「にゃーにゃー」
「……何にゃーにゃー言ってんだか。馬鹿みたい」
「だって猫にゃんだから、にゃーと言うものなんじゃないかにゃ?」
「はぁ……普通に人間語喋れるようになったんだから、そんな必要は無いの」
「でも、御主人様は喜んでくれるにゃ」
「あのねぇ、お姉ちゃん。なんで私達が頑張って猫又になったかわかる?」
「……にゃ?」
「小首を傾げないっ! ……復讐の為でしょ? その復讐の相手喜ばせてどうするのっ!」
「妹は真面目にゃにゃー」
「……あのねぇ」
「でも、御主人様は、それは誤解だって、ちゃんと話してくれたにゃ」
「えっ!?」
「自分が行った時にゃ、お母さんはもう死んでたって言ってたにゃ」
「……何? 話したの、私達の事? 全部?」
「にゃ」
「っ……信じらんないっ! 馬鹿みたいじゃなくて、馬鹿なの!?」
「にゃ?」
「だから小首をかしげるなっ! ……そんなの、ホントの事言うと思ってるの?
もし本当だったら、なんであの人の手は、お母さんの血で真っ赤に染まってたの?」
「……それはにゃ、御主人様がお母さんを」
「とにかくっ!」
「にゃうん!?」
「私は、あの人を許さないからっ! 復讐して、痛い目に遭わせてやるんだからっ!」
「……妹」
「お姉ちゃんは……お姉ちゃんは、あの人と仲良くしてればいいのよっ! 裏切り者っ!」
「……わかったにゃ。好きにするといいにゃ」
「え……」
「けど、いつかお前にもわかるにゃ。御主人様が、本当にいい人だって事がにゃ」
「……………………馬鹿ぁっ!」
「あ、どこ行くにゃ?」
「散歩よっ! 付いて来ないでねっ!」
「というようなことがあったにゃ」
「仕方が無い奴だな、お前の妹も」
「御主人様は、身寄りのなくなった私たちを拾ってくれた恩人にゃというのににゃ……」
「……ま、仕方無いさ。大事な物を失くして、それをすぐ受け入れられる人間ばかりじゃない。
ゆっくり、誤解は解いていくさ」
「御主人様は、やっぱり優しいにゃ! ……にゃ?」
「あれ……?」
「にゃーむ……」
「……アイツ、だよな?」
「猫モードで寝ぼけてるみたいにゃ」
「にゃーぅ……にゃっ」
「あ」
「……この子も、本当はわかってるのにゃ、きっと」
「膝の上で丸くなって……可愛いな」
「……にゃ」
「じゃあ、私もそこで丸くなってもいいかにゃ?」
「ああ、構わんよ」
「しのびにゃー……にゃっと」
「……ちょっと重いな、二人分は」
「乙女に重いは禁句ですにゃよ?」
「はは、悪かった」
「……やっぱり、御主人様は暖かいにゃ」
「……にゃぅ」
「この子も、そう思ってるみたいにゃ」
「……そっか」
「じゃ、私もおやすみにゃ……」
「ああ、おやすみ」
「にゃ……ぅ……」