おっちゃんと出会ったのは雨の降りそうなはっきりしない天気の日だった。  
 コンビニで働くフリーターという絵に描いたような凡人の俺はいつものように  
賞味期限の弁当やおにぎりを処分すべく店の裏に来ていた。  
 
 ――まだ食えるのになぁ。  
 
 最近は店員にも処分品を渡さない店が増えているらしく  
ウチの店も例外ではなかった、入ったばかりの頃は貰っていたのだが…。  
「ぅ…ぅ……」  
 今さら考えていても仕方ないと思っている矢先、どこからともなく  
呻き声のような何やら怪しげな声が聞こえいい歳してビビッた。  
「だ、誰かいるのかー?、…いますかー?」  
「ううっ!」  
「うわっ!!?」  
 ゆっくりと物陰を覗いた瞬間明らかに(自宅とかが)自由人な身形のおっさんが  
ぐったりとした様子で倒れていた。それがおっちゃんだった、  
 
――…  
 
「いやぁー、助かった!危うく餓死するところだったよ、本当にありがとう!」  
「いえいえ、どうせ処分する品だったし」  
 おっさんことおっちゃんはびっくりするほど食った、少し引いた。  
 
 ボロっちぃコートにボロっちぃ帽子、よれよれのシャツに染みの付いたズボン  
顔は無精髭に割れた眼鏡、怪しくない要素が見つからない。  
 少しだけ話をしたら気さくな人だった、あえて突っ込んで聞かなかったが  
一応働いてはいるらしい。  
「じゃあな、おっちゃんも早くどっか行った方がいい  
一応規則違反したようなもんだし」  
「おお、そうかいやいやありがとう、お礼といってはなんだが、これを」  
「?」  
 おっちゃんがくれたのは怪しげなスプレー缶だった。  
「今はこれしかなくてな」  
「なに?整髪料かなんか?」  
 俺がスプレー缶を手に怪しんでいるとおっちゃんは「人間には掛けてはダメだぞ」  
と一言告げると街中への消えていった。  
「なんなんだ一体…、まぁ悪い人じゃなさそうだったけど」  
 そのままスプレー缶はロッカーにあるカバンに仕舞い、自宅に帰るまで  
俺はその存在をすっかり忘れてしまっていたのだった。  
 
――  
 
――――…  
 
「にゃ〜」  
 風呂から出てくつろいでいると一人暮らしを機に飼い始めた猫のマリーに  
じゃれつかれた、中々の懐きっぷりに俺も溺愛している。  
「にゃ〜?」  
「あっ、コラ」  
 
 マリーは突然俺のバイト鞄を漁ると昼間おっちゃんから貰ったスプレー缶を  
引っ張りだしてきたのだ、すっかりその存在を忘れていた俺、  
「これは昼間の怪しいおっちゃんがくれたやつだ、すっかり忘れてた」  
 とりあえず中身が知りたいと思い空中に噴いてみる。  
「無臭だな…、一体なんなんだ?」  
 人間にはかけるなと言っていた、何か分からず悩んでいるとマリーが目に止まる。  
「ふぎゃっ!」  
「あはは、ごめんごめん」  
 試しにマリーにかけたがやはり何も起こらない。  
 大して期待もしていなかったので俺はスプレー缶をそこらにやってテレビを  
見てながらごろ寝を始める。  
 そしてそのまま気付かない内に俺はうたた寝をしてしまった。  
 
 ―  
 
 ――さい  
 
 ―――てください  
 
「起きてください!」  
「ふぁ!?」  
 一人暮らしなのに誰かに起こされた、おかしい、そう思い  
眠い目をこすり起こしてきた張本人を見る。  
「………誰?…ってうわぁぁああ!?」  
 現れたのは可愛い女の子だった、それはまだいいがなぜか裸である、驚く事  
が多くて俺は軽くパニックになった。  
「落ち着いてください!私です、マリーですご主人様」  
「…はぁっ!!?」  
 
 おっちゃんに出会ってから起きた数々の不思議な出来事がこの時から始まった。  
 

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