あんな恥ずかしい事をやらかした後、二人してみーの部屋にいた。  
 ほら、とみーが自分の足をぽんぽんと叩いた。俺は頭をみーの太腿に乗せる。  
 じんわりと暖かさが伝わってくる。  
「最近してなかったから、おっきいのが溜まってそう」  
 嬉しそうな声。今の俺からは角度的に見えないが、きっと笑顔なんだろう。  
「最近って……二週間くらい前にしたばっかりじゃないか」  
「あたしは三日に一回くらいするけど」  
 そんなにして、よく耳がおかしくならんな、と思う。声に出して言いはしないけど。  
みーが持っているのは耳かき棒。状態は膝枕。となると、する事は一つ、耳掃除だ。みーの手が俺の耳に  
そっと触れる。なんだか妙にくすぐったい。  
「じゃ、いくよ」  
 みーの合図。耳かき棒が耳の中に入ってこしょこしょ音を立てた。  
 頭の下にある、みーの太腿が柔らかく暖かい。  
「うーん、あんまりないなー」  
「いっつもやってるのに、そんなに溜まるはずないだろうが」  
「もしかしたら、ってこともあるかも」  
 笑い声。  
 全く、毎度毎度……  
 
 俺はみーにしか耳掃除をしてもらったことが無い。本当に、昔からみーだけだ。まぁ、料理と同じで昔は  
力加減とかも出来てなくて酷かったけど。  
 しゅっしゅっと耳かき棒が耳の中で動く。  
「ゆーちゃん、痛くない?」  
「大丈夫、眠くなるくらいだ」  
「そっか、ありがと」  
 穏やかな声。目的の物を見付けたのか、耳かき棒が引いていく。そしてまた中に……  
 さっさっさ……  
 リズムの良い音が響き続ける。あー、眠くなる……  
「大物はなーし」  
 最後に耳かき棒の後ろのふわふわでさっさっ。  
「ゆーちゃん、反対」  
 ん、と頭を逆に向ける。  
 うっ!  
 まずいことに気付いた。膝枕をしていて、今まで外側を向いていた。では反対の耳を掃除する為に頭を  
逆にしたらどうなるか?  
 ……みーにその、あの……顔をうずめる様な感じになる、と……  
「こっちはどうかなー」  
 みーの明るい声。  
そーっと目線だけを上に向ける。耳掃除に夢中で気付いていないようだ。  
 
 急に背中が汗で濡れた気がした。息を呑むと音が大きくてビックリした。……気付かれてないよな。鼻から  
息を慎重に吸う。何か、甘酸っぱい匂いが……って、いかんいかん!俺は何をやってるんだ!  
 思い切って目を閉じる。みーの手が俺の顔に触れている。さっきと同じこしょこしょという耳の感触。変わらない、  
みーの感触。顔の状態をなるべく気にしないようにする。  
「ゆーちゃん、何だか顔が赤いけどー?」  
 不思議に思ったのか、手を止めて尋ねてくるみー。  
「なんでもないって」  
「そう、ならいいけど」  
 再開して、またこしょこしょ。こっちの耳もすぐ無くなったのか、同じ手順をまた繰り返して――  
「はい、おしまい」  
 みーの声と共に、耳かき棒と触れていた手の感触がなくなった。息を吐く。どうしてこんなに緊張してるんだか、俺は。  
 とりあえず、首を上に向け目を開けて起き上がろうとした。が、額を軽く押さえられて止められる。  
 ばちり。目が合った。  
 胸がざわめくような感じ。みーが頬を微かな朱色に染めてが微笑んだ。  
 あ、やばい。なんでだ。すごい可愛い。おかしい。目が離せないほどに可愛い。  
「みー……」  
 呟きが空気に吸い込まれた。手をゆっくりと伸ばして、みーの頬に触れた。なんか普段より熱い気がする。  
「ゆーちゃん、あたしね」  
 すっ、と。  
 俺の頬に触れてる手をみーの手が包み込む。なんかいとおしい、と言う様な、なんだか、そんな。  
 
「ゆーちゃんのこと……好きだよ」  
そのままみーの顔がゆっくりと俺の顔に近付いて――合わさった。  
「ふ、ぅ……」  
 どちらともない息の漏れる音。しっとりとしたみーの唇。ぷにぷにした感触になんだか妙に興奮した。  
 胸がざわめく。もっとざわめく。感情が暴れるような。  
 どれくらい触れていたのか。五秒? 十秒? それとも一分? やけに長い一瞬が過ぎて、ゆっくり唇が離れた。  
でも、顔はそれほど離れない。静かな吐息さえも感じられるような距離。  
 アップになるみーの顔。横で短い髪の毛が揺れた。後頭部の下の太腿の肉がやけに鮮明に感じられる。  
重ねられたままの手。軽く、けれど、強く握った。つっかえそうになるのを懸命に堪えて、想いを声に乗せた。  
「俺はみーの気持ちに負けないくらい」  
 みーが好きだ。  
 目の前の顔が驚きの顔をして――それから、目を細めてくすくす、とおかしそうに笑い出した。  
「あたしの方が好きって思ってるもん」  
「いーや、俺の方が想いは強いね」  
「あたしだって」  
「絶対に俺だ」  
「あたし」  
「俺」  
 そのまま睨み合って――  
「――ふふ」  
「――はは」  
 二人同時に吹き出して。また唇を合わせた。頬に触れたままの手を撫でるように動かすと、気持ちよさそうに  
みーが体を揺らして、手の力を強めて俺の行動に答えた。  
 その時の気持ちを一言で表現すると、こうだ。  
 
 穏やか。  
 ああ、みーがキスが好きな気持ちがわかる、な……あ、神様。俺はもう染まってきてるぞ――  
 唇が離れれないように、みーの後頭部に手を回して、引き付けた。もうちょっと続けていたかったからだ。  
「んっ」  
 みーが一瞬体を硬直させるが、すぐ力を抜いた。今までみーとした何百回、もしかしたら何千回のキスと同じ様に、  
自然体のまま時間が過ぎ去る。みーはしばらくそのままだったが、物足りなくなったのか、唇を細かくずらしたりして  
感触を増やそうとすると、くち、と水音がちいさく響く。  
 それがきっかけに行為が一気にエスカレートする。  
しばらく、唇を押し付けあって、唾液で唇が濡れ始めてから、初めに俺がみーの口内に舌を差し込んだ。舌に  
ぐちゃぐちゃでぬるぬるな感覚。ちょっと舌を持ち上げると固いものに触れる。それも越えると、みーの舌先が  
待っていて引っ掛けるように絡んだ。  
「はっ、ふ、ゆー、ひゃん……」  
 小刻みに震えるみーの体。後頭部から、顔から伝わってくる熱が増した気がした。すると、みーの舌が押し返してきた。  
みーのとろとろの舌が俺の口の中に入ってきた。鼻息が互いに荒い。絶え間なく響く粘っこい水音がすごく興奮する。  
もう口の周りがすごいことになっている。べっとべとだ。頭の中が痺れる。そこまでして、一旦顔が離れた。  
 目を開けると、ちょっと有り得ないくらい真っ赤な顔のみーがまた至近距離に。目が潤んでいる気がした。  
「ゆーちゃん……」  
「みー……」  
 呟き、返す。それだけの事がなんでこんなに――こんなに。  
 膝枕の体勢のまま、見詰め合った。息がかかる。心臓は爆発寸前の様相。  
 息が荒くなり、ごくりと唾を呑み、俺は言った。もう止める事は出来なかった。  
「みー、俺、みーと……したい」  
 
 震えが後頭部から伝わってきた。緊張が手に取るようにわかった。けど、それでも、目を逸らさずに、みーの起  
こす行動を見詰める。  
 みーは困った様に視線を泳がせて、それから赤い顔のまま消え入りそうな声で俺に告げた。  
「ゆーちゃんなら……いい、よ……」  
 背筋が震えた。  
 は、は、は、はははは。  
 俺は変態に違いない。確信した。絶対に間違いない。ただ気持ちを確認しただけで、物凄い快感が広がるんだから。  
 体勢を逆転させて、みーを床に押し倒した。みーの髪の毛がベッドに垂れて俺には妖しげに見える模様を描いた。  
幼馴染を組み敷くという光景に頭がクラクラした。いよいよ、と手を出そうとした瞬間、みーが口を開いた。  
「一つだけ、お願い、良い……?」  
 その言葉にちょっとだけ冷静さが戻ってきた。危ない危ない、感情的になりすぎていた。  
「何でも言ってくれ」  
 目を見ながら言い返すと、みーは目を伏せがちに言った。  
「手、ぎゅー、って握って」  
 すぐに握った。みーもしっかりと握り返してきて、視線を交錯させて、笑う。  
「…あは」  
「はは」  
 また笑って。またキス。本当に、軽く、一瞬。  
 くっそ、なんでこんなに安心できるんだ。おかしいだろ。  
 まだしたい、と思って、もう何度目かよくわからないほどのキスをもう一回。強く押し付けて、舌を挿れる。  
 
「っ、ん、はぅ、ぁふ……」  
 もうわけがわからない。唾液が泡立つくらいかき回して、舌を絡めて、歯茎を、歯をなぞって、押し返されて、  
また絡まって、唾液が口の端から溢れ出て……キリが無い。  
 二人とも一心不乱だ。  
 みーは俺の口の中が気に入ったのか、その中で舌を動かす。俺はいたずら気分でその舌を歯で軽く噛んで  
動けなくし、吸い込んだ。  
「ん、やぁっ!? や、ぁん、ん、ゆー、ちゃ……ん、は、う」  
 みーの体が暴れる。が、それを抱き締めて無理矢理抑える。みーからもきつく抱き返してくる。ただそれだけが  
とんでもなく気持ち良い。二人とももうどっちの物かわからない唾液でだらだらだ。みーが口の中に溜まった唾液を  
む音が聞こえた。その唾液に自分の唾液が混じっているかもしれないと思ってますます興奮した。  
 いい加減、やりっ放しだったので離した。  
 呼吸も整えようとすると、みーが繋いだ手をにぎにぎして、口の唾液を空いてる腕の袖で拭いながら、何故か  
恥ずかしそうにみーがちらちらとこっちを見る。  
 なんだ?  
「ゆーちゃん……ちょっと変態?」  
「なんでだよ」  
「だ、だって」  
 ほら、とみーが指差した方を見ると――げっ。  
 
 俺の方が赤面してしまう。ズボンの前があまりにも雄々しく突っ張ってしまっていた。  
「さっきから……その、太ももに……当たってて、すごいなー、って……まだちゅーしかしてないのに……」  
 恥ずかしさで消え入りたくなるとは正にこの事。しかし、このままでは男として悔しいので反撃する。  
「なら、みーはどうなん――だっ」  
 繋いでいない手を素早くみーの下半身の足の付け根の間へ。  
「きゃっ!? や、やぁ! ゆーちゃん、だめぇっ」  
「っ!?」  
 みーの下着の感触が手のひらに伝わってくる。しかし、俺が衝撃を受けたのは、その布地がたっぷりと水気を  
吸い込んでいたことだ。  
 なんだこりゃあ……!  
 指を動かす。布地の中心を中指で軽く押す。  
「っあん……」  
 みーが妙に艶のある声を短く上げた。すごいドキドキした  
 そして、押した所から、液体がこぷり、と溢れ出た。その粘りのある液体はまだ温もりを持っていた。震える手を  
持ち上げて、目の前でかざす。  
 触れた場所の全てが濡れていた。布地を押した中指を開くと、人差し指との間で糸を引いた。  
 うわ……すげ……エロい。  
 手のひらを陶然と見詰めていると、みーは顔を羞恥で赤く染め上げて叫んだ。  
「ゆ、ゆーちゃんのばかー! いつまでも恥ずかしいことしてないでよー!!」  
 握ってるほうの手をぎゅーーーーっと握りつぶさんばかりに握って、空いてるほうの手で下から俺の胸を叩いて、  
顔を伏せた。  
「他のとこ触らないの……例えば、その、胸、とか……」  
 
 胸……  
 この前のあの日、未遂に終わったあの見せ合いでちらっとだけみたみーの姿がフラッシュバックする。  
 触れるのか。そう思うだけで心が躍った。その後ちょっと事故で触った気もするが……あまりにも一瞬だったので  
覚えていない。  
「って、きゃー! ゆーちゃん何してるの!?」  
「……え?」  
 どうやら、ぼーっとしてしまったらしい。気が付くと俺はみーから掬い取った液体を指ごと口に含んでいて――え!  
本当に俺何してるの!?  
「あ、え、いや、これは、その……えっと……自然に?」  
 叩いてくるかな、と予想として俺は身構えたが、みーは耳まで赤くして顔を抑えて唸っている。どうやら、恥ずかしさが  
臨界点を突破して言葉が出ないらしい。  
 ああ、こんなみーも可愛いじゃないか……って何を考えてるんだ俺は。  
「ゆーちゃんのへんた――んぅっ!?」  
 口を塞いで無理矢理黙らせた。すると、さっきの態度が嘘のようにみーがキスに応じてきた。叩きつけて押し潰すように  
顔を擦り付けてくる。素直じゃないよな、俺もみーも。  
何回も繰り返し唇が合わさる中、俺はみーの胸に服の上から触れた。  
「あ、ぅ……」  
微かにみーの体が揺れるが、妨害しようとしない。許しが出て、俺は親指と手のひらを使って挟むようにみーの胸を  
触った。ブラ越しだからか、若干固く感じるような気がするが、それでも極上の柔らかさというような感触だった。  
 
「っふぁ……ん…んん! や、ぁっ!?」  
 みーが叫び声を上げたのは親指の腹ぐらいの位置に偶然、固い物が触れた時だった。  
 乳首だ。  
 直感でそれを察知した俺は親指の先で、素早くもう一度探り当ててボタンを押すように押し込んだ。  
「きゃぁうっ! あ、くぅ……!」  
 いじるたびにみーの体が跳ねる。嬌声が上がる。  
 服越しでこれで、直ならどんな……  
 欲望の赴くままにみーの上着に手を掛ける。一番上に羽織っているブラウスの前をはだけ、横にどけて、  
下に着ているシャツの裾をみーが何か言う前にめくり上げた。  
 真っ白な肌。小さいヘソ。視線を上に上げると水色のレースの下着。つつましげに膨らんでいる胸。  
 す、げぇ……  
 俺の貧困な表現力ではその言葉だけで精一杯。今更ながら男と女は別の生き物だということを俺は再確認していた。  
 で、みーはと言うと――赤い顔のまま、抗議するような視線を俺に向けている。まだ握ったままの手は  
痛いばかりに強く握り締められている。  
 でも、さっきと同じ様に止めようとはしてこない。口の中が妙に乾く。唾を飲み込んで、ブラと肌の間に指を  
差し込んで、そして、全てを、一気に、露出させた。  
「うう……」  
 みーの声が妙に頭に響く。今の俺にはそれすらも興奮の要素だった。その胸の頂上で既に固くなっているものを  
片方つまんだ。  
「っ!」  
 全身を震わせるみー。何度も何度もいじる。その度に体を震わせる。  
「ゆ、ゆーちゃん、あんまりおもちゃみたいにいじらないでよ……!」  
 
「いや、だって、顔真っ赤にしてるみーがあんまりにもエロいもんだから」  
「え、えろい……って、あたし、胸こんなにちっちゃいのに……?」  
「ほら、こんなふうに」  
「え……ひゃんっ!?」  
 可愛く叫ぶみー。胸をまた触っただけでこうだ。  
「みー、ってすげぇ敏感だよな……」  
「やぁ、そんなこと……あ、う……な、いよ」  
 喋りながら触る。みーの中では『敏感』というのは恥ずかしいことのなか、声を我慢しようとする。  
 なんとか声を出させれないか――何か方法はないか。ちょっと考えて、すぐ思い付いた。  
 空いている方の胸に顔を近づけて、吸い付いた。  
「やあぁっ!? ゆーちゃん、ちょ、ちょっとぉ……んぅ!」  
 ちゅっちゅっ、と音が出る。少し汗ばんでいたのか、しょっぱい味がした。ついでに肌から微かな石鹸の匂い。  
 みーがいやいやとするように体を暴れさせるが、それも無視して押さえ付ける。乳首を吸い続けて、もう片方を  
手で胸をもんだりいじったりしていると、次第に力が抜けてきて、もう観念したのか、そのままされるがままになった。  
「は、ふ、ゆーちゃんの……えっち、変態……」  
 切れ切れ声で悪口。迫力はさっぱり無い。  
「好きな女の半裸を前にして我慢できるほど男捨ててないから仕方がないだろ」  
「あ、う、だめだよ、ゆーちゃん……そんな……」  
 みーが俺の奇妙な力説を聞いて恥ずかしがる。――が、思わぬ言葉をみーが言い始めた。  
「ゆ、ゆーちゃん、先に言っておくけど、ごめん、ね」  
 
「ん?」  
 何を謝る必要が?  
「あたし……あたし、さっきゆーちゃんにえっち、って、変態、って言ったけど……」  
 ぶるりとみーが体を震わせた。それは緊張だけから来る震えだったのだろうか? 言葉を切った。すると、  
みーの手がスカートの端を掴んで。  
 まさか、と思って、息を呑んだ。まさかだった。  
 スカートの生地がゆっくりと上がって、そしてみーのショーツが部屋の明かりに出て。  
 俺は頭をカナヅチで殴られたかと思うぐらいの衝撃を覚えた。  
「あたしも、同じくらい……ううん、もしかしたらそれ以上におかしいんだよ」  
 前にキスだけでソファーの下にシミが出るほどみーが濡らしたことがあった。つい今もキスした後に触って  
それを俺は実感した。しかし、実際に目にすると。  
「え、っと……これ、は、あー、おもらしじゃ……ないのか……?」  
 ぶんぶんとみーが首を横に振った。  
 ――凄かった。  
 ショーツの一部分、などではなく、クロッチの前から後ろ、お尻の方まで色が変わって、更に下のスカートまで  
シミを作っている。  
「……みー、俺さ」  
「な、なに?」  
「今、みーが可愛くてたまらん」  
「……え?」  
 何だか戸惑っている様子のみー。だが構うことは無い。俺は最高にハッピーだった!  
 
「なんて言うんだろこの感情……そうか! これが愛ってやつなのか!?」  
「……ぷ、くくっ、あは、あははは」  
「な、なんだよ! 笑うなよ、俺は真剣なんだぞ」  
「ごめんごめん、つい、うっかり」  
 笑うなよ、と言いながら俺も笑ってるけど。それから潤んでる瞳を細めて、俺に微笑んで、口を開いた。  
「……うん、あたしもゆーちゃんのこと好き……愛してる」  
 ちゅっ、と口を合わせた。もう一回。もう一回。もう一回。もう一回……  
 口を合わせるごとにこらえきれないものが込み上げてくる。すぐにその感情は溢れ出した。  
「……いいか?」  
 短い言葉。でもみーはわかるだろう。何故なら、幼馴染だから。  
「して」  
 熱の篭った言葉が、短く、放たれる。  
 それから中途半端に残ってた互いの服を脱ぎ捨てた。無言で向かい合う。そして更にゆっくり、みーの性器に  
俺のそれを、当てがった。  
 最終確認。みーが、俺の手をしっかり握って、頷いた。  
 ぐっ、と俺が腰を前に突き出した。長くかけて痛みを一瞬でと考えていたので一気に挿入。ぷつ、と肉が  
切れる表現しようのない感触。  
 とんでもない快感が下半身から伝わってくる。我慢我慢我慢我慢我慢……!  
「あっ、っつ、っく、うぅ……いたっ、いっ……!」  
 手が握り締められる。手の甲に爪が食い込んでくる。全身が震えている。顔が苦痛で一杯に歪んでいる。  
「はっ、う、いっ、ゆーちゃん……ゆーちゃん、ゆーちゃん……!」  
「大丈夫、ここにいるから」  
 
 そのまましばらく抱き合って……やっと激痛が少しマシになったようでみーが顔を上げた。  
「あ、う、痛かったよぉ……」  
「ごめん……でもありがとう」  
「うん……ゆーちゃんは痛かったりとか……そんなことないんだよね」  
「まぁ、男だし」  
「……男の子って良いなー、生理とかもないし、それに……」  
 言い掛けてみーが顔を真っ赤にして黙り込んだ。  
「それに……なんだ?」  
「な、なんでもないよっ。それより、その、あたしの中、気持ちいい……?」  
「それはもう……凄いとしか表現できない」  
 みー、いや、女の子の体ってなんでこんなに凄いんだろう。男の体とは大違いだ。さっきから凄い凄いとかしか  
言ってないが、本当にそれしか思い浮かばないので仕方が無い。  
 俺のものはどろっどろの柔らかいひくひくうごめく肉に抱き締められていた。何もしていないのに出そうになるくらいだ。  
 ――ちょっとぐらいなら動かしても。  
 腰をとん、と突き上げるように小さく一突き。  
「あうっ!?」  
 みーが軽く叫びを上げる。  
 続けて横に揺するように緩やかに動かす。たたそれだけで歯が浮くような感触が引き出せる。時間をかけて  
動きの幅を増やす。負担をかけないように。  
「や、ん……くっ、はぁっ、あんっ」  
 まだ時々痛そうにするみー。手はさっきからずっと力一杯に握られている。こんな時にすることは決まっている――  
特に俺たちは。  
 
 またキスだ。一回頬に。みーが目を開いた。二回目は唇に。三回目からは舌も。下半身はとびっきりの  
快感を俺に与え続けている。みーの中はきゅ、と締め付けたり、ゆるまったり、うねったり、ざらざらしてたりで  
凄まじい限りだ。上では俺が一方的にみーの口内をねぶっていた。  
「は、ぅ、ゆー、ひゃんっ! ん、ん、んぅっ!」  
 そのせいか、いつの間にかみーの声も苦痛が薄くなっている。反面、快感が尻上がりに止められなくなってきた。  
突き上げるたびに奥から熱い液体がどっと流れてきて、ひくひくと中が動く。俺はもう歯を食いしばってそれに  
耐えている。  
「あ、あっ、ゆーちゃん……あたっ、し、う、やぁ、こんなの、おかしいよぉっ」  
 みーが泣く様な切羽詰った声を出した。  
「はじめて、あっ、なのにっ、こんな、こんなぁっ……!」  
 感じているのか。  
 その本音を聞いて、ここまでした我慢の堰が一気にぶち切れた。  
「悪いっ、出るっ……!」  
「あ、はうっ、ゆーちゃ……、う、あぁ…………!!」  
 中で思わずぶちまけた。背筋に寒気が走るほどの、目の前が点滅するほどの快感。自慰ではありえないぐらいの  
量が、出る。  
「う、あ、やぅ、すごい、あったかい……」  
 腰が浮き上がるように、興奮や熱などを抽出されていくような、別次元の高まり。目が眩む。  
 精液がみーの奥に吸い込まれていく。互いに荒れた呼吸を落ち着かせて、気持ちも落ち着かせて、よ  
うやく視線が合わさった。  
「ゆーちゃん……」  
「みー……」  
 俺たちはその儀式を完結させる合図のようなキスを、交わした。  
 
 
 そして後始末……で、俺は青ざめることを思い出した。  
 避妊が頭に無かった。  
 慌ててみーに確認を取り……生理はもう終わってるよと言ってくれたので落ち着きを取り戻したが、  
今度するときがあったらきっちり対策をしなければいけないだろう……  
「ふー、慌てた……」  
 二人、産まれたままの姿でベッドに寝転がる。脱力感で体を起き上がらせるのも億劫なのだ。  
「もー、男の子ならそれもちゃんと考えてからモーションかけないと駄目でしょ」  
「う、すまん。返す言葉も無い」  
 行き当たりばったりは本当にやめないとなぁ……  
 でも、とみーは言葉を続けた。  
「次はゆーちゃんにあたしがしてあげたいかも」  
「次は、って……やる気アリアリだな」  
「ち、ちがっ、そんな意味じゃないよぉ……いや、そんな意味だけど……ゆーちゃんのばか」  
「いや、嬉しい。楽しみだ」  
 ならいいけど、と顔を赤くして照れるみー。いかん、本当に可愛い。  
「にしても、あたし達……結ばれちゃったね……」  
「そうだな……」   
 脳裏に今までの思い出が駆け巡った。何かのゲームで見た言葉を思い出した。  
 思い出が蘇る。思い出してみれば、つい昨日のことのようだ。思い出が蘇る。思い出してみれば、色々あった――、か  
「……ちゃった」  
「え?」  
 
 物思いにふけっていると、みーが突然に何か囁いて、きゃーと小さく声を上げて少し暴れた。俺がなんだよと  
思って向くとみーは恥ずかしそうに言った。  
「ゆーちゃんに、はじめて、あげちゃった……」  
 えへへ、とみーが微笑んだ。  
 くっ、顔が直視できない。その発言は可愛すぎる……  
 すると、隣から内緒の話をするような押さえた声が聞こえてきた。  
「ゆーちゃん、あたし」  
 語尾はくすぐったくなるような小さな響き。  
 しあわせだよ、って。  
 
 

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