『白銀の騎士』  
〜導入部・主人公がうらやましいぜちくしょう〜  
 
 
剣や魔法がありふれていて、街の外に居るモンスターと戦う事になる。  
そんなよくあるファンタジーな世界の隅っこ。  
大国とはいえないけれど資源や労力に恵まれていて、騎士団もなかなかに強い。  
これは、そんなありふれた設定の物語。  
 
 
聖クロイス皇国  
 
今この国には王子が居ない。  
現国王には娘が一人しかいなく、その妃は第二子を生む前に他界してしまった。  
この国には宗教的な理由から一夫多妻制などという考え方はなく、あらたに子が成ることはない。  
当然その姫君に婿入りしたものが次世代の王だ。  
しかしその姫----ミスト・クロイスは結婚などしたくないと言い張っている。  
しかしあまりに父親がうるさいので条件を出すことにした。  
 
『私の幼馴染に決闘で勝つこと』  
 
姫と結婚できるのは貴族のものだけだ。  
王は貴族の中でも腕っ節が強いものを集めたが誰一人として勝てるものは居なかった。  
しかしそれは当然の事だ。ミストの幼馴染の青年、アル・ファラストリアは17歳にしてこの国の第1師団の団長を勤めている。  
第1騎士団はこの国で一番強い者たちを集めた部隊、つまり精鋭部隊なのだ。  
その部隊のトップということは実質その国最強と言ってもいいだろう。  
まぁそれも幼い頃から親に英才教育を受けてきたからなしえた事なのだが。  
とにかく誰一人としてアルに勝てるものは居なかった。  
角と翼が生えた馬、ペガサスを操る姿は17歳の若者とは思えない迫力があった。  
アルは幼い頃にかつて騎士を務めていた父にこの城に連れてこられた、姫の遊び相手としてだ。  
本来なら貴族の子供を呼ぶところなのだが、父と王は仲が良かった事もありアルが呼ばれることとなった。  
それいらい姫と仲良くなり、今でもたまにチェスなどの相手をさせられる。………最初から勝敗は決まっているが。  
つまりアルには地位、富、名声、人脈までもが揃っている。  
しかも性格がよく初対面でも10分たてば仲良くなってしまうほど人当たりも良い、さらには美形だ。  
この国の男の中で一番の勝ち組といってもいいだろう。  
正直書いてて作者がうらやましく思うほどだ。  
 
今日は近所の盗賊団のアジトを襲撃する任務だった。  
敵はあっけなく降伏し、これなら第1師団が出る必要も無かったと思ってしまう。  
兵舎に戻り解散を告げる、自分はこれより報告書を書かなくてはならない。  
ペガサスから降りて執務室へと向かった。  
ドアを開けると既に副官であるティナ・ヴァトムスフィアが居て書類の用意をしていた。  
金髪にとがった長い耳、ティナはエルフ族の16歳の少女だ。  
エルフ族は力では人間に劣る、しかし魔法では人間の比にならない力を持っている。  
彼女は純血のエルフなので特にその特性は強い。  
仕事もできるし、自分と歳が近いと言うことで自分の副官となった。  
と、言ってもそう簡単になれるものではない、なんせ最強の師団のNo.2である。  
当時も大変苦労した記憶がある……いや、せっかく長編にしようと決めたのだから後で書くとするか。  
 
「ご苦労様です」  
 
「ああ、ありがとう」  
 
紅茶を差し出されたので一口つける、その香によって戦いで高揚した心が落ち着いていく。  
この若さで血のにおいに体が興奮するようになってしまったが、この一杯の紅茶で落ち着くならまだ平気だろう。  
 
「さて、今日の被害状況は?」  
 
「はい---------」  
 
 
 
 
気が付くと既に日は沈んでいる。  
執務も全て終わり、後は帰るだけだ。  
 
「さて、そろそろ帰るぞティナ」  
 
「はい、わかりました」  
 
兵舎をでるとそこには二人の見張りと一頭のペガサスだけが居た、自分の愛馬だ。  
月明かりを受けて銀色に光る姿はどこか神々しいものを感じさせる。  
 
「帰るぞ」  
 
そう言うとペガサスの体がたちまち光りだし、体のサイズが小さくなっていく。  
光が収まるとそこには銀髪に白い肌の少女が立っていた、白いワンピースを着ている姿はまるで雪の妖精だ。  
そう、このペガサスは雌であり人間になることができる。  
その容姿はかなりの物で、誰かに貴族と言えば疑わないだろう。  
ペガサスは本来人間になることができる種族ではないが、なにかの拍子になることができるようになるのだという。  
それは血の関係だったり、魔法によるものだったりする。  
ちなみに彼女の場合は……いや、せっかく長編にしようと決めたのだから後で書くとするか。  
ともかくこのペガサス----イリアは人になることができる。  
 
「今日の晩御飯は何かなー」  
 
「ミアがシチューだと言っていました」  
 
イリアが言うミアとは家に居候している獣人のことだ、化け猫と人のハーフである猫人だと本人は言っていた。  
こいつとの出会いは……いや、せっかく長編にしようと決めたのだから後で書くとするか。  
自分の家は丘の上に立っている家だ、先代第1師団の団長であった自分の父親から引き継いだものである。  
父は団長母はその副官を勤めていたが先の大戦で二人とも亡くなってしまった。  
当時は大変悲しいと思ったが、周りの人たちのおかげで立ち直ることができた。  
その話は……いや、せっかく長編にしy……流石に天丼のしすぎかな。  
 
ドアを開けるとシチューの良い香がする。  
ただいまと呼びかけるとお帰りという元気な声が聞こえてきた。  
キッチンからひょこっと顔を出した頭には立派な耳が付いていた。  
食器を並べるのを手伝い皆で椅子に座る、いただきますと言う元気な声と共に夕食は始まった。  
アルはこの時間が好きだった、皆と仲良く会話したりできるからだ。  
そしてなによりミアは料理が巧かった、自分もそこそこできるがミアには及ばない。  
ティナは紅茶を入れるのは巧いが包丁の扱いが下手なのでキッチンに立たせないようにしている。  
イリアは………どうやったら……あんな味が作れるんだろう(悪い意味で)  
 
「さて、そろそろお風呂に入るか」  
 
アルがそう言うと周りの三人の目がキラリと光った、一緒に入りたいからだ。  
あの手この手で一緒に入ろうとするその姿はまるで獣だ。  
 
………既にお気づきの人もいるかもしれない。そう、この小説はこの四人と姫による五角関係話なのだ。  
アルはその気持ちに気づいていないが四人ともアルが大好きだ。  
アルと幼馴染でありもっとも長く時を共にしたミスト。  
副官であり仕事関係で一番一緒にいるティナ。  
愛馬であり戦場のパートナー、そして命を共にするイリア。  
家事関係を一手に引き受け私生活において一番役に立っているミア。  
 

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