むかし昔、ある島に、太郎と言う名の若者がおりました。
太郎はとても心優しい青年でしたが、生活はとても貧しく、近くの入江で釣ったわずかな魚を売って糊口をしのいでおりました。
ある日、太郎がいつものように魚を売った帰り道、村の子供たちが浜辺で騒いでいるのに行き会いました。
見れば浜に迷い込んだ海亀をよってたかっていじめています。
見るに見かねた太郎は、今日の夕飯になるはずだったなけなしの小銭で子供たちから海亀を買い取り、海にかえしてやりました。
翌朝、すきっ腹を抱えていつもの様に釣りに出ると、そこにあらわれた昨日の海亀の、昨日のお礼として海底の楽園、竜宮城へ御案内しましょう、と呼びかけに太郎は応じ、その背中に乗って沖へ沖へと進み、底へ底へと潜りました。
一体どれだけ経ったでしょう、太郎の目に美しく輝くお屋敷と、その前でこちらを出迎える更に美しい女官たちが見えてきました。
太郎を乗せた海亀がお屋敷の門へ到着すると、上等な着物を身に付けた美しい女官たちがうやうやしく礼をし、道をあけると、その向こうから付き人を従えた女性が現れ、
「わたくしはこの竜宮城の主、乙姫と申します。
このたびは配下の者が危ない所を助けていただいたそうでまことにありがとうございます。
つきましては、せめてものお礼として、わたくしどもにぜひおもてなしをさせてくださいませ」
とうやうやしく下げていた面を上げると、その美しさに太郎は言葉を失いました。
乙姫様を取り巻く女官たちの美しさもそれはそれは素晴らしいものです。
ですが乙姫様のこの世のものとは思えぬ美しさの前には霞んでしまうといわざるを得ません。
天女様とはこういうものか。
と見惚れ、乙姫様に手を取られお屋敷の中へと入っていきました。
お屋敷に招かれた太郎はまずみすぼらしい着物を脱がされ、風呂に放り込まれ、全身を女官たちによってたかって清められ、上等な生地の着物を着付けられ、すでに宴の準備が整った広間の上座、乙姫様の隣へと通されました。
あこがれの白米から始り、見たこともないご馳走がそれこそ食べきれないほど振舞われ、女官たちの軽やかな舞が披露されました。
宴もたけなわとなった頃、太郎と乙姫様のもとへ一本の白磁の徳利が届きました。
「このお酒はわたくしどもが醸造いたしました。是非太郎様にも味わっていただきたくお持ちいたしました」
「それは楽しみです・・・ですが、杯が無いようですが?」
そう言う太郎に、乙姫様は童女のようないたずらっぽい微笑をむけ、徳利に直接口に含むという、それまでの上品な仕草には似合わない行動に太郎がギョッとしていると、
「ん!?」
乙姫様は太郎の口に唇を押し付け、口移しで酒を流し込みました。
あまりの事に呆然としている太郎に乙姫様は、
「ご返杯、いただけますか?」
とほんのりと頬を染め、徳利を差し出しました。
徳利と乙姫様の間に視線を迷わせているうちに、腹の中で酒が燃え上がり、太郎の体温を上げます。
太郎は乙姫様から徳利を奪い取ると酒を含み、乙姫様の可憐な唇に吸い付きました。
太郎は酒を移しきっても離れず、むしろむさぼる様に吸い続け、乙姫様の体を抱きしめました。
しばらくの間二人は無言で抱き合い、舌を絡ませ、お互いの味、香、感触を楽しむと、乙姫様は太郎の袴の、その中心を手でなぞりました。
「ぅわ!」
太郎は慌てて唇を離し、乙姫様からも離れようとしますが、乙姫様が手に力をこめ、太郎の動きを封じます。
「太郎様、もうこんなにさせて」
乙姫様は袴とその下の褌越しでもハッキリ分かるほど熱を持ち、硬く膨らんでいるそこをうっとりとさすり、不意に立ち上がりました。
軽く腕を広げて立つ乙姫様の着物を二人の女官がスルスルとがせ、白く輝く裸体をあらわにします。
別の女官が太郎の着物も脱がせ、むき出しになったヘソまで反り返った肉の竿の勢いに驚きました。
興奮してすっかり忘れていましたが、周りには女官たちが居たのでした。
「太郎様のそれ、とても苦しそう、今、楽にしてさしあげますからね」
乙姫様は太郎を跨ぎ、自分の手で秘裂を広げると、そこから滴るしずくが太郎の肉竿を濡らしました。
もう片方の手で竿を握り、その先端を自分の中心へあてると、
「御存分に、お楽しみください」
と一気に腰を落しました。
「んあぁぁぁ!」
「っっっっっっ!!」
ズブチュゥ ビュル ドクン ドクン
太郎の肉竿はその甘美な感触に耐えられず、根元まで飲み込まれた途端に精を放ってしまいました。
情けなくて泣きそうになった太郎に、乙姫様は、
「まだ、お元気」
と嬉しそうに言いました。
事実太郎の肉竿は、大量に精をそそいだというのに、まだ乙姫様の中に納まったまま少しも硬度を損なっておりません。
乙姫様は始めはゆっくりと、だんだんと激しく腰を動かし、太郎もそれに合わせ自然に下から腰を突き上げました。
「んあぁ! 太郎様! 太郎さまぁぁ!!」
太郎はいつの間か敷かれた布団の上で乙姫様を組み伏せ、豊かな胸を揉み解し、桜色の乳首に吸い付きながら激しく腰を振り、何度もその中へ精を注ぎましたが、その肉竿は一向に衰えません。
実はここで食べた御馳走や飲んだ酒には不思議な力があり、太郎に無尽蔵の精力をあたえているのでした。
「あぁ! はあぁ!!」
何度目か分からぬ絶頂に、二人はひしと抱き合い小休憩していると、
「姫様ぁ・・・」
と横から熱っぽい声がかかりました。
見ると、二人の営みにあてられ、赤い顔をした女官たちが皆、切なげに体を揺らし、ももをすり合わせておりました。
乙姫様はそんな彼女たちの様子を見回し、
「太郎様、この子達にも、どうかお情けをかけてあげてくださいませ」
と言いました。
美人ぞろいの女官たちは、実は海に棲む魚の精と言うことでした。
粋でいなせな鉄火肌、でも寝床に押し倒すと途端に大人しくなるマグロ。
まだ肉付きの薄い未成熟な体で初物を捧げてくれたカツオ。
唇に紅をさし、すらりとした肌の白い腹黒美人のサヨリ。
ちょっと意地悪すると直ぐ頬を膨らますフグ。
昆布の縄で縛られあえぐ被虐趣味のサバ。
双子で活発できつく締め付けてくるヒラメ。
物静かで柔らかく包み込んでくるカレイ。
露出癖がありすぐ着物を脱ぐカワハギ。
美しい手で愛撫してくれるシラウオ。
女だてらに剣術の達人のタチウオ。
ほんのりと桜色の肌をしたタイ。
風呂で体を洗いあったスズキ。
口での奉仕に熱心なキス。
数の子天井なニシン。
開けっぴろげなアジ。
信心深いイワシ。
酒好きのサケ。
それぞれ違う味わいを太郎は存分に楽しみました。
太郎はそんな楽しい日々を送り、いつの間にか三年間が過ぎ、ある日急に故郷が恋しくなり帰りたくなりました。
乙姫様や女官たちは引き止めましたがどうしても帰ると聞かず、ではお土産にと漆塗りの立派な箱を一つ持たせました。
それは玉手箱といい、中には竜宮城での思い出が詰まっているので決して開けてはいけないと強く言いました。
来た時同様、海亀の背に乗り故郷の浜辺に帰ると、そこ広がる、かすかに雰囲気は残るもののまるで違う風景に愕然としました。
どこを探しても、生まれ育った家はおろか、村すらも無くなっており、今そこに暮らす人々に話を聞けば、どうやら太郎が竜宮城で三年間過ごしているうちに、陸では三百年が経過していたことが分かりました。
いきなり孤独になった太郎はしばらく呆然としていましたが、ふと手に持った玉手箱に目を向けました。
その中に詰まっているという思い出にすがり、決して開けてはいけないと言われていたにもかかわらず、太郎はそれを開けてしまいました。
蓋を開けたとたん、中から白い煙が立ち込め、太郎を包み込みました。
その煙の中で乙姫様や女官たちの幻が現れ、太郎と交わりました。
ですが竜宮城の不思議な食べ物は再現されず、幻相手に精を放ち続けた太郎は、やがて老人のように枯れ果ててしまいました。
おしまい。