気がつけば俺は背水の淵に立たされていた。  
 
 いかさまなんてちゃっちな物なんかじゃ断じて有り得ない。それだけ気を配っていたにも関わらずだ。  
俺を含めて3人いたのに俺一人になっているのは何故だろう。俺の後ろには豚2頭がぶひぶひと鼻を鳴らして俺を見つめている。  
考えたくも無いことだが、『元』俺の仕事仲間だ。   
『絶対に勝ってくれ』  
と、言わんばかりに見つめている。冗談では無い…俺の手元のチップもこれで最後。  
 幸い、手札だけはストレートフラッシュだが、この女は何故か毎回こちらの手札より強い役なのである。  
「勝負するの? しないの?」  
 女は意地悪っぽく言う。下りたとて俺はチップを失い後ろの豚の仲間にされてしまうのである。  
そして、その後はどうなるかなんて考えたくも無い。  
「勝負…するしかないのに意地悪だな。」  
「私は勝つよりも降りた方が幸せだと思うわ。あんたみたいな平凡な人間の人生よりも、ずっと性欲にまみれた豚の人生の方が社会の役に立てるんだから。」  
「ふざけるな!! 俺はこの平凡で退屈な毎日が気に入っているんだ…あんたにどうこう言われる筋合いは無い!!」  
「ふっふふふ……。」  
 女は静かに…けど、悪魔じみた笑みと笑い声を上げる。  
「何が可笑しい!!!」  
「もし、貴方が本当に現状に満足しているなら…こんなところに仲間と一緒に来るのかしら?」  
「俺だって人間だ…息抜きくらいするさ。 だから…俺は人間で十分だ! 俺の人間の人生をここで終わらせるわけにはいかない! 勝負だ!!!」  
 
 半ば、目を閉じて祈りながら手札を出す…ストレートフラッシュ、通常ならば勝って当然の手札だ…しかし、相手は人間ではない。  
人間の形を模った悪魔だ。そうでなければ何と説明がつこうか。   
「ろ…ロイヤルストレートフラ…ッシュ。」  
 ここまでくると唖然とするしかない。俺は相手が何かを言う前にすばやく入り口に向けて逃げようとしたが、いつの間にか屈強な黒服を来た男達が出口を押さえられていたらしく、抵抗もむなしく秒殺で取り押さえられていた。  
「ふふっ…往生際が悪いわよ。」  
 女と『元』仲間が視界に入る。女の両手には針の先に血がついた注射器が握られていて、  
仲間の目からは勝負中と違い人間の意思と光が消えていて本当に豚になってしまったかのようにブヒブヒと鼻を鳴らし、カツン、カツンと床を歩き回っている。  
「っ!!!!!」  
 尻に痛みと恐怖が言葉にならない悲鳴を上げる。いつの間にか女は『仲間』を豚にした薬を打ち込んだらしい。  
多分、Sの部類に入るんだろうな…仲間には半分しか打たなかったのに今度は全部か。絶望の最中にいるのに、その気持ちに反して俺の一物だけはビンビンに元気だった。  
 注射を打たれた部分から熱が広がり、尻が肥大化してズボンを破っていく。痛みは無い、むしろ気持ちが良いのが逆に怖い…そうこうしている内に  
人間にはあるはずの無いくるりと丸まった尻尾が生え、足はすでに2本足で立つことが出来ない程に変化は進行していた。  
 冷静に変化を見ている間に手も自由が利かなくなって、体もどんどん膨らんで…あぁ、何かどうでも良くなってきた。  
メスを犯したぃ…メスを……。  
「そこの6人でこの3頭を連れて行きなさい。残りは私についてくるのよ。…さぁて、次の獲物を狩るわよ。」  
 男はビシッ、ビシッ…と、鞭で音を立てて尻を叩く。あまりの痛さに歩く事しかできなかった。  
 
―――俺は何をしていたんだっけ?  
 そうそう…女と賭けをして…それから…なんだったっけ? にしても良い匂いだなぁ。まぁ、細かい事なんかどうでもいいか。  
目の前のメスのアソコに一物を入れると甘く捻ったような声でよがる。  
ホントに豚に生まれてきて良かったなぁ……。  
 

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