服を脱ぎかけたところで、化粧直し用のファンデとグロスしか持ってきてないことを思い出して、
穂波は風呂に入るのを渋った。
けど、一回戦での汗を流したいっていうのと、ローションへの興味が勝ったらしい。
結局は風呂に入ることに同意してくれた。
まあ、俺がもの凄い勢いでお願いしたっていうのもあるけど。
だってな、うちの風呂は俺の野望を果たすには少し狭い。
半分以上この野望のためにこのホテルを選んだんだから、妥協する訳にはいかない。
手を合わせてお願いする俺に穂波は、
『そんなに必死にならなくてもー』
と笑った。
で、いよいよ、風呂な訳ですが。
俺が見せる前に穂波が食いつきましたよ、スケベッド。
もとい、ソープマットってやつ。
「お風呂ひろーい!
あっ!なんかプールにあるみたいなのがある!」
俺が指導する前にシャワーの横に立てかけてあったマットをタイルの上に敷きながら、
「変なのー。
いくらなんでも湯船に浮かべられないのにね」
と笑う穂波に、俺はまた悶える。
ラブホの風呂にあるんだから、この上でやることなんて決まってるのに、
どうも穂波はそういう発想をすぐには出来ないらしい。
時々、こんな穂波に色々刷り込んでるってことに心が痛むんだけど、俺の教えたことしか知らないっていう
優越感みたいなものが大きすぎて、結局は穂波に色々教えちゃうんだよな。
今日も空気の詰まったマットの上で弾力を楽しんでる純粋な穂波に心の鼻息を荒くしながら、
それでも俺は丁寧にシャワーを肩からかけて、マットの用途を教えることにした。
「穂波、これはだな、風呂でもいちゃいちゃ出来るようにここにあるのだよ。
ふっふっふ」
穂波の顔が一瞬で赤くなる。
けど、さすがにここで、『大樹のすけべ!』と言うほど穂波ももううぶじゃない。
「あっ……そ、そっか。
お風呂で寝っ転がれるような親切設計なんだ」
と、マットの枕になってる部分をぽんぽんと叩いた。
「そう。そこで、だ」
と、俺は風呂のヘリに置いておいたローションを取って、マットの上で穂波の正面に座った。
「これを使う」
ホントはボディソープでもいいんだけど、と心の中で付け加える。
「そうなんだ」
マットの上に正座して、真面目な顔で俺の手にあるチューブを見る穂波。
善は急げだ。
俺は早速蓋を開けて、ローションを手のひらの上に出した。
透明でうっすいピンク色の液体がとろっと出てきて、作り物のストロベリーの匂いが鼻をくすぐる。
噂に聞いていた通り、すぐ身体に付けるには少し冷たい。
「……」
どことなく不安そうな穂波をよそに、俺はチューブを横に置くと、両手をこすり合わせた。
これで少しは冷たくなくなるはず。
「これをだな、こう……」
「お?」
手を穂波の乳に向けて伸ばすと、穂波の顔がその手を追う。
「身体に……」
乳を包むみたいにして手を滑らせると、
「ひゃっ!」
と声が上がった。
「あれ、悪い。冷たかったか?」
慌てて手を離すと穂波は首を横に振ってから、ちょっと照れた顔で、
「ちょっと、ぞく、ってしただけ」
と笑ってくれた。
もう一回やってるおかげで、いい感じに身体が感じやすくなってるらしい。
いつものことだけど、このくらいのことで俺のテンションは簡単に上がっていく。
「そかそか、んじゃあ、もちょっと強めに……」
俺は改めて手を伸ばすと、穂波の乳を両手で下から掬いあげた。
にゅるん、と手が勝手に滑って、乳が俺の手から滑り落ちて行く。
「おお……」
ぬるぬるしてるのに、穂波の乳の柔らかさが手に吸いつくっていう、不思議な感触に思わず感動する。
ちょっと指に力を入れただけで乳がつる〜っと手から逃げて行く。
それが面白くて、俺が何度かそれを繰り返してると、穂波が、
「ね……、大樹、楽しいの?」
と赤い顔で聞いてきた。
やべ、予想以上ににゅるにゅるする乳を楽しんでちょっと穂波を置き去りにしてた。
物欲しそうにちょっと突き出た唇に軽くキスして、
「うん、なんか穂波のおっぱいがいつもと違う感じで楽しい」
って言うと、穂波は、
「大樹ってホントおっぱい星人」
とくすくす笑った。
「まあ、お前のおっぱいが魅力的だからしょうがない」
俺がそう言うと、穂波は照れながらも嬉しそうな顔で、ほうほう、と頷いた。
穂波はおっぱいを褒められるとすごく喜ぶ。
始めの頃は自分の胸が好きじゃないとか言ってたけど、俺がしつこくしつこく褒めてるうちに好きになってきたらしく、
今では自分からわざと押し付けてきたりする。
だから、後ろから抱え込んでその自慢の乳を攻めに攻めて、ローションのせいで逃げて行くであろう乳首を
何度も摘まんだりとかして、穂波の方からおねだりさせたりしたいんだけど、だけどっ!
それはうちでも出来る。
今日はこのスケベッドの上でぬるぬるエロエロ〜な時間を楽しむのだ!
俺は自分に言い聞かせて穂波から手を離すと、ローションのチューブを取って、それを穂波に差し出した。
「な、穂波。今度は穂波がやって」
穂波がチューブを受け取りながら、きょとんとした顔をする。
「へ?私が?
大樹の……おっぱい触るの?」
いや、まあそれでもいいんだけど……。
と思ったら、胸の先っぽがきゅんとした。
「や、全身で」
「ぜんしん?」
「そう。俺がな、ここに寝っ転がるから、身体でぬるぬる〜って」
「ええっ!?」
穂波の顔が真っ赤になる。
別に裸で身体くっつけるなんていつもしてるのに、なんでそんなに赤くなるんだ。
でも、反応が面白いから、俺はそんな穂波に構わず、というよりはそんな穂波を更に照れさせるべく、
マットの上に肘をついた。
「とりあえず背中から」
「え、せ、背中?」
「うん、背中」
という訳でうつ伏せになる俺。
「はっやっくぅ〜」
「え、あのっ、これつけて?」
脚をじたばたさせる俺を覗き込んでくる穂波の顔は相変わらず真っ赤だ。
そんでいつも通り、こういうことなのに変に真面目になってる。
「そう。
俺の背中に付けてからでもー、お前の乳に付けてからでもいいけど、つけたらそのままベタぁ……って」
わざとちょっとねっとりとしたしゃべり方をしながら言うと、
「大樹、ホントにこれ使うの初めて?」
と不服そうな声が返ってきた。
なんでここでそんな不満そうな声なんだ。
俺が穂波の方を振り返ると、穂波はチューブの蓋を右へ左へ回しながら口調どおりに不満そうな顔でこっちを見ていた。
「なんだよ」
「……だって、大樹、詳しいんだもん」
「そりゃまあ、エロいことに関する研究は怠りませんから」
「……研究しただけ?」
なんじゃそりゃ?
って思ったけど、穂波の反応が気になって、俺は身体を起こした。
「穂波?どした?
俺、なんかやなこと言ったか?」
穂波が小さく首を振るけど、なんか元気がない。
「おーしーえーて」
指で唇を突っつくと、
「……呆れない?」
って返ってきた。
言ってくれないことには分からないけど、ここで返す答えは当然一つ。
「呆れる訳ないじゃん」
「ホントに?」
「ホントに。指切りするか?」
俺が小指を差し出すと、穂波は首を振ったけど、出した手を握って、
「大樹のね、初めてする相手になれるなあ、って思ったんだけど……。
大樹が詳しいから……」
もうね、この子は何でしょうね、どうしてこう、俺を悶えさせるようなこと言うかな。
そう思ってるのに、俺が嬉し過ぎて返事をするのを忘れていたら、穂波が、
「あっ、ごめん、ちょっとウザかったね。
うん、ごめん!
えっと、しよ。
身体でぬるぬる、ってしたらいいんだよね」
と無理に笑顔を作ってそう言ってきた。
「バーカ、ウザい訳ないだろっ!」
俺が穂波の頭にチョップすると、
「やー、暴力反対!」
と返ってきた。
でも、無視。
「俺だって、やってないことなんていっぱいあるっつうの」
「ホントに?」
「お前なあ、ここで嘘吐いてどうすんだよ」
「じゃあ……大樹の残りの初めて、全部私にくれる?」
「もう、お前、ホントバカ」
「バカとか」
「俺の残りは、セックスも人生も全部お前のなのっ!」
言ってから、俺はすげえ恥ずかしいことを言ったと思った。
思ったら顔がめちゃくちゃ熱くなってきたけど、穂波は、
「えーい!」
と抱きついてきた。
人工のストロベリーの匂いがして、穂波の柔らかい身体が俺を抱きしめてくれる。
嬉しいんだけど、さっき言ったことが恥ずかし過ぎて、なんも出来ないし、なんも言えない。
でも、穂波は、
「全部いただきますっ!」
とほっぺたにちゅうっとしてくれた。
「大樹、大好き!」
ぐはあ。
俺も好きだよ、バーカ。
「ね、大樹、私も全部大樹のだからね」
「うん」
「要らないって言っても全部あげる!」
んなこと言う訳ねえ。
つうか、さっきまで膨れてたくせに。
頭では色々思うのに、口がフリーズしたらしい。
嫁に来た時からお前は俺のだ、とか言えばいいんだろうけど、口が動かない。
そんな俺をよそに、穂波は顔を上げると、照れ笑いしながら、
「変なこと言っちゃってごめんね。
大樹が初めてでもそうじゃなくても、もう気にしないね」
と言ってくれた。
「ん」
だあっ!
なんか、気の利いたこと言えよ!
でも言えない。
気の利いたことが思い浮かばないし、相変わらず口が動かない。
でも、穂波はえへ、と笑うと、そんな俺の口にキスしてくれた。
穂波が俺の唇を咥えてゆっくり顔を引いて、また笑う。
肩から力が抜けて、今まで身体中が緊張してたってことに気がつくと、やっと俺も笑えた。
「ね、大樹……。
このままぬるぬるってしていい?」
すっかり吹っ飛んでたけど、そう言えばそれが今日の趣旨でした。
「してくれる?」
俺が穂波の唇を指でつつくと、
「私がね、出来そうなことは全部するよ」
と言ってくれた。
「んじゃあ……して」
まだいつものペースを取り戻せないままそう返すと、穂波は俺に跨って、チューブの蓋を開けた。
「それさ、結構冷たいから一回手に取ってからの方がいいぞ」
「ん。分かった」
穂波が手のひらにローションを取る。
「ホントだ。冷たい……」
ちょっと少ないかなって思うけど、穂波は両手を重ねてそれをあっためながら、
「こういうの考えた人って、きっと大樹よりエッチだよね」
と笑った。
「まあな、俺でも許容できないプレイって普通にごろごろあるし」
「そうなの?」
「うん。俺、SMとか興味ないし」
「そうなんだ」
何故か口を尖らす穂波。
けど、おかげでやっと俺のペースが戻って来てくれた。
「何?穂波、実は縛られたかったりする?」
「えっ!?そんなことないよっ!」
穂波は慌てて首を振ったけど、ちょっと軽く手を縛るくらいなら別に抵抗ない。
「じゃあ、今度な」
と言うと、
「結構ですっ!」
って、答えと一緒にローションをべったりと胸に塗り付けられた。
「いいじゃん、ちょっと縛ってや」
「いーらーなーいっ。
私、別にMじゃないもんっ」
いや、どっちかって言ったら絶対Mだろ。
そう思いはするけど、そうは言わない。
「でも、Sではないよな」
「分かんないよー?
もしかしたら、大樹のこと、えいえいっていじめちゃうかもしれないよ?」
穂波はそう言うと乳を俺の胸になすり付けてきた。
「おおうっ……」
いい感じにぬるんっ、つるんっ、と上下に滑る乳の感触に思わず声を零すと、
「ほーら、どうだっ!」
と言われた。
こっ、これは……予想以上に、いい。
けど、もっとぬるっとしたい。
「もうちょっと塗らねえ?」
俺が傍に置いてあったチューブを取ると、穂波も、
「そうだね……」
と言った。
手のひらであっためるなんて悠長なことはしないで、そのまま穂波の胸の谷間にローションを垂らすと、
ひゃっ!っと声が上がった。
でも、動きが止まる訳じゃない。
俺が穂波を抱えたまま、後ろに身体を倒すと、穂波もそのまま俺に乗っかって来てくれた。
「ん……重くない?」
穂波が身体を浮かせたけど、そんな穂波の背中に手を廻してしっかり俺の上に乗せる。
「平気。ていうか……」
なんか、エロいぞ、お前。
そうやって、って言った訳でもないのに、俺の身体の上で行ったり来たりしてる穂波の顔はもう赤くのぼせてきてる。
乳首も硬くなって俺の胸にこすれてる。
下半身に血が集まってきてるのを感じてると、
「ていうか、何?」
って穂波が顔を覗き込んできた。
「や、気持ちいいな、って」
「うそー」
穂波が笑う。
「嘘じゃないって」
実際気持ちいい、っても思ったし。
「そっか……」
穂波は相変わらず動くのをやめない。
顔が近付くたんびにキスしてくる。
穂波のエロスイッチが完全にオンになってる。
「穂波、エロくなってきてるだろ」
って聞くと、
「だって、……しょうがないじゃん」
てため息交じりの声が返ってきた。
「大樹が、全部私の、って言ってくれて……。
私がくっついたらエッチな顔して……こっちも勃っちゃってたら、
もっと気持ち良くなってほしい……って思うし、そしたら、私だって、エッチな気持ちになるもん」
穂波が太ももを俺のムスコに擦り付けてきた。
「くふっ!」
もうちょっと穂波にやってもらうのもありだけど、穂波の攻撃のせいで俺も攻撃したくなってきた。
けど、背中に廻してた手を尻に伸ばしていくと、
「あ、えっと、待った」
と穂波が動くのをやめた。
「なんだよー」
今更おあずけはないだろ。
そう思って尻を揉むと、
「待ってってばー」
と抗議の声。
了解して、俺が両手を離して軽く万歳して見せると、穂波は一度唇にちゅうっとしてから、
「あのっ……今から、エッチなことするけど、……引かないでね?」
と視線を逸らした。
既にエロいことしてるし、ていうか、俺が引くようなことを穂波が出来るとも思えないんだけど、
一応承諾して、穂波がどうするのか見てると、穂波は俺の身体の上を下の方に滑り下りて行った。
「……穂波?」
穂波の乳が腹の方に移って行く。
ちょ、ちょっと、それ以上下に行ったら、ムスコとごたいめーん、て、いや、別にご対面は初めてじゃないけど、
このまま行くと乳がっ、乳がっ!
「え、ちょっ……おま、え?穂波っ!?」
いつかはしてもらおうと企んでたことだけど、まさか穂波の方からしてくるとは思ってなかったから、俺は慌てた。
完全にパニクってると、穂波は、
「えいっ!」
とその豊満な乳を俺のムスコに押し付けてきた。
「あ、ぬるぬるが……」
パニクってる俺をよそに胸の谷間にローションを追加する穂波。
ちょ、おま……どこでこんな技をッ!
「うりゃ!」
うりゃ!って、あっ、お、おれの可愛いムスコが穂波の胸の間でにゅーるにゅーるって、
「うおうっ!」
思わず腰を浮かすとつるん、と穂波の乳から外れてしまった。
けど、穂波がそれを追っかけてくる。
「ん?あれっ?んー……えいっ!」
「はうっ!」
冷たいんだけどあったかい上に、つうかなんだこれやらけー、ていうか、こんなやわらかいものに
ちんこが包まれたことなんてあっただろうかいやない。
お父さんお母さん、僕はもう何も要りません、先立つ不孝をお許し下さいや俺は幸せだからどうでもいいけど。
「はふう……」
思わずため息を零したら、今度は谷間から顔がのぞいてる先っぽに穂波がちゅって、ちゅって、うおおおおおお!
「大樹……?」
「はい」
「私の……おっぱい、気持ちいい?」
こくこくと頷くしか出来ない。
「えへー」
えへーじゃねえっ!
って頭では思ったけど、俺の口から出た言葉は、
「もっと……」
だった。
穂波は、
「もっと強く?」
って聞くと、俺の返事を待たないで手で乳を脇から押して強くしてくれた。
やばいやばいやばい!
気持ちいっていうか、なんていうか、こんな感触初めてで、訳が分からんッ!
あーあーあー!
ていうか、あ、そこカリっ!
なめっなめっ……。
舐めて下さいっ。
そんな俺の気持ちを見透かしてるみたいに穂波は熱っぽく溶けた目を細めて笑うと、舌を差し出して舐めてくる。
「んっ……はっ…………あ……」
ケツの穴から腰、背骨、最後は頭にかけて、知ってる快感と初めての快感が走り抜ける。
「ほなみっ!やべっ……あっ!……うぅっ」
穂波が乳をぐいぐい押しつけてくれるたんびに声が出る。
「大樹、可愛い……」
穂波がちろちろ先っぽを舐めながらこっちを見てくる。
なにこれめちゃくちゃ恥ずかしい。
恥ずかしいんだけど、気持ち良くて頭がぐらぐらする。
けど、さすがに限界。
穂波がやってくれたってのと、実際に気持ちいいのと、俺のちんこ舐めてくる穂波のエロい顔に
俺の興奮はもうマックス、最大、ピーク。
「大樹……、おしる……出てきたよ?」
「うん、きもちいい、いいから……」
何言ってのか自分でも不明。
「あうっ……なみっ、……だ、だしたい」
このまま穂波のおっぱいでイきたい。
「うれし……」
穂波が先っぽにちゅうって吸うみたいなキスをくれる。。
けど、ちょっとだけ足りない。
「あふっ……ほなみっ、ぎゅって……」
「もっと強く?」
また何にも言えないままこくこく頷くと、穂波はめいいっぱい強く挟みこんでくれた。
「うっ、くっ……くうぅッッ!」
身体の要求に従って思いっきり射精すると、全身から力が抜けて行った。
弾力のあるマットが身体を押し返してくる。
白い天井とオレンジ色の明かりがやけに眩しい。
もう起きたくない。
でも、清々しくて晴れやかな気分。
今なら出家出来そうな気がする。
いや、もう修行なんかしなくても神様に会えそうな気がする。
……って、悟ってる場合じゃない。
俺が慌てて身体を起こすと、穂波がこっちを見て、
「あ、復活した」
と笑った。
けど、その鼻の頭とかほっぺたには俺の精液がついてる。
ついでに乳の上にも飛んでる。
「うあっ、悪いっ!」
俺が穂波の顔に手を伸ばすと、穂波は猫みたいに目を細くして笑った。
「悪くないよー」
「けど、顔に」
「洗えばいいだけだもん、平気」
そう言ってくれるのはいいけど、こんなもん顔に掛けられて平気とか、AVじゃないんだから。
「けど」
俺が指で穂波の顔をこすってると、穂波は、
「気持ち良かった?」
と聞いてきた。
「めっちゃ気持ち良かった」
「良かった」
穂波は嬉しそうに笑ったけど、俺の頭には疑問が浮かんできてた。
「つうか、パイズリとか、どこで覚えたんだよ」
俺がシャワーをひねってそう聞くと、穂波は、うんとね、と言ってから教えてくれた。
「去年のね、クラス会でちょっとエッチな話になった時に、頼子が『穂波のおっぱいならできそうだよね』って」
よりこ、頼子……結婚式で友人代表挨拶を読んでくれた人か。
「そしたら、明美が『猪熊君なら絶対喜ぶね。やってあげればいいんじゃない?』って」
穂波が岩瀬の口調を真似る。
それが意外に似てて笑いながら、
「おいおい、あいつ、教師のくせにそんなこと言うのかよ」
って言うと、俺のかけるシャワーを大人しく受けていた穂波がこっちを向いた。
「仕事とプライベートは別だよ」
「まあ、それはそうかもしんねーけどさあ」
「それで……その、インターネットとかで……一応、勉強を……」
なんと!俺の居ぬ間に、テレビっ子の穂波がそんなことを!?
仕事でパソコン浸りになるからうちではパソコンなんてやらないと、仕事を持ち帰るハメになった時以外、
穂波はうちではパソコンをめったに使わない。
そんな穂波が、パイズリするために俺の居ない時を見計らって、パイズリの研究をしてくれていたと!?
穂波は照れたのか、手のひらに水をためると、そこに顔をつけた。
俺は俺で緩む口元が抑えられない。
「穂波〜っ」
シャワーを持ったまま抱きつくと、うひゃあ!と声が上がった。
「なっ、なにっ!?」
「俺は世界一幸せ者だっ!」
「あ、は、はい」
「早いとこ風呂あがってもう一回やろう!」
俺が穂波の乳をやわやわと揉むと、穂波は赤い顔で俺の手を乳から引きはがした。
「もーっ!なんで幸せ者だともう一回になるの?」
「俺が気持ち良くしてもらったから、今度は俺が穂波を気持ち良くしなくては、と」
「私は満足したから」
俺が穂波の手を握って言うと、穂波は俺の手を握り返して照れたように顔を背けた。
「けどせっかくのラブホだし」
「それはそうだけど……でも、もし大樹がさっきの……お礼でしてくれるんなら、
私はぎゅって、してもらう方が……嬉しいかも……」
穂波が視線だけこっちに向けた。
当然、俺はそれだけでノックアウトされる。
「そっか。じゃ、時間になるまで抱っこしててやろう!」
そう言って俺は穂波に抱きついた。
ちょっとだけ風呂に浸かって出た後、俺たちはバスローブを着てベッドでいちゃいちゃした。
ホントはもう一回するくらいの時間はあったけど、穂波がそんなにしたい訳でもなさそうだったから、
俺も今日はこれでいいやって気分になってたし、ただ穂波とべたべたするのも悪くない。
その気にならない程度に乳を揉んだり、キスしたりするのを楽しんでると、穂波が、
「今日は楽しかったねえ」
と言った。
「初めての結婚記念日でー、初めてのデート。
初めてのラブホで、初めてローション使ってー」
「パイズリも初めてだったぞ」
指を一本一本ずつ立てていた穂波がこっちを向いた。
ホント?と言いたげな顔をしてるから、
「ホント。マジで」
と返すと、指がもう一本追加される。
「来年は二回目の結婚記念日と、デート記念とラブホ記念と」
立っていた指を今度は折りたたんでいく穂波を見ながら、
「いいじゃん、結婚記念だけで」
って笑うと、穂波が口を尖らせた。
「でも、嬉しかったんだもん。
初めてがいっぱいで」
ああ、もう、ホント可愛い。
なんだかあったかい気持ちになってきて、俺は穂波の頭を撫でた。
今は肩までしかないけど、去年の今頃は結婚式のために髪を伸ばしてたから、穂波の髪は背中の真ん中くらいまであった。
そんなことを思い出しながら、
「俺も穂波といっぱい色んなことが出来て嬉しい」
って伝えると、穂波が嬉しそうに笑って顔をこっちに寄せてきた。
軽くキスすると、穂波もキスを返してくれた。
「ね、大樹。
嬉しいをいっぱいにしようね。
喧嘩して、悲しかったり怒ったりしても、その倍、嬉しいことを作ろうね」
照れてるくせに優しく笑ってそう言う穂波の顔を見たら、頭が真っ白になった。
返したい言葉はいっぱいあるのに、俺は、
「おう」
としか言えなくて、でもその代り、また穂波を強く抱きしめた。
(了)