『コネクター』それは人間と『契約』する事で超常の道具になる、精神生命体である!  
彼等は道具に取り付いて契約者を待つ。  
『契約者』には絶対忠実のわりには、契約者が死ぬ事態を避けるために行動する。  
彼らも生き残るのに必死なのだ。  
 
これは、そんな『コネクター』達の話である。  
 
少年は幼稚園の頃、ほぼ騙される形で『コネクター』と契約を結んだ。  
但し『コネクター』側の事情を言えば……  
『契約者』がいなければ、オーラ(みたいなの)不足で死んでしまうという事情があった。  
が、この『コネクター』。少々………いや、かなりしたたかな『コネクター』だった  
 
『契約者』の名前は風谷耕一。繊細な顔立ちに小さな丸眼鏡。ショートカットの赤毛をぼさぼさのまま学校に来る毎日だった。  
その日は特に緊張する一日だった。正月のお祭りの出し物で学校代表に選ばれたのだ。  
彼自身、こういうお祭りが苦手なのだが、頼まれた事を用事も無く断るのはあまりにも酷だと思ってしまい断れないのだ。  
「こんなにガチガチに緊張して、大丈夫?」  
そう、後ろから声が聞こえてきた。自分の担任である津田茜先生がそう声をかけてきたのだ。  
「はっはい大丈夫…で……す。」  
そう言って後ろを振り向く。そこには津田先生がすっぽんぽんの姿で立っていた。  
「!!!!あっあの先生!!」  
「どうしたの??私の晴れ着の着方変かな?」  
そう言ってすっぱだかのまま先生は体を一周させる。周りの人間は取り立てて騒ぐ様子は無い。  
「すっすいません!ちょっとトイレ行ってきます!」  
そう言って耕一は全速力でトイレの方向へ走っていった。  
 
トイレの中、幸い人はいない。  
(グラスサイトォォォォォゥッ!)  
眼鏡を外すと、思いっきり捻じ曲げるように力を加える。  
(眼福だったろう?大体お前は緊張しすぎだって。たまにはこういう息抜きが必要なんだよ。)  
その言葉は耕一の頭の中だけに響いている。  
いわゆる『テレパシー』と言う奴だ。  
「眼鏡」の『コネクター』「グラスサイト」。遠くにあるものや小さな物を映し出す事もできれば、  
今みたいにある部分だけを透視で見ることもできる。  
テレパシーを受けてすぐさま写したい場所を写してくれるというありがたい眼鏡だ。  
但し、今みたいに女性の裸や下着姿を見せたがる悪癖がある。  
手放そうかなとも思ったが手放せない理由があるのだ。  
『契約解除』は結構簡単にできるが、それをすると……  
(お前、実は相当な悪党だろう)  
(自分でもそう思う。だけどな、何時契約解除されるかびくびくするより、多少のペナルティがあった方が『契約』しやすいだろう?)  
(そんな事一言も言ってなかっただろう!このこのこのこの!)  
 
一通りお仕置きしてからトイレを出る。トイレの中で凍えながら小便している女の子の姿が見えたが気にしない。  
(お前はどんな女が好きなんだ?どんな奴の裸を見たら喜ぶんだよ!!)  
(喜ばないよ。勝手に女の子の裸を見てなんて喜ばないから)  
(…………………)  
グラスサイトは溜息をついたように無口になった。  
(……何が見えたら嬉しいんだ?)  
(鳥の生態や、虫が何処に潜んでいるかとかそういうの。何回も言ってるだろう?)  
(…………昔から変わってないな)  
(お前もだろう?)  
 
沈黙のまま歩き続ける。こいつは昔からそうだ。幼稚園の先生の裸を見せるのに始まって、  
ずっと向こうのラブホテルの様子を見せたりする。  
そんなのに萌えるほど僕は子供じゃない。  
(まだ高校のガキなのに)  
(黙れ、エロ眼鏡)  
 
出し物が終わって、帰ろうとしたその時、グラスサイトが騒ぎ出した。  
(おい、耕一。どうもヤバイ事態になってるぜ)  
(ヤバイ事態だって?)  
眼鏡に写る風景が変わる。そこには全身ボンテージの少女がいた。  
彼女が何処かで他の人間を後ろから襲っている。  
(……『コネクター』が勝手に人間乗っ取って暴れてやがる)  
(そんな!『コネクター』は『契約者』に逆らえないんじゃ?)  
(『契約者』の意識を奪ってやがる! そっから他の人間襲って、オーラ(みたいなもの)を奪ってやがるんだ!)  
(そんな!!!)  
(止めるぞ!あんな『コネクター』生かしちゃおけねえ!!)  
『コネクター』に同族を守ると言う意識は薄い。自らの立場が不味くなるならなおさらだ。  
 
「おや、誰かと思えば『同族』か。」  
「てめえ、中にいるのが『契約者』何だろう?『コネクター』は『契約者』の意思を尊重してなんぼと言うのに、てめえは何してる?」  
「『契約者』の命令に従うよりも襲った方が多くオーラ(みたいなの)を集める事ができるのだよ。」  
その言葉にグラスサイトはむかついたように言う。  
「てめえはもう『コネクター』じゃねえ。せめて最低限のルールは守りやがれ!  
 耕一とっとと決めるぞ!」  
「ああ、封印解除!」  
その言葉と共に耕一の目が赤く輝きだす。  
呪いの目。主人の興奮と共に発動する七色の必殺の目。グラスサイトによって与えられ、  
グラスサイトによって封印されたまさしく一撃必殺の力。  
その目に睨まれた瞬間、ボンテージの『コネクター』だったものは、消え去った。  
 
少女が裸で耕一から逃げようとしている。  
「来ないで!来ないで!!」  
「あれはどうしたんだい?」  
「わからないよぉ。急に襲ってきて………」  
(この女も殺しとくか?呪いの目なら後腐れなく……)  
(駄目だ)  
耕一は出し物の服を取り出すと自分の服を少女に投げつける。  
「自分の家まで帰れるか?」  
「うっうん……」  
「今日あったことは忘れて、明日初詣に行くんだ」  
そう言って財布の中から千円札を取り出すと少女に渡した。  
「これ、交通費。」  
「え??良いの??」  
「口止め代含み。」  
「あっありがとう………。」  
彼女が自分の服を着るのを見て少しだけドキッとした。  
 
(……彼女に自分の服を着せて興奮するなんて変ですよ)  
 
その晩、グラスサイトは自ら与えた呪いの目で少しダメージを受けた。  
 
                     (完)  
 

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