私が連行された先は組織のボスの部屋だった。  
一際豪華なデスクに肘をかけて座っているその男はいかにもやり手の若社長を思わせるいでたちであるが、その瞳の奥にある欲深さは隠しようが無かった。  
他人を思いやるということからは程遠い人物。正直、私が最も嫌いな人種である。  
二人の男が後ろ手に縛られた私の両腕を?みあげ、後ろではもう一人の男が私に銃を突きつける、私の正面には勝ち誇った笑みを浮かべているボスがふんぞり返っていた。  
「さて、君がここに来た理由―まあ、君が持っていた物を見れば大体判るが―と君の所属している組織について教えてもらおうか」  
「…」  
ボスの問いに私は無言で睨みつける事で返答をする。  
その様子を見たボスは私の元へ歩み寄る。私より頭ひとつ分程大きいこの邪悪な組織の長は、私の顎を掴み上げ乱暴に上向かせた。  
「くっ…」  
残忍さを隠そうともしないボスの瞳が私を見据える。よほど唾を吐きかけたい気持ちに駆られたが、かろうじてその気持ちを抑える。代わりに私は敵意のこもった眼差しで男を見据えた。  
「ほぅ、この期に及んでいい目をしているな。君がどう思っているかは知らんが私は紳士だ、素直に話してくれれば悪い目にはあわせないと約束できるのだがね」  
「ふっ、紳士ですって?貴方が言っても説得力はないわ」  
男の提案を私は鼻で笑い飛ばす。罪も無い少女達を苦しめるこの男に誰が屈するものか、私は決してこの男の思い通りにはならない。そんな決意が男にも伝わったのだろう、顎から手を離すと男は手を伸ばしながら大仰に首をすくめた。  
「やれやれ、君はもう少し賢い女かと思っていたが…。君が自力で脱出出来る可能性はもう無いのだよ、君も判っているはずなのだがね」  
「…、確かに優秀な番犬がいるようね。見栄えも良さそうだし」  
私を捕えたあの大男を思い出す、確かにあのような化け物がいるのでは私の力では脱出は難しいだろう。だが、だからといって諦める訳にはいかない。私には使命があるのだから。  
「まあいいだろう、少し君に考える時間を与えようじゃないか。おい、お嬢さんを特別室へご案内して差し上げろ」  
ボスの合図で私は再び目隠しをされる、そして私は「特別室」へと連行されるのだった…。  
 
「さあついたぞ」  
目隠しがはずされた私の目に入ってきたのは薄暗い部屋だった。  
中には様々な器具が置いてあるが、そのいずれもが人体に苦痛を与える代物だ。そう、ここは捕虜から情報を聞きだすための拷問室、そしてこれらの器具で責められるのは私なのだ―。  
「怖いか?えぇ?これからお前を泣き叫ばしてやるぜ。わたちがわるぅございました、ゆるちてくだちゃ〜い、ってなぁ!」  
「ふっ、それは楽しみね。私は泣くつもりはないし。貴方たちに泣かせられるつもりもないわ」  
そうかよ、と言いながら男の一人が私の首筋に注射をした。その数秒後―。  
「うっ!?」  
体中の力が抜ける。力を失った私はガックリと膝をついてしまう。  
(くっ…、脱力剤か…!)  
今の私は立ち上がることすら出来ず、倒れないように踏ん張るのが精一杯だった。これでは脱出はおろか、男達に抵抗することすら出来ない。  
男は私の髪を乱暴に掴み、無理やり立たせた。  
「くくく、この薬はなぁ、唯の脱力剤じゃない。これからお前にその効力をたっぷりと味わわせてやるぜ」  
そして、私は抵抗も出来ないままX状に拘束される。地獄の宴が始まった…。  
 
バシィイイイ!  
「アァアアアーーッ!!」  
暗く冷たい牢獄に鞭の音と私の悲鳴が木霊する。X状に拘束された私は前後から絶え間の無い鞭打ちを受けているのだ。  
「痛いか?ほれ、もっと泣け!」  
ビシィイイ!  
「ウァアアーッ!」  
背後からの一撃で私の身体は大きくのけぞる。責め苦を受ける前、私は決して悲鳴をもらすまいと決心していた。だが、その決意は最初の一撃でもろくも崩れ去った。  
バシィイン!  
「ウワァアアーーッ!!」  
一撃喰らうごとに激痛が私の全身を駆け巡る。手足が痺れ、脳が焼け爛れそうだ。私の人生において、ここまで強烈な「痛み」は今まで感じた事が無かった。  
理由は解っていた。先ほど打たれた薬には脱力の他に感覚を強化させる作用があったのだ。当然、痛覚も通常の何倍もの高さになっているはずだ。  
(くぅっ!ま、負けるものか…!私は決して屈しない!)  
私はキッと正面の男を睨みつける。そんな私に男は残忍な笑みを浮かべる。  
「ほれ、もっと泣けぇえ!」  
ビシィイイ!!  
「グワァアアーーーーッ!!!」  
ガクリッ  
一際強力な一撃を喰らい、遂に私は力尽きた。力なく頭を下げ、弱々しい息を吐くだけの私をあざ笑う男達。彼らは次の拷問の準備を始める、鞭打ちに屈しなかった私は新たな責め苦を受ける事になるのだ…。  
 
ハァッ…、ハァッ…。  
責め苦を受けた私は力なくうなだれている。  
私のスパイスーツは先ほどの鞭打ちで所々裂けており、そこから白い地肌と赤く脹れ上がった鞭打ちの痕が露出していた。  
「うへへ、たまんねぇ」  
「…」  
私は男達の下品な言葉に無言を貫く。いかなる屈辱を受けようとも今は堪えなければならない…。  
男達が持ち出したのは、いくつかの吸盤状のものだった。それらの頂点部分にコードが出ており、その先は大きな機械とつながっていた。  
腕、足、わき腹、乳首、そして股間部分におぞましい感触の吸盤が取り付けられていく。私はなんとか逃れようと身をよじらせてもがくが、所詮はむなしい抵抗だった。  
「よしっ、これでいい。…もう一度聞くが、全てを吐く気になったか?」  
「愚かな問いね。答えはノーよ!」  
男の勧告を私はきっぱりとはねのける。ニヤリと笑った男はコードの先にある機械のパネルに手を伸ばした―。  
 
ビリビリビリ!  
「ゴガァアアア!!」  
私の身体に流れる高圧電流、その衝撃に私の身体はエビのように跳ね上がる。  
くっ、苦しい…、私の身体が焼け焦げていくようだ。絶叫を上げ、もがき苦しむ無様な姿を晒しながら私は耐える。  
「ハアッ、ハアッ…」  
永劫に続いたと思えた責め苦は、しかし時間にして1分もしなかったようだ。  
半開きになった口からは弱々しい呼吸音しか出ない。しかし、一時の安息を楽しむ間もなく、再び電撃が私を襲う。  
バババババッ!  
「アグゥウウッ!!」  
この程度の拷問、どうということは無い―、必死に心で念じつつ地獄の時を過ごす。  
いかなる拷問も私の心を屈することは出来ない。だが、心とは裏腹に私の体力は確実に奪われている、彼らに抗すべき力は確実に蝕まれているのだ…。  
 
「ああっ…」  
拷問部屋に私の弱々しい声が響く。  
電流責めの後、私は再び後ろ手に縛られた。  
もちろん拘束されなおす時に抵抗を試みたが、やはり身体が全く動かず彼らのなすがままにされてしまう。  
そして今、私は男達の手によって三角木馬に跨らされている…。  
「ううっ…」  
痛い―、股間が裂けそうだ。股間に1トンの力がかかっているかのような苦しみに、しかし私は暴れることすら出来ない―。  
正確には暴れるだけの体力が残っていないのだ。  
私も堕ちたものね―。  
私は今、自らの無力さを悟った。続けざまの拷問で体力の尽きた私にもはや彼らに抗する力は残されていない、味方の救援も見込めない(この組織へのミッションは綾香一人でやっている為)今。もはや生きてここから出ることは不可能だろう。  
だが―、私は新たに誓う。彼らに哀れみを請うことは絶対にしない、悪魔に魂をささげて生き延びるよりは誇りある死を選ぶ―。それが私の存在意義だから。  
バシッ!  
「ああっ!!」  
背後からの鞭の一撃に私は苦しみの声を上げた、その声が弱くなっているのが自分でも解る。  
もう…、限界だ…。  
私の意識が遠のく。  
その時―。  
重い音を出して拷問室の扉が開く。その先にはあのボスが数人の部下を引き連れて立っていた―。  
 
 

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