「なぁ幼馴染っていいよなぁ〜。」  
「手前は漫画とラノベとゲームの影響を受けすぎだ。」  
全く、『幼馴染萌え』というのは結構だが、俺にそれを押し付けられても困る。  
大体、漫画やラノベの幼馴染ってほとんどが甲斐甲斐しい才色兼備か、自堕落な無防備娘。  
そりゃあそんな娘が幼馴染だったら俺も奴の言葉に賛同してやら無くは無い。  
本当にそうなら声を大にしていってやるよ。幼馴染ってのはイイモンです、ってね。  
「笹川くん。峰岸さんが来てるわよ〜。」  
だがな、お前ら。幼馴染ってのはそんな羨ましい存在ばっかりじゃないんだぞ。俺は知っている。  
「あ、あぁ今行く。」  
少なくとも俺の幼馴染と呼ばれる相手はそういうイイもんじゃない。これだけは自信を持っていえる。  
教室のドアの向こう。偉そうに突っ立って、俺より身長が低いくせに見下してやがる。  
「遅いぞ雄介。」  
「一体何の用だよ。」  
くそっ。年下なんだから敬語くらい使えよ全く!これだから最近の若い者は・・・  
「・・・ふーん。雄介君は私に向かってそういう口の利き方をするんだ。」  
「・・・。」  
いくら凄んだって怖くない!怖くないんだからな!?あ、足?こ、これはその・・・・武者震いって奴さ。  
 
「まぁ、私はどうでもいいだけどね。君が昼食を食べれずにひもじい思いをしたとしても私は痛くも痒くも無い。」  
ひょいっと見せ付けてきたのは  
「あっ、俺の弁当!!」  
「君も相変わらず馬鹿だねぇ。おばさんがわざわざ届けに学校まで来てくれていたよ。」  
「ありがとよ!ほらよこせ。」  
「嫌だね。」  
「・・・なぁ瑞穂。お前は俺の年下で俺はお前の先輩なわけだ。」  
「それがどうかしたの?泣き虫雄君。」  
この野郎、昔の恥ずかしいあだ名を!!  
「うっせえ、さっさと寄越せよ!!」  
「怖い顔してるよ?せ・ん・ぱ・い♪」  
あったまきた。もう殴る。マジ殴る!絶対殴る!!  
「いい加減にしろよ!!このガキが!!」  
弁当は俺の・・・っておおい!?俺なんで中に浮いてんのおおおお!!!????  
「あがぁっ!?」  
い、いてえ・・・背中が・・・超痛い。  
「いつものことだけど女性に暴力はよくないよ雄介?」  
黙れこのアマ。なに見下してやがる。その笑みは何だ!?  
「まあおばさんの顔に免じて弁当はあげるよ。」  
「緑と白の縞パンはいてるお子ちゃまがなにをぎゃがっぁ!!!!」  
鼻が、目が、口があああああああああああ!!!!!  
「それじゃあさよなら変態君。」  
あれが俺の幼馴染の峰岸瑞穂。どうだ?これでもかって言うほど可愛くないだろ?  
 
 
おしまい。  
 

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