僕の名前は秋山和人。高校1年の男子生徒だ。  
学業はそれなり、運動は駄目な方、性格は無口で臆病。  
それが回りからの僕の評価だった。  
母は僕が生まれたときに交通事故で死んだ。今の母は、吊れ子として光姉さんをつれていた。  
美人で優しい姉。聡明で温かい姉。  
そんな義姉と僕は二人で暮らしていた。理由は都会の学校に通うため。  
『お金がもったいない』と言う事で小さな家に二人で暮らしている。  
僕は義姉の事が好きだった。  
そんな僕の人生が変わり始めたのは、『そいつ』と出会ってからだった。  
 
『そいつ』と最初であったのは、文房具店でだった。  
僕がそいつを買ったのはインテリアとして面白そうだったからで、  
何かに使えそうだったからではない。  
だが、そいつはとっても『使える』パートナーだった。  
 
そいつは色んな文房具を内蔵しているロボット型の置物だった。  
家から帰ってそいつを取り出した時、急に喋りだしたのだ。  
「聞きます私と『契約』しますか?」  
急に喋りだしたのでひっくり返りかけましたよええ。  
 
そいつが言うには、自分は人間などの生命体と『契約』する事で  
人から出るオーラ(みたいなの)を吸収して食事とする、『コネクター』と言う精神生命体と言う事。  
オーラ(みたいなもの)は使いすぎると疲労するが、休めば元通りになると言う事。  
『契約』しないとオーラ(みたいなの)は吸収できないと言う事。  
『コネクター』は『契約』した相手には絶対服従ということ。  
そして『契約』した『コネクター』ははりついた道具に関しての『特殊能力』を持つようになるという事。  
 
「とまあ、こういうわけでして、『契約』してくれると嬉しいんですけど」  
「………………」  
「信じられないと言う顔をしてますね……確かに信じられないのは無理も無いです」  
そいつはそう言って溜息をつく。  
「こちらとしましては、『契約』しないと力が使えないのですよ。ですから……」  
「幾つか言っておく」  
長々と話しそうな『そいつ』を僕は押し止める。  
「『契約』しても良い。但し、  
 僕に隠れて能力を使わない事、  
 僕の命令無く能力を使わない事。  
 もし他の『コネクター』と戦う事になったとしても止めない事。  
 僕が死んでも僕の体や魂を乗っ取らない事。  
 この4つのルールを守れるか?」  
「……それだけですか?」  
あっけに取られた表情で、そいつは聞き返してきた。  
「まあ。『契約』の切り方とか聞きたい事はあるけど、そんなの答えられないだろう?」  
「あっ、『契約』は何時でも切れます。但し一回『契約』を切ると二度と同じ『コネクター』とは『契約』できませんから注意してください。」  
そいつはそう言って、何か怪しい光を持つ石を出してきた。  
「とりあえずこれが『契約』のアイテムです。」  
僕がその石を持つと、ふっとその石は消えた。驚愕して集中するとふと掌から出てきた。  
「『契約』を解除するときはその石を出して壊してください。但し壊したらもう二度と私と『契約』できませんから注意してくださいね。」  
石を出し入れする僕にそいつは言ってきた。  
『そいつ』はそう宣言して、僕に向かい合った。  
 
「では私の能力を説明します」  
そいつはそう言って、がしゃがしゃと自分の体内の道具を見せ始めた。  
「まず、ペン、消しゴム、メモ帳、糊、セロハンテープ、ホッチキスの針、付箋はほぼ無限に補充無しで使用できます」  
「おい!」  
突っ込みを入れる。  
「またペンの色はマスターの要望で色々に変化させる事ができますし、またシャープペン代わりにする事もできます。  
 またマスターの思い通りの文字を自動で書く事ができます。」  
「……なんか、重々しい雰囲気で契約した自分が馬鹿に見えてきた」  
「まだあります。カッターは切りたくない物をすりぬかせる事ができますし、鋏はパワーアシスト付きです」  
「アシストしてどーする」  
「物が簡単に切れるようになります。また糊は時限接着剤としても使用可能です」  
「時限接着剤?」  
「時間が来たらすぐに外れる接着剤です。そして最後にメモ帳ですが……相手の精神に入れることが出来ます」  
その言葉にびくりと恐怖した。  
「どういうことだ?」  
「つまりです。相手の精神に「こうしなければならない」「これをしてはいけない」という事を入れることが出来るのです。」  
悪魔の囁きのようにその言葉をつむぎだす『そいつ』。  
「但し出来る事は『精神への挿入のみ』。記憶を消すなどはできません。  
 また、『元の自分』との矛盾が出た場合、効果が薄くなる事があります。」  
あっさりと言葉を続けるそいつ。おいそれって……。  
「相手の精神を操る事が出切る……という事か?」  
「……そうなりますね」  
ぞくりと体がうなった。まさか。  
「お前達はどうやって増えるんだ?まさかもう既に世界は『コネクター』に占拠されてるとか……」  
「基本的に単性増殖かつ『分裂』ではなく『創造』と言う形で増えます。ついでに言うならば、  
 『コネクター』は世界征服はできません。『コネクター』の使用者ならば可能かもしれませんが。」  
「つまり、こういうことだな。『『コネクター』は使われない限り何も出来ない』と……」  
「そのとおりです」  
……つまりだ。『コネクター』は人間からオーラ(みたいなの)を貰って生きる事が可能であると。  
人間は『コネクター』の能力を使用する事が可能であると。  
『コネクター』にしてみれば能力はどうでも良い事で、オーラ(みたいの)さえ貰えれば良い。  
 
(つまり共生関係か…………)  
嘘をついていたら、叩き壊してやろうと決めて、続きを聞く。  
「……他の『コネクター』は何処に居るかわかるか?」  
「……すいません、そういう能力は無いので。」  
これは慎重にかつ大胆に能力を使う必要がある。  
少なくとも他の『契約者』を時間をかけてでも探す必要がある。  
他の『コネクター』持ちを配下にして……必要な物は色々とある。  
「複数の『コネクター』と契約を結ぶ事は可能か?」  
「『可能』です。但し数が増えると必然的に食われるオーラ(みたいなの)の量が増えますから、  
 あまりお勧めはしません。もしするのならばオーラ(みたいなの)を増やしてやらした方が良いかと。」  
「増えるのか?」  
「増えます。」  
そうか増えるのか。  
「大体わかった。で、『コネクター』ってのは種族名なんだな。」  
「ええ?それが何か?」  
「だったら今名前を決めた……お前は……『文房具のコネクター』!……『ブンボーグン』!」  
ズバァァァァン!そんな効果音を立てて僕は立ち上がった。  
「了解です。マイマスター。」  
 
その他の能力を差し置いても、メモ帳の能力は魅力的だ。  
ターゲットは僕の義姉。奇麗で優しくて、そしてちょっと甘えん坊なおねえちゃん。  
僕の大好きなお姉ちゃん。  
姉さんを……誰にも渡さない。  
近づく奴は勿論、この『コネクター』の能力でどうにかするしかない。  
それほど、強い催眠を作るわけではないから、ごまかしには一苦労しそうだ。  
 
貼り付ける方法だが、これは掌に隠しておいてポンと貼り付けるだけで何とかなりそうだ。  
そして、肝心の効果だが……自分で何回か確かめて確認する。  
その上でわかった事は、書かれた事はある程度抵抗できるが、少なくとも一時的には従ってしまう。  
そして…その上でわかった事は、このメモ帳で記憶を『消す』事ができる。と言う事だ。  
現実感のある『記憶のメモ』で『現実にあった記憶』を塗りつぶす。  
そうすれば、元あった『記憶』は『塗りつぶされる』但し……  
「一万枚は使いすぎです。マスター」  
「わかってるよ」  
ベッドに寝転びながら、(ブンボーグン曰く、オーラの使いすぎらしい)そう答える。  
使うメモの枚数は桁外れに多い事がわかった。これは使えないな……。  
 
がちゃりと、姉さんがおかゆを持って入ってきた。  
「大丈夫?」  
「うん、ちょっと寝不足だったみたい」  
そう言って僕はおかゆを受け取ると、そっと食べ始める。  
お姉ちゃんの作ってくれたおかゆ。とても美味しい。  
温かいお姉ちゃんのおかゆ。僕の為に作ってくれたんだと感激する。  
お姉ちゃんは誰にでも優しい。だけど…僕は姉さんの優しさを独占したい。だから……。  
ぼくはこの能力を使う事をためらわない。  
そう決意して、僕はあらかじめ書いてあったメモ帳をそっと姉さんの掌の上に乗せた。  
メモ帳が姉さんの体内に沈んでいく感触がある。  
姉さんの顔が真っ赤に染まる。  
あはは……  
「奇麗だよ、姉さん。」  
からかうように僕は姉さんに声をかける。  
「もう、からかわないの!」  
そう言って姉さんはコツンと僕の頭を叩く。  
「ごめん。」  
僕はそう言って素直に謝る。  
「それじゃあ居間にいるから何かあったら呼んでね」  
そう言って姉さんは僕の部屋から出て行った。  
 
しばらくしてから、そっと部屋を抜け出して、居間に行く。  
「あっ……くっ……」  
姉さんの喘ぎ声が聞こえる。  
「駄目……私達…義理だって姉弟なのよ。」  
僕の書いたメモは、居間の僕の椅子で僕の事を考えながらオナニーすると書いていた。  
「駄目……ああっ。」  
姉さんは汗まみれになりながらも股間の指を動かし続けている  
「和ちゃん………私、大学に入るまでそういう付き合いはッ!!」  
僕の知っている限りお姉ちゃんと付き合っている男はいない。  
「恋愛は大学に入ってから」とお姉ちゃんは言っている。  
お姉ちゃんが大学に入ったら、きっと………。  
「相手は選び放題でしょうねえ……」  
「黙ってろブンボーグン。」  
事実を突きつけられて僕はブンボーグンを黙らせる。そっと姉の様子を覗き見る。  
「和ちゃん!!」  
押し殺したような声で姉さんが僕の名前を呼ぶ。チャンスだと決めた。  
「姉さん?呼んだ??」  
ドアを開けて覗き見る。  
そこには、姉が僕の椅子でオナニーしている所だった。  
「姉さん??」  
はっきり言って姉は今混乱している。  
弟の名前を呼びながら、弟の椅子でオナニーしているのを見られたのだから。  
「あのね、和ちゃん……これは……」  
「姉さん……全部……見てたんだ。」  
そう言って僕は姉さんに近づく。  
「姉さんが僕の椅子を使ってオナニーする所全部……」  
姉さんの顔が真っ青に染まる。  
「許せないんだ………」  
そう言って僕は姉さんに歩み寄る。  
心の中で壮絶な笑みを浮かべて。でも顔は怒った様に。  
「姉さんがそういうことをするんだったら……もっと早く自分の物にする事のできなかった自分に!」  
そう言って僕は姉さんに襲い掛かった。  
唇を奪い、そのまま強く抱きしめる。  
「だ……め……私達……家族なの……」  
姉さんがそういうが、僕はもう聞いていない。  
テーブルの上に押し倒すと、そのまま胸を服の上から撫で始める。  
 
「あっ…………」  
嬌声を上げて姉さんが目をつむる。  
僕は姉さんのスカートを捲り上げると、そのままオナニーで濡れたショーツに手をつける。  
「ひぃっ駄目……そこは……!」  
顔を両手で隠して、姉さんは泣くような声を上げ始める。  
無駄だよ姉さん。姉さんは誰にも渡さない。  
ショーツの上からなぞられただけで気絶してしまった姉さんの顔を見て、僕はその顔に強くキスをした。  
そしてブンボーグンにメモ帳を出させるとそっとそのメモを姉さんに埋め込んだ。  
 
姉さんが目を覚ましたとき僕は既に御飯の準備をしていた。  
「あの……和ちゃん??」  
「姉さん。」  
僕はそう言って姉さんと向き合う。  
「もしさ……姉さんに付き合ってる人がいるんだったら、僕はもう絶対姉さんにあんな事はしない。  
 でも……いないんだったら……その………良いかな?」  
そう言って僕は姉さんの目をしっかりと見る。  
「………和ちゃん。幾つか良いかな?」  
姉さんはそう言って、僕に指を突きつける。  
「私だって和ちゃんの事が好き。でもいきなり女の子を押し倒すなんて駄目!」  
「はい。」  
しゅんと僕はうなだれる。  
「そういうことはキチンとデートして、お互いわかりあって、二人とも同意の上でやるの。」  
「はい。」  
「あの時は私も悪かったかもしれないけれど………」  
そう言って姉さんは顔を真っ赤に染める。  
「ともかく!きちんと色々と付き合ってから、お互いの合意の上で……ね?」  
「はい。」  
「わかればよろしい!」  
 
「いやー。正直に言われるってのも辛いですねー。」  
「黙れ、ブンボーグン。」  
そう言って僕はブンボーグンを黙らせた。  
姉さんに最後に入れたメモ帳。そこには『目が覚めた後、弟の質問には正直に答える。』とだけ書いていた。  
「でも、これから先の目標がするべき事も含めてできたんだ。」  
そう言って僕はにやりと笑う。  
「これから先も頼むぞ」  
 
ブンボーグンはそんな様子を見て、このマスターは正解だったと思った。  
自分の目標は、生き延びる事、増える事。  
それを必要とするのは良いマスター。  
自分はそれに恵まれたとブンボーグンは思った。  
だからこそ。  
この二人に幸あらんことを。そうブンボーグンは思った。  
 

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