『じゃあな〜!』
『あぁ、また明日!』
夕焼けの太陽が下校する者達を彩り、学生達に思い出の1ページを刻む。
友人と別れた高校一年生、田口圭悟はとある骨董品屋へと足を運んだ。
幾つものアンティーク品や、奇妙な品揃え、普通の現代の高校生ならば、こんな店には立ち寄らないだろう。
しかし、圭悟独特の趣味が有った。
それだけの事である。
『いらっしゃい、圭悟君』
その時、恰幅の良い店主である老人が姿を現した。
『爺さん、こんにちは』
『また買い物かい?』
そうだよと相槌を打ち、店に並ぶ骨董品に目を付ける。
『爺さん、コレは?』
と、圭悟は一つの骨董品に目を付けた。
『懐中時計じゃな、まだまだ動く現役の年代物らしいぞい』
懐中時計は金色に光り、圭悟を魅了させる。
『爺さん、コレ幾ら?』
『良いぞい、ソレはタダで』
『えぇ!?マジですか?』
圭悟の動揺に頷く店主。
悪いと思った圭悟は財布から五千円札を一枚取り出すが、その手は店主に押し止められる。
『金は要らんよ、何せ婆さんの保険金で生きとるからの』
財布に金を納めた圭悟は店主に感謝した。
『すまねぇな、有り難く頂くよ、それじゃ!』
『またの御来店を〜』
購入した懐中時計を懐に帰宅すると、早速自分の部屋で鑑賞していた。
『綺麗だ…心が洗われるかの様だなぁ』
針は動き、再使用出来ると思った圭悟は腕時計を外し、懐中時計を手にする。
『……このボタンは?』
その時、時計の側面に一つのボタンが付いていた。
カチッと一度押しては見る。
『あ…アレ?』
すると時計の小さな針が止まり、時を正常に刻まなくなってしまう。
『母さん、ちょっと出掛けて来る』
修理を頼む為に、母親に出掛ける事を告げる。
しかし、返事が来ない。
気にせず、外に出る圭悟。
しかし妙な光景だった。
人が一人すら圭悟の横を通り過ぎようとはしない。
止まったままだった。
おかしいと奇妙に思った圭悟は懐中時計と歩行者に目を通し、恐る恐る懐中時計のボタンを押す。
『う…動いた…!』
圭悟は懐中時計を再度押す。
『と…止まった…』
圭悟はその場に立ち止まり、数十秒して遂に確信した。
(ほ…本物だ!)
圭悟は深呼吸し、懐中時計のボタンを押す。
時は動き出し、いつもの日常が始まる。
(こ、これって俗に言うやりたい放題か!?)
すると、圭悟の横を一人の女子高生が。
『…テストして見るか』
何を思い付いたのか懐中時計のボタンを押し、圭悟の横の女子高生がその場で止まり、時が停止する。
『……どれどれ』
すると女子のスカートに顔を埋め、パンツの匂いを楽しむ。
『溜まらないな…くそ』
女子のパンツを脱がし、圭悟は膨れ上がったジーパンのジッパーから成熟した股間を取り出すとパンツの布に肉棒を絡ませ、上下に扱き始めた。
普通のオナニーなら、呆気なく終る、しかし、時計によって時を止めた今、圭悟は秘所の香りを堪能しながらオナニーしている。
その為、自慰の効果は倍に上がり、圭悟の肉棒から白濁とした精液がパンツに放たれた。
『ハァ…ハァ…ハァ』
してしまった。
仮に時を止めているとはいえ、少々の恥ずかしさは有った。
『……返すぞ』
圭悟は精液に塗れたパンツを女子の股に穿き直させ、少し離れた距離からボタンを押して時を動かす。
『……ッ!?』
女子は即座に自分の状態に気付き、蟹股で恐る恐る自分の家へと帰って行った。
『しっかし、まぁ…』
圭悟は懐中時計を天に掲げ、夕焼けの太陽に照らす。
黄昏に煌めき、圭悟は魅了されながらも呟いた。
『お前は一体……』
名も無き女子に対する罪悪感を忘れ、一人黄昏に耽る圭悟の携帯にメールが受信される。
開くと母親からのメールで夕食だから帰って来いとの事だった。
『…これからは宜しく頼むぜ、相棒』
誰もいない、懐中時計に礼を告げると圭悟は来た道を逆に辿り、帰宅する。
圭悟の運命を懐中時計が静かに刻んでいた。
【学校編に続くったら続くぞ】