六月の某日、某国航空宇宙局が有する人工衛星から、未確認飛行  
物体の襲来を知らせる緊急連絡が入った。それは、秒速三百キロ  
メートルという速さで大気圏を突破し、地球内へ落下すると予測され、  
局員たちの肝を凍らせる。落下時の衝撃による、甚大な被害が予想  
されたからだ。  
「東京を直撃だ」  
軌道計算によると、物体の落下先は日本だと判明した。それも、東京  
の魔界である秋葉原のあたりらしい。  
「ヘンタイ文化の聖地が・・・なんて事だ」  
微妙に日本文化に通じた局員が頭を抱えた。見ると、局員が着ている  
シャツには『萌え』という日本語が書かれている。日本の恥ずべき文化  
が、それとなく世界を席巻しているようだ。が、それはさておく。  
 
時を同じくして、魔都秋葉原──では、某大手家電ショップの店員たち  
が互いに威嚇をし、がなり声を上げていた。手には自社のチラシを持ち、  
道行く人々に購入を促している。そんな殺気立つ喧騒の中を、一人の  
ボンクラ高校生が歩いていく。  
「学校をサボってのアキバ巡りはたまらんな」  
両手に、ポスターやら雑誌やらが入った紙袋を持ち、へこへこと足早に  
歩く少年の名は、柊弾正(ひいらぎ・だんじょう)。十七歳にしてアニメ  
好きの同人好き──という、若くしてダメ人間決定の烙印を押された、  
高校二年生である。  
 
「いつか、ロボットメイドが実用化される日が来ますように」  
これが弾正の口ぐせ。当節の流行ではあるが、彼の存命中にその  
願いは叶わないだろう。こんな愚かっぷりを見せてはいるが、実は  
弾正、三百を越える知能指数を有し、学問では常にトップクラスの  
成績。特に、興味を持った物理や機械工学には長けていて、常温  
核融合を紙コップの中で行えるほどの技量を持つ。しかし、今の所  
その才覚は同人ショップでレアものの同人誌を、誰よりも早く見つけ  
る事以外には、使われていなかった。  
 
「さて、お目当ての物も買ったし、さくさくと家に帰るか」  
あたら才能を浪費しつつ、弾正は帰途につこうとする。手には同人誌  
が一杯だ。更には、見るも恥ずかしいお姉ちゃんたちのイラストが載っ  
た、販促用のチラシまで頂戴してきている。ダメ人間決定なり。しかし、  
本人は満足そうな笑顔を見せているので、情け無い。と、その時・・・  
「ん?曇ってきたな」  
今まで快晴だった秋葉原の上空を、急に暗雲が立ち込めた。否、それ  
は雲ではない。全体が銀色に光る、大きな円盤形の物体──しかも、  
大きさは直径一キロメートルはあろうかという、銀盤だったのだ。  
「UFOだ!」  
今まで客引きをしていた、ビックリカメラの店員が、叫びながら店内へ  
駆け込んだ。そして、山田山電気や小痔満電気の店員たちも、それぞ  
れ自社の中へ入っていく。  
 
「空飛ぶ円盤だ。すげえ、萌え!」  
空を見上げつつ、弾正がのたまう。全体が光を放つ円盤は確かに  
威風を見せてはいたが、やはりアニメバカ。一般の人間の反応とは  
程遠い。すると、通りに設置された割れたスピーカーから、  
『これより、トランスフォーメーションを行います。近辺にいる方々は、  
避難を開始して下さい』  
という、放送が流れた。そして次の瞬間──  
「なんだあ?」  
ゴゴゴ・・・と、弾正の足元が揺れ、ビックリカメラ、山田山電気、小痔  
満電気各社の自社ビルが地響きを立て、変形を始めた。ビルはそれ  
ぞれ人型のロボットに変形し、大地へ聳え立ったのである。  
「マOロスのパクリだ!」  
各電気店のロボットを見た弾正が、盗作疑惑を指摘。この辺が、オタク  
くさい。  
『秋葉原を死守せよ』  
割れたスピーカから、号令が下された。何という事か、各電気店はこの  
日を予期し、自社ロボを所有していたのだ。そして、未確認飛行物体に  
対し、迎撃の構えを取る。が、しかし・・・  
「わッ!まぶし・・・」  
円盤が閃光を放った。その光に目が眩み、弾正が目を細める。そして、  
次の瞬間──  
 
ズン、という地鳴りがした刹那、各社のロボは皆、くず落ちてしまって  
いた。閃光は光学兵器だったらしく、まるで鋭利な刃物で斬ったかの  
ように、ロボットの胴を薙いでいる。  
「即死かよ!」  
一矢も報いる事無く朽ちたロボットを見て、弾正が吼えた。そして、円盤  
が少しずつ高度を下げて来ている事に気づく。  
「拉致される?」  
沈む船から脱するねずみのように、危険を察知する能力に長けるのは、  
オタク共通の事柄。弾正は迫る円盤に背を向け、走り出した。でも、同人  
誌の入った紙袋は手放さない。これも、オタク共通のあさましさ。  
「はあ・・・はあ・・やべえ!」  
廃墟となった秋葉原の街並みを、弾正は死に物狂いで逃げた。だが、  
上空を覆う円盤は的確に彼を追ってくる。どうも、狙いをつけられたようだ。  
「今日は・・・はあ、はあ・・・花・・左京・・メイド組があるんだ・・ 
ここで捕まるわけには・・・」  
弾正の脳裏には、深夜枠で放映しているアニメが浮かんでいる。日本が、  
いや、地球が危機に瀕しているというのに、のんきな物である。しかし、  
悲しいかな弾正は、圧倒的なオーバーテクノロジーを持つ追っ手からは、  
逃れられなかった。  
「うわッ!体が・・・浮く?」  
銀盤が間近に迫った時、弾正の体は光に包まれぷかりと浮かんだ。身に  
纏わりつくものは、紐一本すらありはしないのに、宙を舞ってしまったので  
ある。  
 
「わーッ・・・」  
声がフェードアウトしていき、ついに弾正は円盤の中へ吸い込まれて  
しまう。その様を、今や瓦礫となった家電ロボの残骸が、悲しそうに見  
ていたのであった・・・  
 
 
「これが、地球人?なんか、あんまりあたしたちと変わらないね」  
「遺伝子的には、まるっきり変わりませんね。同族なのかも」  
「でも、ちょっとゴツゴツしてる。野性味があるわ」  
円盤内に吸い込まれた弾正が、最初に耳にした言葉は、聞き慣れた  
日本語だった。  
「こ・・ここは・・?」  
大理石を模したような床板の上に、弾正は立っていた。そして、その  
周りには三人の宇宙人と思しき少女が居る。  
「しゃべったわ!声が低い」  
「知性はまあまあってコト?でも、なんかバカっぽい」  
少女たちは遠巻きに弾正を見て、はしゃぎ始めた。見れば、三人の宇  
宙人は地球人と何ら変わらない容貌をしている。ただ、少々年若いが。  
「き、貴様らは・・・宇宙人さまですか?」  
宇宙少女を見咎めた弾正が問う。最初は威勢良く口を開いたが、語尾  
に気弱な所を見せる所が、小心者。  
「まあ、あなたから見たら、そういうことね」  
三人の中から少女が一人進み出て、言った。年の頃で言えば、まだ  
十歳かそこらの、可憐な美少女である。  
 
「あたしは、モグタン皇帝閣下。宇宙を統べる、女帝と思って貰って  
結構」  
モグタンと名乗った少女は、腕組みしつつ口上を述べた。装いは、緑色  
のウエストニッパーとガーターベルト。パンツは辛うじて大事な所が隠  
れる小さな物。それに、半透明のローブを肩からかけて、頭には王冠  
を乗せている。が、あまり威風は感じられない。何せ、あまりにも幼く見  
え、子供が上等な口を利いているとしか見えないからだ。そこへ、後の  
二人が割り込む。  
「あたしは、モグスキー参謀。主に、戦術担当の武官です」  
「・・・私はモグベルト大使。外交を担う、文官である」  
モグスキーとモグベルトは、好戦的な軍服に身を包み、弾正を見上げて  
いる。二人もモグタンと同じく、十歳かそこらにしか見えないので、威風  
を持つには程遠い。しかも、軍服は上半身だけで、下半身はパンツ丸出  
しという有り様。何か、怪しいアダルトビデオのモデルさんのようだ。  
「あざとい!」  
少女たちの出で立ちを見た弾正が叫ぶ。萌えに詳しいダメ人間である故、  
チビッ子にこのようなコスプレをさせる事が卑怯に感じるからだ。ちなみに  
言うと、彼はお姉さん萌えの人。  
「とりあえず聞いておくけど・・・目的はなんでしょう?」  
宇宙を統べる皇帝閣下が、武官と文官を引き連れて地球へ来た。と、なれ  
ば、目的は大抵見当がつく。でも、弾正は聞かずにはいられなかった。それ  
が、自分の役割だとも思う。勿論、キャラ的にだ。  
 
「恥丘・・・じゃなくって、地球を譲渡して貰いたい」  
目を光らせ、モグタンは言う。この時ばかりは、皇帝としての威風が  
備わっていた。  
「譲渡って・・・地球人はどうなるの?」  
恐る恐るではあったが、弾正は聞いてみた。すると・・・  
「月にでも、住んでもらう事になりますかね。断れば、皆殺しです」  
武官、モグスキーがにっこりと笑いつつ、恐ろしい言葉を弾正の背へ  
浴びせかけた。  
「そんな!」  
月へ住め、と言われても、住める訳が無い。しかも、断れば皆殺し。  
弾正は、人類滅亡の宣告を突きつけられたも同然だった。背に冷や  
汗が流れる。  
(人類が絶滅する・・・そうなったら、アニメはどうなるんだ!)  
ダメ人間のダメ思考。弾正はこの期に及んで尚、アニメの事を心配  
した。しかし、ダメ人間にも五分の魂はある。  
「返答や、如何に?」  
モグタンが弾正に詰め寄ってきた。と、その時無駄に有した知能指数  
をフル回転させ、弾正が打って出る。  
「皇帝閣下。ひとつお聞きしますが・・・お供の方々は、これだけ・・?」  
モグスキー、モグベルトの両名を指差し、モグタンに問う弾正。巨大な  
円盤ではあるが、辺りに人気が見られない。  
 
「そうだ。円盤の操縦など、自動化されておるからな。従者は、武官  
ひとりに文官ひとり・・・それで、十分である」  
えへんと咳払いをしつつ、自慢げに答えるモグタン。ちょっぴり頬を  
染めるあたりに、愛らしさを感じる弾正。萌え、と。  
「だったら」  
弾正は急に語気を荒げ、ふんぞり返った。モグタンを含む、三人の  
少女の前へずいっと進み出て、鼻を鳴らして得意顔。  
「お前らは、ただのガキって訳だ」  
モグタンの頭をぽんぽんと叩きながら、弾正はあざ笑う。それは、ま  
るで陵辱系のエロゲーの主人公の如く。  
「無礼者!」  
モグタンが弾正の手を払った。顔を赤くして、怒気を見せている。しかし、  
弾正はまったく怯まない。どころか──  
「調子に乗ったガキどもには、お仕置きしてやらなくちゃな」  
と、モグタンの体を引っつかみ、パンツを下ろしてしまった。  
「いやーッ!」  
パンツを剥かれたモグタンが、可愛い悲鳴を上げる。いかに皇帝閣下  
とはいえ、下半身を露呈させられては、恥ずかしいというもの。  
「やめて下さい!」  
「やめろ!閣下を放せ!」  
モグスキーとモグベルトが皇帝閣下の危機を見て、弾正に飛び掛って  
いった。だが、体格差は否めず、いとも簡単にあしらわれてしまう。  
 
「お前らは、後で可愛がってやる!」  
ぴしん!とモグスキーとモグベルトの頬を打ち、ふたりをいなした  
弾正は、モグタンの小さな割れ目へと指を滑らせていく。  
「キャーッ!やめろお!」  
「じたばたするな!」  
ここからは鬼畜モードだ!と、弾正は叫んだかと思うと、おもむろに  
自身のズボンのベルトをカチャカチャと鳴らした。犯る気だぜ!と。  
「入るかな?ファーストコンタクト、開始」  
弾正はジッパーから男根を剥き出し、モグタンの恥部へひたりと寄せ  
る。するとモグタンは──  
「そ、それは・・・なに?」  
と、明らかな怯え顔を見せて、見苦しい欲望の塊を凝視した。  
「これは、チンポだ。性器ともいう」  
説明の順番が逆になったが、律儀にも答える弾正。それを耳にした  
モグスキーとモグベルトは驚愕した。  
「チンポ?性器?ということは、あなたは男?」  
「何ということだ!デ・カルチャー!」  
おののく二人を見て、弾正は首をかしげる。男が珍しいのかな、など  
と思いはしたが、またマクOスのパクリかよ!というツッコミも忘れては  
いない。どうやら、彼女たちは男の存在を初めて見るようだ。  
 
「詳細は後で聞こう。とりあえず、犯る!」  
弾正はモグタンを這わせ、犬のような姿勢を取らせた。そして、有無を  
言わせず、男根を挿入。  
「キャーッ・・・」  
円盤の中に、少女の悲鳴が上がった。みしっと空気が歪み、宇宙を  
統べる皇帝閣下の純潔は、散らされてしまう。  
「どうだ、地球征服どころか、お前の恥丘を征服してやったぜ!」  
ググッ・・・と前のめりになり、少女の尻に乗っかっていく弾正。男根は  
まだ半分しか入っていないのに、モグタンはすでに意識を失いかけて  
いた。  
「う・・うう・・やめて」  
「地球は俺が守る!そして、アニメも」  
女を侵され呆け顔のモグタンと、狂気に浸る弾正。絵的には、高校生が  
少女に悪さをしているとしか思えないが、地球を守るという大義があるの  
で、何とかセーフ。だが、ソフ倫は通らないと思われる。  
「閣下ぁ〜・・・」  
モグスキーとモグベルトが、犯されるモグタンを見て、力なく泣いた。だが、  
圧倒的な体格差の前に、救出を試みることさえ出来ないでいる。ただ、  
悲劇を見続けるしかないのだ。  
「中出ししてやる!」  
早々と弾正が絶頂を得た。ギャルゲーにおけるスキップ機能の如く。  
「やだあ!何か出てる!やめてーッ!」  
とくとく・・・というよりは、どばッ!という感じで、弾正は射精した。それを  
胎内で感じたモグタンは、涙に暮れるばかりであったとさ・・・  
 
 
その日、世界中で号外が配された。東京に地球外生命体現る!と。  
無論、それはテレビも同じで、どこもかしこも緊急報道番組を組み、  
二十四時間体制で電波を流していた。そして、弾正は──  
「あの〜・・・皇帝閣下」  
「なあに?」  
いまだ秋葉原上空で浮上している円盤の中で、モグタンとモグスキー、  
それにモグベルトの三人が尻を突き出している。弾正を含む全員が裸  
で、床には男女問わずの粘液が滴っており、荒淫の名残を残していた。  
「わたしは・・・帰して貰えるんでしょうか?」  
「イヤ、帰さない。お前は、あたし・・・いや、余とつがいになるのだ」  
今、弾正はモグスキーの尻に挑んでいる。幼い真っ白な桃尻は、男根が  
出し入れされるたびに波打ち、いやいやと悩ましく振らされていた。  
「チン先が痛くなってきた・・・」  
先ほどまで、果敢に地球を救おうとしていた弾正は、すっかり疲れ切った  
ご様子。それもそのはず、今、彼は五度目の性交に及んでいるのだから。  
「腰の動きが、お留守になってますわよ・・・あんッ!」  
女を貫かれているモグスキーが、男根の働きに不満なのか、激しく腰を  
揺すった。途端、弾正の顔が歪む。  
「いてて!チンポ、折れるって!」  
弾正は後悔していた。地球を救うとか言って、三人の宇宙少女を犯した  
はいいが、彼女たちはすぐさま性交に馴染み、貪欲にそれを求めてきた  
からだ。  
 
犯しながら彼女たちの歴史を尋ねると、モグタンたちは女系民族で、男  
の存在は皆無との事。無論、今日、この日に至るまで、ただの一度も異  
性を見た事が無く、当然、性交も初めてだと弾正は聞かされた。  
「子孫は、遺伝子操作で作るのです」  
モグベルトは犯されながら、そう言った。しかし、そんな事はもう、弾正に  
とっては、どうでもよくなってきている。あと、地球の事も。  
「高出力の電波を傍受・・・これは、娯楽番組かなにか・・・?」  
不意に、モグベルトが円盤内のモニターを見た。見れば、そこには報道特  
別番組と銘打たれた、ニュースが流されている。  
『ひとりの高校生が、円盤内に取り込まれたとの情報があります』  
ニュースキャスターの言葉を、弾正はぼんやりと見ていた。正直、犯り過  
ぎで意識が朦朧としているのだ。そこへ、  
『あっ、ただ今、新しい情報が入って参りました。円盤内にいるのは、柊弾正  
君、十七歳。そして、地球外生命体・・・宇宙を統べる・・?皇帝閣下・・・ 
モグ・・タンとの婚礼の儀が・・・発表されたあ?』  
と、頓狂な声で言葉が繋がれる。それを聞いた時、弾正は目を見開いた。  
「余が、連絡しておいた。内閣という、この国の政府機関に」  
モグスキーを犯す弾正を横目に、得意顔で言い放つモグタン。まだ、膨らん  
でもいない胸を、ぐんと反り返らせながら──  
 
『ここで、政府からのコメントがあります』  
モニター内に、総理大臣が映った。誰もが見知った涼やかな笑顔と共に、 
手には何故かトロフィーを持って。そして──  
『よく犯った!感動した!円盤に捕われながらも、よく頑張った!』  
と、やらかしてしまう時の人。それを聞いた時、弾正はついに力尽きた。  
『人生いろいろ。結婚もいろいろ』  
その言葉を、弾正は薄れゆく意識の中で聞く。少女三人の女を犯し、散  
々に精を放った身ではあったが、それでも自分は不運としか思えない。  
(俺に選挙権があったら・・・絶対にあの人には、投票しないな・・・)  
十七歳ゆえ、弾正に選挙権は無い。だが、思う所はあった。すると、ここ  
でモグタンがそっと弾正の傍らに寄り、  
「お前は、余のものだ」  
そう囁いて、甘い口づけを捧げたのであった・・・・・  
 
 
 
おわり。  
 

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