。  
私が編んだ物を身につけられる武様を想像して、気候が良くなるまで頑張ろうと決意いたしました。  
 
──終わり──  
 

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