昔のエピソードを一つ投下します。  
2人が関係を持ってまもなく、まだ武の婚約者選びパーティーが行われている頃の話です。  
 
 
「宿願」  
 
それを思いついたのは全く偶然のことだった。  
いつものように麻由を部屋へ呼び、2人きりで会話をしているときのことだ。  
彼女が住む使用人棟は、定期的に部屋替えがあるらしい。  
1週間後にそれを控え、今は頑張って荷造りをしているのだという話を聞いていた。  
数m先の部屋へ移動するだけでも、私物を全て移すというのは大変なのだろう。  
手伝ってやりたいが、僕の立場上、残念ながらそうするわけにはいかない。  
「引越しの日までに、間に合いそうなのかい?」  
「ええ、たぶん大丈夫ですわ。こういう作業も基礎教育の一環なのだと、メイド長が仰っていました」  
麻由が微笑み、僕もつられて笑顔になる。  
真面目な彼女のことだ、きっと毎晩一生懸命やっているのだろう。  
「この際、持ち物に全て目を通して、いらないものは処分することにしたのです。  
それが案外多くて、段ボール何箱にもなってしまいました」  
「ほう、そうか」  
「なぜこんな物を取っておいたのかというものが多くって。  
もう持っていない服の共布や、間違えて買ってそのままにしてあった枕カバーなんかが出てきまして」  
なるほど、忘れていたり、つい捨てそびれたりした物が引き出しの奥にでも潜っていたのだろう。  
僕の机の中にも、探せばきっと似たようながらくたがあるはずだ。  
「高校時代の教科書や制服なんかも出てきたんです。  
父と住んでいたお部屋から移った時に、持って来たまま忘れてしまっていたんですわ」  
「制服?」  
「はい」  
彼女の言葉に僕のアンテナが反応した。  
屋敷に来た当初、麻由は使用人棟の家族部屋で父親と2人で暮らしていた。  
当時は彼女の父親が僕の父の運転手をしていたからだ。  
高校を卒業後、麻由がメイドとして働き出してから間もなく彼女の父は退職し、もともと住んでいた近郊の家に一人で戻った。  
そして、麻由は同じ棟の独身者部屋に移り、そこで住まうことになったのだった。  
「確か、君の高校の制服は黒いブレザーだったね」  
「はい。よくご存知ですね」  
感心したように彼女が言う。  
ご存知も何も、当時から彼女に片思いをしていた僕の目には、しっかりとその制服姿が焼きついている。  
同じ敷地内に住んでいたのに別の高校に通っていたから、その姿を見ることは稀だった。  
学校への行き帰りなどにちらりと見る麻由のことを、どれだけ焦がれながら見詰めていたか。  
当時の淡い恋心が思い出され、甘酸っぱい気持ちになった。  
「あの制服を処分するのかい?}  
「ええ、もう着ることもありませんから」  
その言葉にひどく残念な気持ちになる。  
僕には初恋の形見でも、彼女にしてみれば制服はもう過去の遺物なのだろう。  
着ないのなら貰い受けたいと言いかけ、慌てて口をつぐむ。  
こんなことを言ったら、きっと幻滅されてしまうから。  
 
 
「武様?」  
あれこれ考えて黙り込んだ僕を見て、彼女が首を傾げる。  
何も疑うことの無い目で見られ、少し動揺した。  
「なあ、麻由…」  
「はい?何でございましょう」  
「制服を捨てるというのなら…、最後に一度だけ、僕の前で着てくれないか?」  
もう一度、彼女の制服姿が見たい。  
強くそう思い、清水の舞台から飛び降りるような気持ちでそう頼んだ。  
しかし。  
「まあ、なぜです?」  
きょとんとした顔で問い返され、頭を抱えたくなった。  
それはそうだ、なぜ今さらと思うのが当然の反応だ。  
ここは、冗談だよと笑って誤魔化すしかない。  
 
「…前に、僕は君に初めて会ったときに一目惚れをしたという話をしたことがあったね」  
笑い話にするはずが、開いた口からは全く違う言葉が出た。  
「え、ええ」  
僕の言葉に麻由の頬がピンク色に染まる。  
その初々しい反応にグッときたが、そ知らぬ振りをした。  
どうやら、僕は自分で思っている以上に彼女の制服姿が見たいらしい。  
「…同じ高校に通えなかったから、君の姿を近くで見ることができなかった。  
君を部屋の窓から見たり、庭ですれ違うだけであの頃の僕には精一杯だったんだ。  
こうやって傍に寄って話せたら、どんなに嬉しいだろうと君を見るたびに思っていた」  
話しかけたら、きっと緊張してしどろもどろになってしまう。  
そんな確信があったから、会話することを諦めて見詰めるだけだった。  
中学生の頃はセーラー服、高校生の時はブレザー。  
目を閉じなくても、当時の彼女の姿はたやすく頭に思い浮かべられる。  
「一度きりで構わないから、着ておくれ。  
あの時の夢を叶えたいんだ、きっと今でも似合うよ」  
そう頼むと、麻由は耳まで真っ赤になった。  
「に、似合うでしょうか…」  
「ああ、間違いない。僕が保証する」  
さらに言葉を重ね、傾きかけている彼女の心に揺さぶりをかける。  
「一生のお願いだ、いいだろう?}  
身を乗り出し、手を合わせて頼んだ。  
もっとましな一生のお願いは無いのかと、冷静な自分が文句を付けるが、聞こえない振りをした。  
「武様がそう仰るなら…」  
彼女がコクリと頷き、赤くなったままの顔を上げる。  
承知してもらったことに、僕はソファから飛び上がりたいほど嬉しい気分になった。  
 
 
すぐ着て貰ってもいいくらいだったが、今から自室に戻って取ってくることには彼女が難色を示した。  
無理に頼むのも悪いかと思い、はやる心を抑えてすぐに見るのは諦めた。  
引越しをした次の日に来ることを確約してくれ、一安心する。  
当時のことを思い出すのはやさしいが、早く実物が見たい。  
その日が来るまで僕はずっとそわそわしていたように思う。  
当日はいよいよ浮き足立って、生活上の細かいミスを連発する有様だった。  
夕食も入浴もさっさと済ませ、皆が寝静まるのを待つ。  
一応ソファに座って本など開いてみるが、内容はもちろん頭に入ってこなかった。  
夜11時を過ぎた頃、部屋のドアを控えめにノックする音が聞こえた。  
心臓が大きく跳ね、喉がごくりと鳴った。  
この扉を開ければ、高校時代の麻由がいる。  
期待に震える手で僕はドアノブに手を掛けた。  
 
 
立っていたのは、いつもの紺色のワンピースにエプロン、ブリムを付けたメイド姿のままの彼女だった。  
あてが外れてしまい、ひどくがっかりした気分になる。  
それを気取られないようにしながら、とりあえず部屋へ招き入れ、ソファに座らせた。  
「よく来たね」  
「はい…」  
彼女が後ろ手に持っていた紙袋を床に置いた。  
そうか、使用人棟の自分の部屋で着替えてから来るのはリスクが高いと考えたのだろう。  
制服姿で僕以外の誰かに会ったりしたら、何を言われるか分からないだろうから。  
「それが制服かい?}  
「え、ええ」  
彼女が俯き、小さな声で頷いた。  
この部屋で着替えるつもりなのだろうか。  
「頼みを聞いてくれてありがとう、麻由」  
再び騒ぎだした胸を押さえ、笑みを浮かべる。  
「…来て早々で悪いが、さっそく頼めるかな」  
僕がそう言うと、彼女はゆっくりと頷いた。  
 
紙袋を持って立ち上がった彼女が周囲を見回す。  
「あの、着替えはどこですれば宜しいでしょう?」  
「僕は別にここでも…」  
「そ、それは駄目です!!」  
大きな声で拒否した彼女が、ハッとしたように口に手を当てる。  
着替え中は大人しく後ろを向いているつもりだったが、僕はそんなに信用が無いのだろうか。  
風呂場ですればよいと言いかけたが、僕がさっき入浴したばかりだから床が濡れている。  
「僕は壁の方を向いているから、あっちで着替えなさい。  
なんなら、クロゼットの扉をつい立ての代わりにしてもいい」  
着替えを覗かないことを約束し、二言は無いとばかりに背中を向けた。  
「…では、あちらで」  
彼女が向こうの壁際へ行き、つくりつけのクロゼットを開ける音が聞こえた。  
 
 
衣擦れの音がするたび、ついそちらへと関心を向けてしまう。  
着替えた彼女の姿を早く見たくて、心がはやってしょうがない。  
まだかまだかと膝を叩き、じりじりしながら待ち続けた。  
「麻由?」  
音がしなくなったので、着替え終わったのかと思って呼びかけてみる。  
「もう少しだけ、お待ち下さいませ」  
慌てたような声が聞こえ、ガサガサと音がした。  
脱いだメイド服を畳んでいるのだろうか?  
待ち疲れたところで、やっとクロゼットの扉が閉まる音がし、彼女がこちらへ歩いてきた。  
「武様…」  
恥じらいを帯びた呼び掛けに振り返ると、初恋の少女がそこに立っていた。  
 
 
左胸にエンブレムのついたシンプルなブレザーに、白いシャツと光沢のある赤いリボン。  
青系のチェック柄のプリーツスカートをはき、足元にはワンポイントのついたハイソックス。  
普段まとめている髪は、一旦解いてから三つ編みにされていた。  
制服を着崩すことも無い清楚な佇まいで、全く当時のままの姿の麻由がそこにいた。  
時間が一気にさかのぼったような錯覚をおぼえ、小さな目まいが僕を襲った。  
「武様?」  
馬鹿のように突っ立ったままの僕を訝しく思ったのか、彼女がまた名を呼んだ。  
「あ、ああ。うん」  
挙動不審になりながら、やっとのことで返事をした。  
まさか、髪型や靴下まで徹底してくれるとは思わなかった。  
予想以上の出来栄えに、まだ胸の動悸が治まらない。  
 
 
「さ、こっちへおいで」  
こわばった喉から声を絞り出し、こちらへと招く。  
その言葉に従い、麻由はまた数歩僕の方に近寄った。  
「いかがでしょうか…」  
自分の姿に自信がもてないのか、おどおどと尋ねてくる。  
「…そうだね、とても可愛いよ」  
思ったままを言うと、彼女はパッと顔を赤くして俯いた。  
「そ、それは良うございました」  
蚊の鳴くような声で言うのが耳に届いた。  
今度は、僕の方から距離を縮める。  
あともう少しで手が届きそうな所で足を止め、恥ずかしそうにしている彼女を見下ろした。  
中高生の頃、こんなに近寄ったことはなかったと思う。  
窓越しか、庭を隔てて垣間見ることがほとんどだったから。  
稀に庭で行き合っても、麻由は僕の姿を認めると道の脇へそれ、両手を前で揃えてお辞儀をするのが常だった。  
敬意を払われるのは悪くないが、そんな風にされると話しかけづらい。  
運転手の娘だというだけで、彼女自身とは主従の関係に無かったのに、随分律儀な子だと印象を抱いたのを思い出した。  
 
「お気が済みましたか?」  
追憶にふけっていたところ、麻由の言葉で我に返った。  
「もう宜しいのなら、これで…」  
「えっ?」  
あちらを向き、僕の前から去ろうとする彼女の腕を反射的に掴む。  
「どこへ行くんだ?」  
「元の服に着替えて参ります」  
「それは駄目だ、もう少しこのままでいておくれ」  
もっと麻由の制服姿を見ていたい。  
こちらを向かせ、必死なくらいに頼み込むのだが…。  
「いえ、もうこれ以上はご勘弁下さい」  
珍しく彼女は僕の手に抗い、腕を振って外そうとする。  
こんなに似合っているのに、恥ずかしいのだろうか。  
向き合って彼女の腕で綱引きをするような格好になった。  
これでは、まるで女子高生に迫る質の悪い男のようだ。  
埒があかないので、一歩踏み出して暴れる肩を左手で捕まえる。  
「あっ!」  
一気に引き寄せ、自分の胸にぶつけるようにして彼女を後ろから抱き締めた。  
「ん…」  
尚も腕の中で身を捩る華奢な肩を抱え込み、手を掴んでいた右手は腹に回す。  
息を飲み、彼女は一瞬だけ抵抗をやめた。  
肩越しに覗き込むと、僕の左手はブレザーと胸元のリボンに触れ、右手はブレザーの裾とチェックのスカートに触れていた。  
夢にまで見た制服姿の麻由を、今自分は腕に抱いている。  
身体中の血液が逆流したようになり、頭がかあっと熱くなった。  
「離してくださいませ…」  
俯いた彼女の耳が赤く染まっている。  
「いやだ。離してしまえば、君は着替えるんだろう?」  
「…」  
無言で肯定され、僕はますます腕の力を強くした。  
 
 
また身を捩りだした彼女のお下げが揺れ、鎖骨の辺りに回した僕の腕にぱたぱたとぶつかった。  
白いうなじが目に入り、反射的に唇を寄せてしまう。  
「あ…」  
吸い付くと、麻由はびくりと身体を跳ねさせた。  
印を残さない程度に軽く吸い付いたつもりだが、心配そうな目で振り返って僕を見た。  
「痕はつけなかった」と言おうとした僕の唇は、上目遣いにこちらを見上げる麻由の唇に吸い寄せられるように重なった。  
「っ!…ん……」  
あごを掴んで固定し、柔らかい唇を堪能する。  
次第にこわばっていたその身体から力が抜け、僕の胸にしんなりと寄り添う形になった。  
思う存分味わってから唇を離すと、くちゅりという湿った音が静かな部屋に響き、消える。  
腹に回していた僕の手を、麻由がキュッと掴んだ。  
 
 
「武様…」  
麻由がぽつりと呼んだ自分の名が、甘く蕩けるような響きを持って耳に届いた。  
もし、高校時代に思いを告げていたなら。  
今みたいに、この格好で僕の名を呼んでくれたのだろうか。  
僕が麻由に一目惚れをしたように、彼女も同じタイミングで僕のことを思い初めたのだと前に話してくれたことがある。  
両思いだったのに、同じ敷地内に何年も暮らしていたのに、随分遠回りをしたものだと思う。  
僕達が思いを伝え合ってからまだ1年も経っていない。  
やり直したくても、あの頃にはもう戻れない。  
僕にもう少し勇気があって、あの頃に告白できていたなら。  
屋敷の皆や両親の目を盗み、こうして制服を着た麻由を抱き締められたのかも知れない。  
巻き戻せないその数年間を思い、しばし目を閉じた。  
婚約者が決まってしまえば、僕はもう麻由をこの手に抱くことができなくなるだろう。  
この家の跡取りとして、しかるべき人を妻に迎え、愛するための努力をしなければならない。  
本当に好きな人との関係を続けたままでは、それができないのは目に見えている。  
 
俯いた麻由の顔を上げさせ、もう一度口づけた。  
まだまだ上手いとはいえない動きで舌を絡め、さっきとは違ったやり方で彼女に触れる。  
「ん…ん…」  
彼女が時折小さく息をつき、鼻にかかった声を上げる。  
その微かな反応に煽られ、下半身に熱が集まり始めるのを感じた。  
最初は、麻由の制服姿をもう一度だけ見たいと純粋に思い、頼み込んだのに。  
こうして彼女を抱き締めてしまうと、別の欲望が頭をもたげてくるのを抑えられない。  
キスを交わしながら、麻由の腹に当てていた手を上へと這わせていく。  
ブレザーに包まれた胸に触れると、その身体が大きく震えた。  
固い生地の上からそこを撫で、線をたどる。  
金色のボタンを外し、シャツの上から同じようにまた手を這わせた。  
「あっ…ん…」  
彼女が唇を離して小さく叫び、身を捩る。  
ブレザーの隙間から入り込んだ手を掴まれ、外へ出そうと引っ張られる。  
必死になっているようだが、そのくらいの力ではもう僕の手は止まらない。  
 
 
触れた胸は、いつもより弾力があるように感じられた。  
柔らかい肉がシャツの中に窮屈そうに押し込められ、白い布地がぴんと張っている。  
「高校生の時と比べて、胸が随分成長したようだね?」  
耳元で囁くと、彼女は顔をそむけた。  
どうやら図星だったようだ。  
この制服を着ていた数年前、彼女の胸はどれくらいの大きさだっただろう。  
手を這わせながら思い出そうとするが、明確な記憶が浮かんでこない。  
あの頃の僕は、まだそういう場所を注視するような人間ではなかったからなのか。  
今から思えば、随分と奥手だったものだ。  
しかし、あの頃姿を見るだけでも良いと願った麻由は、今この腕の中にいる。  
当時より成長した胸を僕に揉まれて、羞恥に身をくねらせている。  
高校時代の自分からすればまさに夢のようなことだ。  
「だめです…だめ…」  
首を左右に振り、麻由がうわ言のように繰り返す。  
そういう言い方は、男のやる気を増大させるようなものだとは知らないのだろう。  
男は誰でも、少々強引なシチュエーションに興奮を覚えるものだ。  
特に僕は、制服姿の初恋の人を前にしてボルテージが上がりきってしまっている。  
メイド長でも連れてこない限りは、今の僕を止めるのは無理だろう。  
素肌に直接触れたくなり、シャツを脱がせることにする。  
しかし、揺れる麻由の身体を押さえ、片手でシャツのボタンを外すのは難しい。  
しばらく格闘してボタンを外すのは諦め、シャツを掴んでスカートから引っ張り出した。  
「きゃあ!」  
麻由が悲鳴を上げ、更に大きく身を捩る。  
しかしそのおかげでシャツが乱れ、労せずにスカートから引っ張り出せた。  
裾から手を入れて素肌に這わせると、しっとりと吸い付くように掌に馴染む。  
もっともっと触れたくなって、僕は広範囲に手を動かし、柔らかいその感触に酔った。  
「ん…武様…」  
わき腹やへその辺りに指が届くたび、彼女がいやいやをするように身をくねらせる。  
初々しいその仕草は、きっと高校生時代に彼女と触れ合っていてもこうしただろうと思わせた。  
自分のボルテージがまた一段上がったのを感じる。  
もはや、僕の身体に沸きかえる熱を冷ます方法は一つしかなくなった。  
 
疲れたのか、麻由が静かになった隙を見計らってベッドへと運んだ。  
素早く覆いかぶさり、横たわる彼女を上から見詰める。  
ブレザーのボタンが外れてリボンも乱れ、シャツがしわになっている。  
欲望をかき立てるその姿で、顔を真っ赤にさせた初恋の人が涙目で自分を見詰めている。  
これは、襲うなという方が無理だ。  
もう一度口づけながら、ブレザーを脱がせる。  
相対したことで扱いやすくなったシャツのボタンも外してしまい、左右に広げた。  
「っ…」  
唇を離すと、彼女は両手で自分の顔を隠してしまった。  
少し残念な気もするが、今はやっと目の前に現れた両の膨らみに触れることが先決だ。  
背を浮かさせて下着のホックを外し、白いレースで仕立てられたそれをずり上げた。  
成長したと僕がさっき評した胸が誘うようにふるりと揺れ、露になった。  
堪らず、そこへ顔を埋める。  
柔らかく弾む感触を楽しみ、心ゆくまで揉みしだいた。  
「あっ…ん…」  
外気に晒されて固くなりかけている乳首を口に含むと、耐え切れないのか彼女が声を上げた。  
そのまま唇で挟んで扱くようにすると、一層艶を帯びた声が上がり、喘ぎに変わっていった。  
「ん…あ…はっ…あん…やぁ…」  
顔は手で隠されたままだが、彼女はもはや僕の愛撫を拒否するそぶりは見せなかった。  
もっと色っぽい声が聞きたくなり、もう片方の乳首を指先で摘み上げる。  
「あんっ!やぁ…ん…」  
切羽詰った叫び声が上がり、それにますます煽られる。  
さらに彼女を乱れさせたい、あられもない声を上げさせたい。  
今摘み上げた方の乳首に舌を這わせて、柔らかく舐め上げる。  
強い刺激が温かく濡れた刺激に変わったわけだから、違った快感があるはずだ。  
女性の体のことは今もってよく分からないから、確信はないが…。  
先程まで舐めていた方の乳首は指先でちょんちょんと触り、捏ねるように弄ぶ。  
予想通り、麻由はのけ反り白い喉を露にして甘い声を上げた。  
シャツを脱がせる時に外したリボンがシーツの上で揺れている。  
白いシャツの袖に包まれた彼女の肘が、堪えきれないように震えた。  
「ん…あぁ…んっ…は…」  
僕の手と舌の動きに合わせ、上ずった声が彼女の口から漏れた。  
そろそろいいだろうか。  
片手を下へ持って行き、スカートに手を入れて麻由の下着に触れた。  
「!」  
彼女が驚いたように呻き、ベッドの上の方へと逃げる。  
それを追いかけ、手を伸ばしては逃げられを繰り返し、とうとう麻由の頭はヘッドボードにぶつかった。  
視線を上げて窺うと、彼女は泣きそうな顔でギュッと唇を噛んでいた。  
これでは、まるで無理強いではないか。  
自分が罪深いことをしているような気になるが、同時に、抑え難い胸の高鳴りを感じた。  
相反する感情が心の中で交差し、くるくると入れ替わる。  
天使と悪魔が囁き合戦をくり広げているようだ。  
「麻由…」  
無理を強いるのは良くないと主張する天使が優勢になり、おそるおそる声を掛けてみた。  
この表情から言って、もしかしたら本気で拒んでいるのかもしれない。  
主人のすることだからと嫌悪感を殺しているのなら、そこまでして抱きたくはない。  
僕の呼び掛けに、麻由はきつく閉じていた目を開く。  
ぼうっとしている瞳が僕を捉え、焦点が合った。  
「このままは、嫌なのか?」  
深呼吸をし、はやる心を抑えて尋ねる。  
嫌だと言われても、もう止められないほど僕のものは熱く猛っているのだが…。  
 
彼女の首が緩く左右に振られた。  
いつの間にかシーツの上に落ちていた手が僕に巻きつき、麻由が抱きついてくる。  
本気で拒否したいわけではないようだ。  
「続けてもいいんだね?」  
問うと、麻由は僕にしがみつく力を強めてコクリと頷いた。  
あらためて下着に指を伸ばす。  
手探りで秘所の部分にたどり着くと、湿った感触が指先に感じられた。  
ここをこんな風にするほど、麻由は僕の愛撫に感じてくれていたのか。  
一気に嬉しくなり、その部分を何度も指でなぞった。  
「あん…や…あぁ…っ…ん…」  
胸への愛撫も再開すると、麻由はまた甘い声を上げて悶えた。  
ますます濡れた感触が強くなったことに、彼女が高まっていることを知る。  
すぐにでも一つになりたいが、もうすこし悦ばせた方がいいのだろう。  
女の人は中でイけるとは限らないというから。  
実際、挿入しても僕だけが果てて、麻由はイけなかったことも何度かあった。  
互いの経験不足のせいだが、せっかく愛し合うんだから気持ちよくさせてやりたい。  
好きな女が絶頂を迎える姿を目に焼き付けたいのだ。  
そうすれば、この先どこかの令嬢を妻にし、義務的なセックスをしなければならない時にも耐えられるだろう。  
いや、反対に麻由が僕に身を任せてくれた時のことを思い、この肌が恋しくなるだろうか。  
考えが妙な方向に行きそうになり、あわてて気持ちを立て直す。  
今は麻由を気持ちよくさせてやることにだけ集中すべきだ。  
 
 
手をずらし、下着の腰の部分を掴んで引き下ろす。  
脚から抜き去り、覆う物の無くなった下半身にあらためて手を遣った。  
プリーツスカートをまくり上げ、開脚させる。  
「やぁ…」  
麻由が恥ずかしがり、また顔を隠した。  
ベッドの足元の方へ移動し、露になった秘所をじっくりと見た。  
滴るほどに濡れ、時折ヒクリと動くピンク色の粘膜に顔を近づけ、躊躇無く一気に舐め上げた。  
「あっ!あぁ…」  
麻由が今日一番の色っぽい声を上げ、僕の肩を押し返そうとする。  
この期に及んで拒まれても、もうそれすら駆け引きにしか思えない。  
両の太股を開いて押さえ、肩を押す麻由の力に対抗する。  
溢れてくる蜜を掬い上げ、彼女の秘所を余す所無く舐めた。  
「はっ…あ…武様…」  
熱に浮かされた声で名を呼ばれる。  
そうだ、麻由が一番感じる所を可愛がってやらねばならない。  
肩にある彼女の手を握り締めてから、秘所を指で左右に開く。  
顔をのぞかせたクリトリスに舌を伸ばし、押しつぶすように刺激した。  
「ひゃあっ!」  
悲鳴とともに彼女の腰が浮き上がり、また逃げられそうになる。  
相変わらずここが最大の弱点のようだ。  
きっちりと着込んでいたはずの制服を乱し、一番敏感な場所を舐められて喘ぐ麻由。  
姿は当時のままでも、反応はまぎれも無く大人の女のものだ。  
高校生の頃に彼女とこういう関係になっていたら、今と同じに甘く悶えたのだろうか。  
もしそうなら、僕の学業は非常におろそかなものになっていただろう。  
メイド服を着たいつもの麻由もいいが、制服を乱すというのはまた違った高揚感がある。  
これは一度味わっただけでやみつきになっただろうから。  
麻由の脚を抱え直し、再びクリトリスを執拗に責めたてた。  
イヤだのダメだのといった言葉が途切れ途切れに聞こえるが、無論離してはやらない。  
それに、口で言うほど彼女も拒んではいないはずだ。  
くねる腰が、時折そこを僕の舌に押し付けるように動いているから。  
恥じらいからあんなことを言っていても、身体は快感を求めているのに違いない。  
「あぁ…あ…ん…武様…武様…」  
麻由が僕の手を握り締め、切羽詰った声を上げる。  
 
もう我慢ができなくなっているのだろう。  
一気に畳みかけるように秘所に吸い付き、充血して膨らんだクリトリスを弄った。  
「ん…あ…いやああぁ!」  
麻由の全身に力が入ったあと、震えながらゆっくりと弛緩していく。  
どうやら絶頂を迎えたらしい。  
湿った音を立てて秘所から口を離し、痙攣する彼女の身体を抱き締めた。  
 
 
呼吸が落ち着いたのを見計らい、その手を取った。  
早く彼女の中に入りたいと疼いている自分のものに触れさせ、上から押さえつける。  
「あっ!」  
火傷した時のように麻由は素早く手を引いた。  
「駄目だよ」  
逃げた手を捕まえ、また触れさせる。  
「お許し下さいませ…」  
細い指先が震え、彼女が緊張していることが伝わってくる。  
自分から僕のものを愛撫するくらいには、まだ至らないのだろう。  
少し残念なようにも思うが、初々しいのは可愛いものだ。  
そういうことが平気でできるようになられては、下手をすると僕の方が負かされてしまう。  
手を動かすのを強要するのはやめ、押し付けるだけにする。  
それでも、彼女に触れられていると感じただけで僕のものはさらに固くなった。  
麻由に愛撫をせがむのはまた今度にしよう。  
彼女の手を解放し、起き上がって服を脱ぐ。  
繋がるための準備を済ませ、再び上に覆いかぶさった。  
「…」  
彼女のことも脱がせた方が良いかと思うが、やめておく。  
一糸まとわぬ姿はこれから何度も見られるだろうが、制服姿には今日しかお目にかかれないのだ。  
乱れた前髪を直してやり、目元の涙を拭った。  
「いいかい?」  
短く問うと、彼女は恥ずかしそうに頷いた。  
痛がらせないように注意しながら、少しずつ身を沈めていく。  
体内に異物が入るのだから、気をつけてやらねばならない。  
じりじりと時間を掛けて、全てを彼女の中に納めきったところで大きく息をついた。  
温かく濡れた場所に挿入するのはとても心地が良く、すぐに動いては長くもたない。  
準備をしてでさえこれだけ気持ちがいいのだから、生身のまま彼女の中に入ればどんなに素晴らしいだろう。  
いつか麻由とそういうセックスがしてみたい。  
浅い呼吸を繰り返す愛しい彼女を見ながら、強く思った。  
腰に手を掛けてゆっくりと動き始める。  
彼女がクッと息を吐き、シーツを握り締めた。  
「ん…は…あん…」  
中に入り込むたび、彼女が溜息のような声を上げる。  
内壁に擦り付けると違った快感が走り、鳥肌が立った。  
出し入れするだけじゃなく、こういう動きをしても快感が得られるのか。  
麻由の腰を抱え込み、少し浮かせながら角度を変えて中を探る。  
突き上げる深さにも変化をつけると、締まり方も違うように感じられた。  
引っ掛かるように感じられる場所、なめらかな場所、締め付けの強い場所。  
それぞれに味わいが異なり、女の身体の不思議さを思い知った。  
「武、様っ…ああ…」  
いつもと違う僕の動きに影響されたのか、彼女の反応も少々変わったように思える。  
僕が自身で変化を感じているように、麻由もまた突かれる場所によって味わいが違うのだろうか。  
「あ…そこ…」  
上にグッと突き上げた時、彼女が声を上げた。  
一際強く中が収縮し、僕の口からも呻きが漏れる。  
 
「ここが、いい?」  
尋ねると、麻由は正直に首を縦に振った。  
その場所を重点的に突いてみると、麻由の縋りつく力が強くなった。  
「はぁ…あん…ん、んっ…」  
快感を逃がすように呼吸を荒くし、ギュッと目をつぶっている。  
戯れに大きく突き上げると、彼女の背中が弓のようにしなり、白い喉がむき出しになった。  
プリーツスカートの裾がさらにまくれ上がり、僕の腹に擦れる。  
半ば脱げかかった白いシャツをさらに乱しながら喘ぐ彼女を見、いよいよ抑えがきかなくなってきた。  
いつものように規則的に中を深く突き上げ、自分の快感を求める。  
大きく揺さぶりを掛けて一気に責めたてた。  
「やぁ…ああ!武様っ…ん…あぁっ!」  
彼女が左右に身を捩り、泣きそうな声で喘ぐ。  
しかし僕はもう責めを弱めることはせず、そのまま動きを速め、最後の瞬間へと2人で駆け上った。  
「あっあ…ん…っは…もう…あっ、んんんんっ!」  
「うっ…く…っあ…んうっ!」  
ほぼ同時に達し、固く抱き合った。  
荒い息を整え、至近距離で見詰め合う。  
短くキスを交わし、僕は彼女から身体を離した。  
 
 
後始末を終えて彼女の横に寝転ぶと心地良い疲労感が眠気となって身体にまとわりついた。  
乱れた着衣を申し訳程度に直してやり、布団をかぶせてやる。  
事後、あらためてシャツやスカートに手を触れるのは面映かった。  
「どうした?」  
彼女が物問いたげにこちらを見ているのに気付き、尋ねる。  
「…本当に、似合っておりましたか?」  
「ああ、似合いすぎて怖いくらいだったよ。昔に戻った気分になった」  
賛辞を送ると、麻由は目の下まで布団をかぶった。  
本当のことだから、照れなくてもいいと思うのに。  
「初恋の人に会わせてくれてありがとう」  
本人を前にして言うのはおかしいだろうか。  
しかし、これが今の僕の正直な気持ちだ。  
「いえ、そんな…」  
布団に顔を埋め、麻由がくぐもった声で言う。  
いつまでもこの顔を見ていたいが、もう眠らなければ。  
明日、皆に見咎められる前に麻由は自室へ制服を戻さなければならないのだから。  
「さ、もうお休み」  
「はい」  
枕元の照明を落とし、目をつぶった。  
「あの、武様…」  
「うん?」  
「私の初恋の人も、武様ですから…」  
麻由のその声に、眠る体勢になっていた頭が冴え渡った。  
「…そうか」  
そっけない返事に万感の思いが込もっていることに、麻由は気付いただろうか。  
こんなに可愛いことを言われては、離したくなくなってしまう。  
暗闇の中、手探りで彼女を抱き締め、うなじに口づけた。  
どうか、一日でも長く麻由と一緒にいられますように。  
心からそう祈り、僕は眠りに落ちていった。  
 
──終り──  

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