「変わるもんだね」  
 
私の昔の写真を見た人は、みんなそう言って驚くけど  
私自身は別に大したことをしたつもりはない。  
度のキツい黒縁めがねをコンタクトにして、  
ボサボサ頭をまとめただけ。  
それだけなのに、周囲の人間、  
特に男性からの扱いは目に見えて変わった。  
容姿に左右されるなんて、単純でつまんない人達。  
 
帰宅した私は洗面所でコンタクトを外し、  
まとめた髪を下ろしてしまう。  
家にいるときくらいリラックスしたい。  
 
簡単な食事を済ませ、パソコンに向かう。  
メールチェックを済ませ、  
ブラウザを立ち上げてお気に入りを開く。  
「www.2ch.net」  
 
梅酒を傍らに、様々なスレッドを巡回する。  
いい加減にアルコールが回ってくる頃に  
いつも開く、お気に入りの板。  
『BBSPINK-エロパロ』  
そのうちの1つのスレッドを開く…  
『バイブを入れたまま』  
 
そこでは、様々な欲望が交差する。  
『バイブを入れたまま乗馬で…』  
『バイブつきの自転車で街中を…』  
『バイブつきの女性専用車両で…』  
よくもまぁ、考えるものだ。  
ハッキリ言ってここの住人は変態ばかりだ。  
…そう、私を含めて。  
 
鍵のかかった引き出しを開け、  
短めのバイブレーターと、ローションを取り出す。  
ショートパンツを脱ぎ捨て、下着をおろし  
たっぷりとローションを付けたバイブをゆっくりと自身に沈めると、  
抑えきれない声が漏れた。  
「あっ…ふ…ぅぅ…」  
震えるように息を吐きつつ  
そのまま下着を履き、バイブを固定する。  
下半身に淫猥な楔を打ち込んだまま、再び私はパソコンに向かう。  
…そして「物語」を作り始めるのだ。  
 
バイブを入れたまま…こんな状態で、  
同性ばかりの車両に乗ることを想像する。  
 
「いいぃ…あっ、感じるぅっ…」  
向かいにいる同僚の子、あの子はかなり男食ってるって噂。  
今も、堂々と腰を振って喘ぎ声出してる。  
あんなに激しく動いちゃって、やだ、目が離せない…  
 
「んっ…んんんっ…ゃぁ…」  
隣に座っているのは、後輩の女の子。  
恥ずかしがりだから、顔を真っ赤にしながら耐えてるんだろう。  
そう考えた瞬間、胸がきゅんとしてくる。  
私、そういう趣味は無いはずなんだけどなぁ。  
 
むせるような牝の匂いで充満した車内で  
大小の喘ぎ声が交錯する。  
私の中の淫らな光景を、夢中で書きつづる。  
物語を書き終える頃には、下着にはじっとりとシミが出来ていた。  
 
次は、バイブを入れたまま自転車。  
周りにばれちゃダメ、そう思いながら、  
自転車を漕ぐように脚を伸ばしてみる。  
「はぁっ!ふ…んんっ…!」  
これは、かなり…ヤバい。  
入れたばかりならともかく、もう下着にシミが出来ているのだ。  
交互に脚を伸ばすたび、バイブが横に暴れるように動く。  
こんな状態で周りにバレないようになんて無理、だよ…  
 
きっと、物語の中で自転車に乗っている私も  
パソコンの前の私と同じような顔をしてる。  
ピンクに染まった肌。潤んだ目。  
そして半開きになった唇からは、  
漕ぐたびに悩ましい声が漏れる。  
「やだ、人が見てるぅ…見ないで、聞かないでぇ!」  
そんな想像をしながら、快感は加速度的に倍増していく。  
「んっ…あっ…はぁっ…きもちっ…」  
朦朧としてくる意識の中で、2本目の物語は終わった。  
 
 
そして、バイブを着けたまま乗馬。  
もうアソコはドロドロになっている。触りたい、イキたい。  
欲望を抑えつけ、必死でキーボードを打つ。  
「馬に乗るって事は…こう…よね…」  
座っていた腰を軽く浮かせる。  
どうなるかはわかっていた。いや、わかっていたつもりだった。  
トン、とそのまま腰を下ろす。  
 
「んああぁぁっ!」  
ヌチュ、という淫らな音と共に、  
バイブが奥まで打ち込まれる。  
電流が身体を走り、思わず大きな声を出してしまう。  
予想以上の快感に気が遠くなるが、今私は馬に乗っているのだ。  
馬は休んでくれない。  
そのまま何度も、腰を椅子に打ちつける。  
「ああん!あんっ!駄目ぇ、ダメっ!そんなにっ、しないでぇっ…!」  
キーボードにしがみつくようにして、必死で物語を紡ぐ。  
規則正しいリズムで、私の中心が蹂躙される。  
「いくっ、いっくぅ、また、またイッちゃうよぉっ!い、いいいいいいぃぃっ!」  
 
何度も絶頂を迎えているのは、物語の中?  
それとも、現実?  
答えは…両方、だ。  
 
私はぐったりと机に伏し、震える指で送信ボタンをクリックした。  
 
 
数分後、ブラウザを閉じ、パソコンの電源を落とす私。  
疲れ果てて眠る…?冗談でしょ。  
さっきはキーボードを叩いていた手が、もう使えるんだもの。  
ピッと尖った乳首を指でクリクリと転がすと  
小さな声、熱っぽい吐息と共に  
バイブを飲み込んだままのアソコが、  
期待に熱くなっていくのを感じていた。  
 
完  
 

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