其の二 〜妹の帰還〜  
 
「ふぇ〜ん、もうこんな生活嫌だよぉー!」  
とある都会のとある部屋、その部屋の真ん中に座り込んで叫び声を上げる少女が一人。  
彼女が悲鳴を上げるには彼女特有の理由がある。  
‘人外の者たちの姿が見える事’  
‘人の姿をしていても人外の者である事が認識できる事’  
大まかに言うとこの2点である。  
そう、彼女は霊感少女A・・・ではなく、“甲斐幸恵”という名の現役高校生で、  
高校生の割には可愛げのある‘お兄ちゃん大好きっ娘’だ。  
人里離れた古臭い旅館で一生を終えるのが嫌で、一足先に都会に出た兄を追うように実家を離れ早1年。  
兄とは離れ離れになってしまったが、全寮制の学校に入学する事に成功し、  
晴れ晴れとした明るい未来が待っている・・・はずであった。  
だが、人の欲望渦巻く都会では、彼女のように人外の存在を見ることができるものは稀であり、  
人外の存在は自分達を見ることのできる彼女を執拗に追い回したりする。  
まぁ、悪意があって追うわけではない(むしろ激しい好意を持っている)のだが、  
一般人から見るとただ一人で逃げ回ったり、空に向かって独り言を話しているだけであり、変人扱いされるのが常であった。  
彼女も類に漏れず、その得意な能力のせいで学校では虐めを受けるなど、耐え難い苦痛を受けていた。  
今宵も学校帰りに愉快な人外達に追い回される始末で、部屋の中までは入ってこないのが唯一の救い。  
先に都会に出た兄は同様の理由ですでに都会を離れたらしく、心底寂しい思いをしていた。  
その慕っていた兄から手紙が届いたのはそんな折である。  
「あ、お兄ちゃんからの手紙だ、こんな時期に何かな?」  
大好きな兄からの突然の手紙に陰気な気分を吹っ飛ばし、そのはがきの裏を見ると、  
書かれていた内容は人外に追いかけられるよりも衝撃的なものであった。  
「けっ・・・結婚しました・・・・」  
ハガキを持つ手がプルプルと振るえ、自分の顔が青ざめてゆくのがわかる。  
さらに、兄の腕をしっかりと掴みながら優しい笑顔を見せる和服美人の写真を見ると、彼女の興奮と混乱は最高潮に達した。  
「そんな、お兄ちゃんが・・・そんな・・・」  
突然の報告に茫然自失、手にしていた手紙がハラリと地面に落ちた。  
その手紙が彼女の‘ある決意’を固めさせる大きな要因になったのである。  
 
数日後、、、  
 
「こんにちはー、誰かいませんかー」  
ド田舎の旅館の玄関で人を探す女性が一人  
旅館だというのに人気は無く、その人物は相変らずだと呆れ顔を見せるばかりだが、  
玄関から伸びる長い廊下を見渡すと、その古めかしさの中に妙な懐かしさを感じ取っていた。  
「いらっしゃいま・・・なんだ、幸恵じゃないか、どうしたんだ珍しい」  
「もう、お兄ちゃんたら、愛する妹に対してなんだはないでしょ・・・ってそれは後にして」  
久しぶりの兄妹でのスキンシップに長話をとも思ったが、本題を思い出して話をきり出す。  
「どうしたもこうしたも無いわ、お兄ちゃん結婚したんだって?」  
「えっ、、、うん、まぁ・・・」  
俯き加減に視線を逸らすが、その顔が照れによって赤く染まったのを妹は見逃さなかった。  
兄の幸福そうな表情が癇に障り、なぜだかいらっとする  
「で?どこっ、お兄ちゃんの結婚した相手はどこにいるの!?」  
靴を脱ぎ捨てると、玄関を上がりこんでズカズカと廊下を進むが、  
一つ目の角を曲がったとき、誰かと正面からぶつかってしまう。  
それが誰かわからず驚いたが、この旅館に来た客だと気が付いてハッとする。  
「しっ、失礼しまし・・・あれ?」  
ぶつかられた相手は軽く会釈すると、無言で玄関から外へ出て行ってしまうが、  
後ろ姿を見てあることに気が付いた。  
(今のって・・・人じゃないよね・・・?)  
物心ついたときには身についていた特異な能力は瞬時に相手が人でないことを見抜いたが、  
兄の方を見ると何事も無かったかのようにお客が帰るのを見送っており、  
兄も自分と同じ能力を持ち合わせていることを知っていたため、不思議に思い問いただす。  
「お兄ちゃん、今のお客って・・・」  
「ああ、それはな・・・説明するからちょっと表出ろ」  
そうして、妹を連れて玄関の外へ出ると、旅館名の書いてある看板を見せ・・・  
「おい、上を見ろ」  
「上?・・・えぇ!?」  
 
・・・省略  
 
 
「へ、へぇ・・・そうだったんだ・・・」  
親父に説明されたのと同じ方法で妹に説明し、自分と同じような驚き方を示したことに、  
兄妹なんだなぁ・・・と実感する。  
「そっかぁ・・・昔からココでよく見てたのは、全部本物なんだねぇ」  
「ああ、俺の嫁さんも人外だしな」  
「ふ〜ん、人外さんなんだ、、、え?」  
自然な流れに思わず納得してしまったが、脳内で言葉をリピートして兄がとんでもないことを言ったことに気が付く。  
事の次第を問いただそうとするが、兄の方はスタスタと旅館に戻ってしまい、それを追いかける。  
「待ってよー、お兄ぃ・・・グヘッ」  
‘パフッ’  
兄を追いかけて玄関に入ると、横から現れた何かと自分の顔が衝突し視界が真っ暗になるが、  
その何かは異様にやわらかく、甘く心地よい香りが鼻を衝いた。  
(なっ、何コレ?とっても気持ち良い)  
そのまま目を瞑れば夢の世界へ簡単に旅立てるような心地よさに、  
顔を埋めながら無意識に左右へグリグリと動かしていた。  
「あんっ、胸に顔を埋めちゃって・・・ずいぶん積極的な娘ねっ」  
「ん、胸?、、、ひえっ!?」  
真上から発せられる声で我に返り、一歩退いて目の前を見ると、浴衣美人が立っていた。  
整った顔立ち、真っ白な肌、ビシッと着込んだ着物が妖艶な雰囲気を出し、  
男ならずとも一目で惚れてしまいそうな美しさであった。  
幸恵も最初は自分の行った行為とその美貌に顔を赤くしていたが、  
その女性が兄から送られた手紙に同封されていた写真の女性である事に気が付いた。  
(綺麗な人・・・だけど、この人がお兄ちゃんの・・・)  
思わず殺気立った目で見てしまい、それに気付いたハクとの間に異様な空気が流れたが、  
突然の来訪者によってその空気は打ち消される。  
「お姉ちゃ〜ん」  
「ぐはっ!?」  
ドタドタと廊下を走る足音と叫び声のが聞こえた方向に顔を向けると、誰かが猛烈な勢いで飛び掛ってきた。  
勢いに負けて飛びかかってきた人影と共に廊下へ倒れこむと、見知らぬ誰かが腰の辺りにスリスリと顔をこすり付けている。  
「あの・・・どちらさま?」  
「へへっ、わたしはコハクって言うんだよ、わたし、姉妹が欲しかったんだ  
これから“お姉ちゃん”って呼んでいい?」  
見ず知らずの可愛らしい少女からの突然の提案にわけが分からず、頭が混乱する。  
少女は相変わらず抱きついたままで身動きがとれず、「どうにかして」という顔で兄の方を向いた。  
「紹介が遅れたな。この子はコハク、ハクの娘だ」  
「えへへ、よろしくねっ、お姉ちゃん」  
廊下に寝そべって抱きついたまま顔を向けると、ニッコリと可愛らしい笑顔を見せた。  
「コハクちゃん・・・ハクさんの娘ってことは・・・お兄ちゃんの子供ッ!?」  
兄に娘がいるという衝撃の事実を知らされ、幸恵の思考は停止した。  
焦点のあわない瞳はポーッと空を向いたままで、半開きの口からよだれが垂れる。  
「おい、どうした幸恵、おーい」  
「子供・・・もうこんなに大きな子供が・・・ふへへへへへ」  
「ちょっと落ち着け」  
‘ガスッ’  
「ぶべらっ」  
意識を別の世界へ飛ばした妹に対し、脳天に強烈なチョップをかます。  
「痛いよぉー、何するのさぁー」  
「ふぅ、何とか戻ってきたようだな、まぁ話を聞けや、実は・・・」  
とりあえず、コハクが自分と妻の間に儲けた子でないことや、妻がバツイチであることを告げると、  
幸恵は驚いた顔をしながらも真剣に耳を傾け、それらの事実を理解した。  
「・・・へぇ、バツイチねぇ、人外さんでもそんな事があるんだね」  
コハクが兄の実子でなかったことに、何故だか安堵を覚え、ホッとため息をつく。  
 
「そういえば、あなた方は何の人外さん?」  
「私達ですか?私達はへぶぃおん、、、」  
「・・・?」  
何かを言おうとした途端、幸一がハクの口をふさいでしまったため聞き取る事が出来ず、  
ハクはそのまま物陰へと連れ込まれ、ひそひそと何かを耳打ちされているようであった。  
ちなみに、その内容はというと・・・  
「なぁハク、妹は蛇が苦手だ。君が蛇女だなんて言ったら卒倒するのが目に見えている」  
「え、妹さんは蛇ダメなんですか?」  
「あぁ、触るどころか見るのもダメだ。どうせすぐに帰るだろうから、黙っておくように」  
「はい、あなた♪」  
ちなみに、この愛らしい夫婦の行為を、後ろの幸恵が怒りに満ちた瞳で見ていたのは、当の本人しか知らない。  
「ごめんくださーい」  
妻の正体の事をどう誤魔化そうかと話していると、都合良く来客があった。  
幸運の来客と思い玄関へ出ると、引越し業者と思われる数人の男と1台のトラックがいた。  
大荷物を抱えて一体何事かと思ったが・・・  
「あっ、来た来た、荷物は全部この中へお願いしまーす」  
後ろからひょっこり出てきた幸恵がそう言うと、引越し業者の人間はテキパキと荷物を運び、  
幸一とハクはボーゼンとその様子を眺めていた。  
「なぁ幸恵。この大荷物は一体・・・」  
「あれっ、お兄ちゃんには言ってなかったっけ?私、今日からまたここに住むんだよ」  
「なっ・・・なんだってぇー」  
その言葉に、今後の生活の辛さをはっきりと自覚するのであった。  
・  
・  
・  
「まぁまぁ、幸一が帰ってきて、お嫁さんが来て、さらに幸恵まで帰ってくるなんて、ねぇ、父さん」  
「はっはっはっ、これで我が旅館も安泰と言うものだ、さぁ飲め、幸一」  
どうやら幸恵もこの旅館で働く気でいるらしく、二人の正体について隠し通せないことを悟るが、  
どのタイミングで話を切り出すか悩んだまま、一家団欒の食事へと突入していた。  
お客様方の食事の後処理を終えて普通の家庭よりも遅い食事であるが、  
この家庭にとっては一家揃って顔を合わせられる大切な時間である。  
若旦那の幸一の隣には麗しい妻、そして反対隣には可愛らしい妹がしかめっ面で座っていた。  
「ねぇ、あなた」  
「ん?」  
何かと思い横を向くと、ハクが飯をつまんだ箸をむけてニッコリと笑っている。  
幸一としては恥ずかしいからやめてくれと何度も頼んでいるのだが、妻の方は  
“私がしたいからするんです”と言って聞いてくれない。  
しょうがないので毎回妻の行為にしたがっているのだが、この夜は背後に怪しい気配を感じていた。  
そう、新婚夫婦の愛らしい姿を見て苛立ちを募らせる人間が約1名。  
(何よ何よっ、人前であんなにイチャイチャしてぇー)  
一人怒りを募らせる幸恵であったが、その感情をさらに悪化させる一言が飛ぶ。  
「あれっ、お姉ちゃん何怒ってるの?はは〜ん、さてはママに妬いてるんだ・・・」  
「うるさいわねっ」  
ガタリと卓を叩いて立ち上がると、そのままどこかへ消えてしまう。  
兄もその妻も両親も、幸恵が何に対していらだっているのか分からず、顔を見合わせていた。  
 
「あ〜もうっ、二人でイチャついてっ、見てらんないわっ」  
ザバーッと風呂桶に入れた湯を浴びると、他に誰もいない露天風呂で大きな声を上げる。  
兄が結婚したと言っても相手は人外であり、法的に結婚が認められたと言うわけではない。  
別れさせる手段はいくらでもあるとホッと安堵のため息をつきつつ、  
これからどうしてやろうかと頭の中で悪いことを考えていると、更衣場の扉が開かれた。  
‘ガラガラガラ’  
「あっ、いたいた、お姉ちゃ〜ん」  
入ってきたのは、憎き女の娘である。  
最初はスッポンポンで入ってきたコハクを無視するつもりであったが、  
その裸体を見た瞬間に目が離せなくなってしまう。  
幸恵が気になったのはその小さな身体に実った、二つの大きな果実であった。  
(こっ・・・子供(?)の癖になんてムネしてるのよっ)  
思わず自分の薄っぺらな胸板と見比べ、その差に愕然とする。  
(このムネがっ、このムネがお兄ちゃんを誘惑したのかぁ!)  
心に沸々と湧き上がる黒い感情。目の前の少女が悪くないのは理解しているつもりでも、  
誰かに当たらなければ自分の気持ちを抑える事ができない。  
幸恵が心の中で葛藤を繰り広げているとは露知らず、コハクは隣で暢気に身体を洗い始めた。  
そして、幸恵は何かを心に決め込むと、目の前で体を洗う少女の後ろからゆっくりと両手を伸ばし・・・  
「えいっ」  
‘ムギュ’  
「ひやぁん」  
体の割に豊満な胸を一気に揉み上げた。  
予期し得ぬ人物の予期し得ぬ凶行に無防備な裸体はピクリと振るえ、甘い声が漏れる。  
「だっ、ダメだよぉ、おねえちゃん」  
「このムネで、このムネでお兄ちゃんを誘惑したのかぁー、コノコノー」  
「あんっ、やめてぇー」  
両手を上下左右に激しく動かし、可愛らしい乳首に指をかけて挟み込むようにマッサージする。  
自分が行為を行うたびに反応する体を見るたびに、背徳感と罪悪感が交差し、興奮をさらに高めた。  
(なんだろう・・・なんだか私まで変な気持ちになってきちゃった)  
それは、蛇女特有のフェロモンによる効果なのであるが、幸恵はもちろん知らない。  
‘クチュッ’  
「あっ、ダメだよっ、そんなところまでっ、あぁんっ」  
胸を弄んでいた腕は腹を優しく撫でながら下へ下へと移動し、ついには秘所に到達する。  
「そんな事されたら・・・そんなに揉んだら・・・ひあぁ〜ん」  
‘ぶわっ’  
目の前の少女が光り輝き、そこから伸びる‘何か’に後方へ突き飛ばされ、尻餅をついた。  
華奢な少女の体からは考えられない力(人外にとっては当たり前にある力なのだが)  
に驚きつつ、打ちつけた尻を擦っていると上空に怪しい影を見た。  
最初は長くて太いものという事しか分からなかったが、次第に見えてきたその正体に言葉を失う。  
天を見上げる幸恵の目の前では、鱗に覆われた巨大な尻尾が目の前でうねうねと脈打つように蠢いていた。  
「へっへっ・・・へびびびびびびびびびびびびび」  
「あ〜あ、パパには秘密にしとけって言われてたのに・・・お姉ちゃんが気持ちよくするからいけないんだよ?」  
「あれ?・・・お姉ちゃん?おーい」  
何の反応も示さない姉の態度を不思議に思いその顔を覗き見ると、  
大蛇の出現に理性を保てなかったのか、意識を喪失し、目を見開いたまま硬直していた。  
「う〜ん、どうしよう」  
傍らではコハクがそれを見ながら困った顔をしていた。  
 
「うっ、ん?」  
気が付くと・・・巻かれていました・・・蛇に・・・  
「ぎゃあぁぁぁー、むぐっ」  
「もうっ、静かにしてよっ、パパに見つかったら怒られちゃうじゃない」  
身体が大蛇に巻かれて身動きが取れない事に気が付き悲鳴を上げるが、  
コハクが尻尾を口の中に突っ込んだため、何もいう事ができなくなってしまった。  
「ちゃんと静かにしていてくれる?約束してくれるなら口は外してあげるよ?」  
咄嗟に尻尾をねじ込んだコハクであったが、無言ながらもコクコクと首を縦に振る様子を見て、  
口に突っ込んだ尻尾を外す。  
「プハっ、あなた達蛇女だったのねっ、さてはお兄ちゃんも騙して誘惑したのねっ!」  
「違うよぉ、誤解だよぉ、パパはちゃんと蛇女だって事を理解した上で結婚したんだよぉ」  
「嘘だぁー、お兄ちゃんが私の嫌いな蛇なんかと一緒になるはずがないよぉー」  
再び叫び声をあげながら身体を左右に揺さぶり脱出しようと試みるが、敵うはずも無い。  
コハクのほうも幸恵を介抱するつもりで身体を拘束していたが、  
人間に対する巻き付き経験の浅いコハクは締め付け力の程度が分からず、  
暴れる幸恵を押さえ込むために力を入れた結果、呼吸困難に陥ってしまった。  
「あっ・・・くっ・・・かぁっ、あ・・・」  
呼吸がおかしい事に気が付き慌てて力を緩めるが、ぐったりと垂れてしまう。  
(どうしよう・・・ひとまず、静かにお話するために落ち着いてもらおうかな)  
相手を静かにする方法、ここでコハクが思いついたのは、媚薬を注入してしまうという方法である。  
「お姉ちゃんっ、これからいっぱい気持ちよくなってもらうから覚悟してねっ♪」  
子供らしい陽気な声はいいのだが、ニッコリ笑う笑顔の端に見える牙は、恐怖を増大させるに十分な迫力を持っていた。  
「おっ、お願い、、、殺さないで・・・」  
大きな蛇の胴体に全裸で体を拘束され、さらには口から大きな牙が狙いを定めている。  
獲物を前にして興奮したのか息は荒く、首筋に熱い吐息が何度も吹き付け、  
噛み付く場所を探すかのように細長い舌が肌の上を動き回って嘗め回す。  
脅える姉に対して妹となったコハクは優しく、また妖艶な笑みを持って語り掛けた。  
「心配しないで、大好きなお姉ちゃんを殺したりしないよ」  
「ただ、気持ちよくなってもらうだけだから」  
‘カプッ’  
「あっ・・・」  
口を大きくあけると、脅える表情を愉しむようにゆっくりと牙を近づけながら目標を定め、  
首筋の赤い血管を捕らえると一気に口を寄せ、牙を奥深くまで差し込んだ。  
僅かな血液を吸い取ると同時に別の液体を注入してゆくと、幸恵は体を痙攣させながら僅かな喘ぎ声を上げる。  
最初は苦しみに満ちた声であったが、しばらくすると熱っぽさを持った吐息に変わり、  
巻き付かれた身体がヒクヒクと痙攣を始めた。  
「どう、お姉ちゃん?だんだんと気持ちよくなってきたで・・・あれ?」  
予定どうりの反応を見て得意げに姉の様子を伺うが、そこには自分の考えていたのと若干違う状況があった。  
「はっ・・・あっくっ・・・んっ、はあぁっ・・・」  
熱い吐息を漏らしながら体の疼きに耐えているのは予定のうちなのだが、  
目の前の女性の興奮具合は自分の想定をはるかに上回る強いものである。  
「ひあっ」  
さらには、まだ何もしていないというのに絶頂を迎えてしまい、秘所から盛大に潮を吹いている。  
しかも、それはただ一回の絶頂ではなかった。  
何度も何度も、身体を痙攣させたまま止まることなく絶頂を続け、涙を流す瞳から光が失われてゆく。  
「ふぇぇ?なんで?どうしてこんなになってるの?」  
状況の把握できないコハクは、絶頂を続ける姉が暴れださないように巻きつく事しかできなかった。  
 
ご説明しよう!  
達蛇女は牙に2種類の毒を持っている。  
一つ目は致死性の猛毒でこれは敵との戦いの際に用いられるが、二つ目は皆様ご存知の媚薬である。  
この場でコハクが使用したのは媚薬の方で間違いないのだが、使用方法に問題があった。  
媚薬と言ってもそれは拘束した獲物から精を搾り取るための物であって、その効果は超強力。  
このように軽いまぐわいをする場合は、媚薬を自分の唾液等で薄めた上で、口移しで与えるのが常なのだが、  
経験の無いハクは濃度100%の媚薬を人間相手に、しかも血中に直接注入したからさあ大変。  
その肌は触れられただけで絶頂を向かえるほど感度が上がり、ただひたすらに絶頂を続ける。  
つまり、逝き狂い状態に陥ってしまったのである。  
これには自分の愛液を飲ませるというが一番の対処方法なのだが、事態を把握できていないハクには何もする事が出来ない。  
 
 
「どっ、どうしよう、ここは母さんか父さんを呼んで・・・はっ」  
両親に助けを求めようかとも考えたが、自分の脳裏に両親を呼んだ際の状況が思い浮かび、  
思い留まる。  
「パパにバレたらきっと母さん諸共ここを追い出されちゃうんだろうなぁ」  
「母さんにバレたらオシオキに尻尾でアソコを抉り回されて・・・」  
‘ポッ’  
・・・どうやら相当気持ちのいいオシオキのようだ。  
「ひんっ、たっ・・・助けっ・・・はうんっ」  
媚声が耳に入って我に返ると、目の前では姉が絶え間ない快感にのたうちまわっており、  
状況は予断を許さぬようで、何らかの手を打たないと命に関わると本能が告げている。  
(どうしよう、気持ち良いのを収めるにはどうしたら良いんだろう・・・)  
今までの自分の経験や母からの教え、それらを総合してよい案が無いかを模索するが、  
目の前に命の危険が迫った女性がいる環境では、長々と考えをめぐらす余裕は無い。  
「そうだっ、気持ちが高ぶったときは、アソコをたくさん弄れば収まるわけだから」  
「媚薬が切れるまでたくさんイかせてあげればそのうち収まるんだ!」  
確かにその考えは間違ってはいないと思う・・・いや、やっぱり何か違っている気がする。  
ともかく、その場でコハクが思いついた手段はソレであり、その考えを実行に移した。  
下半身の巻き付を一時的に解除すると、両足を広げて股を見せた格好にさせ、再び両足を拘束した。  
胴体も腕も蛇の体に巻き疲れて拘束されているため、これで一切の抵抗無く姉を責める事が出来る。  
そして、幸恵の秘所に手をかけたとき、コハクは驚きの声を上げた。  
「お姉ちゃんのココ、すごく綺麗・・・って言うかお姉ちゃん処女だったんだ!」  
指でゆっくりと弄りながら少し奥まで挿入すると、指の先に薄い膜があるのを感じ、驚きの声をあげる。  
「はうっ、はうんっ」  
幸恵にはその問いに答える余裕は無かったが、秘所に触る事で身体がピクリと反応する。  
コハクは姉の大切な膜を傷つけないように、筋に沿って指を滑らかに動かし、  
あふれ出る愛液を掬い取るようにマッサージを続けが、  
行為に対して反応はするものの、その高ぶりが収まる気配は一向になかった。  
「うーん、収まらないなー・・・やっぱりコレで直接責めないとダメかな」  
コレというのは自分の先端にある尻尾のことである。  
成熟していない蛇女の尻尾とはいえ、その先端の太さは成人のソレより二周りは大きく、  
経験の無い秘所を弄るにはあまりにも凶暴な大きさであったが、  
尻尾をおもむろに秘所へ寄せると、愛液の溢れる筋に合わせて何度も擦りつけた。  
 
「んあっ、ひやぁっ」  
硬い鱗に媚薬を含んだ体液がローションとなってまとわりつき、男を知らぬ秘所の感度をさらに上昇させた。  
本来は押さえるのが目的のはずだったのだが・・・  
(こんな感じてるところ見せられたら、我慢なんてできないよぉー)  
「いよいよだよお姉ちゃん、お姉ちゃんのハジメテ、私がもらっちゃうよ」  
「あっ、、、、ダメっ・・・」  
尻尾の先端が秘所の入り口にあてがわれるのを感じ取ると、意識が半分無いにも関わらず、  
本能的に喪失の危機を感じ取ったのか、口から言葉が漏れる。  
「あっ、アソコだめぇ、あぁぁあんっ」  
「大丈夫、こんなに濡れているんだもん、痛いのは・・・最初だけだよ」  
‘ズブリ’  
「ひあぁぁぁあっ」  
絶望的な宣告をされた次の瞬間に膣の仲で何かが破れ、そこから赤い筋が垂れるのを感じた。  
相手がいないなら大好きな兄に捧げようと大切にしていた処女は、目の前の蛇少女によって奪われてしまったのである。  
二度と戻らない膜の喪失と、秘所を弄られる初めての快感によって頭の中が真っ白になる。  
だが、そんな純情な気持ちをよそにコハクの責めは留まる事を知らず、強く激しくなっていく。  
「いやぁ、尻尾で抉っちゃいやぁ」  
秘所に尻尾の先端を突っ込まれ、膣をグリグリと抉られるのは普通なら痛みを伴う行為だが、  
媚薬の効果で神経の麻痺した幸恵にとっては、快感以外何も感じる事はなく、  
尻尾の先端が膣をグリグリと抉るたびに、愛液と鮮血の混じった液体が淫らな音を立てていた。  
「コハクが男の子だったらいっぱい射精してあげられるのに・・・これで我慢してね」  
‘ブブブブブブブブ’  
「ひっ、ああああっ」  
奥深くまで侵入した尻尾が激しく振動し、更なる快楽を味あわせる。  
これこそが蛇女の持つ必殺技のひとつ、その名もズバリ“尻尾バイブ”である。  
アソコに入り込ませた尻尾の先端をバイブのように激しく振動させ、快感を与える技だ。  
だが、この技は相手を気持ちよくするのと同時に自分のも快感が与えてしまう諸刃の剣。  
当然コハクにも相当の快感がもたらされるのだが、姉の痴態を眺めて高ぶった気持ちを  
抑えるにはちょうど良い刺激であった。  
「ねえ見てお姉ちゃん、私のココ、こんなに濡れてるんだよ?」  
そういって姉の目の前に透明な液体が溢れ、濡れた秘所から漂う甘い匂いが鼻を衝き、  
意識の半分とんだ姉は自分から進んで愛液の溢れる秘所に口をつけ、舌を挿入した。  
「はっ、お姉ちゃん・・・上手ぅ・・・」  
ピチャピチャと淫湿な音を立て、惚けた瞳のまま無言で愛液を舐め続ける。  
偶然とはいえ、この行為が幸恵の命を救う事になるのだが、二人は知るよしも無く、  
ただただ淫らな行為を続けていた。  
「はっ、ふぅ・・・あんっ、コハクちゃん・・・」  
「お姉ちゃん・・・正気に戻ったんだね、良かったよぉ」  
しばらくして、姉の瞳に光が燈り正気に戻ったことが分かると、全ての行為をやめて抱きついた。  
自分の遊び心が起こした命の危機への罪悪感、その命が助かった事への安心感からか、  
瞳から大粒の涙を流して喜びを表す。  
幸恵の方は被害者であるはずだが、まるでコハクに救われたかのような感覚を持っていた。  
幸か不幸か、幸恵はコハクやハクに対する嫉妬も妬みも綺麗サッパリ記憶から無くし、  
後には彼女達、特にコハクに対する深い愛情・・・それも性的な感情だけを残していた。  
 
「ねぇ、コハクちゃん・・・私のココ、まだ足りないみたいなの・・・もっと、して・・・」  
媚薬の効果が完全に切れたわけではないため、身体の昂りは収まっておらず、  
秘所から透明な液体を垂らしながら、更なる行為を願い出る。  
その姉の淫らな表情に影響されてか、コハクの感情も再び昂り、身体が熱くたぎるのを抑えなかった。  
「いいよ、お姉ちゃん。もっともっと、満足するまで一緒に♪」  
再び体をきつく締め付けると、火照った体を粘液の光る胴体がズリズリと這い回り、  
幸恵もその行為を喜びの元に受け容れ、自らの意思で興奮を高めてゆく。  
「はふぅ、お姉ちゃん、もう一度・・・入れていい?」  
幸恵はその問に答えることは無かったが、開放されていた自分の腕をコハクの首に優しくまわし、  
コハクの顔を見つめる潤んだ瞳は何かを求めるように訴えかけ、  
その期待に答えるかのように尻尾の先端を動かすと、目指す場所へと一直線に突き刺した。  
‘ズニュ’  
「はうんっ」  
ほんの数分前まで異物の侵入を許したことの無かったその穴は2度目の挿入をあっけなく許し、  
愛する妹の一部をその奥深くまで迎え入れた。  
幸恵の愛液とコハクの体から分泌される粘液が潤滑剤となり、尻尾を激しくピストンさせてもほとんど抵抗が無い。  
「コハクちゃんっ・・・アレ・・・またアレやってぇ・・・」  
「アレ?・・・ふふっ、何のこと?お姉ちゃん」  
「ほ、本当はわかっているんでしょ、イジワル言わないで、尻尾でもっと・・・ひゃうっ」  
最初は意地悪げに焦らしつつも、姉の要望に応えて尻尾を激しく振動させると、  
体をヒクつかせながら悦びの声をあげた。  
「ふぁ、これイイ、とってもイイよぉ」  
「あんっ、お姉ちゃんに喜んでもらえて、コハク、とっても嬉しい」  
「私もまた、変な気持ちになってきちゃった」  
バイブの効果によってか、秘所の疼きを抑えられず、姉の前に再び曝け出した。  
「ね、また舐めて・・・私もイかせて、お姉ちゃん」  
今回は幸恵のほうも両腕を拘束されていないため、自由に使う事ができた。  
小さなスジの両側に優しく指をかけ、グイッと力を込めてその中のモノを見ると、  
さっきまでは見ることの出来なかった恥部の全貌があった。  
成熟していないとはいえ、人を惑わし、よがらせるのに十分な代物。  
甘い香りのするその淫乱な蕾に、今度は明確な自分の意志で舌を挿入した。  
「あっ、ひゃんっ」  
深く突き入れた舌を激しく動かし、ジュルジュルと淫らな音を立てながら蜜を舐めとる。  
「コハクちゃんっ、もっとエグッて、感じさせてぇ〜」  
「はんっ、お姉ちゃんも、もっと奥まで・・・いっぱい舐めてぇー」  
一舐めするたびに舐めきれない量の愛液が溢れ、口を密着させるようにして全てを飲み下す。  
さらに舌を激しく動かすと、コハクの身体がビクビクと小刻みに震えていた。  
「コハクちゃんっ、わたしっ・・もうっ・・・」  
「お姉ちゃん、イっちゃうんだねっ、コハクもっ、コハクも一緒に・・・」  
『はあぁ〜んっ』  
相思相愛となっと二人は同時に絶頂を迎え、抱き合ったままパタリと地面に倒れこむ。  
「コハクちゃん・・・大好きだよぉ」  
「私もだよぉ、お姉ちゃん」  
可愛らしい笑顔を見せながらも、疲労困憊となった二人は気を失うように眠り込んでしまう。  
二人とも絡みついたままで、コハクも無意識のうちに体をやわやわと体を動かし、  
まるで行為の余韻を味わっているかのようであった。  
だが、二人に近寄る影がひとつ・・・  
「まぁまぁ、二人仲良くこんな所で眠っちゃって・・・でも、この姿は主人には見せられないわねぇ」  
その影は長い胴体で巻きつくように二人を抱き上げると、風呂の外へと消えて行った。  
誰もいなくなった風呂場には大量の愛液と、甘ったる媚薬の匂いが充満していた。  
さらに、その光景を不満そうに見つめる人影もあったのだが・・・それは機会があれば話す事にしよう。  
 
さて、日付が変わって、翌朝の朝食  
「はい、コハクちゃん、アーンして」  
「アーン」  
‘パクッ’  
そこには、昨日の確執がどこへやら、新婚夫婦も顔負けのラブラブ振りを発揮するコハクと幸恵の姿があった。  
「二人ともどうしたんだ?昨日まではあんなに仲が悪かったのに?」  
「ふふっ、秘密だよ、ねぇコハクちゃん♪」  
「うん♪」  
昨夜は二人とも風呂場でのぼせていた・・・という話を妻から聞いたから、風呂で何かあったのだろうか。  
何かとても嫌な予感がするので深く考えない事にしよう。  
風呂に入ろうとしたのを妻に止められたのも異様に気になるが、気にしたら負けだ。多分。  
「まぁまぁ、これは母さん達も負けてはいられないわね、はい、あーん」  
終いには妹に負けじと両親もラブラブ振りを披露する始末であり、今後のことを考えると頭が痛いが、  
自分の隣に座った妻も、無言でこちらに飯をつまんだ箸を向け、何かを訴えかけてくる。  
2組のバカップルに負けじと対抗する妻に対して思わずため息をつくが・・・  
「はいはい、わかったよ」  
「アーン」  
この旅館の熱々振りは当分収まりそうも無い。  
 
〜其の二・終〜  
 

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