僕とブンボーグンが出会ってから1週間が過ぎた。
今の所姉弟以上、恋人未満と言った所。
………こういうのはじっくり進めるに限る。
その思いが無残にも打ち砕かれたのは、その日の夜の事だった。
「いやー!きゃー!」
ホラー映画を見ながらお姉ちゃんは騒いでいる。
「姉さん。そんなに怖いんだったら見なけりゃ良いじゃん。」
そう言って、僕は姉さんに声をかける。
「だって〜〜最後どうなるか見ないと落ち着かないし〜〜」
そう言って姉さんは映画を見続けている。
「はあ………」
僕は頭を抱えて、ふとした悪戯を思いついた。
「……な、頼むよブンボーグン。」
「『頼むよ』は止めてください。貴方は私の『コネクター』なんですから。」
『コネクター』。精神生命体の1種で、取り付いた道具に関する超常の力を得て、それを『契約者』のオーラ(みたいなもの)を吸収して発動すると言う素晴しい奴だ。
基本的にオーラ(みたいなもの)を使いすぎると疲労するが、はっきり言って無茶な連発をしない限り気にする事じゃない。
能力は幾つかあるが、今回使うのはやっぱりメモ帳……相手の精神に挿入する事ができる……を使う事にしたんだ。
「和ちゃん?あのさあ………今日一緒に寝てくれないかな……。」
来たと秋山和人は心の中でガッツポーズをした。
「ホラー映画、そんなに怖かった??」
「そんなのじゃないの!そんなのじゃ!!」
慌てて否定する姉さん。無駄だよ姉さん。『ホラーが怖くて一人で寝るのが怖いから、和人と一緒に寝よう』って挿入してるんだから。
「その和ちゃん……駄目?」
「はいはい。」
僕はおどけたように答えてから、ベッドに向かった。
姉さんの豊満な胸が僕の顔に押し当てられている。
その感触を楽しむ暇なんて無い。
だって姉さんがあまりにも僕を強く抱きしめていて窒息しそうだったから。
「ぷはあ」
何とか胸の池から脱出して目の前には姉さんの寝顔。
メモ帳に『しばらく寝続ける』と書いて数枚挿入しておく。
豊満な胸に手を伸ばし、ブラジャー越しの感覚をゆっくりと楽しむ。
温かく、気持ち良い。
首筋をちろちろと舐めながら、背徳感に僕は興奮する。
「ん………あっ」
溜息とも喘ぎ声ともいえる言葉を口から出しながら姉さんはそろそろと眠っている。
パジャマの下半分を脱がして、姉さんの秘所を除き見る。
まだ濡れていないそこを覗きながら、僕は諦めたようにまたパジャマをはかせる。
まだ早い。一線を越えるのは二人が合意してから。
そう思って僕は姉さんのパジャマを元に戻す。
立ち上がった愚息はそう簡単に戻りそうに無いが、ここは仕方ないと諦めよう。
仕方が無いので姉さんの股に股間の紳士を擦り付ける。
「僕って変態?」
そう思いながらも、僕は姉さんに僕の匂いをつけるのを止めない。
「ううん………」
色っぽい声を出して、姉さんは僕に抱きついてきた。
ま……また圧迫される……。
次の日、僕は姉さんの胸の中で溺れ死にそうになっていた。
朝が来たら起きるだろうと思っていたが、メモ帳の効果なのか姉さんはなかなか起きなかった。
メモ帳を取ろうにも、姉さんに抱きかかれていてはそうもいかない。
「ブンボーグン。」
実はブンボーグンは自分では動けない。
「このまま死んだら、天国と地獄どちらに行くと思う?」
「………多分、昇天しながら地獄に落ちるかと。」
ブンボーグンは冷静にそう答えた。やれやれ。お前もそう答えるか。
「和ちゃん……大好き。」
………ま、この寝顔を見たら地獄に落ちて当然か。