―――暗い。  
 
荒い息を何とか抑えつつ見上げた雲一つ無い夜空には、真円を描く銀色の月が木々の間から見えているのだけれど。  
 
単に視界の問題ではない。  
鬱葱と生い茂る木々の木漏れ月の明かりに、この「眼」があれば500m先まで見渡せるのだから。  
 
 
 
「ねぇ」  
 
こちらに休息も与えまいとでも言うように、声がかかった。  
 
「もうあきらめたら? ボク、あんまり女の子に手を上げたくないし」  
 
ボク、と言う一人称がぴったり合うような声変わりを迎えてないんじゃないかと思わせるボーイソプラノの声。  
いや、声色なんてどうでもいい。  
自分の圧倒的優位を疑わないその内容に、一気に全身の血が沸点を超えた。  
 
渾身の力をこめて一気に跳ね上がり、勢いを殺さずに樹の幹を踏み台にさらに跳躍。  
 
むしろ樹のしなりをバネにしてさらに勢いをつけ、もう一度樹を蹴り方向を変えて、  
 
 
「ぅ・・・・・・るぅぅううあああああああああああああ!!」  
 
『目標』へ全体重と全運動エネルギーを乗せた飛び蹴りをお見舞いする。  
 
鋼鉄の板すらへこませられるだろうその一撃を、しかし片手でなんなく受け止めて  
 
「やっと出てきてくれた♪」  
 
ソイツは笑った。  
 
自分が「人間」ではないことは物心つく前にはすでに気付いていた。  
もっとも自分が狼人間、いわゆる「人狼」であることを明確に知ったのは  
物心ついてしばらく経った後だったみたいだけど。  
 
とにかく満月とその前後の夜、私は「狼」か「半獣」へと変身することが出来る。  
・・・・・・・別にしなくてもいい。  
ただ胸のうちに沸き起こる衝動を抑えるだけだから。  
空腹を我慢するのに少し似ているだろうか?  
 
ちなみに半獣形態とは、基本的に人間の体型に狼の筋肉・耳・尻尾・あとは顔と一部を除く全身が銀色の毛に覆われた状態だ。  
おまけに普段は黒である私の髪も銀色に染まる。  
 
いつもはストレス発散とばかりにここ、学校の裏山を「半獣」の姿で思いっきり駆け回るのが  
月に一度の週間になっていたのだが、今日は事情が違った。  
 
いつものように夜がふけてから裏山へ来て、変身が終わったところで気配に気付いた。  
で、気配を探ってみれば先客が居て、その先客はかなり年下の子供で、  
出会いがしらに「ここは今日からボクの縄張りにするから」なんて宣言に頭にきて口論、  
実力行使に及んで現在に至る・・・・・・・・・・・・・・・  
なぜだろう、思い返したら頭痛がしてきた・・・・・・・・あまりの展開に。  
 
 
「いてて・・・・・おねぇさん強いねぇ、今ので腕が痺れちゃったよ」  
 
渾身の力を込めた蹴り、それを受けた方の腕をプラプラと振り、苦笑しながら言う。  
 
冗談じゃない!  
まともに食らえば骨を粉砕・どころか腕が千切れてもおかしくない一撃だったはずだ。  
こんな時間にここに居る事や縄張りと言っている事から、たぶんコイツも同族かなにかのはずだ。  
たしかに私も人間形態時ですら筋力やら何やら、ただの人間と比べて遥かに高いと言う自覚があるが、  
それでも半獣形態で増加した筋力で放った一撃を食らって無事で居られるはずがないのだ。  
 
グルルルルルゥ・・・・・・  
 
全身を駆け抜ける戦慄に、思わず喉が鳴る。  
そんな私に、ソイツは苦笑を浮かべたまま言い放つ  
 
「そんなに威嚇しないでよ、・・・・・・・でもそうだね。  
一度、力の上下関係をはっきりさせておこうか」  
 
その言葉が聞こえた瞬間、ソイツの姿が消えた。  
いや違う、私の動体視力の限界を超えた速度で移動したんだ。  
そう気付いた時には、私の体を衝撃が突き抜けていた。  
 
左腕と、なにより右足を襲った激痛にたまらず前に倒れこむ。  
・・・・・・両方とも、骨をやられた・・・・・・・・っ!!  
変身している間は治癒能力も上がっていて、骨折程度なら数時間で直るのだけど、  
その間動けないのはどうしようもない。  
 
「ちょっとやりすぎちゃったかな?ごめんね、おねぇさん」  
 
声は後からした。  
背後に回りこまれたうえで、素手で殴られたらしい。  
屈辱に身を起こそうとするが、片腕片足だけでは思うように動くことすらもままならず・・・・・・  
 
「・・・・・ところでおねぇさんに残念なお知らせがあります」  
 
敗北は敗北として、うつぶせに寝たままの状態で次の満月からストレス発散の場所を考えていた私に、  
こらえきれない笑みを含んだ声がふってきた  
 
「なんと!ボクに負けてしまったおねぇさんは、今からボクに襲われてしまいます」  
 
なっ!!?  
 
言うが早いか、ソイツはいきなり私の体を引き寄せると、胸に手を這わせてきた。  
 
「や、止めろ!」  
 
「うわぁ、おねぇさんの胸やわらかぁい」  
 
基本的に変身したとき私は衣服を脱ぐ。  
完全に狼になると体型の関係から服が破れてしまうし、半獣形態でもほぼ全身毛に覆われている上、  
山の中を走り回ると木の枝などに引っ掛けて破いてしまうからだ。  
 
その、毛に覆われているとは言えむき出しの乳房をいいようにいじられて  
 
「ひゃん!!」  
 
「あ、先っちょ見っけ!」  
 
毛に覆われて見えない乳首を指でつままれ、思わず声を上げてしまった。  
なおもしつこくいじられる。  
 
「なっ こらやめっ うぁぁん」  
 
「おねぇさんもかわいい声出るんだ〜  
でも、暴れないでよ」  
 
「痛っ!!」  
 
なんとか振りほどこうとしたが、折れている方の腕をつかまれてしまった。  
痛みで体が思うように動かせない。  
 
「これ以上暴れるなら、残りの手足も折っちゃうよ?」  
 
無邪気にとんでもないことを言ってくる。  
コイツなら本当にやるだろう。  
でも、だからと言っておとなしくされるがままになるつもりもない。  
 
動いてよ私の体!!  
 
「・・・・・・・・・っ!!」  
 
むなしく体をゆする私のお尻に、硬い感触が押し付けられた。  
何であるか、否応がなしに理解してしまう。  
少女漫画などで知った知識しかないが、顔面に血が集まってくるのが分かる。  
 
「あれ、もしかしておねぇさん初めて?」  
 
意外そうな、それはもう思いっきり意外そうな指摘に、さらに顔面が赤くなるのが分かる。  
 
満月の光に照らされると確かに下腹が疼くし、そーいった衝動も起こらないわけではないのだが、  
簡単に抑えられるものだし、その・・・・・・相手も居ないし・・・・・・。  
 
って何雰囲気に流されてるの私!!  
 
「ま、安心してよおねぇさん、しっかりリードしてあげるから」  
 
言葉と共に硬い感触が私の、大事なところに押し当てられた。  
 
嫌だ!!止めろ!!  
こ、こんな・・・・・うぅ、入ってくる・・・・・  
嫌なのに・・・・・・・下腹が疼いて・・・・・・・・・っ!  
 
「ほら、分かる?ボクのがおねぇさんの膜つついてるの」  
 
やめっ!もうやめてぇ!!!  
 
プツッ  
 
確かに、聞こえた。  
私の体の最後の抵抗がはじけた感覚が衝撃となって全身を走り抜ける。  
 
嫌ぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!!  
 
話に聞いていた痛みは、ない。  
硬くて熱い感触が入り込んだところは、痺れたようになっていて、  
ズキズキと痛むのは折られた腕と足だけ。  
 
でも自分が汚されてしまった事実に打ちのめされる。  
それなのに、下腹の疼きはまるで満たされたかのように消えていて。  
その事実にさら打ちのめされる。  
 
「よく締まってとっても気持ちいいよ、おねぇさんの中」  
 
早く・・・・・終わって・・・・・・・・  
 
やがて、おなかの中で熱い感触がはじけた。  
中に・・・・・・・出され・・・・・・・・・・・  
 
 
「さて、第二ラウンドいこっか?」  
 
え!?  
 
「今度は趣向を変えて・・・・・・」  
 
言葉と共に私の中に刺さったままだったモノがゆっくりと、さっきよりも太く  
違う、これは・・・・・・・  
 
私の予想に違わず、野太くなったアイツの声が大きく響く。  
 
「ふう・・・・・久々の獣化って開放感があるねぇ?」  
 
私を掴んでいる手も、爪が伸びて毛に覆われていく。  
そう、やっぱりコイツも同族―――人狼―――だった。  
そして今まさに変身したのだ。  
それも私のような元の人間形態の体型を残したような獣化ではなく、より狼に近い形態で。  
しかも、元の小柄な体型の面影すらも残さず、  
身長2mほどのまさにモンスターと言っていいような様相を呈している。  
 
対する私に、コイツの独り言じみたセリフに答える余裕はない。  
なにせ変身に合わせて、入れられたままだったモノも大きさを増し、  
メリメリと音がしそうな勢いで内側から押し広げられているのだ。  
当然先ほどの痺れではなく、文字通り身を引き裂かれる激痛が走っている。  
その痛みに、私は後からのしかかられる様にコイツを背にしたまま、木にすがり付いて肩で息をするしかない。  
ドクンドクンと、穿たれた所がまるで心臓にでもなったかのように脈打ち、  
そのたびに痛みが走り、ただそうしているだけで脂汗に全身が濡れていく。  
 
だというのにコイツは、  
 
「うぎぃっ!も、もうやめてええええ!!」  
 
「何言ってんの。ほら、こんなのはどう?」  
 
私の尻尾を両手で掴みグイグイと引っ張った。  
尻尾を千切られそうな痛みに腰を引くと、モノがより深々と刺さると言う寸法だ。  
 
痛いぃ・・・もうやだぁ!!  
 
 
でも結局、私はその後も玩具のようにもてあそばれ続け、開放されたのは朝日が顔を出した後だった。  
 
その頃には私の体は元の人間形態に戻っていたし骨折も治っていたが、  
全身白濁にまみれ、股間はさらに血と白濁でまだらに染まっていた。  
 
アイツは去り際、意識も朦朧としていた私に、  
 
「また遊ぼうね、おねぇさん」  
 
などと言い残していった。  
もし私がはっきり意識をもっていたら、  
 
「次は殺してやる!!」  
 
と叫んだことだろう。  
 
 

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