月の光があの人を包み込むように差し込む…苦悶の表情を浮かべながらも私に心配をかけまいと笑顔を見せる。
無理しなくてもいい…私は不安を与えないように背中から彼を包み込む。彼が私の存在を依りよく感じてほしいから。
暖かい、けれど、震えている。
私に嫌われるかもしれないと言っていたから…不安もあるんだろうな。そりゃ、狼男なんて現実に存在するわけがないって誰だって思う
。
私だって、初めは冗談だと思ってた…けれど、彼の目は本気だった。だから、私はこう答えた。
「どんな姿になっても貴方は貴方だ」って。
彼はひょろっとしていて、顔の方もカッコイイなんてお世辞にも言えないけれど…私はそんな彼が好きだ。
そんな、さして筋肉のない彼の背中が筋肉でもりあがっていく。
そして、毛深くなっていくたびに彼の息遣い,呼吸,心拍音…その全てが高まっていく。苦しいはずなのに…それでも、
うめき声一つ出さないように気遣ってくれるのは、優しいあの人らしいというか何というか。
目を閉じる…まるでシャンプーした後の犬の匂いと毛並み…フワフワした尻尾。
「お待たせ。待たせた?」
犬が日本語を話せるとしたら、きっと今のこの人のようにくぐもったような声になるんだろうな。
「ううん。全然待ってないよ。」
犬じゃないと分かっているけれどカワイイ。あの人だと分かってても『お手』って言いたくなるくらいのつぶらな目。
「シャワー浴びてくるね。」
「うん、待ってるよ。」
本音を言えば、犬に対してやるように撫でまわして、もふもふしたいけれど…それは後からのお楽しみとする事にしよう。
シャワーを浴びて戻ると、おとなしく待っている彼の姿が真っ先に目に飛び込んできた。
…姿が変わったんだから性格も変わるものかと思っていたが私の偏見だったようだ。
でも、こうして見ると本当に犬みたいで可愛く思えてくるのが人情ってモノなのだろうか。
「お手!!」
「おぃおぃ、仮にも肉食の獣にそういう事言うか?」
「え〜? だって、そうしてると本当にワンちゃんみたいじゃない?」
「そうかな?」
「そうよ。」
感情に応じて耳や尻尾が反応するのがまた面白い。に、しても…月明かりの加減で銀色に光る毛皮、おまけに筋肉質な体つき……
「ホント、一部のマニアが見たら狂喜乱舞するでしょうねぇ。」
「ん? 何か言った?」
「なんでもないわ。さ、始めましょうかね。」
「けれど…んむっ。」
彼の言葉が終わる前に、その大きい口に私の唇を重ねる。
「それ以上言ったら野暮だ」
と、言わんばかりに熱く濃厚なキスをする。すると彼もその意図を察したのか、キスをしたまま手のひらの肉球の部分で、
まるで絹を扱うように優しく私をベッドに押し倒したのだった。
「入れるよ。」
私は黙って頷く。打ち明けられてからイヌ科の動物について下調べしていたので覚悟はしていた。しかも、イヌのそれよりも大きいだろうということも理解はしていたが、
だが、ここまで大きいとは思ってもいなかったけど。
「っ!」
「あ、痛いかい?」
「だ、大丈夫。初めてだからちょっと痛いだけ。」
異物感と共に生暖かい物を感じる。多分、処女膜を突き破った血だろう。でも、最初がここまで痛いなんて考えてもみなかった。
気がつけば、私は彼の背中の毛に爪を立てていた。
「ごめん…痛かった?」
「ん〜ん、むしろむしった時の勢いで抜けた毛の方が痛かった。」
「そう……。ねぇ…動かしてもイイよ。」
私はそう告げると唇を彼の唇を重ねる。
時間が経つごとにお互い激しくなっていく……
「あぁ、もう駄目。駄目よ。おかしくなっちゃう。けど、もっともっとやってぇ!!」
「ハァ、ハァ、ハァ。」
彼はまるで本当の犬のように舌を出して、それでいても動きはもっとヒートアップしていた。いつの間にか痛みよりも気持ちよさが先行して、
私の何かが本当におかしくなってしまいそうな…そんな錯覚に陥りそうだった。
「ハァ、ハァ…出すよ。」
「お願い、だしてぇ。」
我ながら情けない声だと思いながら、彼の一物から何かが一気に放出される不思議な感覚を噛み締めていた。
彼のアソコは私に子孫を生ませようとしっかりと栓をしている。しかも、放出される量も人間の比ではないため、少し、お腹が膨れる。
出きった瞬間、互いにまた唇を重ねる。そして、私はそのまま深い眠りについた。
次の日の朝、目が覚めた瞬間、視界に犬面が広がる。私達はまだ繋がったまま…どうやら、無理やり抜いたら痛いし、
血が出るだろうから抜かずにいてくれたらしい。
…ホント、こうしているとただの犬みたい。
繋がったまま昨日できなかった事をする。首筋を撫で回したり鼻先や耳、マズルを触ったり。
「くしゅん! んあ。」
「あ、ごめん。起こした? おはよう。」
「おはよう。」
彼は寝ぼけ顔で一物を抜く。硬くなっていないのでさして痛みもなく抜けた。
そして、何気なく立ち上がりシャワー室の方に足を向けると「すっ」という効果音が似合いそうな勢いで人の姿に戻る。
「あれ? 狼になるのってコントロールできるの?」
「できるよぉ、言わなかったっけ?」
「うん。」
彼は頭を掻きながら寝ぼけ声で答える。
「まぁ、理性が吹っ飛ぶほど興奮したら途中で制御できなくなるし、やってる最中に変身したら怪我させるかもしれないから
あの姿でやったんだけど…次からは普通に人間のままの方がいいかい?」
「それはそれで嫌よ。雰囲気出ないじゃない。」
「雰囲気ってどんな?」
「狼男に強姦される美女…みたいな?」
「あ〜、シャワー浴びてくるから、とっとと飯にしてくれぇ〜。」
「もぅ! 冗談なのに放置ぃ〜?」
正直に言えばこれからの生活が更に楽しくなる気がして、不思議とわくわくする私なのであった。