今日は、武様と私が二人きりで旅行をしたときのお話をしたいと思います。  
別荘で十日間過ごした年が明け、武様の大学の後期試験が終わった時期でございました。  
 
 
 
私たち使用人は、会社勤めの方と違って年末年始にまとまったお休みがあるわけではありません。  
12月の前半、または1月の後半か2月に一人ずつ時期をずらして5日ずつお休みを頂くのです。  
同輩メイドたちは、どこそこへ旅行するだの遊園地に行くだのと休憩時間にはあれこれと話しております。  
いつお休みが欲しいかの希望がある人はあらかじめ申請します。  
それを元に最終的にはメイド長と執事の山村さんが決められます。  
父のいる実家へ顔を出す日を除いて丸4日、何をしようかと私も考えておりました。  
 
 
そんな時、願ってもない知らせが舞い込んでまいりました。  
それは北欧の女流画家、エミリー・ヤンソンの展覧会が日本で行われるというものでした。  
私は才能に溢れながらも夭折したこの画家の大ファンでしたが、作品はテレビや画集でしか見たことがありません。  
日本では初となる彼女の展覧会が見られるならと、私は早々にその美術館のある中国地方への一人旅を決めました。  
ちょうど1月末から2月中旬までという展覧期間なのも幸運でした。  
 
 
展覧会のついでに何を見に行こう、どこに泊まろうなどと仕事中にもあれこれ思案しておりました。  
お屋敷からほとんど出ることのない私たちメイドにとっては、旅行というのは一大イベントでございます。  
いくつもパンフレットを見比べ、温泉が楽しめて浴衣も選べるという「わがままに過ごす レディース湯ったりプラン」が良いかと結論付けました。  
働くようになってから年末に頂く寸志は貯金しておりましたが、今年の分は思い切って使うつもりでおりました。  
 
「麻由は正月休みに何をするんだい?」  
そう武様がお尋ねになったときも、上のような計画を心を躍らせながら申し上げました。  
「一人旅か。危なくはないのかい?」  
「大丈夫ですわ、私ももう大人でございますから。」  
胸を張ってそう申し上げると、武様はしばらく何か考えておいでのようでした。  
「……正月休みは日にちの希望を出せば考慮されるのかい?」  
「え?ええ。」  
「じゃあ麻由は2月6日から休みを取ればいい。是非そうしなさい。」  
「なぜでございます?」  
「僕はゼミの旅行で2月4日から京都に2泊するんだ。それを1日延ばせば、麻由と一緒に旅行ができる。」  
「まあ!」  
「構わないだろう?」  
「はい。もちろんですわ。」  
 
 
翌日、早速メイド長に正月休みの希望を伝えました。  
この期間を希望していた人は他にいなかったようで、無事に希望通りのお休みが取れました。  
それからは旅行計画の立て直しです。  
2泊するうち、武様とご一緒する2月6日は露天風呂付き客室プラン。  
2月7日にエミリー・ヤンソン展を見てから別の旅館でレディース湯ったりプランを利用することにいたしました。  
武様は京都に2泊なさった後、午後にはゼミの皆様と別れて新幹線で来てくださるとのことです。  
私の予定に武様を付き合わせる形になるのは心苦しかったのですが……。  
「麻由と一緒なら構わないさ。その代わり、6日の旅館は僕に選ばせてくれるね?」  
そう言ってパンフレットをめくり、力のこもった指で押さえられたのがこの露天風呂付き客室プランだったのです。  
「夏に出掛けたときは露天風呂の希望が叶わなかったからね。」  
嬉しそうにそう仰るのを見ると、お任せせざるを得ませんでした。  
 
邸内の大掃除に明け暮れた12月が終わり、新年がやってまいりました。  
一足先にお正月休みを終えた同輩メイドの話を聞くたび、私のお休みも早く来ればいいのに、ともどかしい思いでした。  
ようやく2月に入り、節分を終えた後に武様がゼミの皆様と京都へ発たれました。  
冬の京都はきっと素敵なのでしょうね。  
6日にお会いしたらそのお話をたくさん聞かせていただこうと胸が躍りました。  
 
 
そしていよいよ2月6日。  
ボストンバッグを持ってお屋敷を出た私は、午前中の新幹線で目的の地へと向かいました。  
武様とは午後3時前に駅で落ち合うことになっておりますので、それまでは自由時間。  
新幹線の停車駅からさほど離れていない場所に有名な庭園や博物館があるので、そこへ行こうと計画を立てておりました。  
庭園はさすがに素晴らしく、寒さがなければもっと長くいたいと思うほどでした。  
博物館は郷土の焼き物や江戸時代の刀剣などがあり、少しですが歴史に触れた思いがいたしました。  
 
 
あれこれと見て回っているうちに時間が過ぎて、慌てて私は駅まで戻りました。  
こちらの駅から宿の最寄り駅までの切符を2枚買って、武様のご到着を待ちます。  
考えてみれば武様と「待ち合わせ」をするのは初めてのこと。  
無事に会えなかったらどうしようと一抹の不安がありましたが、それよりも楽しみのほうが勝っていました。  
お屋敷にいる時はご主人様とメイドという立場ですが、ここでは二人ともただの旅行者なのです。  
それがなんだか不思議で、くすぐったい気分にもなるのでした。  
時計と睨めっこをして武様を待ちます。  
乗降口から人が降りてくるたびにつま先立って私は武様を探しました。  
武様が私を見付けてくださるよりも先に私が武様を見付けたかったのです。  
 
時計は3時を少し過ぎました。  
京都を出てこちらへ向かう時間がはっきりと分からないので、指定席ではなく自由席で行くと武様は仰っていましたが…。  
何か遅れるような出来事があったのでしょうか?もしや事故?  
あらぬ考えが頭をよぎり、私はギュッと目を閉じました。  
手に持った切符を知らず知らず強く握りしめていたことに気付き、慌てて力を抜きました。  
 
 
頭上の電光掲示板には新幹線発着の情報が更新されていました。  
次の下り線の到着は25分後。  
この便で来て下さることを願い、待つしかありません。  
その間にお手洗いを済ませようと床に置いていたボストンバッグを持ち上げた瞬間、黒のロングコートの裾が目に入りました。  
「麻由。」  
耳に届いたその声に私はハッとし、顔を上げました。  
待ち望んだそのお姿が目の前にありました。  
「武様っ!」  
お顔を見た瞬間、私はバッグを落とし、武様に抱きついていました。  
「済まない。さっき着いたんだが、出口を間違えたんだ。」  
「……はい。」  
「長く待ったかい?」  
「いいえ。長く待ってなどおりませんわ。」  
顔を上げて微笑みかけると、武様も微笑んで下さいました。  
「ところで麻由、人前で大胆だね。」  
「え?あっ!」  
飛びついたままの格好だったのを思い出し、私はあたふたと身体を離しました。  
 
駅からローカル線に乗り、北のほうへ向かいました。  
最寄り駅で降りてからはタクシーを使い、山のほうへと上っていきました。  
15分ほどして、運転手が到着したことを告げました。  
ドアが開くと山の寒さが入ってきて、身体が少し震えました。  
気を取り直し、タクシーから降りた私は思わず歓声を上げました。  
山のふもとに立つ旅館、うっすらと積もる雪。すぐ下には清流がさらさらと流れています。  
鄙びた温泉宿という言葉がぴったりでした。  
「よさそうな宿だね。」  
武様が呟かれるのに頷きました。  
ボストンバッグを持ち直し、武様のあとから玄関をくぐりました。  
「予約していた北岡です。」  
フロントに武様がそう仰るのを聞いて、不思議に胸が一杯になりました。  
こちらに旅行に来たのは私一人。武様は京都にもう一泊されている建前なので、予約名は遠野ではなく北岡です。  
ただそれだけなのに、武様が少しだけ私のものになって下さったようで嬉しかったのです。  
 
 
仲居さんに案内されて私達は部屋へと向かいました。  
ドアを開けると純和風のしつらえの部屋でした。床の間に障子戸があり、中央には座卓と座椅子がありました。  
部屋は暖まっていましたので、荷物を置いて二人とも座椅子に座り、一息つきました。  
卓上の急須でお茶の用意をし、御前にお出しします。  
「とうとう来たね。」  
「はい。」  
顔を見合わせ、どちらからともなく微笑みました。  
 
お屋敷を遠く離れて、武様と二人でこうして一緒にいられるなんて返す返すも夢のようです。  
優しいお顔を見ると思わず目頭が熱くなってしまいます。  
「露天風呂はあちらでしょうか?私、見て参ります。」  
「ああ、僕も行くよ。」  
潤んだ目を見られないようにと立ち上がると、武様もついて来られました。  
窓ガラスを開けると、外にはすのこでできた道が鍵の手に続いていました。  
そこを進んで引き戸を開けると、突き当たりに脱衣スペースがあり、その脇を抜けると目指す部屋付き露天風呂があったのです。  
「なかなか立派なものだね。」  
「はい。もっと小さなものだと思っていましたけれど。」  
「あとで入るのが楽しみだね。」  
武様はそう仰ると、お部屋へ戻られました。  
 
 
「身体が冷えただろう。僕は夕飯まで少し横になるから、麻由は先に露天風呂に入っておいで。」  
「え、でも、武様より先にお風呂をいただくわけには……」  
「構わないさ。」  
笑ってそう仰った武様は座布団を二つ折りにし、枕にしてごろりと横になられました。  
手持ち無沙汰になった私は、勧められた通りに露天風呂に向かいました。  
 
部屋付きといえどもこの露天風呂は一度に5人ほどは入れそうな岩造りの立派なものでした。  
山肌に近いほうには竹垣がぐるりと張り巡らされておりました。  
これなら万が一にも覗かれる危険は無いと安心した私は服を脱ぎ、足早に湯船へと向かいました。  
「……ふうっ。」  
透明なお湯は温かく、山の寒さに縮んでいた体がほぐれるようです。  
私は湯船に座って身体をうんと伸ばし、さらさらとして肌当たりの良いお湯を何度も掬って肩や首にかけました。  
掛け流しのお湯が流れる音と旅館の下を流れる川のせせらぎの音が混ざって聞こえ、とても良い気分になりました。  
やはり、お風呂は外気とお湯の温度に差があるほうが気持ち良いものです。  
 
 
 
ガララッ。  
暮れていく山の木々を見てぼうっとしている私の背後で引き戸の開く音が聞こえました。  
え?と振り返ると、戸口に立たれてこちらを見ている武様と目が合いました。  
「あ、あの……?」  
「やはり眠れないみたいだ。僕も夕食の前に一風呂浴びることにするよ。」  
そう言って脱衣スペースに入って手早く服を脱がれ、さっさとこちらへ歩いて来られます。  
掛け湯をして湯船に入られた武様の身体の分だけお湯が溢れ、ザアッと流れました。  
こぼれたお湯から湯気がワッと立ち、消えた後にはすぐ近くに武様のお顔がありました。  
急に恥ずかしくなった私は、慌てて湯船の奥に逃げて距離を取りました。  
「どうしたんだい?」  
「い、いえ別に何でもございません。」  
裏返った声で答える私に武様は眉をひそめられました。  
「何でもないなら、どうしてそっちに逃げるんだ?」  
「それは、武様の入られる場所を空けるためで……キャッ!」  
おもむろにこちらへ近付いてきた武様は、私が胸元で握りしめていたタオルを奪われました。  
 
「麻由、温泉でタオルを湯船につけるのはマナー違反なんだよ?」  
奪ったタオルを湯船を囲む岩の上へ置かれた武様はさらにこちらににじり寄られました。  
思わずまた私は後ずさりしますが、広いとはいえそこは湯船の中です。  
あっけなく湯船の一番奥まで追い詰められ、伸びてきた手に捕まってしまいました。  
「あ、あの……」  
身を固くする私の手をお引きになった武様は、体勢を変えて私を後ろから抱き締められました。  
「僕の小芝居に引っかかるなんて、麻由もまだまだ純粋だね。」  
「小芝居…ですか?」  
「この旅行を楽しみにしていた僕が、君を放ってごろ寝したりすると思うかい?」  
クスクスと笑いながらそう仰る武様に、私は思わず頬を膨らませました。  
「私が先にお風呂へ入るように仕向けられたのですか?」  
「今頃気付いたのかい?」  
これが友達なら頬の一つもつねってやるのですが。  
武様に対しそんなことなどできませんから、私は行き場のない手を伸ばし、水面をぴしゃぴしゃと叩きました。  
「……拗ねているのか?」  
「え……あっ!」  
お腹の前で握られていた武様のお手が私の身体を這い上がりました。  
両の胸を包まれ、ゆっくりと揉みしだかれました。  
「んっ!」  
思わず身を捩り、振り向くとそれを待っていたかのように唇を重ねられました。  
優しく唇を開かされ、口腔内を舌で撫でられるのに体が震えて力が抜けていきました。  
 
武様の唇が離れ、そのまま首筋、肩へと落ちてゆきました。  
その間にも胸を包んでうごめくお手は休まらず、私に刺激を与え続けていました。  
お湯のせいではない熱さが私の中に生まれ、段々と体中に染みとおってゆくのを感じました。  
「…あっ!……ん……んっ……」  
指で胸の頂を擦られ、思わず高い声が出てしまいました。  
しかしここが外であることを思い出し、慌てて声を殺しました。  
「武…様っ……駄目、こんなところで………」  
お手を掴んで外そうと試みるのですが、それに構わず武様はさらに愛撫の手を強められました。  
「…ん……あ、っ………あぁ!」  
刺激されて固くなった胸の頂を手の平で捏ねるように撫でられ、指の股でキュッと挟まれました。  
唇を噛み、声を殺して抵抗するのが精一杯でした。  
「麻由、声を我慢するのはやめなさい。」  
武様は片手を離され、上に持ってこられた指が私の口元をなぞり、唇を割りました。  
「んっ…だって……誰かに聞かれでもしたら……っ…」  
「誰もいないさ。」  
そんなことは分かりません。声が聞こえて近付いてこられでもしたら……。  
そう申し上げたいのに言葉にならず、私はただ身を捩りお手から離れようとするばかりでした。  
「もう、おやめくださ……いっ……」  
大きく身じろぎした瞬間、バシャリと水しぶきが上がり、それをまともに被られた武様のお手から力が抜けました。  
この隙に、と岩に手を掛け、湯から出ようと膝を付き、立ち上がろうとします。  
しかしその時、湯の中をこちらへ伸びてきた武様のお手に腰をがっちりと掴まれ、岩肌に押し付けられました。  
 
「あっ!」  
素早く前に回られた武様は、そのまま屈みこみ、露になった私の胸に唇を寄せられました。  
そしてチュッと音を立てて吸い付かれ、舌で胸の頂を転がされました。  
「やぁ……あんっ………ん…んっ……」  
指とは違うその刺激に私の身体はびくっと震え、のけぞりました。  
岩に掛けていた手が力なく湯船に落ち、パシャッと小さく水しぶきが上がりました。  
「武…様……んぅ……ん……」  
堪らず私は武様のお身体に腕を回し、抱きつきました。  
声を我慢するために縋りついたのに、まるで自分から武様を引き寄せたような体勢に恥ずかしさを覚えました。  
「あっ、やんっ!」  
胸の頂にカリッと歯を立てられ、思わず叫んでしまいました。  
「そうだ、それでいい……」  
一旦唇を離して満足げにそう呟かれた武様は、今度は前触れも無く私の秘部に触れられました。  
「んんっ……駄目です…あっ!」  
今度こそ拒否しようと手を突っ張って距離を取ろうとしたのですが。  
そこを指でなぞられ、敏感な突起に触れられるともう抵抗できませんでした。  
「武様……んっ…寒い、です……」  
お顔が離れ、濡れた上半身がまともに外気に触れて寒さを感じ、声を上げました。  
すると武様は空いているお手で私の肩を引き寄せ、上半身をそっとお湯に沈めて下さいました。  
肌に感じる温かさにホッと息をつきますが、秘部に触れている武様のお手はそのままで。  
お湯の心地良さと武様からもたらされる快感に、思考が奪われて陶然となっていくのを感じました。  
「んっ……もう…私……私っ…」  
突起を擦られ、下半身からこみ上げてくる熱に耐えられず、手をギュッと握りました。  
「ああ、イくといい。」  
そう仰ってひときわ強く突起に触れられた瞬間、私は叫び声を上げて達してしまいました。  
ガクッと力が抜けて前のめりに倒れそうになる私を、武様はしっかりと支えてくださいました。  
 
 

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