「ふふふふふふふふふふ……はははははははははははは!これだ!」  
「どうしたんです?急に?」  
ブンボーグンが僕に聞いてきた。  
「いやな、姉さんにメイド服とか着せたいんだけど………」  
「変態と罵られるのがオチですな。」  
「そんな事は100もわかっている……だが、商品としてはどうだ?」  
「????」  
「相手の心を弱らせれば、多少無茶な命令も聞いてくれるって事さ」  
僕の手にはジョ○ョの奇妙○冒険があった。  
 
「………それで、勝った方は負けた方の言う事を聞くと?」  
「うん、まあそういう事。」  
姉さんに問い詰められて僕は情け無さそうにそうこたえる。  
「うーん、良いわよ。」  
姉さんはあっさり了承してくれた。ここまでは計画通り。  
姉さんには、『弟との約束は破りたくない』と挿入しておいた。  
つ・ま・り、賭けに勝ったら姉さんにメイド服のコスプレを家の中でやってもらえると言うわけだ!  
「それで、和ちゃんが負けたら……これから1週間家事洗濯をしてもらうからね!」  
そ……それは負けられないな。  
 
勝負はポーカー。はっきり言って、この勝負はイカサマをしていない。  
つうか『わざと負ける』と挿入しても、それに対する反発心がある限り、消えるのがオチだからな。  
だから、この勝負の勝ち目は半々と言った所だろうけど………。  
 
姉さん、ロイヤルストレートフラッシュができたからってばんざいはなしですよ。  
 
「………和ちゃん……ポーカーフェイス上手だね……」  
「そ……そうかな?」  
ボロ負けした姉さんがジト目で僕の方を見てくる。  
自分でも最近表情を作る事が多くなってきた気がする。  
ブンボーグンの事は隠さないといけないからポーカーフェイスにならないといけないのはわかってるけど……。  
「じゃ……じゃあ姉さん、この服着てくれないかな?」  
そう言って僕は姉さんにメイド服を差し出す。  
姉さんの顔は真っ赤だ。  
「うっ……い、家の中でだけだよ!家の中でだけだからね!」  
 
「とっ!とにかく着替えてる最中は見ちゃ駄目だからね!」  
そう言って姉さんはメイド服に着替えている最中、僕は手持ち無沙汰なので、洗濯と掃除をし始めた。  
「……賭けの意味無いですね。」  
「姉さんがメイド服着てくれただけで十分だ。」  
「………ああ、なるほど。」  
普通にメイド服着てと言っても反発の方が強いだろうし、『挿入』を使っても恥かしい気持ちが強ければ、効果は消えてしまう。  
だが、『賭けに負けた』となって、その『命令に従わないといけない』だったらどうか。  
もし、それを断れば、精神的な重圧もあるので断りづらい。  
その上に『挿入』するなら、命令はほぼ確実になる。  
「……なるほど、少しは考える頭脳を持ってるらしいな。」  
その声は、部屋の何処からか聞こえてきた。  
「………我は『拷問部屋』のコネクター、「タルタロスボックス」……  
 能力は………………………………………………………………。」  
 
「そんな奴が、何で僕の所に来た?」  
つまらなそうに僕は何処からとも無く聞こえてきた声に聞き返す。  
「『契約』の為だよ。そうでなければ能力を明かす理由は無い。」  
「ブンボーグン」  
「言ってる事は本当でしょう。『契約』してる様子は無いですし、  
 能力も嘘を言う理由はありません。そんな事したら、『契約者』によって消滅させられますからね。」  
そう言ってブンボーグンは言葉を紡ぐ。  
「ですけど、そんな能力使い道が………」  
「あるから言ってるのだよ。その使い方はな………」  
 
「…………そ・ん・な………」  
僕の顔が青ざめながらその言葉を返す。  
「何を驚いている?他にも『契約者』がいないと思ったのか?」  
「……もし『契約』を断れば………。」  
「『あちら』につくな。ただ……主についた方が『得』と判断しただけだ。」  
そう言って「タルタロスボックス」は少し考える。  
「まあ、すぐにとは言わんが……1週間以内で決めてくれ。もうオーラ(みたいなもの)の残量が残り少ない。」  
「ブンボーグン。あいつと契約して、僕のオーラ(みたいなもの)は大丈夫?」  
「大丈夫ですよ。まだ余裕はあります。但し、奴の能力は……危険です。」  
「わかった、幾つか条件を聞いてくれるなら契約する。」  
それらの条件は全てクリアされた。  
「いや、良い『契約者』と出会えたものだ。やはり契約者は自らの足で探すに限る。」  
「だまれ「タル蔵」。」  
 
そんな会話をしていると、姉さんの着替えが終わったらしい。  
「あーうー。和ちゃん。」  
メイド服を着たお姉ちゃんがそこにいた。  
顔を真っ赤に染めながら僕の方を見ている。  
「奇麗だよ。光姉さん。」  
そう言って僕は姉さんに近づく。  
「あ、ありがとう………。」  
 
折角買ってきた高いメイド服を汚すわけにはいかないので、掃除や選択は全部僕がやり終わったその夜。  
「和ちゃん、起きてる?」  
姉さんが僕の部屋にやってきた。  
「うん。何か?」  
「あのね……和ちゃん。賭けに負けたら掃除とか洗濯するって約束だったよね。」  
「うん。」  
「和ちゃん。賭けに勝ったよね。」  
「うん………。」  
「わざわざする必要ないのに、何でしてるの?」  
姉さんのつぶらな瞳が涙目でこっちを見ている。  
「ちょ……ちょっとね……」  
「そんなに私の事頼りないかな?」  
………僕は即答できなかった。何時かは一線を越えたいと思っていた。  
そんな中、ブンボーグンと出会い、一線を越えられると思っていた。  
が、自分自身の中の『常識』と言うものに囚われていた。  
姉と弟は何があっても超えてはいけないと言う一線があると。  
だけど………「タル蔵」の話を聞いて、僕の心に焦りが生じ始めていた。  
もう……これ以上は限界だ。精神的にも辛い物がありはじめる。  
「本当は姉さんに襲い掛かりたかったんだ。」  
僕はそう言って姉さんにゆっくりと近づく。  
「姉さんの体をゆっくりと舐めたかった。姉さんの素肌の温もりを感じたかった。」  
もう、我慢できない。  
 
「でも、そんな事、賭けの材料にしたくなかった。他の人でもできる事で姉さんを奪いたくなかった。」  
そう言って、姉さんを強く抱きしめる。  
「だけど……もう我慢ができないんだ。」  
心の中でタル蔵に命令を出す。  
タルタロスボックスことタル蔵の能力は、『凶悪』を通り越して『極悪』である。  
1:部屋の中と言う空間を占拠して、外の空間と分断する。  
 
2:内部空間には拷問員を召喚する事が可能。  
3:内部空間では『契約者』の意思一つで物(生命体)の動きを阻止する事ができる  
4:内部空間の時間を百倍まで伸ばす事が可能。  
 
……ようするに部屋という空間内ならば『無敵』であり、相手の反撃すらも許す事無く相手を無力化し攻撃し続ける事が可能と言う『極悪』にふさわしい『コネ  
 
クター』と言うわけだ。  
「なっ何?」  
違和感を感じている姉さんを無理矢理ベッドの上まで運んでそのまま押し倒す。  
「姉さん!大好きだよ!もう止められないんだ!」  
姉さんが抵抗しても「タル蔵」の能力はもう発動している。  
もうどうなったって良い!姉さんを手に入れる!  
「和ちゃん。」  
拒否でも受け入れるわけでもない。姉さんの声。  
「和ちゃんわね。好きな人から嫌われる事が怖いんだね。」  
でもねと姉さんは続ける。  
「いくら『好き』だからって嫌われる事はやっちゃ駄目。」  
そう言って姉さんはじっと僕の事を見る。  
「………だからね。」  
そう言って姉さんは甘えるように僕を抱きかかえる。  
「今日は私の好きにさせて。」  
 
姉さんが僕の体を好きに弄り回している。  
「和ちゃん………。」  
姉さん指が僕の頬をそっと撫でる。  
温かく柔らかい。  
キスをされる。あまりにも温かく、柔らかい。  
心を操るブンボーグン。相手を封殺するタル蔵。この2体と契約してすらお姉ちゃんには勝てない。  
「和ちゃんのおちんちん熱いね。ずっとお姉ちゃんで妄想していたからかな?」  
「う……うん。」  
「和ちゃんのH」  
その言葉に僕の顔は真っ赤に染まる。  
「うふふ、可愛い。」  
その言葉と共に姉さんの足が僕の物を挟み込む。  
情けない事ながら僕はそれだけでいってしまい、精液を放出してしまったのだ……。  
 
「……マスター。ご愁傷様です。」  
「人生先は長い。気楽に頼むと良いぞ。」  
契約『コネクター』にそんな事を言われて僕は頭を抱えた。  
「………だな。」  
納得したように僕はゆっくりと立ち上がる。  
「さて、泥棒猫退治に行くか。」  
 

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